医師になるには免許が必要!国家試験の合格率・医師会・年収について徹底解説

「お医者さんになりたい」と、誰もが一度は夢にみたことがあるのではないでしょうか。医師になるためにはたくさんの勉強と長い月日を必要とします。命と向き合い大きな責任を抱える医師の仕事ですが、その仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。医師のなり方や気になる年収についてお話していきます。

医師になるためにはどうすればいい?

医師になるためには、医師免許を取得しなければいけません。医師免許を取得するためには受験資格が設けられています。では、どうすれば国家試験を受験できるのでしょうか。

大学の医学部に6年間通う

医師になるためには、医科大学や医学部がある大学への進学が大前提です。医学部がある大学は北海道から沖縄まで国立大学や公立大学、私立大学とさまざまな学校があります。また、医学部は一般の大学と違い6年間学び通う必要があります。医学部はどの大学も難易度がとても高く、理数系が受験科目であることから文系よりも理数系が得意であることが求められます。

6年制の課程を卒業すること」または「卒業の見込みがあること」が医師国家試験の受験資格が与えられます。私立大学の医学部は学費が最も高く、6年間を通して2,000~5,000万円程かかります。そのため、一般的には国立大学への進学を希望する人が多くみられます。

医師免許取得のために必要な国家試験とその合格率とは

医師国家試験の合格率は9割と非常に高い傾向にあります。医学部がある大学進学の難易度の高さ、在学中の6年間は一般的な大学生よりも勉強が忙しく、人の命がかかわる仕事になるのでしっかり学ばなければいけません。このことから、医師免許取得を目指して頑張っているので、高い合格率になっているといえるでしょう。しかし、一人前の医師として診療するためには2年間以上の研修が義務付けられています。

  • 医師のたまご研修医とは?
  • 医師として診療するためには、医師法第十六条の二により臨床研修が義務付けられています。研修医としてさまざまな診療科で研修を行うことで、幅広い知識を得ることができます。

    また、研修医は2年の研修が終わるまで診察することを法律で禁止されているので、診察や診療を行うことは一切許されていません。臨床研修は医師として診療するための研修であり、研究医として進む場合は研修を受けなくても業務に差し支えありません。そのため、研修医として働かなくても構わないのです。

参考:医師法第十六条の二

医師事務作業補助者(メディカル・セクレタリー)とはどんなことをするの?

医師が医療に専念できるよう医師の指示のもと、事務作業をサポートする専任者を医師事務作業補助者と言います。医師の負担軽減や役割分担を目的としてできた職種です。医療文書の作成代行(診断書・処方箋・入院手続き業務、説明)やカルテなどの代行記載・電子カルテの入力代行、会議資料作成、カンファレンス資料作成、行政などへの報告業務などを行います。

医師の求人状況

いつの時代も医師は必要とされており、常に募集されている職業の一つです。近年では、医療の発達により医師不足が加速しているのが現状です。また、中でも小児科や産婦人科、救命救急科は深刻な人材不足が叫ばれています。

医師の仕事内容

医師の種類は大きく分けて2つ

医師の仕事内容はさまざまです。その仕事内容とはどのようなものなのでしょうか。

  • 患者さんに寄り添う【臨床医】
  • 病院で診察や治療を行う医師のことを臨床医と言います。患者さんを診察することから始まり、症状について問診したり心音や体温を測ったりすることで、身体の不調の原因を探します。原因が判明すれば、その症状に合わせて処方箋を出したり、点滴や注射などの処置を看護師などへ指示します。

    原因が判明しなければ精密検査などを行い、身体の内部まで原因を探します。大きな病気を発見すれば手術を行うのが医師の役割です。しかし、設備の整っていない病院では全てを行うことができない場合があります。その場合は、設備の整った病院を紹介するために紹介状を書くこともあります。

  • 未来を支える【研究医】
  • 医学の進歩には研究医の活躍が大きく影響しています。研究医とは、治療法や原因が確立されていない病気を解明するために、大学や病院で研究を専門に働いている医師のことを指します。研究医は、病気について実験をしたりデータを収集したりすることで、原因を見つけ治療方法を確立します。私たちの将来にとっていなくてはならない存在なのです。

主な就職先とは

医師になり研修を終えると、就職先を決めなくてはいけません。就職先は病院の規模により待遇や働き方はさまざまです。自分にあった就職先を見つけましょう。

  • 最先端の医療技術が揃う大学病院
  • 一般的に大学卒業後、その大学の病院に就職することが多いです。大学関連の知り合いもいることから安心して就職でき、最初の就職先として選ぶ医師が多くみられます。最先端の医学を学べることや医療機器が揃っている魅力がある反面、人間関係の派閥や、勤務時間が長く激務なのが大学病院の特徴でもあります。

  • 入院施設のある公立・私立病院
  • 入院施設もあり規模も大きく、大学病院に比べると早い時期から実務を学べるのが特徴です。収入や勤務時間も大学病院に比べると条件がよく、公立・私立病院を選ぶ医師も多いです。

