管理職研修の内容・目的を知ろう!学んだことを活かすために重要なことやおすすめのプログラムもご紹介

社会人になってまず始めに、新人研修に参加した人は多いのではないでしょうか。年次が若いうちは多くの研修がありますが、キャリアを積むにつれて次第に減っていく傾向があります。そして管理職になり、久々に受ける研修が管理職研修です。でも管理職に研修は必要なのでしょうか?実は管理職研修は、新入社員研修と同じくらい重要なのです。管理職研修の目的や内容などについて解説していきます。

管理職にも研修が必要な理由

管理職研修とは?研修の目的、内容、おすすめの研修について
管理職に研修が必要な理由とは何でしょうか。それは、管理職と一般社員では、会社内での役割がまったく違うからです。

会社の構造はよく3層のピラミッド型に例えられます。一番上の層は経営者、中間層は管理職、一番下の層は一般社員です。経営者の役割は、会社の理念を掲げること、経営における決定をすること。管理職の役割は、あらゆるマネジメントをすること。一般社員の役割は、業務を遂行すること、と言われています。例外はありますが、多くの会社はこのような役割分担で成り立っています。

管理職になるということは、一般社員の層を卒業して、新しい層に進出することです。そこで求められることは今までと全く違うので、今までと同じことをしていては管理職失格です。管理職研修には、日頃から忙しい管理職の方が時間を割いて参加するだけの価値が多いにあるのです。

管理職研修は3種類ある!

一口に管理職といっても、管理職になってからのキャリアや経験の違いによって、役割や必要とされるスキルも変わってきます。管理職研修は3種類に分かれています。

新任管理職研修

新任管理職研修は、管理職になったばかりの方が対象の研修です。一番のテーマは、一般社員ではなく管理職としての意識を目覚めさせることです。また、覚えることも多いので、カリキュラムは多めになる傾向があります。

中堅管理職研修

中堅管理職研修は、管理職としての経験は十分になる方が対象で、さらに一歩上のマネジメントスキルを身につけるための研修です。

トップマネジメント研修

トップマネジメント研修は、経営層に近い管理職が対象で、管理職としてのスキルや能力に加えて、経営層としての考え方や意思決定スキルなどを学ぶことができる研修です。経営者の代行ができる管理職を育成することも目的のひとつです。

管理職研修の目的とは

管理職研修の全体的な目的とは何でしょうか。目的を明確に把握しておくことで、研修を受講して得るものはより大きくなります。

管理職としての意識を覚醒させる

管理職研修とは?研修の目的、内容、おすすめの研修について
管理職は今までの一般社員とは役割がまったく異なります。今までは現場の最前線で業務を行なうことが仕事でしたが、これからは、経営層や部下とのコミュニケーション、部下の実績管理やプロセス管理、業務時間数の把握からメンタルヘルスマネジメントまで、さまざまな仕事が増えてきます。管理職として求められる役割や立場を理解させ、管理職としての意識を覚醒させることがとても大切です。

マネジメントスキルの向上

管理職の仕事を一言でいうとマネジメントです。その内容は、部下の実績管理やメンタル管理、業務時間の把握など、多岐に渡ります。コンプライアンス管理や労務管理なども増えてきます。今までは管理されていた立場から、これからは管理する立場になるので、マネジメントスキルを身につけるのは必須事項です。

企業全体の生産性向上

企業は、経営陣・管理職・一般社員が同じ目標に向かって、それぞれに役割を果たすからこそ、企業の生産性や社員と顧客の幸福度が向上していきます。管理職は、経営陣と一般社員の橋渡しをする役割もありますので、管理職の出来が企業の将来を変えると言っても過言ではありません。

管理職研修の内容・テーマとは

管理職研修の主な内容やテーマはさまざまですが、近年は以下の5つが重要視されています。それぞれ説明していきます。

業務管理スキル

管理職の仕事はマネジメント。特に部下の業務を管理することは基本的なタスクです。例えば、部下に「結果を作れ」と言っても、どうしたらいいかわかりにくいですよね。業務を理論立てて説明し、部下に指示できるようにすることは大切です。

