近年、女性や主婦に人気があるファイナンシャルプランナーの資格。女性にとってファイナンシャルプランナーの仕事をするうえで、どのようなやりがいがあるのでしょうか?その人気の理由や、資格を取得するために必要な試験のこと、勉強のこと、取得後のことなどを調べてみました。資格取得の参考にしていただけると嬉しいです。
ファイナンシャルプランナーの資格とは?
ファイナンシャルプランナー資格の種類は大きく分けて2つ
- 国家資格「ファイナンシャル・プランニング技能士」
- 民間資格「AFPとCFP」
ファイナンシャル・プランニング技能士(FP技能検定)」は国家資格となります。FP技能検定は1級から3級まであり、1級はとても難易度が高いといわれています。
民間資格には2種類あり、「AFP(正式名:アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)」と「CFP(正式名:サーティファイド ファイナンシャル プランナー)」があります。日本FP協会の資格認定であるAFPは2級FP技能士と同等の資格です。
CFPは、Financial Planning Standards Board Ltd.通称FPSBの登録商標です。日本では日本FP協会が商標使用を認定しています。また世界ではヨーロッパ、アジア、北米などを中心に24カ国で導入されています。世界共通水準のファイナンシャル・プランニングサービスが提供できる証明ともなる資格なので、難関と言われている資格です。国際的に通用するグローバルな資格を取得すると自身の誇りともなるでしょう。
ファイナンシャルプランナー資格取得にかかる費用
ファイナンシャルプランナーの資格はかかる費用が異なってきます。「FP技能士」の場合は、研修などを受講する必要はないので、中には独学で資格を取得する人もいます。独学の場合、参考書や問題集の準備のみなので、費用は大幅に抑えられるでしょう。民間の通学制のスクールで学ぶ場合、資格のレベルや講座の内容にもよりますが、費用の目安は数万円~20万円程度が平均のようです。
また、通信制の場合、通学制の講座に比べて費用は低く、10万円以下で総合的に学べることができます。自宅に送られてくるテキストで学習したり、WEBを使って講義の映像を見ながら学べたり、通学の時間も勉強に当て、自分の時間を有効活用することもできます。これは通信制のメリットといえるでしょう。AFPの資格を目指す場合は、AFP認定研修を修了する必要があります。
認定の条件として、AFP認定研修の修了以外にも、「2級FP技能士」の資格取得が条件となります。2級FP技能士資格を持っているかいないかで受ける講座も違うため、費用も変わってきます。2級FP技能士の資格を取得している人は、10,000円~30,000円程度、2級FP技能士を取得していない人は50,000円ほどとなるようです。「教育訓練給付金」を利用すれば、修了までに支払った学費の20%(上限10万円)は給付されます。
また、資格試験を受験する費用も必要です。受験費用は資格にもよりますが、6,000円~20,000円ほどとなっています。
ファイナンシャルプランナーの試験詳細や難易度・合格率は?
3級ファイナンシャルプランナー(FP)試験について
3級FP技能検定の学科試験は、マークシートによる筆記試験となります。三答択一式と○×式があり、合計60問です。合格基準は60点満点中36点以上となり、試験時間は120分です。学科試験範囲は、下表のとおりです。
<学科試験>
A ライフプランニングと資金計画 B リスク管理 1.ファイナンシャル・プランニングと倫理 1.リスクマネジメント 2.ファイナンシャル・プランニングと関連法規 2.保険制度全般 3.ライフプランニングの考え方・手法 3.生命保険 4.社会保険 4.損害保険 5.公的年金 5.第三分野の保険 6.企業年金・個人年金等 6.リスク管理と保険 7.年金と税金 7.リスク管理の最新の動向 8.ライフプラン策定上の資金計画 9.ローンとカード 10.ライフプランニングと資金計画の最新の動向
C 金融資産運用 D タックスプランニング 1.マーケット環境の理解 1.わが国の税制 2.預貯金・金融類似商品等 2.所得税の仕組み 3.投資信託 3.各種所得の内容 4.債券投資 4.損益通算 5.株式投資 5.所得控除 6.外貨建商品 6.税額控除 7.保険商品 7.所得税の申告と納付 8.金融派生商品 8.個人住民税 9.ポートフォリオ運用 9.個人事業税 10.金融商品と税金 10.タックスプランニングの最新の動向 11.セーフティネット 12.関連法規 13.金融資産運用の最新の動向