  • 入院施設のない医院やクリニック
  • 診察時間が決まっていて、入院施設もないことから勤務時間も決まっているのが医院やクリニックです。大学病院に比べると勤務時間はとても短いです。

気になる医師の年収

医師は安定した高額な収入を得ることができるイメージがありますが、医師になるためには長い年月と努力が必要です。人の命と関わるとても重要な仕事です。そのため、高額な収入を得ることができます。また、働き方によって収入が異なります。それぞれの年収はどのくらいなのでしょうか。

勤務医の年収

勤務医の平均年収は800~1,000万円です。また、診療科や役職により年収が異なりますが、最終的には1,200~1,500万円程度で年収は落ち着くことが多いと言われています。医師は、労働時間も長く睡眠時間が取れない診療科もあることから、医師不足が加速しています。そのため、高待遇に設定している病院が多くあります。

開業医の年収

開業医の平均年収は2,500万円程度です。勤務医よりも1.7倍の収入があると言われている開業医ですが、収入が多い反面、診療に関わる医療機器の支出も多く経営管理をしなければいけないことから、勤務医よりも高収入と言い切ることはできません。

アルバイトの給料

フルタイムで働けない場合でもアルバイトの求人は多く、平均時給は5,000~10,000円と高額なため、十分な収入を得ることができます。また、産婦人科や外科では12,000~15,000円ほどの時給をもらうことができます。経験年数によっても時給に変動があります。

研修医の給料

研修医期間は年収400万円程度です。サラリーマンの平均年収が500万円なので、研修医でも平均よりも高い年収と言えます。

医師国保と医師年金について

さまざまな職業ごとの健康保険の中に、医師会に所属している医師が加入できる「医師国民健康保険組合」(医師国保)があります。医師国保は医師や家族、医師が雇用している従業員にも加入の権利があります。医師国保は従業員が5名未満の個人事業者が対象なので、主に個人診療所や小規模な病院で働いている人が利用することができます。

医師会に所属していると医師年金制度に加入することができます。医師年金とは積立型の年金で将来受け取ることができる日本医師会独自で運営している年金制度です。受け取り方法もさまざまあるのが医師年金の特徴の一つです。

■養老年金
満65歳から受け取ることができます

■減額年金
満65歳前の加入者が期間を前倒しして受け取ることができます

■育英年金
子供の教育資金として活用できるます

■傷病年金
加入者の医師が病気で診療できなくなった場合毎月受け取ることができます

  • 医師会とは
  • 医師会とは日本の医師を統括する組織です。医師の立場を守り、問題点を行政やメディアに主張できる権利を持っています。日本医師会の下に都道府県医師会があり、その下に群市区医師会と大きく3つに分かれています。医師会へ入会している医師の割合は半数ほどを占めており、地方に行けば行くほど入会率が高い傾向にあるようです。

    医師会に入会していることで行政や講習会の情報が入りやすいこと、訴えられてしまった場合、医師会の顧問弁護士や専門スタッフの助けを借りることができる医師賠償責任保険の安心があることなど、さまざまなメリットがあります。しかし、医師会へ入会するには加入費用の負担が大きいことがあげられています。入会には、日本医師会・都道府県医師会・群市区医師会の3つ同時加入しなければいけません。年間費は100万円以上、多い場合は500万円程かかってしまう場合もあるようです。

参考:日本医師会公式ホームページ

女性医師の必要性

近年、女性医師が増加傾向にあります。特に、小児科や産婦人科などは子どもや母親と接する機会が多い診療科は、女性医師を求めると同時にたくさんの女性医師が活躍しています。しかし、結婚や妊娠・育児などの理由で現場を離れてしまう女性医師が多いのも現状です。

育児しながらでも続けられるの?

医師不足に悩まされている業界のため、育児と両立できるように子育て支援に取り組む病院も増えてきています。時短勤務や当直免除、緊急呼び出し免除などに取り組み、女性医師確保に力を入れる動きが広まってきているようです。

アルバイトやパート勤務がおすすめ

短時間勤務のパートやアルバイトの募集も多くあります。時間が決められているため、育児との両立も比較的しやすい職業でしょう。しかし、ブランクが長ければ医学の進歩に追いつけなくなってしまうので、常に勉強が必要な職業でもあります。

人の命と向き合うやりがいのある仕事

医師とは常に人の命と関わる仕事のため、プレッシャーも大きく緊張感が常に付きまとう職業です。命の誕生に立ち会う現場や、病気と闘い治療する現場、終末医療に携わる現場、未来のために病気の研究をする現場など、さまざまな現場で活躍し続けています。つらいことや悲しいこともたくさんあり、自分の無力さを感じてしまうこともあるでしょう。しかし、命の尊さを誰よりも大切に感じる職業です。そして、医師がいてくれることで救われる命もたくさんあります。医師とは私たちが生きていく上でいなくてはならない存在なのです。

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