時短勤務はいつまで適用されて給与やボーナス・残業はどうなる?忙しい職場なら転職を考えるのも手!

共働きが浸透してきた今、家庭と仕事の両立に悩んでいませんか?両立するうえで「時短勤務」という言葉をよく聞くものの、実はよく分からないという方が多いと思います。今回は「時短勤務って何?注意点はあるの?」などの疑問について考えていきます。時短勤務の知識を、今後に活かして頂ければと思います。

時短勤務とは

時短勤務は、正式には「育児短時間勤務」と言います。「3歳に満たない子を養育する労働者」が利用できる制度です。子どもを持つ保護者の負担を軽減し、仕事を続けることができるよう導入されています。

時短勤務には、法律があるのか。細かい規則があるかについてお話していきます。「実はこんな内容だなんて知らなかった。」と後から後悔しないように、しっかりと理解しておきましょう。

時短勤務は法律がある(育児・介護休業法)

時短勤務は、「育児・介護休業法」で定められています。育児・介護休業法に書かれているポイントについてお話していきます。

  • 3歳未満の子どもを育てる男女共に利用可能
  • 産前産後休業は女性しか取得ができませんが、時短勤務は男女共に基準を満たしている場合に取得可能です。

  • 1日の労働時間が、1日6時間
  • 会社は原則6時間(所定労働時間を5時間45分~6時間)の短時間勤務制度を作らなければなりません。厳密に6時間と定めていない理由として、所定外労働時間が6時間、実質労働時間は5時間45分という人を考慮しての対応です。

時短勤務を取得するための条件

「3歳未満の子どもがいれば、誰でも取得できるの?」というと、そういう訳ではありません。時短勤務を取得するには一定の条件があります。時短勤務を取得できる条件を満たしているか、チェックしてみてください。

  • 1日6時間・週3日以上勤務している
  • 1日6時間・週3日以上勤務している男女が取得可能です。この場合、配偶者が主婦(主夫)の場合も取得可能となっています。

  • 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
  • 時短勤務を適用しようとするタイミングで、既に育児休業を取得している場合は対象外です。併用しての取得はできません。

  • 日雇従業員でない
  • 時短勤務を取得するには、日雇従業員ではないという条件があります。パートタイムで勤務している方は、契約期間に定めがある場合は取得可能です。1日6時間以下の勤務の方は、対象になりませんので注意してください。

時短勤務が適用される期間・時間

時短勤務という言葉はよく聞くものの、細かい内容まで把握していない人が多いのではないでしょうか?ここでは、時短勤務に関する素朴な疑問についてお話していきます。

時短勤務はいつからいつまで使える?

育児・介護休業法では、「子が3歳に達するまで」と期間が規定されています。つまり、「子どもが3歳の誕生日を迎える前日まで」、時短勤務を利用することができます。

時短勤務が難しい環境での措置はあるの?

時短勤務の取得が難しい人に対し、時短勤務に代わる措置を取るよう定められています。

  • 育児休業に関する制度に準ずる措置
  • フレックスタイム制度
  • 始業・終業時刻の繰上げ、繰下げ
  • 事業所内保育施設の設置運営その他
  • 保育園や幼稚園に子どもを送ってから出社する、通勤ラッシュの時間を避けることで負担を軽減するなどの対応があることも。「時短勤務は無理かも。」と抱え込む前に、相談することで道が開けるかもしれません。

時短勤務だと残業はどうなるの?しなければならないの?

育児・介護休業法の中には、残業禁止という規定はありません。残業する・させることは可能です。しかし、法律の内容から見ると残業を推奨するのは望ましくないと言えます。

「そうは言っても、子どものことを考えると残業は避けたい。何とかできないの?」という時は、「所定外労働の制限」の措置を請求することを勧めます。

  • 所定外労働の制限とは
  • 所定外労働の制限は、会社側が残業をさせない措置です。育児・介護休業法(第16条の第8項)に定められています。
    会社は、3歳未満の子どもを養育している労働者が請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはできません。

    1回の請求につき「1ヶ月以上1年以内の期間」利用が可能です。何度も請求は可能ですが、申出書を会社に提出することが必要ということに注意してくださいね。

時短勤務は子どもが小学生に上がるまで期間は延長できる?

