歯科医師の具体的な仕事内容とはどんなこと?なるためにはどうしたらいいのか詳しく解説!

昔は歯に関する意識が「虫歯ができたら治す」ものだったのに比べ、近年は「歯を美しく見せたい」との意識を持つ人が増えてきています。特に歯を綺麗にしたいと望んでいることが多いのは女性のため、女性歯科医師の需要が求められるようになってきました。歯科医師の仕事は多岐に渡りますが、その仕事内容や歯科医師になるための過程を詳しく説明します。

歯科医師の仕事内容

歯科医師の仕事とは

  • カウンセリング
  • 患者さんの治療に当たる時、カウンセリングを行います。患者さんが何をしてほしいのかで治療方法も変わってくるのです。虫歯の治療でも、治療の方法や使う材料などで費用や治療期間が変わります。歯科医師は、治療の方針や期間などを患者さんに伝え、患者さんが納得してから治療を始めなければなりません。

    また、歯科医師は治すだけではなく、予防することが大切だということを患者さんに伝えるのも仕事の一つです。歯磨きの仕方や歯石除去を定期的にすることで歯の健康を維持することを伝えます。

  • 歯から全身の健康を維持する
  • 歯は全身の健康に大きな影響を与えます。歯の噛み合わせが悪いことで、体調を崩すことがあります。肩こりや頭痛に悩まされている人が、歯の噛みあわせを治したらその症状がなくなることがあるのです。歯科医師は人の全身の健康を維持するために歯を治すこともあります。

  • 子どもの歯の健康に関わる
  • 歯科医師は子どもの歯の健康を保つことにも大事な役割をしています。乳歯のうちに、歯磨きの大切さや歯石除去、フッ素塗布、をしっかりやっておくことの重要性を保護者に伝えることも子どもの歯を守ることになります。

  • 歯並びを矯正する
  • 歯並びを整えるための矯正歯科を専門にしている歯科医師もいます。歯並びがよくないと身体に不調をきたすことがあるのです。身体の健康のためにも歯の矯正をすることは重要とされています。矯正歯科認定医・専門医となって、患者さんに矯正装置をつけて歯を矯正していきます。定期的に診察をし、装置を外してからも経過を観察していきます。

  • 綺麗な歯を保つ
  • 最近は、審美歯科治療が注目されてきています。この治療は、虫歯などの治療だけではなく、歯をキレイにするという観点から歯科治療を行います。歯を白くしたい、歯並びを整えたいという患者さんに対し、歯の色を白くするホワイトニングやセラミックのかぶせものをするなどして、歯を美しく見せる治療を施します。

  • インプラント治療
  • インプラント治療とは、失ってしまった歯の替わりに人工の歯根をアゴの骨に埋めて、その上に人工の歯を作る治療法のことです。歯科医師の中には、このインプラント治療を専門に行なっている人もいます。この治療法は、噛みあわせを回復させるだけでなく、見た目も美しいということで希望する人も増えてきています。

  • 歯科健診
  • 歯科健診は、1歳6ヶ月健診の時や幼稚園、小学校などの健康診断の時にも行われています。歯科健診を受けることで、日頃気づかなかった虫歯が見つかることもあるため、歯科健診の重要性は今後も変わらないでしょう。そして、子どもたちや保護者に歯磨きや食生活の指導をすることで、歯の健康を維持する大切さを伝えます。

  • 警察歯科医
  • 事故や事件などで遺体の身元を知るために、歯や口の中の状態を歯科治療を受けた病院で撮られたレントゲン写真などと照らし合わせて身元を特定する歯科医師のことを警察歯科医と言います。歯科医師の専門的な知識を生かして行う仕事です。

歯科医師の給料について 平均年収は?

歯科医師の平均月給は、地域や勤務先によって異なりますが30万円~50万円程です。年収は賞与を含めて平均450万円~800万円程になります。開業医になると、経営がうまくいけば1,000万円を超える年収を得る歯科医師もいますが、歯科医院の競走は激しいため開業して成功するためには、技術の他に経営の知識や患者さんとのコミュニケーションも重要になってきます。

歯科医師に向いている人とはどんな人

  • 集中力がある人
  • 歯の疾患を治すためには、とても細かい作業を必要とします。歯を削ったり噛みあわせの調整など、0.1ミリ単位での作業が必要になるので、几帳面で集中力がある人が向いています。

