予備校講師の年収はどのくらい?仕事内容とやりがい・苦労など徹底解説!

テレビをつけると大手の予備校のCMが流れたり、情報番組に人気予備校講師が出演したりしています。実際に予備校に通ったことがある人ではないと、予備校講師がどんな仕事をしているのかは分からないのではないでしょうか。今回は予備校講師について、やりがいや苦労などを交えて解説していきます。

予備校講師の仕事

予備校講師の仕事内容

予備校講師の仕事は、予備校で専門科目の授業を行うことです。学校教師のように生徒に生活指導を行うことなどはなく、予備校に通ってくる生徒に分かりやすく授業をすることが大切な仕事です。授業のスタイルは予備校によって異なります。大勢の前で授業を行うところと、一対一で行うところと、その種類はさまざまです。人気のある講師は担当する授業数も多いのですが、そうではない場合はコマ数を多くもらえないため、何校か予備校の講師を兼任している場合もあります。

予備校講師の給料・平均年収について

厚生労働省の「平成28年度賃金構造基本統計調査」によると、予備校講師の平均年収は約379万円でした。予備校講師の平均年齢は35.6歳で平均月収は約28万円、勤続年収は7年でした。この統計は個人教師や塾で働く人の給料も含めたものになっているので、予備校講師のみの平均ではありません。平均年収は一般のサラリーマンが420万円程なので、少し低いといえます。

新卒で正社員として働く場合は、初任給が平均18万円~20万円程で、大手の予備校の場合は福利厚生が整っていてよい条件で働くことができます。また、予備校によりますが勤続年数に応じて昇給が見込めるところもあります。予備校講師の給料は、能力に応じて基本報酬を定められ、その基本報酬に担当するコマ数をかけた金額が給料となります。

ですから、人気がある講師は基本報酬が高くなっていきます。人気予備校講師はコマ数も多くなるので、その分給料がよくなります。人気予備校講師の中には、いくつかの大手予備校でかけもちで働いていて1,000万円を超える年収の人もいます。

予備校講師の勤務時間はどのくらい?

予備校によって授業時間が異なりますが、一般的に9時から18時くらいの授業時間が多く、その中に自分の専門科目の授業をするので授業の時間帯によって勤務時間が変わってきます。中には、高校生が通いやすいように夕方から夜にかけて授業を行う予備校もあります。予備校は授業の後に生徒からの質問を受けることもあるので、時間通りに帰れることが少ないです。

複数の予備校で働いている場合は、時間のやりくりをしないと上手くいきません。授業だけでなく、授業の準備時間も確保しなければならないからです。常勤で予備校と雇用契約を結んでいる場合は、予備校の開校時間と閉校時間に合わせて勤務することが一般的です。常勤の予備校講師は授業だけでなく、受験対策の問題集を作成したり、生徒からの質問に個別に対応するなどの仕事もあります。

予備校講師になるには

予備校講師になるためには学歴はが必要?

採用の要件に学歴が含まれているのは、大手の予備校や難関大学専門の予備校の場合です。具体的な学齢を募集要項に掲げている場合もあります。難関大学を目指す生徒や保護者は講師にも学歴を求める傾向があります。講師の受験勉強の経験を活かしたアドバイスや豊富な知識で授業ができる人を求めるのは、難関大学を目指す生徒が通う予備校に多いでしょう。

一方、中小の予備校ではそれほど学歴にこだわらないところが多いので、国立大や私立の難関校卒業ではない人も採用される可能性が高いです。大手の予備校を目指す場合、中小の予備校で実績を積んでスキルアップしてから大手予備校にチャレンジする方法があります。

予備校講師に向いている人

  • 熱意を持って取り組める人
  • 予備校に来る生徒は、希望校に合格するために学力を上げる目的があって通ってきます。そのため、授業には真剣に参加しできるだけ多くの知識を得ようとしています。一生懸命教えてくれる講師は人気が出て、その講師の授業を受けたいと生徒が集まってきます。生徒のやる気に真摯に向き合い、熱意を持ち授業に取り組める人は予備校講師に向いていると言えます。

  • 継続的に勉強する意欲がある人
  • 予備校講師にはいかに生徒に分かりやすい授業が行えるか、生徒の学力を上げられるかを求められます。そのためには、常に自分自身の学力を維持していくことが必要です。そして学習指導要領の改定、大学受験の出題傾向の変化にもアンテナを張って対応していかなければなりません。大学入試では学生の思考力や発想力を求める問題が増えてきていて、それに合わせて生徒に指導が必要です。自身が努力をして継続的に学ぶことができる人は予備校講師に向いています。

