職業訓練指導員とはどんな仕事をしているの?気になる免許取得方法や給料のことまで徹底解説

職業訓練指導員とはどんな仕事か知っていますか?就職や転職に向けて必要なスキルや技術、技能の習得を手助けするのが職業訓練指導員の仕事です。では、職業訓練指導員になるためにはどうしたらいいのでしょうか?必要な資格はあるのでしょうか?今回は職業訓練指導員の気になる仕事内容や年収、働き方などをお話します。

職業訓練指導員の仕事内容が気になる

職業訓練指導員の仕事内容が気になる
職業訓練指導員とは公共職業訓練や認定職業訓練をする上で、訓練を担当する人を指します。職業訓練にはさまざまなものがあり、就職を目指している人にとっての心強いパートナーとなるのです。

在職者や求職者のためにハロートレーニングを行う

ハロートレーニングとは、平成28年11月に決定した国や都道府県が実施する公的職業訓練の通称名のことです。ハロートレーニングは、希望する仕事に就くために必要なスキルや知識を習得することができる制度であり、対象者別に4つに分かれています。

これから働く人のための【離職者訓練】

離職者訓練とは、主に雇用保険を受給している求職者を対象に行います。再就職に向けて必要なスキルや知識を無料(テキスト代等は除く)で訓練し、技術を身に付けることができます。
参考:厚生労働省 離職者訓練

中学・高校を卒業した人のための【学卒者訓練】

学卒者訓練には普通課程、専門課程、応用課程の3種類があります。それぞれ対象者や実施施設、訓練期間、訓練内容が異なります。
参考:厚生労働省 学卒者訓練

働いている人のための【在職者訓練】

在職者訓練とは、主に中小企業で働いている人を対象に専門知識や技術の向上を目指すハロートレーニングのことをいいます。期間は2〜5日と比較的短期間で行う訓練です。
参考:厚生労働省 在職者訓練

障がい者のための【障がい者訓練】

障がい者訓練とは障がいのある人に対してきめ細かい訓練を行います。受講するコースにより障害者職業能力開発校、一般の職業能力開発校、委託訓練(企業・社会福祉法人・NPO法人・民間教育訓練機関など)などがあります。
参考:厚生労働省 障がい者訓練

キャリアコンサルタントとして就職を支援する

職業訓練指導員は、技術指導だけではなくキャリアに悩んでいる人のアドバイザーとしての役割もあります。就職に必要な情報を提供したり、相談者の問題を一緒に解決したり、生活指導などを行う事もあります。

コーディネーターとして人材を育成をするために訓練を提案する

企業などが必要としている人材のニーズを把握し、訓練の提案をします。それぞれに合った教育訓練プログラムを作成し、提案をすることも職業訓練指導員の仕事です。

開発者として訓練のための教材を開発する

時代にあった訓練を実施するために、訓練カリキュラムや教科書などの教材の開発が必要になります。

職業訓練指導員の給料・年収について

職業訓練指導員の給料・年収について

職業訓練指導員の給料は働く場所により異なります。

公共職業能力開発施設の場合

各都道府県の「職員の給与に関する条例・規則」により支給されます。大卒者の場合、月収は約17〜19万円程度ですが、職務経歴等がある場合は加算されることもあります。基本給のほかに、扶養手当、通勤手当、時間外手当、住居手当、期末・勤勉手当などが支給されます。

一般企業に比べると初任給は低いように感じますが、公共職業能力開発施設(都道府県職員)は公務員です。そのため、待遇面や安定した労働が可能になるでしょう。また、年齢や勤続年数とともに確実に給料が上がることも約束されます。公務員の年金制度も適用されるので、長期で働きたい人にとっては安泰と言えるでしょう。

認定職業訓練施設の場合

働く施設により異なりますが、公共職業能力開発施設(都道府県職員)と金額の差が大きく変わることはないようです。平均年収は30代で400万円程度、40代では約500〜600万円程度といわれています。

休日や残業について知りたい

職業訓練指導員の仕事に残業はあまりありません。訓練の時間はあらかじめ定められているため、時間内で密度の濃い訓練を提供することが重要です。しかし、職業訓練をするにあたり、教材準備や企業のニーズに応じた訓練の開発などがある場合は、1日数時間ほどの残業をする場合があります。

1年を通して、睡眠時間を削られてしまうほどの激務がほとんどなく、オンとオフをつけて働くことができる仕事といえるでしょう。

公共職業能力開発施設(都道府県職員)の場合、原則として土日祝日、年末年始が休みになります。また、20日の年次有給休暇(採用の年、月により付与日数に変動あり)、夏季休暇、特別休暇(結婚・忌引など)、病気休暇、介護休暇、育児休業制度などがあります。

職業訓練指導員に転職したい!