代表的な業務管理スキルは、PDCAサイクルと呼ばれるものです。Plan(計画)→Do(実行)→Chack(評価)→Act(改善)という流れで業務を分割し、それぞれの項目をしっかり行なっているか確認しながら仕事をすることで、業務が改善しやすくなります。

リスクマネジメント

仕事にトラブルはつきものなので、ゼロにするのは難しいかもしれませんが、管理職の能力次第で減らすことは可能です。リスクマネジメントの基本は、リスクの洗い出し→リスクが発生した場合の対応を事前に検討→実際に発生したときの対応→今後の対策の検討、という流れです。実際に起こってから対策するのは遅いので、研修でシュミレーションしておくことが大切です。

部下の評価・育成スキル

管理職研修とは?研修の目的、内容、おすすめの研修について
部下の能力を発掘し育てて伸ばすのは管理職の役割です。感情任せ、場当たり的な対応をとっていては、部下は離れていってしまいます。部下育成の基本は、部下の現状把握と目標設定→育成計画の作成→結果とプロセスを見てのフィードバック、という流れで行います。研修ではこの流れをロールプレイングで行なうことで、実際の現場に活かせるようにします。また、部下をもっとサポートしたい、心理的な部分も勉強したいという方は、コーチング研修もおすすめです。

コミュニケーション能力

組織で円滑に仕事をしていくために必要なのがコミュニケーションスキルです。特に管理職は、部下と上層部との橋渡しをする役目があるので、コミュニケーション能力の強化は重点項目になります。コミュニケーションが十分に取れている組織は、人材育成も業績向上もスムーズに行なうことができますので、しっかりと磨いておきたいですね。

メンタルヘルス・マネジメント

管理職に求められる役割として注目されているのが、メンタルヘルス・マネジメントです。近年、心の不調を訴えて職場離脱を余儀なくされる社員が増加しています。社員が職場からいなくなっては元も子もありません。そこで、職場の上司が部下のストレスや心理をしっかりと理解し、業務量や業務時間の管理も適切に行なうことで、心身ともに健康な会社員生活を送れるようにサポートする必要があります。加えて、自身の管理も自分で行なうのが管理職。メンタルヘルスを学ぶことで、自分のメンタルケアにも役立ちます。

部下の求める上司像とは

部下がどんな上司を求めているのか、気になる管理職も多いのではないでしょうか。2015年に、人材サービス会社であるマンパワーグループが調査をした結果を見てみましょう。

調査対象:勤務経験のある18〜60歳の男女
調査人数:1,082名

Q.
あなたが上司に求めるものは何ですか(複数回答可)
A.
1位…正当な評価をする(42.9%)
2位…リーダーシップ、決断力(38.6%)
3位…部下の担当業務、状況の把握・理解(32.6%)
4位…コミュニケーション能力(30.6%)
5位…実務的な仕事の能力(22.6%)

出典:「株式会社マンパワーグループ」上司に求めるものは「正当な評価をする」、「リーダーシップ、決断力」

半数の部下が、正当に評価されることを希望していることがわかります。裏を返せば、正しく評価されていないと不満に思っている部下が多いようです。まだリーダーシップや決断力の欠落している上司は、やや頼りない印象を受けてしまいます。部下の評価ばかり気にしているのも良くありませんが、一緒に働く部下にも気持ちよく仕事をしてもらう方が、後々自分にも返ってくるものが大きいでしょう。管理職研修は、客観的に自分を見るいい機会かもしれません。

[6]おすすめの管理職研修プログラム

ここで、おすすめの管理職研修をご紹介します。管理職研修を行なっている研修会社は山ほどありますが、中でも代表的な3社について説明していきます。

株式会社インソース

インソースは、2003年に立ち上がったベンチャー企業ながら、急速に実績を伸ばして、現在では日本有数の研修会社となりました。年間受講者数は41万人を突破しています。

インソースの研修の特長は、階層別研修が充実していることです。管理職研修だけでも数百種類の研修を用意しており、会社が必要とする研修内容を的確に提供することが可能です。また、オーダメイドの内容で社内研修ができる講師派遣型研修、他社の社員と一緒に研修を受講できる公開講座型研修の両方に対応しているので、会社のニーズに合わせて利用できるのも魅力です。また、研修には事前課題が用意されており、その結果を読み込んでから研修を行なうため、会社にマッチした研修内容を提供しています。

