パタンナーという言葉を聞いたことがありますか?パタンナーはデザイナーが描いたデザイン画を元に型紙を作る人のことです。華やかなアパレル業界の中ではどちらかというと職人的で地味な仕事です。しかしパタンナーがいないと洋服を作ることができません。そこで今回はアパレル業界を影で支えるパタンナーの仕事について紹介します。
パタンナーの仕事内容とは
デザイナーと二人三脚でデザインを形にする
パタンナーはデザイナーがデザインしたものを形にし、商品化するのをサポートする仕事です。デザイナーとコミュニケーションを取り、意図を汲み取りながら具体的な形にします。そのため洋服を製作する時に必要な専門知識だけでなく、素材の特徴など幅広い知識が必要です。
デザイン画から型紙やサンプルを作成する
パタンナーはデザイナーが描いたデザイン画をもとに洋服を製作するだけでなく、作成した型紙から商品の最初のサンプルも製作します。
量産用の型紙を作る
量産するための型紙を作成するのもパタンナーの仕事です。サンプルの段階ではワンサイズだったものを、量産するために標準サイズから各種サイズ用の型紙を作成します。この作業をグレーディングといい、最近はアパレル用のCADを使って行われます。
パタンナーの働き方と年収
パタンナーの就職先や働き方
- 企業に務める
- 業務委託で仕事をする
- フリーランスで働く
- 派遣で働く
パタンナーの主な勤務先はアパレルメーカーです。大企業のアパレルメーカーの場合は取り扱い商品がレディースからメンズ、子供服と幅広く、かつ洋服の種類もフォーマルからカジュアル、スポーツウェアまでさまざまです。そのため大手企業の場合はパタンナーだけでも数十名ほど所属しています。
一方、中小メーカーや個人経営の場合は数人から、場合によっては1人で対応することも。最近ではアパレルメーカーの生産拠点が中国や東南アジアの工場で行われていることも多いため、勤務先が海外の工場ということもあります。
アパレルメーカーの中には業務委託契約でパタンナーを募集する企業もあります。業務委託で働く場合は契約先の企業に出社し、自分の業務に集中して働き、スキルや経験を高めたいと思う人に向いている働き方です。
ただし業務委託の場合は企業側は即戦力を求めているため、未経験者が採用されることはほとんどありません。
アパレルメーカーなどで勤務し、経験を積んだ後にフリーランスで働く人も多いです。フリーランスの中には結婚や出産を機に、自宅でパターンの製作を引き受けている主婦パタンナーも多くいます。自分のスキル次第では複数のアパレルメーカーと契約し、色々な案件の仕事をすることができるためスキルアップにつながることも。
勤務時間の縛りがないため、クライアントとのコミュニケーションをしっかりとり、納期さえ守れば自分のスケジュールにの合わせて仕事をすることができます。
最近はアパレル専門の派遣会社も増えているため、派遣会社に登録して仕事をすることも可能です。パタンナーは実力勝負の世界なので、腕次第では高条件で働くこともできます。派遣の場合は契約期間が数ヶ月から1年以上の長期の仕事もあるため、自分のキャリアプランに合わせて契約期間を決めるといいでしょう。
年収や待遇は?
- パタンナーの年収
- 勤務時間や待遇は
- 結婚や出産後も続けられる?
企業に勤務しているパタンナーの場合、年収は300万円前後です。経験を積み昇給していくと年収が400万円、500万円と上がっています。企業の規模が大きくなるほど年収は高高いです。
派遣社員の場合、時給の相場が1,200円~1,500程度です。スキルが高い人であればもっと高い時給で働いている人もいます。業務委託の場合は案件の内容ごとに報酬を受け取ります。通常フルタイムで勤務した場合、年収300万円くらいからスタートすることが多いです。フリーランス場合も同じように案件ごとに報酬を受け取ります。一件あたりの単価は数千円、高いもので10万円前後なので人によって年収に大きく差がでます。
会社員や業務委託の場合は一般的な会社員と同じで平日8時間勤務です。待遇に関しても会社員の場合は他の社員と同じように交通費支給や社会保険が
完備されています。
産休や育休などの制度を使えば仕事を続けることは可能です。またご主人の転勤などで会社に務めることが難しい場合でも、在宅で仕事をすることもできます。自分のライフプラン合わせて働き方を変えていくことで、パタンナーとして長く働き続けることができます。
パタンナーになるには
パタンナーの需要は?