  • 人前で堂々と話すことができる
  • 予備校講師は大人数の生徒の前で授業を行います。分かりやすく聞き取りやすい話し方で授業を行うことは、予備校講師に必要なことです。人の前で話すことが苦手ではなく、人に教えることが好きな人こそ予備校講師に向いている人と言えます。予備校講師の採用試験の際にも、模擬授業で堂々と話せるか大きな声が出るかという点を採用の基準にするところが多いようです。大学生のうちに塾講師や家庭教師のアルバイトをして、人に教える経験を積んでおくといいでしょう。

予備校講師の就職について求人はあるのか

予備校講師は正社員の募集は少なく、非常勤として年間契約ではたらく人が多いのですが、非常勤で働いている人はいくつかの予備校を兼任することが一般的です。予備校講師の募集を探すには、求人募集サイトや各予備校のホームページを見るのがいいでしょう。求人情報サイトの中には塾講師や予備校講師の求人専門サイトもあります。

大手予備校や難関大学向けの予備校では、講師の学歴を絞って募集しているところがあるので注意して見ましょう。採用されるまでは、書類審査を経て、筆記試験、模擬授業を行なって審査が通れば最後に面接を行なって採用が決まります。筆記試験と模擬試験は特に重要視されています。

予備校講師のやりがい・苦労

予備校講師のやりがいとは

  • 生徒の反応が良い時
  • 予備校講師は生徒に授業を行なって、生徒の学力を上げるためにいかに分かりやすく実力がつくような内容の授業をするかが重要です。念入りに準備をした授業が生徒に分かりやすいと言ってもらえたり、授業中の生徒の反応が良いと達成感を覚えることになり、やりがいに繋がります。

  • 生徒が目標を達成したとき
  • 予備校に通う生徒は志望校に合格するため、学力をつけたいために必死に努力しています。保護者も本人も予備校に通うことで目標を達成することを期待しています。そのため、予備校講師は責任が重く、生徒の将来に関わる仕事といえます。生徒の夢を叶えるために予備校講師は質の良い授業を行うため、日々努力が必要です。生徒の成績が上がったり、希望校に合格できたときに予備校講師として喜びを感じることでしょう。

  • 努力が報われる時
  • 予備校講師はある意味、人気商売と言えます。授業が分かりやすい、熱心に教えてくれるなど生徒からの人気が出ればコマ数が増え、それに伴い収入もアップします。他の講師との差を出すためには、授業をどのように進めていくか下準備を充分に行い個性を出すことが重要です。自分らしい授業ができるのは予備校講師としての楽しさでもあり、やりがいにも繋がります。

予備校講師の苦労とは

  • シビアな実力主義
  • 予備校講師の雇用形態は一般的に1年契約です。生徒の成績が上がらない、希望大学に多く合格させることができなかった場合、契約を更新してもらえないこともあるシビアな世界です。熱心に授業を行なっても、結果を出さなければ認めてもらえないため、常に努力が必要なのです。

  • 予備校の業界が厳しい
  • 近年、予備校全体が経営が厳しくなってきているのが現状です。少子化の影響で大学さえも閉校になっているほど生徒が少なくなってきていて、予備校に通う生徒も減ってきています。予備校講師もその影響を受けて年々、年収が下がってきています。人気がある講師は大手予備校から声がかかって収入も上がっていきますが、多くの予備校講師は必死に生き残りをかけて努力しているのです。

  • 仕事がハード
  • 予備校は年々生き残りが厳しくなってきていますが、その中で働く予備校講師もいくつかの予備校をかけもちするなど、ハードになってきています。収入を増やすためには生徒からの信頼や人気の他に、有名大学に合格させなければならないなど、厳しい現実があります。最近の予備校は遅くまで自習室を開放している所も多いので、講師が常駐していなければなりません。そのため、勤務時間は長時間になることもあります。

  • オフシーズンがない
  • 予備校は学生が長期休みの日がさらに忙しくなります。受験に向けて春休みや夏休みなどの長期休暇を有効に使い、集中的に勉強する講座や、年末年始に最後の追い込みとして授業を行うところもあります。受験シーズンは集中講座で毎日のように朝から晩まで授業を行うことがあり、受験シーズンが終わったら生徒獲得のためにオープンキャンパスのような公開授業を行うなど、どの時期もやることはたくさんあります。勉強をするのに暇なシーズンというのはなく、一年中授業や集中講座で休みをまとめて取るのが難しいことも多いようです。

予備校は競争が激化!

近年、大学入試はAO入試や推薦入試などで学生を獲得するところも増えてきています。大学でさえ、少子化のため学生の確保に必死な時代です。一般入試で苦労して受験をする学生が減ってきている中、一般入試をする生徒のための予備校は年々経営が厳しくなってきています。不況の影響もあり、予備校にお金をかけるよりも独学で勉強する方法や、進路を変更したり希望する大学のランクを落として受験するケースも増えてきています。

そのような中で、予備校も生徒を確保するために人気予備校講師に授業を依頼するなどして、必死になっています。予備校講師を続けていくためには、スキルをアップして努力していくことが重要です。

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