振付師になるには養成学校に通うべき?勤務形態や活躍するための3つのポイント!

ダンスや舞台での影の立役者といえば、振付師です。最近は、大阪府立登美丘高校ダンス部による『バブリーダンス』の振り付けが注目されたりと、振付師への注目が高まっています。そんな振付師になるにはどうしたらいいのでしょうか。振付師になる方法や代表的な振付師の紹介、収入や勤務形態などについて解説していきます。

振付師(コレオグラファー)とは

振付師とは、ダンスの振付けを専門に行なう人のことです。別名、振付家、コレオグラファーとも言います。モダンダンスやジャズダンスだけでなく、歌舞伎や日本舞踊、バレエ、ミュージカルなど、あらゆるダンスのジャンルに振付師は存在しています。

ダンスの主役はダンサーですが、その優れたダンスを支えているのは優秀な振付師です。誰にも発想できないような振付や、そのダンサーや舞台の魅力を最大限引き出す振付ができると、振付師としての価値がぐっと上がります。

振付師になるには

振付師になる方法はあまり知られていませんが、主に2つありますのでご紹介します。

振付師になるための2つの方法

ダンサーとして活躍する

まずは自分がダンサーとして活躍することです。ダンサーを長くやっていると、自分や所属するチームのダンスを振付けたり、その場で思いついたダンスを踊る即興ダンスをやったりと、振付を考える機会が自然に増えていきます。そうやって踊ってきた経験を活かして、振付師として活動することも可能になのです。ダンサーとして活躍後、引退してから振付師になる人が多くいます。

ダンススクールや大学、専門学校で学ぶ

ダンススクールや体育大学、体育系や芸術系の専門学校で、振付について学術的に学ぶ方法です。音楽や演劇、舞踊学や、ダンスの基礎、振付の基礎などを習得することで、オリジナリティのある振付ができるように成長していくのが理想です。もちろん、自分のダンススキルを磨いていくことも重要です。こちらの方法だと、比較的若いうちから、理論立った振付ができるようになりやすいでしょう。

日本で有名な振付師とは 経歴や代表作など

振付師への道は主に2通りと説明しましたが、振付師は何か資格があるわけでもないので、振付師になるルートはたくさん存在します。ここで、有名な振付師の経歴を紹介していきます。道はひとつではなく、さまざまな経歴を経て振付師として活躍していることがわかります。

芸能界で活躍する振付師

夏まゆみ

1962年生まれのベテラン振付師・夏さんは、モーニング娘。やAKB48のメンバーに熱心かつ厳しいダンス指導をすることで、広く有名な振付師です。

夏さんは、10代のころにイギリス留学し、イギリス、アジア、アメリカなどでオールジャンルのダンスを習得。30歳のころにはニューヨークにあるアポロシアターという有名な舞台でソロダンサーとして活躍しています。帰国後は、長野オリンピックの開閉会式や、紅白歌合戦のステージングを担当するなど、大きな仕事をこなしながら、多くのダンサーやインストラクターを育ててきました。海外留学をきっかけにダンサーとして開花し、その後振付師に転身した方です。

竹中夏海

1984年生まれの竹中さんは、アイドルに特化した珍しい振付師です。日本女子体育大学舞踊学専攻を卒業しており、大学でダンスを専門に学んできたタイプです。卒業後にアイドルの振付師として本格的に活動を始め、HKT48、NGT48や、藤井隆、ヒム子など、男女問わずその人のアイドル性をあぶり出すような振付をすることで有名になりました。

akane

1993年生まれ、関西出身の振付師で、大阪府立登美丘高校ダンス部の振付をしたことで一躍有名になりました。akaneさんは幼いころからダンスを始め、大阪府立登美丘高校ダンス部を卒業し、東京へ進学。それまではダンサーとして活躍していましたが、大学卒業時に大阪府立登美丘高校がコンテストで優勝したのをきっかけに、振付師として仕事がしたいと思って転向しました。エキセントリックで鮮やかな振付を得意としています。