公務員である公共職業能力開発施設(都道府県職員)の求人は、頻繁に出ることがありません。人気のある職種であるため、離職や欠員がでた場合のみの募集になっています。求人が出ても、一回の採用者数が1〜2名の場合がほとんどです。

また、職業訓練指導員免許は種目別に分かれています。そのため、自分が取得した免許の種類に関する募集があるとは限りません。近年、増加傾向にある民間委託の職業訓練もありますが、職業訓練指導員の大量募集は少なく、狭き門になっています。

職業訓練指導員への転職は、年齢制限も設けられていることが多いので注意が必要です。

転職するにあたり、正社員としての募集が少ないのが現状ですが、非常勤や非正規職員として働くことにも目を向けてみるといいでしょう。時短勤務や給料面での待遇は変わりますが、現場にいることで正社員へのチャンスは広がるかもしれません。

非常勤や非正規職員で働く場合であっても、職業訓練指導員免許は必要です。転職を期に免許取得を考えているのであれば、取得後の計画を建ててから転職することをおすすめします。

職業訓練指導員になるにはどうすればいいの?

職業訓練指導員免許を取得する

職業訓練指導員になるためには「職業訓練指導免許」を取得しなければいけません。取得方法は主に3通りあります。

職業能力開発総合大学校を卒業する

職業能力開発総合大学校を卒業する

職業能力開発総合大学校とは職業訓練の中核機関で、厚生労働省が所管している学校です。職業能力開発促進法第27条に基づき、

職業訓練指導員の養成
職業訓練指導員の研修(再訓練)
職業能力の開発・向上に関する調査と研究

3つの基幹業務を行うことを目的としている学校です。

引用:職業能力開発総合大学校
参考:e-Gov 職業能力開発促進法第27条

職業訓練指導員講習(48時間講習)を修了する

職業訓練指導員講習(48時間講習)とは、職業能力開発促進法施行規則第四十八条の三の規定に基づき、厚生労働大臣が指定する職業訓練指導員として必要な指導方法や知識を学ぶ講習です。講習は年に1〜2回行われており、修了することで「指導員講習修了証書」が交付され、職業訓練指導員の免許を申請することができます。

48時間講習の受講資格は、免許職種に関する学科の修了や技能検定の職種合格の資格を取得していることなど細かく定められています。また、講習を申し込む際には履修証明書や修了証明書、単位取得証明書、成績証明書など提出しなければいけません。

【講習で学ぶ8つの科目】

  • 商業訓練原理
  • 教科指導方法
  • 労働安全衛生
  • 訓練生の心理
  • 生活指導
  • 関係法規
  • 事例研究
  • 確認テスト

職業訓練指導員は訓練計画の作成や準備、復習、訓練生を観察しそれぞれにあった指導方法を考えなければいけません。指導員として能力を高めるために、48時間講習は職業訓練指導員として欠かせない科目ばかりなのです。

■参考:
厚生労働省ホームページ 受講資格について
e-Gov 職業能力開発促進法施行規則第48条の3

都道府県実施の職業訓練指導員試験に合格する

都道府県実施の職業訓練指導員試験に合格する

各都道府県で行われている職業訓練指導員試験に合格することで、免許を取得することができます。試験は年に1回、学科試験と実技試験に分けて実施されています。職業訓練指導員の免許は123種類の種目に分かれています。

全部の職種共通である「指導方法」の学科試験がある他に、職種によって異なる「系基礎学科」並びに「専攻学科」があります。実技試験では技術や技能が問われ、これも職種別によって行なわれます。

都道府県により「指導方法」以外の科目は試験を実施しない場合や、一部の学科のみ実施することもあります。また、一定の検定を取得していることで「指導方法」のみ受験をし、他の科目に関しては免除になる場合があります。詳細については各都道府県の試験案内を確認することをおすすめします。

参考:平成29年度 職業訓練指導員試験案内【東京都】

以下に該当する場合は免許を受けることができません。

■成年被後見人又は被保佐人
■禁錮以上の刑に処せられた者
■職業訓練指導員免許の取り消しを受け、当該取消しの日から2年を経過しない者

引用:東京都はたらくネット
参考:e-Gov 職業能力開発促進法第30条の6

難易度について

職業訓練指導員試験の内容は都道府県で異なります。また、試験の難易度はそれほど高くないと言われていますが、過去問題や関連書籍が少ないため勉強に苦労する人が多くいるようです。

職業訓練指導員として働くためには?