E 不動産 F 相続・事業承継 不動産の見方 贈与と法律 不動産の取引 贈与と税金 不動産に関する法令上の規制 相続と法律 不動産の取得・保有に係る税金 相続と税金 不動産の譲渡に係る税金
相続財産の評価(不動産以外) 不動産の賃貸 相続財産の評価(不動産) 不動産の有効活用 不動産の相続対策 不動産の証券化 相続と保険の活用 不動産の最新の動向 相続・事業承継の最新の動向 (学科試験の試験範囲について、下記の項目を審査)
<実技試験>
III 資産設計提案業務 1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング 2.ファイナンシャル・プランニングのプロセス 3.顧客のファイナンス状況の分析と評価
実技試験は筆記試験で20問、合格基準は100点満点中60点以上です。試験時間は60分になります。この試験には試験免除制度があります。学科試験と実技試験のどちらかだけ合格となった場合、合格した科目の免除申請を有効期限内に行うと不合格だった科目のみ再試験ができます。
再試験が合格した場合には、学科・実技両方の合格と認定されます。3級FP技能検定は基礎的レベルなので、FP資格を知識がゼロから目指す人にはふさわしい試験といえます。合格率も60~80%程度なので、難易度は低いといえます。
2級ファイナンシャルプランナー(FP)試験について
2級FP技能検定の試験は、マークシート方式の筆記試験です。四答択一の問題が60問出題されます。合格基準は60点満点中36点以上で、試験時間は120分です。学科試験範囲は、下表のとおりです。
<学科試験>
A ライフプランニングと資金計画 B リスク管理 1.ファイナンシャル・プランニングと倫理 1.リスクマネジメント 2.ファイナンシャル・プランニングと関連法規 2.保険制度全般 3.ライフプランニングの考え方・手法 3.生命保険 4.社会保険 4.損害保険 5.公的年金 5.第三分野の保険 6.企業年金・個人年金等 6.リスク管理と保険 7.年金と税金 7.リスク管理の最新の動向 8.ライフプラン策定上の資金計画 9.中小法人の資金計画 10.ローンとカード 11.ライフプランニングと資金計画の最新の動向
C 金融資産運用 D タックスプランニング 1.マーケット環境の理解 1.わが国の税制 2.預貯金・金融類似商品等 2.所得税の仕組み 3.投資信託
3.各種所得の内容 4.債券投資 4.損益通算
5.株式投資 5.所得控除 6.外貨建商品 6.税額控除 7.保険商品 7.所得税の申告と納付 8.金融派生商品 8.個人住民税 9.ポートフォリオ運用 9.個人事業税 10.金融商品と税金 10.法人税 11.セーフティネット 11.法人住民税 12.関連法規 12.法人事業税 13.金融資産運用の最新の動向 13.消費税 14.会社、役員間および会社間の税務 15.決算書と法人税申告書 16.諸外国の税制度 17.タックスプランニングの最新の動向
E 不動産 F 相続・事業承継 1.不動産の見方 1.贈与と法律 2.不動産の取引 2.贈与と税金 3.不動産に関する法令上の規制 3.相続と法律 4.不動産の取得・保有に係る税金 4.相続と税金 5.不動産の譲渡に係る税金 5.相続財産の評価(不動産以外) 6.不動産の賃貸 6.相続財産の評価(不動産) 7.不動産の有効活用 7.不動産の相続対策 8.不動産の証券化 8.相続と保険の活用 9.不動産の最新の動向 9.事業承継対策 10.事業と経営 11.相続・事業承継の最新の動向 (学科試験の試験範囲について、下記の項目を審査)
<実技試験>
V 資産設計提案業務 1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング 2.ファイナンシャル・プランニングのプロセス 3.顧客のファイナンス状況の分析と評価 4.プランの検討・作成と提示 上記の試験範囲について、
■各科目における図表等の読み取り、諸計算等
■ファイナンシャルプランニングの基礎や提案書作成技術、係数表の利用等
■事例に沿った分析・提案等
に関する技能を記述式のペーパーテストで問う。
実技試験は90分で、記述式の筆記試験となります。事例形式の問題が5問あり、合格基準は100点満点中60点以上です。この試験においても、試験免除制度があります。2級FP技能検定の合格率は30~40%程度なので、難易度は中程度といえます。
1級ファイナンシャルプランナー(FP)試験について
1級FP技能検定の試験は、学科試験と実技試験はどちらも200点満点となり、合格基準は120点以上です。試験は基礎と応用があります。試験時間はそれぞれ150分です。学科試験範囲は、下表のとおりです。