育児・介護休業法では、3歳以降の子どもをもつ労働者の措置は「努力義務」としています。(育児・介護休業法第24条第1項)
3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者への必要な措置として

  • 育児休業に関する制度
  • 所定外労働の制限に関する制度
  • 短時間勤務制度
  • 始業時刻変更等の措置(フレックスタイムや時差出勤など)
  • が努力義務として上げられています。あくまで「努力義務」なので、必ず対応を受けられるわけではないことを忘れないでください。

    会社によっては子どもが3歳を越えると、時短勤務ができないとの声もあります。3歳以降の対応は、会社により異なります。会社の短時間勤務の期間や内容などについて、確認するようにしましょう。

時短勤務の給与・賞与

時短勤務をすることで、育児と仕事のバランスが取りやすいのは嬉しいですよね。しかし、「給与や賞与が減ってしまうのかな。」とお金のことが気になってしまうもの。時短勤務を取得することで、給与や賞与にどのような影響があるのかについてお話していきます。

給与はどうなるの?年金も減る?

育児・介護休業法には「短縮された賃金まで保障するように。」という定めがありません。働いていない時間の給与を会社は支払う必要がないのです。よって、時短勤務を取得して労働時間が短くなった分、給与も下がることが多いです。

  • 給与が下がった分、社会保険料が下がることも
  • 「時短勤務で給与が減るのは辛い。」と給与だけに目がいきがちです。しかし所得が減った分、社会保険料が下がり、家庭への負担を減らすことができるのです。
    社会保険料とは、「社会保険料=厚生年金保険料+健康保険料+介護保険料(40~64歳のみ)」のことを言います。

    3歳未満の子どもを持つ方が、育児休業を終えたタイミングで申請可能の制度です。申請することで、「育児休業終了日の翌日が属する月以後3ヶ月間に受けた報酬の平均額に基づき、4ヶ月目の標準報酬月額から改定することができる。」のです。(日本年金機構:育児休業等終了時報酬月額変更届の提出より)

    つまり時短勤務で給与が減った分、社会保険料の等級が下がり、毎月支払う保険料が減ります。措置を受けるには、会社を介して「育児休業等終了時報酬月額変更届」の提出が必要なので注意しましょう。

  • 社会保険料の支払いが減ると、貰える年金が減っちゃうの?
  • 社会保険料の支払いが減っても、「貰える年金は減りません」。時短勤務を始める前月の標準報酬月額をもとに計算された、年金を受け取ることができる措置があるのです。措置を受けるには、会社を介して「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書」の提出が必要です。

時短勤務でも賞与は貰える?減給される?

育児・介護休業法第10条に「賞与については、その算定対象期間に育児・介護休業をした期間が含まれる場合には、出勤日数により日割りで計算した額を支給する。」との記載があります。

つまり、賞与は時短勤務で労働時間が短くなった分、最大短縮された時間の分だけ減給されて支給されることがあるということです。労働時間で短縮した分の時間が越えた場合は、不利益な取り扱いとして訴えることが可能です。賞与が支給された場合は、大幅に減給されていないかチェックするようにしましょう。

時短勤務を取得する時に注意すべきこと

「時短勤務を取得して、職場復帰しよう。」そう思ったあなたに注意して欲しいことがあります。職場で気持ちよく勤務するために、気をつけて欲しいことをまとめました。職場復帰する上の、参考にして頂ければと思います。

働きやすい環境を作るためにも職場への挨拶は忘れずに

育児休業で長い人は、1年以上職場を離れている人もいると思います。挨拶をすることで、働きやすい雰囲気を作りましょう。挨拶をする時は、2つのポイントを抑えましょう。

  • 感謝の気持ちを伝える
  • 長い期間職場から離れています。あなたが職場を離れた時に、仕事を引き継いでくれた方やフォローしてくれた方がいるはずです。個々にお礼を伝えるのがベストですが、まずは会社や部署の方に感謝の気持ちを伝えましょう。その時、前向きに頑張っていく姿勢を伝えると、相手によい印象を持ってもらうことができます。

  • 時短勤務で迷惑を掛けることがあることを伝える
  • 子どもの保育園の送り迎えや、急な体調不良で早退する可能性もあります。職場復帰をしても、以前のように勤務するのは難しいものです。事前に、起こりうることを伝えることでお互いが気持ちよく勤務できる雰囲気を作りましょう。

仕事の分担をお願いする

時短勤務の中、以前と同じ量の仕事をこなすのは厳しいものです。自分で仕事を溜め込まないようにしましょう。

  • 自分のできる仕事の範囲を理解する
  • 余裕を持ったスケジュールを立てる
  • 周囲への感謝の気持ちを忘れない
  • ことを意識しましょう。「時短勤務をしているし、周囲に迷惑を掛けたくない。」という気持ちは分かります。しかし、あなたの仕事の遅れが周囲に迷惑を掛けることもあるのです。自分のことだけでなく、職場の目線に立って行動をするようにしましょう。