職業訓練指導員免許を取得してもすぐに働けるものではありません。指導員として採用されるためには、各施設の採用試験を受けることが必要です。採用試験は主に、筆記試験(一般知識や職業訓練指導員としての専門知識など)と面接(適正・人柄などを判断するため)を行うところが多いようです。

また、各施設や年度、時期により職業訓練指導員の募集職種や募集人数などが異なります。そのため、各都道府県の採用情報をこまめに確認することをおすすめします。

  • 公共職業能力開発施設の採用試験に合格し、公務員として職業訓練指導員になる
  • 認定職業訓練施設の採用試験に合格し、職業訓練指導員になる

女性でも職業訓練指導員になれるの?

職業訓練指導員は、男女関係なく活躍できる職業の一つです。職業訓練指導員免許は123種類あり、自分の得意分野を生かして働くことができます。洋裁やインテリアなど女性訓練生が多い学科では、女性の職業訓練指導員が求められています。

また、近年では国をあげて女性就業支援を掲げています。その影響により、女性訓練生にとって支えとなり寄り添うことができる女性指導員の採用を、積極的に行う傾向にあるようです。

都道府県の職員として職業訓練指導員となった場合の給料や待遇は、一般の地方公務員と同じです。そのため、産休や育児休業などの制度も整っています。長時間の残業や深夜勤務などがほとんどないため、将来的にも女性にとって働きやすい環境が整っている職種と言えるでしょう。

職業訓練指導員免許は一度取得すると更新もなく生涯有効です。また、全国共通なので、結婚後の引越し、旦那さんの転勤などで住んでいた町の公共施設から通勤圏外になったとしても、免許を失うことはありません。

職業訓練ができる仕事とは?人気職業5つ!

WEB制作

WEB制作

東京都では毎月開講している人気講座の一つです。応募倍率も高く、応募数が少ない時期から比べて繁盛期は普段の約2倍以上の倍率になることがあります。

パソコン・オフィス

パソコン・オフィス講座は年間を通して開講も多く、幅広い年齢から応募している講座です。パソコンスキルの中でも、マイクロソフトのワードやエクセルを使えることは就職に有利になるため、人気が高いといえます。

国際ビジネス

グローバル化に伴い、貿易の知識や英語(TOEICなど)を学びたい人に人気の講座です。

宅建不動産・金融・ファイナンシャルプランナー

不動産ビジネスやお金に関することを学び、それぞれの資格取得を目指す講座です。宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーは資格の中でも人気があるため、応募する人が多い傾向にあります。

簿記・経理・会計

どんなに小さな会社でも必要とされるのが経理です。どのジャンルの企業でも就職に有利になるため、簿記・経理・会計の講座が人気の理由の一つです。

職業訓練指導員の仕事は訓練生の成長と共に自分自身も磨かれる仕事

職業訓練指導員の仕事は訓練生の成長と共に自分自身も磨かれる仕事

職業訓練指導者は求職者や就職を目指す若年層の人に、仕事の技術や技能の習得を手助けします。指導していく中で、訓練生の成長を近くで見ることができたり、就職先が決まった時に世論こんでいる生徒を見たりできることはやりがいを感じるのではないでしょうか。

また、自分が指導した訓練生が就職先で頑張っている話を耳にした時の喜びは大きいでしょう。年齢や価値観が違う人々に「教える」ということは、決して簡単なことではありません。さまざまな方法で物事をわかりやすく伝えることや、信頼してもらうことなどたくさんのことが求められます。

教える側にいても、訓練生から教えられることもあるでしょう。訓練生がいることで、自分自身も大きく磨かれ成長できるのです。人の成長を支援することや、社会へ貢献できる技術を教えることは、職業訓練指導員として役立てる喜びを味わうことのできるでしょう。

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