ショコラティエになるには?海外でも活躍できるために必要な資格や学校・スキルについて

パティシエと並んで、今女性に人気のある職業の一つがショコラティエです。ショコラティエの仕事はスキルとセンスさえあれば、女性でも世界を舞台に活躍することができる仕事です。今回は自分のセンスで勝負することができるショコラティエの仕事を紹介します。

ショコラティエってどんな仕事

ショコラティエの仕事内容

ショコラティエはチョコレート専門の菓子職人で、チョコレート文化が根付いているベルギーやフランスでは昔からあるポピュラーな職業です。

日本では菓子職人と言えば和菓子職人とパティシエが一般的です。しかしチョコレート人気の高まりやショコラティエを題材としたドラマの放送によって、多くの人に知られる職業になりました。

ショコラティエの仕事はただチョコレートを作るだけではありません。チョコレートの材料となるカカオ豆の選定から行います。カカオ豆は産地によって特徴が異なるため、産地ごとの特徴を把握しなければいけません。またチョコレートは湿度や温度の影響を受けやすい非常にデリケートな食べ物です。そのため日々の天候をみながら一つひとつ作業をする必要があり、繊細さが必要な仕事です。

新しいチョコレートを生み出す過程は、完成形をイメージしながら商品企画を行う。イメージしたショコラを政策するためにカカオ豆など材料を選ぶ。この時に果実やコンフィチュール、リキュールなどショコラの味を引き立てる食材を選ぶ。そして何度も試作を重ねながら新しいチョコレートが誕生します。このように試作を繰り返して新しいチョコレートを生み出すのがショコラティエの仕事です。

給料や待遇

ショコラティエの年収に関する調査結果はありませんが、厚生労働省の「平成28年賃金構造基本統計調査」の「パン・洋生菓子製造工」の賃金データを見ていきましょう。

企業規模が10名以上の「パン・洋生菓子製造工」の平均年齢は38.5歳で、給料に相当する「きまって支給する現金給与額」は約24万2,100円、ボーナスに相当する「年間賞与その他特別給与額」は約31万3,700 円です。同調査から専門学校を卒業して就職したショコラティエの初任給は、20~22万円程度だと推測できます。

待遇に関しては新人の時は早朝出勤や夜間にまで及ぶ残業なども多く、辛くて辞める人も多くいます。ただしショコラティエは自分の腕で勝負ができる仕事のため、将来的に独立して自分のお店を持つことも可能です。そのため世界的なチョコレートの賞を獲得したり、海外の有名店で修行し知名度と実績をあげておくことが重要になってくるでしょう。

有名な日本人ショコラティエ

チョコレートは世界中で愛されている食べ物です。そのため実績と知名度があれば日本国内だけでなく世界中で活動できます。次は国内でも有名なショコラティエを紹介します。

  • 水野直己さん
  • チョコレート細工の世界大会であるワールドチョコレートマスターズにて、2007年にアジア人で初めて総合優勝を果たしたショコラティエです。また同年ベスト・アントルメショコラ、ベスト・チョコレートピエスモンテの両部門賞も受賞しています。
    水野直己さんのお店「洋菓子マウンテン」は京都府福知山市にあります。店内の奥にあるショコラブティックである“セラー・ド・ショコラ”には、世界が称えた美味しいショコラが沢山並んでいます。

  • 服部明さん
  • 2016年パリにて行われたチョコレートの品評会「サロン・デュ・ショコラ」で金賞を受賞。また2017年にジェラートワールドツアー東京で東アジア代表に選ばれたのが、パティスリー・ラ・ベルデュールのオーナーシェフの服部明さんです。「サロン・デュ・ショコラ」の金賞を獲得した抹茶や山椒などの和の素材を使ったノワールジャポネなどは一度は食べてみたいチョコレートです。

  • 斎藤美穂さん
  • 世界中で有名なショコラティエのジャン=ポール・エヴァン氏から、チョコレート菓子の指導を受けた初の日本人女性です。帰国後は三つ星レストラン、五つ星ホテル、有名ショコラティエなど多くの厨房で学んだ後、2004年に有限会社ミホ・シェフ・ショコラティエを設立。日本を代表するショコラティエールです。
    現在はショコラの製造販売だけでなく料理研究家として、商品開発や料理・菓子の著書の出版など幅広く活動しています。

ショコラティエになるための3つのルート

ショコラティエになるには?