時短勤務を取得して、もしうつやいじめをうけたら

「時短勤務で頑張ろう。」と思ったけれど、身体が動かない。頑張ろうとする気持ちは大切ですが、体調に目を向けることを忘れないようにしてくださいね。

マタハラ

マタハラとは、「マタニティハラスメント」の略称です。マタハラとは、「妊娠や出産、育児を理由として職場で上司や同僚から不当な扱いや嫌がらせを受けること」を指します。
「あなたが嫌だね、辛いな。」と思った時点で、それはマタハラです。もしそのような状況に陥った場合は、1人で抱え込まないようにしましょう。家族や相談できる外部機関などに相談してください。

うつ病

「仕事や育児も頑張る!」一生懸命何事もこなそうとする人程リスクが高いのが、うつ病です。仕事も育児も頑張ることは素晴らしいことです。しかし、全てを完璧にこなそうと思うとどんどん辛くなってしまいます。自分の頑張りを認め、周囲の人に頼る気持ちを持ちましょう。周りはあなたが思っている以上に、あなたをサポートしてくれますよ。

「それでも、辛い。」という方は無理をせず、医療機関を利用しましょう。自分を追い込まないことが、仕事と育児の両立に繋がりますよ。

時短勤務を取得したメリット

時短勤務を取り入れることで、以前よりも活躍されている方もいらっしゃいます。男女ともに取得できる時短勤務。時短勤務を取り入れた方のメリットを紹介します。

女性が時短勤務を取得して変化したこと

  • 勤務時間が短い分、集中して仕事に取り掛かれるようになった。
  • 家族と長い時間過ごすことができる。
  • 時間と気持ちに余裕が持てる。
  • 職場の人への感謝の気持ちが大きくなった。
  • 時短勤務を取得することで、家庭や職場の人を大切にする気持ちが大きくなったとの意見が多く見られました。時短勤務を上手く活用することで、家庭と仕事の両立を図りましょう。

男性で取得した人も!

男性で時短勤務を取得した方が年々増えています。
時短勤務を取得することで

  • 子どもの面倒を見ながら、家事をこなすことの大変さを感じた。
  • 家事の分担を心掛けるようになった。
  • 子どもとのコミュニケーションを取る時間が増えた
  • などの声が見られます。国は「イクメンプロジェクト」の推進など、子育て環境を変えていこうとしています。時短勤務の制度を夫婦で取得することで、負担や不安が軽減すると言えそうです。1人で抱え込まず、パートナーに相談してみるのもいいかもしれません。

時短勤務が厳しい職場なら思い切って転職を考えるのも手!

時短勤務を考える、実際取得すると「この職場では厳しいかも。」という方もいるのではないでしょうか?育児休業を終えて、転職を考えている人におすすめの職種を紹介します。

エンジニア

子育てをしている方におすすめなのが「在宅エンジニア」です。おすすめの理由が2つあります。

  • 子どもの体調の変化にすぐ対応できる
  • 時短勤務で会社で行く場合に避けられないのが、突然の子どもの体調不良です。会社で働いていると、急な出来事で早退するのは心苦しいものですよね。在宅で仕事をしていれば、子どもの緊急時にすぐ対応できます。周囲への気疲れがないのがメリットですね。

  • 単価が高く、仕事の量を調節できる
  • 会社で仕事をしていると、任せられる仕事は中々断れないものです。在宅の場合は、家事や育児の忙しさに応じて調節が可能です。エンジニアは単価が高いものが多いです。すき間時間を利用して収入を得ることができます。

英語を活かす

英語が得意という方は、英語を活かすことがおすすめです。英文事務や翻訳など、英語を活かすことができる仕事が数多くあります。日常的に英語を使うことで、英語のスキルを向上に繋がるかもしれません。

英語に限らず、好きなことや得意なことを伸ばす転職を視野に入れるといいかもしれません。子どもが成長すると同時に、あなたの知識やスキルを伸ばすことができますよ。

周囲の協力を得て時短勤務を取得しよう

時短勤務は育児と仕事を両立するうえで強い味方です。職場の人とコミュニケーションを図ることができるのでリフレッシュになるかもしれません。しかし、辛い時は周囲に助けを求めてくださいね。育児と仕事は1人で頑張るものではなく、周囲の人と助け合うものです。あなたのできるペースで取り組んでください。

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