KENZO

1985年生まれの福岡県出身、DA PAMPの新メンバーとしても活躍してるKENZOさんは、ダンサー、振付師の両方で有名です。ダンサーとして、2010年〜2017年まで世界大会を8連覇しており、世界的に大活躍しています。また、振付師としては、DA PAMPはもちろん、安室奈美恵さんやTRF、w-inds.、フェアリーズなど多くのアーティストの振付を担当しました。日本のダンサーのレベルは高いのに立場は弱いことを改善したくて、自ら会社を立ち上げてダンサーの地位向上に尽力しています。

振付稼業air:man

杉谷一隆さんを中心としたダンサー・振付師集団で、グループで振付師として活動している珍しいケースです。主にJ−POPのMVや、CMでの振付を行なっています。ジャニーズの振付師としても有名です。2008年には「世界3大広告賞」と言われるカンヌ国際広告祭、クリオ賞、One Showを受賞している実力派ユニットです。

MIKIKO

1977年生まれの演出振付家・MIKIKOさんは、東京生まれの広島育ち。Pafumeの振付師として有名です。ストリートダンスやバレエを経験したのち、高校時代にヒップホップを始めたそうです。大学在学中の1999年に広島アクターズスクールが開校した際にそのダンス講師に選ばれ、講師・振付師としてのキャリアを積むようになりました。アクターズスクールには当時小学5年生だったPafumeが通っていたので、その縁があり当時から今までPafumeの振付はMIKIKOさんが行なっているそうです。

2005年にアミューズとマネジメント契約を結び、本格的に演出振付家として活動しながら、途中ニューヨークに2年留学して感性を磨きます。帰国後は、自身のダンスカンパニーを立ち上げるながら、アミューズ所属アーティストの振付を多く行なうようになります。最近では、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の「恋ダンス」の振付を手がけ、大ヒットの立役者になりました。

パパイヤ鈴木

1966年生まれの東京都出身・パパイヤ鈴木さんは、元ジャニーズ所属で歌手を目指していましたが、体重が増加したため断念し、振付師への道を選択しました。ダンサー時代は東京ディズニーランドのショーでも活躍していたそうです。松任谷由実さんのコンサートにスタッフとして参加していた縁で、今でもLIVEや新曲の振付を行なっています。2002年ごろからはタレントとしての活動も多くなり、お茶の間に親しまれる振付師として有名になりました。

フィギュアスケート界で活躍する振付師

宮本賢二

1978年生まれの兵庫県出身、10歳でスケートを始め、フィギュアスケートのシングルス選手として活躍したのち、15歳ごろにアイスダンスの選手に転向しました。全日本ジュニア選手権で1度、全日本フィギュアスケート選手権で2度の優勝経験があります。トリノオリンピック落選後に現役引退し、振付師の道を選びました。

宮本さんにしかできない独特の振付で、選手の個性をよく引き出すと評判です。通算で300人以上の振付を担当しており、高橋大輔選手がバンクーバーオリンピックで銅メダルを獲得した演技の振付をしたのは有名です。他にも羽生結弦選手、浅田真央選手など多くの一流スケーターの振付をしてきました。最近では、大人気のフィギュアスケートアニメ「ユーリ!!!on ICE」の振付も担当しています。

一度は会いたい!海外で活躍する有名な振付師

振付師になるには?通う学校や仕事の募集などを解説
日本で活躍している振付師を知ったところで、次は海外に目を向けていきましょう。世界的に有名な振付師である彼らの作品に出演したい、振付をしてほしい、というアーテイストは数え切れません。ここでは現役で活躍する2名のコレオグラファーを紹介します。

マシュー・ボーン

1960年生まれ、イギリスの演出家・コレオグラファーです。代表作は、クラシックバレエをモダンに解釈した「くるみ割り人形」や、男性ダンサーを中心にした「マシューボーンの白鳥の湖」です。

元々はダンスに関心がなく劇場もぎりやBBC(イギリスのテレビ局)の書類整理バイトなどをしていましたが、劇場で役者の演技を見て興味がわき、22歳でダンスを習い始めました。その後は、コンテンポラリーダンスのダンサー・演出家・振付師として活躍しています。1999年にはトニー賞を受賞し、一躍脚光を浴びました。遅咲きながらすばらしい活躍をされているタイプの方ですね。