  • 製菓を学べる学校に入学する
  • ショコラティエになるために必要な製菓を学べる学校に入学した後、洋菓子店やホテルなどに就職する方法です。製菓衛生士や食品衛生責任者は店舗でお菓子を扱うために必要な基本的な知識や衛生面を守るためのノウハウを身につけていることを証明できます。そのため菓子製造技能士検定などを取得してからし就職活動に臨む人が多くいます。

    製菓専門学校ではこれらの資格試験に必要な知識や技術だけでなく、食品科学や衛生学、洋菓子や和菓子の基本からチョコレート作りまで幅広く学ぶことが可能です。また学校によっては海外での留学や研修制度を設けている学校もあるため、これらの制度を利用して海外の有名店で学ぶこともできます。

  • 弟子入りをして学ぶ
  • ショコラティエに弟子入りして学ぶことで、現場で必要な実践的スキルを学べます。しかし日本ではチョコレートの専門店は少なく、関東や関西の大都市圏を中心に店舗を探すことになるでしょう。そのため国内の場合は、チョコレートを含めた洋菓子全般の製作や販売を手掛けている洋菓子店で修行するのが一般的です。

  • 働きながら夜に学校へ通う
  • 昼間は洋菓子店などで実践的なスキルを学びながら、夜間専門学校に通ってショコラティエになるために必要な製菓に関して学んだり、国家資格である製菓衛生師の資格取得のために勉強をしながらショコラティエを目指すのもいいでしょう。

ショコラティエを目指せる東京・大阪の専門学校

    専門学校ビジョナリーアーツ

    TVや雑誌で話題のスイーツショップを渋谷と中目黒で運営しています。そのため実際の店舗で商品の仕込み、接客、販売などの授業を通してより実践的なスキルを身につけることができるのが特徴です。

  • ベルエポック製菓調理専門学校
  • パティシエ実践科製菓・製パン・ショコラコースでは、実習メインの授業で製菓・製パン・ショコラの制作スキルを徹底的に学べます。また在学中の2年間の内、3回の現場研修で、より実践的なスキルを習得できるのが特徴です。

  • レコールバンタン
  • 全授業の約80%以上が実習のためパティシエのスキルはもちろん、フード業界に関わる基本スキルを幅広く学べます。またパティスリー企業とのコラボレーション型の商品開発や、ショップ運営授業を行うことによって在学中からプロとして通用するためのセンスを磨くこともできます。

ショコラティエになるために持っておきたい資格

  • 製菓衛生師
  • 国家資格である製菓衛生師は菓子作りの技術や知識だけでなく、公衆衛生学や衛生学、食品添加物など食の安全に関わる知識を有していることを証明できる資格です。この資格は飲食店を経営する時に必要な食品衛生責任者と同等資格のため、勤務先の店舗で店長になる場合や独立開業を目指している人は取得しておきたい資格といえます。

  • 菓子製造技能士検定
  • 国が認定する技能検定制度の一種で、取得することで一定レベル以上の菓子作りの技術と知識があることを証明できます。ショコラティエに必須の資格ではありませんが、高い技術力があることが証明でき就職活動の時に有利に働くので取得しておきたい資格です。2級の資格は
    ・2年以上の実務経験者
    ・専門高校、短大、高専、高校専攻科卒業者
    ・厚生労働大臣指定の専修学校、各種学校卒業者で800時間以上の修了者
    これらの受験資格を満たしていれば受験できるため、在学中に目指すといいでしょう。

ショコラティエの求人状況・就職先

チョコレートの人気の高まりにより国内でもショコラティエの名前を掲げる海外からのショコラ専門店が増えると同時に、日本のショコラティエ、パティシエがショコラ専門店をオープンしたりと活躍の場が広がっています。
また製菓担当を置くホテルのレストラン、洋菓子店でもショコラを作っているためこれらの場所も就職先です。製菓メーカーで商品企画などでも活躍もできます。ただし求人に関しては人手が足りなくなったときに若干名募集をする程度のため、通年して採用があるとは限りません。

