転職を引き止めされたときに後悔しない方法が知りたい!内定辞退の断り方や迷ったときの判断とは

転職時に、勤務先へ退職の報告をするとき、上司から引き止められることがあります。期待の声をかけられるのは嬉しいことですが、転職先を決定したなら強く引き止められるのは困りますよね。そこで、職場を円満退社するためにも知っておきたい、上司からの引き止め対処法をご紹介します。スムーズに転職して気持ちを切り替えていきましょう。

転職時に引き止められるワケ

転職時の引き止めは、極自然なこと。引き止める側には下記のような事情があるのです。

業務の負担が周囲などに及ぶから

引き止める理由で多いのは、退職者の受け持っていた業務を残った人員で受けたり、採用するにしてもその時間コストや効率ダウンによる生産性など、会社に影響があるからです。そのため、優秀な人材や繁忙期であればなおさら、引き止めに合うのです。即戦力を採用したとしても、企業としては負担が大きいもの。人員配置変更、スケジュール調整など、周囲の業務が増えることも理解しておきましょう。

上司の評価に関わるから

退職者が出ることで、労働時間や部署のコミュニケーションなど、職場環境が問題視されることも珍しくありません。部下を総合的に管理できなかった上司の評価にも関わってきますから、上司の判断で転職を引き止めることがあります。辞められると、上司の人事評価に悪影響があるという背景がありながら、「期待しているんだけど」などと本意と違った言葉で引き止めることもあるでしょう。

会社の離職率に関わるから

企業の離職率が高まれば、企業全体の評価に関わります。人材教育や採用までのコストが無駄になり、内部の情報が流出しやすくもなるため、企業側としては引き止めたいところです。求人を出してもすぐに人材が集まらないことになりかねないので、入社3年以内の離職者は、可能な限り出したくないのが企業の本音です。

転職時の引き止め方あるある

転職時の引き止められ方にもパターンがあるようです。引き止めに合った方は以下のどれかに当てはまるかもしれません。

労働時間や給与アップなどの待遇改善案を出される

長時間労働や低賃金に不満を感じて辞める場合、正直に転職理由を告げてしまうと、上司から待遇改善策を検討するなどと言われ、引き止められてしまいます。転職することを決めているのであれば、待遇の改善策を理由にしつこく引き止められてしまわないよう、退職理由に労働条件を持ち出すのは止めましょう。賃金アップや残業を減らすなどの内容は、引き止められているその場限りの口約束だけになることもあるので注意しましょう。

人員調整のため後任待ちとなるケース

退職願が受理されても、退職日の日程調整を持ちかけられることがあります。業務内容次第では、人員を移動させたり募集をかけるなど、引き継ぎまで含めて時間が必要です。そのような引き止めには、応えられる期間で対応しましょう。転職活動時期にも、自分が退職する際には時間を要しそうかどうか社内体制や繁忙期などを検討し、転職しようとしている企業にも面接時などに相談しておくことも大切です。責任を持って前職の仕事に向き合う人だと評価されることもあるでしょう。

能力や人柄が認められて引き止められる

「あなたには期待していた」などと、スキルやコミュニケーション力などを評価して引き止めるケースもあります。会社にこれほど必要とされていたのかと、気づかされる時は退職時なのです。転職を思い留まろうかと悩む人もいるでしょう。ただ、転職をすることにした理由を再認識する必要があります。転職する理由に筋が通っていると感じるのであれば、一時の感情に流されない強さも自身のスキルアップに必要なことです。

「あなたのため」と引き止められる

「ここでもっと実績を作った方が自信に繋がるのでは」と、親身になってくれる言葉で引き止めるパターンです。人間関係などを転職理由とせず、上司のことも信頼しているのであれば、上司の引き止めを最後まで聞き、受け入れることも大切です。

仕事への姿勢を見てくれていた上司ですから、成長過程やこれからの人生まで考えて、転職時期を見極めてくれている場合もあるでしょう。そのように感じる場合は、頑固にならず自身の価値を客観視することも大切です。転職理由を改めて認識しなおす作業も無駄ではありません。

圧力だけの脅しで引き止めてくる

退職の申告に対して、投げやりな対応のまま放置され、聞く耳を持ってくれない上司や、怒って引き止めてくる上司もいます。「お客様に失礼」とか「他のスタッフを苦しめる」などとストレートに言ってきたり、「退職による企業コストはどうしてくれる」と脅してくることもあるでしょう。弱気にならず、自身の判断を信じましょう。

転職時の引き止めで後悔しないための判断

実際に引き止められたら、転職理由がはっきりしていても悩むことがあるかもしれません。引き止めに対してどのように判断したらいいか、引き止めの内容ごとに対処法をご紹介します。