パタンナーは専門的スキルと知識が必要な仕事のため、誰でもできる仕事ではありません。パタンナーの仕事は洋服の
製作現場に欠かせない仕事です。特に腕のいいパタンナーは引く手あまたです。
また景気に左右されることなく一定数のパタンナーは必ず必要とされるため、今後も安定して仕事があるでしょう。ただし大手アパレルメーカーは都市圏に集中しているため、地方よりも東京など都市圏の方が仕事が多いでしょう。
パタンナーになるための学校・ルート
現役でが活躍しているパタンナーはファッション系の専門学校を卒業し、アパレルメーカーに就職するルートの人が多いです。中にはアパレルメーカーに勤務し、異動の結果パタンナーになる人もいます。
ただし最短でパタンナーになりたいのならファッション系の専門学校のパターン製作に関する学科・コースに進学するのが一番いいでしょう。専門学校の場合は大学の服飾学科に比べ、約2年の在学中に、とにかく実践的な経験を重視したカリキュラムで学ぶことができます。パタンナーの仕事は職人的な仕事でもあるため、企業の採用担当者も専門学校でしっかり勉強してきた人を好む傾向があります。
未経験からパタンナーへ転職は?独学でパタンナーになれる?
パタンナーの仕事は職人的な仕事です。もし未経験からパタンナーの仕事へ転職したいと考えるなら、社会人を対象にした服飾系、ファッション系の専門学校が開講している講座で勉強してから転職活動に臨むのが懸命でしょう。スキルさえあれば仕事はできるため、独学でもスキルを身につけれていればパタンナーになることができます。
独学の場合は自分のスキルを学歴や職歴から証明することができないため、パターンメーキング技術検定やCAD利用技術者検定などの資格を取得しておくと転職の時に有利になるでしょう。
パタンナーになるために取得しておきたい資格
- パターンメーキング技術検定
- CAD利用技術者検定
パターンメーキング技術検定はパタンナーの技術レベルを証明する資格です。パタンナーになるために資格は必要ありませんが、自分のスキルを客観的に証明するために取得しておくといいでしょう。
3級ではファッション業界におけるクリエイターを目指すなら職種を問わず必要とされる内容が問われます。試験範囲はアパレル企業に関する知識やパターンメイキング用語、基本寸法などです。合わせて実務試験では与えられた課題に基づいて実際にパターンを作成します。
2級では企業に勤めるパタンナーとして必要なパターンメーキング、グレーディング、マーキングさらにアパレルCADや縫製仕様書などの書類関係、素材とパターン、サンプルチェックまでの業務に関する内容が試験範囲です。実技試験では出題テーマに基づいてジャケットのパターンを作成します。
筆記試験は6月、実技試験は9月に実施され、2級の実技試験の実施都市は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡7都市です。
職場によってはCADが使用できないと仕事ができないところもあるため、これからパタンナーとして仕事を続けたいならCADのスキルは必須です。実際に最近のパタンナーの求人にはCAD経験必須、CADできる方などとCADの実務経験を求めているケースが多いです。そのCADのスキルを客観的に証明できる資格がCAD利用技術者検定です。
CAD利用技術CADシステムを利用して設計図などを作製するための技術と知識を審査する試験で、筆記試験で受験することができます。CAD利用者技術試験は「基礎」「2D(2級・1級)」「3D(2級・準1級・1級)」の3種類に分かれていて、パタンナーを目指す場合には基礎・2Dの資格を取得しておくといいでしょう。
パタンナーに求められるスキル
パターンについての幅広い知識と技術