<資産設計提案業務>
試験科目及びその範囲 範囲の細目 1.関連業法との関係及び職業上の倫理を踏まえたファイナンシャル・プランニング ファイナンシャル・プランナーと関連業法の関係や、ファイナンシャル・プランナーに求められる職業上の倫理観を正しく理解したうえで、適切かつ総合的な提案が行えること。ファイナンシャル・プランニングの現状を正しく理解したうえで、顧客に説明できること。 2.顧客データの収集と目標の明確化 顧客データを正確に把握するとともに、顧客の生活設計上の希望を、具体的かつ適切な数値上の目標に設定できること。 3.顧客のファイナンス状況の分析と評価 現状の顧客のファイナンス状態の分析や問題点の把握・検討を行えること。 4.プランの検討・作成と提示 顧客の数値化した目標を達成でき、生活設計上の目標を達成できるための対策を、総合的に検討し、適切かつ包括的な提案が行えること。プランの見直しの必要性について顧客に説明し、理解させることができること。
実技試験は口頭試問形式となります。資産設計提案業務と資産相談業務のどちらか1科目を選択し、異なる設例課題に基づき面接を2回受けます。1回あたり100点満点となり、実技試験を受験できるのは、学科試験合格者のみです。学科試験合格者は、合格した学科試験の試験日である翌々年度までに実技試験を受験することができます。
設例は面接開始の約15分前に渡されます。面接時間は1人約12分ほどです。学科試験の合格率は約5~12%と非常に難関といえます。実技試験での合格率は約82~87%と高く、学科試験を乗り切ることができれば、1級合格に大きく近づくといえるでしょう。
AFP資格試験について
AFPになるには「AFP認定研修」を修了すること、また、指定の試験に合格するという一定の要件を満たす必要があります。AFP資格審査試験の内容は「2級FP技能検定」と同一です。
CFP資格試験について
試験の試験課目は、下記の6科目となります。
■金融資産運用設計
■不動産運用設計
■ライフプランニング・リタイアメントプランニング
■リスクと保険
■タックスプランニング
■相続・事業承継設計
3科目をそれぞれ2日間に分けて試験を行い、時間は1科目120分です。出題形式は四肢択一式で出題数は各50問となります。受験と合格は1科目ずつでも認められます。受験資格は「AFP資格認定者」「所定の課程の単位を協会が認定する大学院で取得した者」となっています。
CFP資格合格後、「CFPエントリー研修」の受講して実務経験3年を満たすと、CFP資格の認定が受けられます。CFPエントリー研修は、集合研修1日と通信教育となっています。CFP資格の合格率は、試験課目によってさまざまです。平成29年度第2回CFP資格審査試験の合格率は下記を参照ください。
課目名 受験者数 合格者数 合格率 金融資産運用設計 2,696名 1,007名 37.4% 不動産運用設計 1,854名 739名 39.9% ライフプランニング・リタイアメントプランニング 2,196名 878名 40.0% リスクと保険 2,657名 1,041名 39.2% タックスプランニング 1,951名 771名 39.5% 相続・事業承継設計 2,025名 774名 38.2%
6課目全課目一括の受験者数は176名で、全6課目の合格者は8名です。全課目の合格率は4.5%となり、全て合格するにはとても難易度が高いといえます。
ファイナンシャルプランナーの資格取得のための勉強法や内容
ファイナンシャル・プランニング技能士取得のための勉強方法
資格取得にかかる費用のお話の中でも少し触れましたが、ファイナンシャル・プランニング技能士の資格取得の勉強方法は、通信教育・通学講座で学習することや、書籍で独学で学ぶことです。
通学講座では、教室で講義を受けるものや、個別ブースでDVDを視聴するものなどがあります。通信講座では、送られてきた教材で学習するものや、WEBで学ぶものもあります。どのような勉強スタイルが良いか、受験する級やスケジュールなどにもよりますので、自分に合った勉強を方法を選択しましょう。
AFP・CFP取得のための勉強方法
AFPになるためには、2級FP技能士試験の合格またはAFP認定研修を修了している必要があります。AFP認定研修は通学と通信があり、3級FP技能検定向けの講座修了者対象のAFP認定研修というものもあります。
CFPの勉強では、日本FP協会の「FPテキスト」で過去問題集を隅々まで徹底的に勉強していくことが、とても効果的だと言われています。CFP試験対象の講座もあるので、集中的に受講して学ぶのもいいでしょう。
ファイナンシャルプランナーの資格取得は独学で勉強できる?