労働条件や待遇に対しての改善策が出たら

会社は、退職者の退職理由が知りたいものです。労働時間や賃金などの条件を理由として伝えてしまうと、簡単に改善策が出されてしまいます。問題を解決する言葉をもらってしまったら、退職する理由が無くなったことになりますから、先に進めなくなります。まずは待遇に関する不満などは口にしないこと。そして、違うジャンルへの挑戦やスキルアップのためといった、待遇以外の面で転職理由を用意しておくことを忘れないでください。

転職時、しつこい引き止めに合ったら

高圧的な引き止めで、退職の申告を受け入れてもらえなかった場合は、一度切り上げて、上司に再度話し合いの場を用意してもらいましょう。結婚している方なら、旦那さんの転勤や引っ越し、女性ならではのライフイベントを理由にするといいでしょう。それでも引き止めが止まない場合は、別の役職の方や総務部、人事部などに相談しましょう。労働基準監督署(全国労働基準監督署の所在案内)に相談しても構いません。

また、全く応じてくれない企業であれば、円満退社を望む必要もないでしょうから、退職願ではなく、退職届を提出しましょう。退職届は契約を解約するもので最終的な対処法と言えます。民法627条に、「期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。」とあります。月給制においては、月の前半に退職届を提出すれば月末に退職できるということです。

迷うなら引き止めに応じた後の自分を想像しよう

転職で自身を成長させるといった判断は前向きな判断です。気持ちを冷静に保つことが大切ですが、引き止められて迷うときは、会社に居続ける自分をイメージしてみてください。今の会社に残ると「辞めると言ったのに」「転職先が見つからないのでは」などと、周囲から言われることがあるかもしれません。

さらに、また辞めようと決心した時に「以前は辞めなかった」と前回のことを持ち出され、退職しづらくなることが想像できます。もちろん今の会社に残って気持ちを新たに頑張ることも間違いではありません。しかし、退職の旨を一度口にして会社に残ることにはマイナス面があることも考えて、意思表明をするようにしましょう。

上司から退職日の調整を言われたら

転職先との詳細な入社日が決まっている場合は、「次の仕事が決まっており、申し訳ございませんが退職日は○日とさせてください」とはっきり伝える必要があるでしょう。退職の報告は退職日の1~2ヶ月前に伝えておくと自分も会社もラクです。

民法627条には「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」とあるものの、企業の就業規則が「退職日の1ヶ月前までに」などと決まっていれば、就業規則が優先されることもあります。円満退社のため、また社会人としても就業規則に従うことはマナーと言えます。

転職時に仕方なく内定辞退する場合

転職時に今いる会社から引き止めに合い、転職を思い留まる方もいるでしょう。その時に、転職先が決定している場合は、転職先に内定辞退を伝えなければいけません。内定辞退する場合に注意すべきことをご紹介します。

内定をくれた企業へとにかく早く連絡を

転職先の内定辞退を決めたら、とにかく早く連絡しましょう。転職予定だった企業は、受け入れる準備のために備品を揃えたり、求人募集を非掲載にするなど行動を起こしています。他の採用候補者を不採用にしているかもしれませんから、辞退することは大変申し訳ないことです。転職予定の企業にも時間や人事のコストをかけさせてしまうわけですから、時間を置いてはいけません。

ていねいに心から謝罪する

転職予定だった企業は、内定を辞退されると、また人材募集をしなければいけません。人事担当者には、誠意を持ってていねいに心から謝罪するようにしましょう。自分に対して内定を出してくれた会社ですから、そのお礼と内定辞退のお詫びを伝えなければいけません。辞退の理由をこと細かく説明する必要はありませんが、聞かれた時のために、「個人的な事情がありまして辞退させていただくことを決めました」などと答えを準備しておきましょう。

メールではなく電話で内定辞退の言葉を

内定を承諾した後に企業へ辞退の連絡をすることは、責められることも覚悟しておかなければなりません。とにかく早く、ていねいに心からの謝罪を実現するには、メールではなく電話で直接、採用担当者と話すことです。メールでは、相手が確認するタイミングが遅れることもあります。電話をかける時間は、失礼のないよう業務内容を考えて忙しそうな時間を避け、なるべく電話に出てもらえそうな時間に連絡を入れましょう。

引き止めに合うことも想定して辞職の意向を告げよう

転職か今の会社に居続けるか、大切なのは自身の気持ちです。いろいろと迷う時は、待遇や仕事内容などで何が自分にとって大切か、優先順位をつけて考えてみることをおすすめします。引き止めに合っても転職してスキルアップできたり、働きやすい環境の職場を見つけられたという方もいれば、引き止めてもらえて結果的に良かったという方もいるでしょう。どちらにしても、自分でよく検討し判断したならば、後悔はしないはずです。たくさんの人脈と経験を大切に前進していきましょう。

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