JONTE’☆MOANING(ジョンテ・モーニング)

1982年生まれ、アメリカ・オレゴン州ポートランド出身のダンサー・コレオグラファーです。キレのあるダンスとオネエキャラが特長で、ビヨンセの世界ツアーの振付・演出をしたことで有名になりました。

13歳のときにダンスを始め、バレエ・モダンダンス・フラメンコなどを学びます。ニューヨークに拠点を移し、バックダンサーを務めるようになってから数々のPVやLIVE、テレビに出演。2007年にはビヨンセのツアーの振付・演出を担当するまでになりました。日本でもCM出演や舞台出演の実績があります。振付だけでなく、ダンサーやタレントとしても活躍されている方です。

振付師の収入、勤務形態は?

振付師になるには?通う学校や仕事の募集などを解説
※有名な振付師以外は、ダンススクール講師などが収入の柱

個性あふれるたくさんの振付師が活躍していますが、振付師の収入はどれくらいなのでしょうか?振付の収入は、1曲で30,000円、ダンス練習1回で5,000円など案件ごとに発生したり、時給4,000円などの時間給で決められることもあります。雇用形態は正社員から契約社員、アルバイト、業務委託までさまざまです。

有名な振付師になると、そのタレント性も加味されて収入は爆発的に上がります。ただ実際は、ダンス講師やバックダンサーとしても活躍して、収入を複数の柱から得ている人が多いようです。まずは、振付だけでなくダンス関連の仕事を複数受けてみるとよいでしょう。

振付師として活躍するための3つのポイント

振付師として活躍するためのコツは何でしょうか。人気振付師の行動や経歴から、3つのポイントを発見しました。参考にしてみてくださいね。

まずダンサーとして全力で活動する

振付師になるには?通う学校や仕事の募集などを解説

振付師の多くは、ダンサーとして自身のダンスを全力で磨いた過去がありました。ダンスを愛している人ばかりだな、という印象です。ダンスに夢中になる中で、自身のダンスチームに振付をしたり、講師として教え子に振付をするうちに、振付師としての道が見えてきた方が多いようです。これからダンサーのキャリアを積む方は、真剣にダンスに取り組んでみましょう。

振付師としてのスキルは後からでも身につけられます。また、ダンサーとしてさまざまなアーティストと縁をつくっておくと、振付師として活動を始めたときに振付をするチャンスが生まれやすいです。積極的に交流しておきましょう。

振付師としてヒット作を出す・アーティストを輩出する

ダンサーとしてダンスを突き詰めたあとは振付師としてのキャリアを始めますが、ヒット作や優れたアーティストを輩出すると、振付師の名前も一躍有名になることが多いです。バブリーダンスを振り付けたakaneさんや、モーニング娘。やAKB48を育てた夏まゆみさんがその代表例でしょう。

ヒット作は、膨大な数の振付をして振付師として経験を積んでいく中で生まれることが多いです。まずは多くの振付をして、自分の作品を増やしていくとよいでしょう。

タレントやアーティストとして有名になる

振付師になるには?通う学校や仕事の募集などを解説
ダンサーのキャリアもありながら、タレントとして有名になって、結果的に振付師としてのキャリアに注目されたり、有名なアーティストを振付することになって振付師としてさらに飛躍する方もいます。自分が売れる道はひとつではありません。タレント活動に興味がある人は、イベントやTV番組の仕事など、ダンス以外の仕事も積極的に行なっていくとよいでしょう。

憧れの振付師を目指してみよう

振付師として自分にしかできない振付をして、それが世の中でブームになったり、アーティストが輝くきっかけになったら、こんなに嬉しいことはありません。まずは自分がダンスに夢中になることが振付師への道の第一歩であり、そこから先は自分次第でいくらでも切り開けます。振付師として食べていくのは簡単ではないですが、絶対に振付師になりたいという思いがあるのなら、その情熱を原動力にして振付師としての道を突き進んでいってください。

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