  • 勉強熱心な人
  • 歯科の治療は患者さんの状態や症例により、治療方法はさまざまで一人ひとりの治療が異なります。また、歯科の技術は日々の進歩により新しい治療方法や材料が出てきます。歯科医師は研修や勉強会に参加するなどして、常に学ぶことが必要な仕事です。患者さんのために努力を惜しまない人が歯科医師に向いていると言えます。

  • 患者さんの話を聞ける人
  • 歯の不具合や不快感は患者さん本人にしか分かりません。歯科医師が思うように治療しても、患者さん自身が不快感を感じたら治療は成功とは言えません。歯科医師は患者さんの話をよく聞いて、患者さんの立場に立って物事を考えられることが大切です。

歯科医師になるにはどうしたらいいの?

大学の歯学部または歯科大学で6年間勉強する

歯科医師になるためには、歯科医師の国家試験を受験し合格することで国家資格を得ることができます。受験資格を取得するためには、歯科大学か大学の歯学部で6年間学び、卒業することが必要です。大学では身体のことから口腔内のこと、臨床実習を含めて6年間しっかり勉強します。国立大学と私立大学では、卒業するまでの学費が8倍程も異なるため、国立大学の合格を目指して受験する人が多く倍率がとても高くなります。

歯科医師国家試験を受験する

歯科大学や大学の歯学部で学び卒業して、歯科医師国家試験を受験して合格し、歯科医籍に登録すると厚生労働大臣から歯科医師免許が発行されます。そして、歯科医師免許を取得すると、「食品衛生管理者」「衛生検査技師」「衛生管理者」の資格が付与されます。また、「臨床検査技師」「歯科技工士」「労働衛生コンサルタント」の資格の受験資格が得られる、または試験の一部が免除されます。

歯科医師国家試験の難易度は、平成25年度からは下がってきています。以前は70%前後の合格率がありましたが、平成25年は63.3%でそれ以降の年も70%に届かない合格率になっています。その内訳は新卒者が80%の合格率、既卒者は60%程度です。

大学や大学院で国家試験に向けてしっかりと勉強をしていれば合格できる確率が高いのですが、もしも新卒者で合格できなかった場合、予備校に通って次の年の国家試験受験に向けて勉強をするか、自力で勉強をし、翌年の国家試験を受験するかという選択肢があります。国家試験に2度、3度と落ちてしまった場合、諦めて他の道へ進む人もいるようです。

1年以上の臨床研修を受ける

歯科医師免許を取得した後、歯科医師として患者さんの診療に携わる場合、1年以上の臨床研修が2006年4月から義務付けられるようになりました。研究職などで診察に携わらない場合は臨床研修を受けなくてもよいことになっています。この臨床研修の中で、患者さんとのコミュニケーションの取り方や歯科医師として必要な知識や技術を現場で習得します。

歯科医師として働く

歯科医師の就職先はどんなところ?

  • 病院
  • 歯科医師が勤務する病院は、多くの場合が医育機関附属の病院になります。いわゆる大学附属病院の事です。大学附属病院は、一般の歯科医院では治療が難しい口腔がんなどの高度な治療を行います。その他、食べたり飲み込んだりする機能に障害がある人や言語障害のある患者さんへ口腔リハビリテーションを行うなど、一般的な治療から口腔外科治療までの幅広い治療をします。高度な治療に関わることで、日々進化する歯科医療を最先端技術を学べるのがこの勤務先のメリットと言えるでしょう。

  • 診療所
  • 診療所とは歯科医院のことを言いますが、歯科医院の多くは一般的な歯科医院で勤務しています。しかし、歯科医院の強壮が激化してきている近年では、一般的な治療だけでなく、矯正歯科や審美歯科などの専門的な歯科治療をする歯科医も増えてきています。自分が歯科医師としてどんな分野で働きたいのかで、勤務先を選ぶといいでしょう。

  • 研究・教育・一般企業
  • 歯科医師国家資格を取得し、大学で口腔に関する知識や技術を学生に教える仕事をする人もいます。歯科医師を目指す学生に丁寧な指導、教育をして卒業させるのは大切な仕事です。また、大学病院では多くの歯科医師が歯科治療や材料、口腔内の病気についての研究を行なっています。

    新しい治療法や材料ができれば治療が難しかった患者さんを救うことができるかもしれません。そして、中には一般企業に就職して口の中の健康に関する製品を取り扱う企業や、歯科医院で使う機器を開発するメーカーに就職する歯科医師もいます。

歯科医師の独立・開業について

歯科医院などで経験を積んだ歯科医師の中には、独立して開業する人もいます。確かな技術と丁寧な接客をしていれば、顧客が多くついて年収がかなり高額になることがあります。安定した収入を得るためには、一般の治療だけではなく、インプラントや矯正歯科などの専門的な治療も取り入れていくことが必要となります。

歯科医師の求人はあるの?