パターンについての幅広い知識と技術は必須です。また企業に勤務するパタンナーに関しては、量産用のパターンや指示書を作成することもあるため、工場で使用される工業パターンの知識まで必要です。
ミリ単位まで把握する緻密さや正確さ
パターンのわずかな誤差やズレで完成品に大きな影響を与えてしまいます。パタンナーはデザイナーが思った通りの完成品を仕上げるために、ミリ単位で修正をしなければいけません。そのためミリ単位まで把握する緻密さや正確さがなければ仕事は務まらないでしょう。
CADのスキル
パターンの作成のほとんどがCADで行われているため、CADのスキルがないと仕事ができないことも。また今後ますますIT化が進んでいくことが考えられるので、CADが使える人の方
が好条件で転職することができるでしょう。
イメージを共有するためのコミュニケーション能力
パタンナーはデザイナーが描いたデザイン画を型紙に起こす時なイメージの服なのかを正確に伝える必要があります。このようにパタンナーはイメージを共有するためのコミュニケーション能力が求められます。
パタンナーの仕事の魅力や大変なこと
パタンナーの仕事の魅力
- 大好きなファッションの仕事に関われる
- 専門知識を活かして長く働くことができる
- デザインができるところから店頭に並ぶまで関わることができる
- チームで仕事をする達成感を味わうことができる
パタンナーの仕事は大好きなファッション業界で最前線として働くことができる仕事です。流行は自然に生まれるものではなく、ブランドからの提案によって生まれます。デザイナーと共に製作現場で働くパタンナーは、流行づくりにも関わることができる魅力的な仕事だといえます。
経験や知識の豊富なパタンナーは慢性的に不足していると言われているため、スキルと経験さえ身につけていけば長く働くことができます。また一般的に事務職に比べると、会社員から在宅まで働き方が豊富です。そのため自分のライフプランに合わせながらキャリアを積み上げることができます。
パタンナーの多くはデザイナーが描いたデザイン画を商品として店頭並ぶまでの一連の業務に携わります。自分が作成したパターンをもとに洋服が作られ、商品として店頭に並んだところを見ることはパタンナーの仕事の醍醐味だと言えるでしょう。
パタンナーはデザイナーとチームを組み、何もないところから一つの商品を作り上げます。そのため商品が完成した時の達成感が忘れられずに仕事を続けている人も多いです。
パタンナーの仕事の大変なこと
- 納期のプレッシャーが常にある
- デザイナーの意図が理解できない時
- サンプルの出来が思った通りでなかった時
アパレルメーカーは洋服を企画・生産する時、事前に計画された生産スケジュールにあ合わせて、各担当者が作業を進めています。もしパタンナーの作業が遅れてしまうと、そのあとの作業を行う人たちに大きな影響を与えます。そのため常に納期のプレッシャーを抱えている人も多いです。
デザイナーのOKが出ないと次の作業に進むことができません。時にはデザイナーが意図していることが理解できずに、何度も修正を繰り返さなければいけないことも。この過程のなかでデザイナーの意図が理解できずに悩んでしまうしまうこともあります。
サンプル製作もパタンナーの仕事です。デザイナーとサンプルを製作する人の間に立ち、デザイナーの思い通りにサンプルを仕上げる必要があります。もし思った通りに出来上がらない時は、納期が迫っている時でも一からやり直さなければいけません。このような事態でも納期に遅れるわけにはいかないため、休日を返上して対応することもあるでしょう。
自分のペースで働くことができるパタンナーの仕事にチャレンジしてみませんか?
パタンナーの仕事はファッション業界の中でも職人的な職種です。そのためスキルや経験を積み上げて実力をつけることで長く働くことができます。ファッションが好きで、自分の腕で食べていきたいと思うのならパタンナーの仕事を目指してみませんか?