漁師になるには必要な資格ってあるの?具体的な仕事内容や年収について詳しく知っておこう!

漁師と聞くとどんなことを思い浮かべますか?「朝が早くて大変そう」「1年くらい帰れないって本当?」「漁師って船さえあれば勝手に漁をしていいの?」などさまざまな疑問があるのではないでしょうか。女性の少ない職業ではありますが、魚が好きで漁師の世界に挑戦する方もいるのです。では、その疑問や漁師の主な仕事内容気になる年収などについてお話していきます。

漁業の仕事内容について知ろう!

漁業は大きく分けて3種類ある

漁業には、魚の種類によって漁の仕方や漁に出る期間が異なります。漁業の種類を知ることで目指すものが変わるでしょう。

  • 遠洋漁業
  • 世界中の海が漁場になるのを遠洋漁業といいます。そのため、一度漁に出ると数ヶ月から1年ほどかかります。マグロ漁船で知られているのがこの遠洋漁業です。また、カツオ一本釣り漁、ハイテク機器搭載の船上加工工場は「冷凍加工船」「すり身加工船」「エビトロール船」があり、引き上げ後すぐに船内の加工場で選別や加工し冷凍保存ができる遠洋トロール漁があります。

  • 沖合漁業
  • 日本の200海里水域が中心の漁場となるのを沖合漁業といいます。獲る魚や漁法により異なりますが、日帰りのときもあれば1ヶ月ぐらいの漁になることもあります。主にサンマやイカ、船で引く底曳き網漁でのカレイ、ホッケ、カニ、エビなどがあります。

    また、沖合漁業でも近海カツオ1本釣り漁が行われています。カツオは季節によって移動する魚なので、漁場も季節ごとに変わります。一本釣りは手で針をはずすのではなく、頭上に跳ね上げた勢いではずす「跳ね釣り」という方法で行われます。跳ね釣りを習得するまでに3年ほどの修行が必要とされています。近海カツオ一本釣り漁は冷凍保存ではなく冷却水に付けて保存するため、航海サイクルは2~5日程度です。

  • 沿岸漁業
  • 日帰りで行う沿岸部を中心とした小規模な漁を沿岸漁業といいます。個人事業主が小型船で行うことが一般的です。さまざまな漁法があり、獲る魚の種類も多彩です。定置網漁では季節や漁の場所によって、サケやヒラメ、ブリなどのさまざまな魚の種類を獲ることができます。

    まき網漁は、アジやサバイワシなどを中心に行う網で囲い込む漁です。他にも、魚を傷つけず綺麗な状態のまま市場に出荷できることが魅力の釣り漁、安定的に魚介類を出荷や供給ができる養殖業、タコつぼ漁、貝類や海藻類を船上から人の手によって採る漁などがあります。

漁師結びを知っておこう!

漁師結びは初心者でもマスターできる簡単なライン接続の方法の一つであり、完全結びと呼ばれることもあります。強度においても工夫次第で高い水準にすることができ、シンプルな結び方なので仕掛けを作るために役立ちます。手早く対応できることから、マスターするべき結び方でしょう。

結び方のコツは、ループと端糸を上手に利用することとテンションを締める時、最初はゆるめにしておいてから徐々にきつく締めることです。ルアーとリーダーやラインとフック、サルカンとラインなどを漁師結びで接続します。

漁師になるためにはどうすればいいの?

漁師になるために必要な学歴や試験、年齢制限などはありません。自分の意思次第で漁師になることが可能です。自分で情報を集め、現場に足を運ぶことで漁師について知ることができます。また、漁師体験ができる制度もあるので自分に合う漁業を見つけましょう。

漁業研修制度を利用する

漁師になりたい人のための漁業体験や支援制度です。場所によって支援制度の違いや体験内容が違うので、詳しい内容は問い合わせすることをおすすめします。

参考:漁師.jp 全国漁業就業者確保育成センター

水産高校で海のことを学ぶ

漁師になるために、海のことを学べる水産高校への進学も増えています。水産高校にはさまざまな学科があり、水産業に関する知識や、漁業の経営、漁師になった時に役立つ船の操縦などの技術を学ぶことができます。

必要な資格や資金はあるの?

漁業の種類によって必要な資格は異なります。遠泳漁業の漁師になる場合は必要な資格や資金などはほとんどありません。しかし、沿岸漁業をするためには取得しなければいけない資格がいくつかあります。その必要最低限な資格をご紹介します。

  • 漁に出るために漁業権を取得する
  • 漁業権がなければ漁を行うことができません。漁業権の取得方法は各地の漁業協同組合員になり、売り上げの一部などを支払うことで取得することが可能です。場所により漁業協同組合員になるための条件が異なるので、詳しい条件については地域の組合に問い合わせするといいでしょう。

    参考:水産庁 漁業権について

  • 小型船舶操縦士免許を取得する
  • 沿岸漁業を個人で仕事するためには、20トン未満の小型の船を操縦できる小型船舶操縦免許が必要になります。資格取得には年齢制限があり、一級小型船舶免許の受験資格は17歳9ヶ月から、二級小型船舶免許は15歳9ヶ月から受験資格が可能です。二級小型船舶免許は、18歳未満の場合船の大きさが5トン未満に限定されていますが、18歳に達すると手続き不要で制限は解除されます。