歯科医師の就職先の一般的なところは歯科医院や大手の総合病院ですが、その他にも大学や研究所、厚生労働省や製薬会社なども勤務先としてあります。歯科医師は供給過多と言われていますが、歯科医師の求人は常に全国的にあります。人が生きていく上で重要な「歯」を扱う歯科医師の仕事は決してなくなることはないでしょう。

歯科医師のやりがいと苦労

歯科医師のやりがいとは

  • 難しい治療が完了したとき
  • 歯科医師の仕事は繊細で難しい治療を行う仕事です。治療によっては時間も神経も使うこともあり、どのような治療が最適なのか考えながら治療します。人は何歳になっても自分の歯で食事をしたいと願います。歯に虫歯や不快感を覚えて歯医者へ来る人たちは、日々の生活を快適に過ごして食事を楽しみたいと考えているでしょう。

    歯科医師はそんな患者さん達のために、難しい治療も最善を尽くして治します。患者さんの悩みが解消されて治療が終わった時、歯科医師としてのやりがいを感じることができるでしょう。

  • 患者さんの健康を維持することができる
  • 近年では、スポーツの世界でも歯の噛み合わせが大事だということに気付き、競技の時にマウスピースを使用するなど歯に関する研究が進んでいます。歯の噛み合わせが悪いため、頭痛や肩こりに悩まされるということがあり、健康な歯はもちろん、入れ歯を作った場合にも歯の噛み合わせを重要視します。このように、歯は人の身体にも影響を与えるため、歯の治療や噛み合わせを良くすることで、健康を維持することができるのです。

  • 患者さんに笑顔が戻った時
  • 好きなものを食べられると人は笑顔になります。歯はほんの少しの違和感でも、ものを食べる時に痛みや不快感を覚えます。歯科医師ができるのは、その痛みや不快感を取り除くことです。患者さんが好きなものを思い切り食べられるよう、真摯に治療します。治療が終わって、患者さんが笑顔を見せてくれた時、歯科医師としてのやりがいを感じることができます。

歯科医師の苦労とは

  • 常に学び続けることが必要
  • 近年では、ホワイトニングやインプラント手術などの治療に注目が集まっています。これらの技術はすぐに身につくものではありません。大学や大学院で学んだ知識や技術だけではなく、歯科医師になっても新しい技術を身につけるために日々が勉強なのです。

  • 給料がそれほど高くない
  • 歯科医師の給料は高いイメージがありますが、今は世間が思うほど給料が高くありません。歯科医師は技術向上や知識を高めるために、勉強会などに参加することが多くあります。その参加費などを考えると、それほど年収は高いとはいえないかもしれません。歯科医師になってからも、勉強会などに参加してスキルアップが必要なので、費用もかかります。

  • 評判に左右されてしまう
  • 近年はインターネットの普及で、さまざまな情報が一瞬で広がります。歯科医の評判も個人の印象だけですぐにネットを介して広まる世の中です。もしも、患者さんが不満を感じたらネットに書かれて歯科医の評判が落ちてしまうこともあるのです。そのために、昔よりも患者さんに気を遣いながら仕事をしなければならなくなってきています。

女性の歯科医師の活躍

昔は歯科医師といえば男性の医師が多かったのですが、最近は女性の歯科医師が増えてきました。常勤医もいますが、パートタイマーとして働く女性もいます。大きな病院で何人か歯科医師を抱えている場合は、結婚・出産を経て子育てをしながら働いている女性歯科医師を採用することもあります。パートタイマーなら子育てや家事にあまり負担をかけず働くことができます。

女性歯科医師が活躍する背景には、「女性ならでは」のメリットがあります。小児歯科では男性医師よりも女性医師のほうが子どもをあやしたりなだめるのが上手な人が多いです。子どもは大人の男性よりも女性の方を怖がらない傾向があり、子育てを経験した女性ならなおさら子どもを安心させることに慣れています。また、思春期の女性は男性医師よりも女性医師のほうがいいと思う人もいるため、女性医師の存在は患者さんへ安心を与えることになるのです。このように、女性歯科医師の活躍は今後も増えていくでしょう。

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