リクルートマネジメントスクール

リクルートマネジメントスクールは、50年以上に渡って社員研修を行なってきた研修のプロ集団で、年間受講者数は13万人以上にのぼります。公開講座型の研修を提供しており、東京、大阪をはじめとして全国でセミナーを開催しています。

リクルートマネジメントスクールの管理職研修の特長は、講座時間が最短3時間〜最長3日間まで幅を持たせていることです。多忙な管理職でも3時間だったら時間を空けやすいでしょう。業務と両立させながら研修が受けられるのは魅力的です。また、研修の主要テーマが5つに分かれているので、目的に沿った研修を探しやすいのもメリットです。研修スケージュールが公開されており、研修数も多く用意されているので、自社の社員にすぐに研修を受けさせたい!と思ったら、リクルートマネジメントスクールで受講するのが一番早いでしょう。

トーマツイノベーション株式会社

デロイトトーマツを母体とするトーマツイノベーションは、人材育成サービスを幅広く取り扱っている会社です。管理職研修は、講師派遣型研修、公開講座型研修とも取り扱っています。公開講座型研修には、大規模になりすぎて座学になってしまう傾向にあるデメリットがありますが、トーマツイノベーションの講座は他社交流型・少人数制になっているので、普段関われない他社の社員と共に密度の濃い研修を受けることが可能です。

また、研修以外に提供しているサービスとして、Biz CAMPUSがあります。これは、企業における人材育成を、定額制で支援するサービスです。まだ人材育成のしくみがない中小企業向けですが、大企業での導入事例もあるそうです。Biz CAMPUSでは、公開型講座やEラーニングなどを用意し、社員が受けたい研修を受けたいときに受講できるようになります。しかも価格は定額なので、企業にとっても安心のサービスです。普通の研修以外のアプローチを考えている会社におすすめです。

管理職研修を活かすために重要なこと

研修は受けて終わりではなく、受けてからが本番です。管理職研修を今後の業務に活かすために重要なことは3つ挙げられます。

研修受講をゴールにしない

管理職研修とは?研修の目的、内容、おすすめの研修について
研修を受けると、学んだことによる満足感を得ることができます。普段の業務とは違う1日を過ごして気分もリフレッシュしていることでしょう。でも、その1日で研修が終わってしまっては、せっかくの研修が無駄になってしまいます。研修翌日からは、学んだことを実践していく大事な期間であり、研修が続いているような感覚でいることをおすすめします。研修内容をかかんに業務に活かしていくことで、さらにフィードバックを得ることができるでしょう。

また、管理職のあなたが研修を受けたことで行動を変えると、部下も研修を受けることや自己研鑽の重要性に気づきます。自己育成のよい循環が生まれるきっかけにもなりますので、良いお手本でいるように心がけましょう。

研修後の成果を測定する

研修後に具体的に何が変わったのか?変わらなかったのか?研修の効果を測定することは大切です。事後課題を設けるなどして、成果を見える化しましょう。自分の変化がわかりやすく見えると、自分の成長を感じて自信にもつながりますよ。

部下の反応を吸い上げる

研修後に管理職がどう変わったか、部下の反応を吸い上げることも大切です。これは、部下の育成プログラムの中に、管理職についてアウトプットする項目を入れておくと自然なサイクルで定期的に反応を吸い上げられるようになります。管理職の成長と部下の成長は連動していますので、双方に効果的な研修・育成内容を策定すると良いですね。

管理職研修を利用して、企業の生産性を向上させよう

管理職研修とは?研修の目的、内容、おすすめの研修について
現在はマネジメントだけでなく、現場の最戦前でも活躍するプレイングマネージャーが多い傾向にありますが、管理職研修は、ある意味新入社員研修よりも重要なものであることが伝わったでしょうか。管理職がしっかりと育ち機能すれば、会社全体が良い循環に入ることが可能です。部下を育てる前に管理職を育てることが大切です。会社は人で成り立っていることを忘れずに、人材育成計画をブラッシュアップしていきましょう。

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