    参考:一般財団法人 日本海洋レジャー安全・振興協会

    免許取得方法には「登録小型船舶教習所コース」「ボートスクールコース」「独学勉強コース」と3つの方法があります。自分にあった勉強方法で取得することをおすすめします。

  • 漁業者と情報交換のために海上特殊無線技士免許を取得する
  • 小型船に搭載できるレーダーや無線操作には必要な資格です。資格取得には、「養成課程を修了する」「国家試験に合格する」などの方法があります。

  • 沿岸漁業には船や仕掛けが必要
  • 漁師として新規参入の場合、船がなければ漁に出ることはできません。船を用意するのに必要な資金は500~1,000万円程かかります。また、数十万円ほどかけて漁具(網・縄・仕掛けなど)も揃えなくてはいけません。沿岸漁業の漁師を目指すためには多額の資金が必要なのです。

    しかし、漁師の高齢化などの影響もあり深刻な人材不足に悩まされています。そのため、各地の漁業協同組合では新規参入者を援助する制度もできています。船や漁具を安く譲りうけられたり地域によってさまざまな補助制度があるので、上手に利用することが大切でしょう。

女性でも漁師になれるの?

女性漁師として活躍している人もいます。しかし、遠洋・沖合漁業は一度海に出てしまうと家を空ける期間が長くなるため、育児をしながらの漁師は難しいでしょう。漁に出るのであれば、日帰りで漁ができる沿岸漁業がおすすめです。

求人について

漁師には定年退職がなく、60代での現役はもちろんのこと80代でも漁に出ている漁師もたくさんいます。このように年々高齢化が進んでいるのが現状です。漁師の仕事は力仕事が多いため高齢者だけでは作業効率が下がり、漁業協同組合全体の漁獲高が落ちてしまう事につながります。そのため、全国の漁業協同組合や水産会社は積極的に若者の求人募集をしています。また、近年では全国の漁師の求人をインターネットを使い、情報を得ることも可能になりました。

漁師へ転職するために必要なこと

漁師へ転職をするためには必要なことはあるのでしょうか。それぞれの漁業についてご紹介します。

  • 遠洋漁業に転職する場合
  • 大型船で漁をする遠洋漁業への転職は、特に必要な資金や資格はありません。しかし、遠洋漁業は年間を通して家に滞在できる日はほとんどなく、長い月日家を空けてしまう事になります。そのため、家族の協力は必要不可欠でしょう。

  • 沿岸漁業に転職する場合
  • 船と漁具を用意するために1,000万円以上の資金を用意しなければいけません。また、小型船舶免許や海上無線技士免許、漁業権が必要です。沿岸漁業をする漁師へ転職するのであれば、十分な計画が必要不可欠です。漁師には年齢制限もないため、定年を迎えてから漁師へ転職する人も少なくありません。

漁師の年収について

漁師の年収は漁業の種類や働きかた、獲る魚の種類により大きく異なります。また、天候や旬によっても大きく左右されるのが漁師の年収です。それぞれの働き方について見てみましょう。

遠洋・沖合漁業の場合

大型船で世界各地の海で大規模な漁をする遠洋漁業はマグロ漁船などが有名です。一度海に出ると数ヶ月から1年程帰ることができず、肉体的にもとてもハードな漁として知っている人も多いのではないでしょうか。給料も水準より高く、水揚げ量にもよりますが平均月収30~35万円です。また、船上で過ごしている間は家賃や光熱費、食費などの生活費がほとんどかかりません。収入のほとんどを貯金することも可能なのでお金が貯まる仕事の一つです。

沿岸漁業の場合

沿岸漁業の平均年収は200万円程度です。しかし、季節や時期により漁獲高は大きく変動があります。自然災害(台風や悪天候)の時などは船を出すことができません。そして、燃油の価格変動も収入に大きく影響します。漁業だけでは非常に不安定な収入のため、水産加工物(干物など)を販売したり、旅館や飲食店を営むなど安定した収入を確保するために兼業している漁師も多いのです。

アルバイトの場合

平均時給700円程のところが多いです。特に忙しい時期(魚の旬など)に募集が多く、数日から数ヶ月働くのが一般的な働き方です。漁業の経験がなくても始められることから、漁師の仕事に興味がある人にとても人気のアルバイトです。実際に体験しながら仕掛けの用意や網を引く作業、魚の選別など貴重な体験をすることができます。

必要な資格はなく、船酔いをせず体力があれば誰でもアルバイトをすることが可能です。これから漁師を目指すのであれば、漁業協同組合の人たちとの人脈も広がり信頼関係も築ける漁師のアルバイトは体験するとよいでしょう。

漁師は大自然を感じられ日本食を支える仕事

自然を相手にしている漁師の仕事は、決められたルールがなく天候や潮の流れなどの海の状態、魚の習性を考え網を仕掛け漁を行います。狙いが的中することがあれば、うまくいかない時もあります。狙い通りに漁が行えた時は、網に大量の魚が活き活きと飛び跳ねている様子を見ることができ、感動を味わえることでしょう。

そして、魚食は島国である日本の食文化なのです。その食文化を支えているのは、大自然の中で命がけで獲って来てくれた漁師のおかげなのです。海外でも寿司は人気高く、世界に誇れる日本食でしょう。

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