ショコラティエとして就職ができない場合は、洋菓子店などに就職し、チョコレート菓子に携わることで経験を積みながら、チョコレート専門店への転職や独立を目指す人も多くいます。

ショコラティエに向いている人

お菓子作りが好き

ショコラティエの仕事は新人の時はもちろんのこと、一人前になってからも常にチョコレートのことを考え続ける必要あります。仕事もプライベートもチョコレート一色になってしまう人も多いため、まずはお菓子作りやチョコレートを作ることが好きでなければ続けることが難しいでしょう。

美的センスが高い人

チョコレート専門店で販売されているチョコレートは高級品です。そのため食品にもかかわらず芸術品と言えるほどの美しさを求められます。ショコラティエはチョコレートだけでなく、パッケージなどのラッピングに至るまで美しさを追求できる美的センスが要求されます。

几帳面で細かい作業が得意

チョコレートはちょっとして温度の変化でも風味が変わるデリケートな商品です。高品質なチョコレートを作り続けるために、温度や湿度などの細い微調整が必要です。そのため几帳面で細かい作業が得意な人の方が向いています。

自分から学ぶ姿勢がある

ショコラティエは職人の世界です。手取り足取り丁寧に教えてもらえない可能性が高いため、自ら先輩の技を盗んで、実力を積み上げて行く必要があります。

経営センス

ショコラティエを目指す人の多くは将来的に独立を考えている人も多いです。そのため長くショコラティエの仕事を続けていくなら、経営者としてのセンスを磨いておく必要があります。

ショコラティエの仕事の魅力と大変なこと

ショコラティエの仕事の魅力

  • 自分のアイディアを形にできる
  • ショコラティエの仕事は非常にクリエイティブな仕事です。自分の頭にあるイメージやアイディアを凝縮した自分のオリジナルのチョコレートを生み出した時に、やりがいを感じるでしょう。

  • 実力があれば世界で活躍できる
  • チョコレートは世界中で愛されている食品です。そのためヨーロッパなどのチョコレートの有名な大会で受賞できれば、自分の腕次第で世界を舞台に活躍することも夢ではありません。

  • 多くの人に幸せな時間を届けることができる
  • チョコレートを食べる時に、幸せを感じる人も多いのではないでしょうか。そのため自分のご褒美として購入する人も多いです。ショコラティエとして自分が作ったチョコレートを食べて、幸せを感じてくれるいることはショコラティエの仕事の醍醐味です。

ショコラティエの仕事の大変なこと

  • 下積み期間が長い
  • ショコラティエとして一人前になるためには長い下積み期間が必要だと言われています。下積みの期間は雑用のような仕事しかできないことも多く、この時点で諦めてしまう人も多いでしょう。

  • 腰痛や手荒れなどの職業病に悩まされる
  • チョコレートを作る作業は想像以上に肉体労働です。一日中立ちっぱなしで、大きな鉄板や道具を使い、重い材料を運んだりすることも多々あり、腰を痛めしまうこともあります。また一日の内に何度も手を洗うためて手荒れに悩んでいる人も多いです。

ショコラティエの将来性

ショコラティエ

日本にはチョコレート専門店は関東や関西の大都市に限られ、チョコレート文化が根付いているヨーロッパに比べるとまだまだ発展途上です。

しかし近年ではチョコレート版ミシュランとも呼ばれる「クラブ・デ・クロクール・ド・ショコラ(Club des Croqueurs de Chocolat。略してC.C.C)」の審査で、フランス在住以外の日本人として初エントリー、最高位を獲得したSコヤマの小山 進氏。
日本に出店せず、パリでショコラトリーをオープンしているサダハル・アオキの青木 定冶氏など日本国内に限らず、世界を舞台に活躍しているショコラティエが次々誕生しています。このように日本人でも海外で活躍することが可能です。

自分のセンスで勝負する!ショコラティエの仕事を目指しませんか?

ショコラティエの仕事は自分のアイディアを一粒のチョコレートで表現する非常にクリエイティブな仕事です。自ら学ぶ意思があり、ツライ下積みの時代で将来必ずショコラティエとして一人前になるんだ!という強い思いがあれば活躍することが可能な世界です。もしお菓子作りが好きで、自分のセンスで勝負をしたいと思うなら、ショコラティエを目指しでみてはいかがでしょうか?

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