AFPとCFPの資格は、研修の受講を必ず受けなければいけないため、書籍やテキストの独学勉強だけでは資格取得につながりません。ファイナンシャル・プランニング技能士は、研修を受する際に必須条件などがないので、独学で努力して資格取得することも可能です。
特に、3級FP技能士試験は基礎レベルで合格率も高いので、独学でも取得しやすいです。ファイナンシャルプランナーの書籍やテキストは多く販売しているので、独学でも取り組みやすいでしょう。また、講座や通信教育を受けるよりも費用をぐんと抑えられる金銭的なメリットがあります。
一方、講座や通信教育を受けるメリットは、講師へ質問がすることができたり、サポートを受けることができることです。サポートを受けながら知識を取り込んでいきた人には、講座や通信教育の方が、しっかり学べるかもしれません。
教育訓練給付金制度もうまく活用しよう
ファイナンシャルプランナーの講座では、「教育訓練給付金制度」が利用できる場合があります。自ら負担した費用を教育訓練講座を修了した際、費用の一部が雇用保険の給付制度により支給されます。対象となる場合には、この制度をうまく活用するといいでしょう。
ファイナンシャルプランナーの資格は更新があるの?
ファイナンシャルプランナーの資格は更新不要
ファイナンシャル・プランニング技能士の1級~3級は一度取得すれば一生有効となり、更新の手続きは必要ありません。また、資格試験合格後に、資格取得のための登録手続きや入会の手続きも不要です。
AFPとCFPの資格は2年更新
AFP資格の更新は、2年ごとに必要になります。更新の際には、2年間にFP学習ガイドにある所定の時間に学習をし、単位を取得する必要があります。下記の4項目全ての要件を満たしている必要があるのでチェックしておきましょう。
■単位数を15単位以上取得していること
■課目をFP実務と倫理(1単位以上)を含む3課目以上履修している
■単位の取得記録(証明書等)を自身で管理していること
■所定の継続教育期間に更新手続きを行っていること
更新の手続きは、日本FP協会のMyページもしくは、郵送で継続教育単位申請を行います。CFP資格の更新も2年ごとに必要です。AFPと同様、更新の際には、継続教育単位が必要となり、下記の4項目すべての要件を満たしている必要があります。
■30単位以上取得していること
■課目をFP実務と倫理(2単位以上)を含む3課目以上履修していること
■単位の取得記録(証明書等)を自身で管理していること
■所定の継続教育期間に更新手続きを行っていること
更新の手続きは、日本FP協会のMyページもしくは、郵送で継続教育単位申請を行います。
ファイナンシャルプランナーの資格は主婦でも活かせる?
女性の転職にもファイナンシャルプランナーの資格は有利
ファイナンシャルプランナーは、お客さまの将来や資産などの困りごとに対して家計や家族のことをヒヤリングし、アドバイスする仕事です。働く女性の立場や、妻や母の立場、家計をやりくりする立場など、女性ならではの同じ視点に立ってアドバイスすることができます。また、女性の方が話しやすいと思われているお客さまも多いようです。女性だからこそ見える視点や活かせるメリットも多く、女性ファイナンシャルプランナーは大変人気があり増えています。
企業も女性を求めている会社が多い
最近では女性のファイナンシャルプランナーを求めている企業が増えています。女性が働きやすい福利厚生を充実させて、仕事と家庭の両立のサポートをしながらキャリアアップもできる職場もあります。女性にとって、仕事も家庭もしっかり両立できる制度が整っていることは大変ありがたいことです。ますます女性ファイナンシャルプランナーが増えて、活躍する女性がこれからも増えることでしょう。
女性が社会で活躍しやすいファイナンシャルプランナーの資格を目指そう!
女性は、結婚・出産を経て仕事復帰するにはとても不安があったり、復帰しても思うように両立ができずに悩んだりすることも多いと思います。女性ファイナンシャルプランナーの職場では、両立しやすい制度が整っていたり、職場でも同じ女性も多いので、色々と相談しやすい環境でもあります。
また、お客様の未来をより明るいものへと導くアドバイスやサポートができるのも、大きなやりがいを感じられる仕事といえます。これからファイナンシャルプランナーの資格を目指す人は、資格取得に向け、自分に合った勉強法をみつけて努力し、夢へ向かって進んでいってください。