メンタルトレーナーという職業を知っていますか?近年話題になったラグビーの五郎丸選手の活躍の陰には、メンタルトレーナーの存在があったといいます。あまり聞きなれない職業ですが、実際にメンタルトレーナーはどのような仕事をしているのでしょうか。スポーツ選手や一般社会人に対するメンタルトレーニングとはどのようなものなのか、また就職先はどういうところなのか、気になるすべてを徹底解説します。
メンタルトレーナーの仕事内容とは
メンタルトレーナーの仕事は、クライアントが仕事やスポーツでベストパフォーマンスができるように、精神面からサポートすることです。「勉強でいい成績を出したい」「スポーツでいい結果を残したい」と思ったときに、「いくらやっても成績が出なかったらどうしよう」「本番で失敗してしまうかもしれない」などの不安を抱えていたら、本来の実力を発揮することが難しくなってしまいます。
そのため、本番で結果を出すために必要なのは、身体の健康を維持するのはもちろんのこと、身体と密接に関わりをもつ心の健康も保つ必要があります。メンタルトレーナーは、その心の健康を保つ手助けをします。
メンタルトレーナーの1日の流れ
時間 | 仕事の流れ |
---|---|
8:00 | クライアントからのメールチェック |
10:00 | クライアントとの打ち合わせ:どのようにメンタルトレーニングを進めていくか、話し合う |
12:00 | お昼休憩 |
13:00 | 出張トレーニング |
17:00 | 資料作成:どんなトレーニングをするか、科学的な根拠や知識をもと資料を作成 |
気になる年収はどのくらい?
精神疾患を持つ人を対象とした企業での年収は、約300万円~500万円程度です。実力や経験が身についてくると、年収も次第に上がっていきます。
就職先はどんなところ?
まだ日本には、専門的な企業があまりありません。現在は、スポーツ団体や医療機関、一般企業などに所属して活動をしたり、フリーランスとして各現場で持っている知識を生かして働いている方が多くいます。
メンタルトレーナーは女性もなれる?
メンタルトレーナーは男性にも女性にもできる仕事です。体力を使うというよりは、「カウンセリング」や「コーチング」など、科学的な理論を使って精神面のサポートをする仕事なので、人の悩みに寄り添える方や、人の成長を手助けすることが好きな方に向いています。
メンタルトレーナになるには?
メンタルトレーナーに国家資格はあるの?
メンタルトレーナーの国家資格はありません。民間資格をとって活動をしていく形になります。それに加えて、臨床心理士の資格を持っていると優遇されることがあるでしょう。また、現在活躍しているメンタルトレーナーには、元スポーツ選手の方もいます。アスリート経験にプラスして知識やスキルを身につけ、メンタルトレーナーになっているようです。
メンタルトレーナーの資格一覧
- スポーツメンタルトレーニング指導士(日本スポーツ心理学会)
- メンタルトレーナー2級、3級(日本心理学アカデミー)
- メンタルトレーナー養成講座(H.Y.L. Academy)
主に、スポーツメンタルトレーニングに関する資格を取得することができます。書類審査を通過した後、資格取得講習会の受講とスーパーヴィジョンを受けることで、資格認定を得ることができます。
認定講座を受講することで得られる資格です。メンタルトレーナー3級は自分自身のトレーニングが重視されているのに対し、メンタルトレーナー2級は人の心をマネジメントしていく方法を学ぶことができます。
講義を受けることによって、メンタルトレーナーの民間資格を取得することができます。基礎コース、応用コース、上級実践コースの3つに分かれており、各コースごとに試験が課されています。その試験を合格すると、次のコースに進むことができます。
資格は通信講座で取得できる
通信講座によって、メンタルトレーナーの資格を得ることも可能です。しかし、講座によってはメンタルトレーナーになるものではなく、自分自身だけのキャリアアップとして生かすだけのものもあるので注意しましょう。
資格は養成学校に通って取得できる?
民間の養成学校でメンタルトレーナーの資格を得ることは可能です。しかし、必ずしも通わなければならないというわけではありません。大学や大学院で心理学を学ぶこともメンタルトレーナーになる方法の一つと言えます。しかし、大学では資格が得られるわけではないので、実務に即した知識を身につけるためには、専門のスクールや講座に通ったほうがいいでしょう。
メンタルトレーニングとスポーツの関係性
メンタルトレーニングはスポーツと密接に関わっています。スポーツで大切なのは、身体能力の他に強靭なメンタルです。試合の前に不安になったり緊張してしまったら、いくら身体を鍛えていても思うように生かすことができなくなってしまいます。そのため、プロのアスリートはスポーツメンタルトレーニングをおこなって、精神を鍛えることも大切にしているのです。
スポーツメンタルトレーニングとは?
スポーツメンタルトレーニングというのは、スポーツをしていくうえで最高のパフォーマンスができるように心の状態を整えるトレーニングです。思い込みを捨てる、気持ちを切り替える、運動する、といったことを行います。また、目標を決めて、その目標に向けてやるべきことや、やらないほうがいいことを明確にしていくなど、スポーツで結果を残していくためのトレーニングを行います。
どんなスポーツで使われているの?
ゴルフやテニス、サッカー、野球、ラグビーなど、さまざまなスポーツで活用されています。特に、テニスはメンタルスポーツとも呼ばれているので、メンタルトレーニングを行うことがが重要になってきます。
メンタルトレーニングをやってみよう!
メンタルトレーナーになるうえで大切なのは、自己管理をしっかりと行うことです。自分に余裕がなければ、人のことを支えることはできません。自分自身でメンタルトレーニングをやってみることで心を整えることができます。また自信がついたり、不安や恐れを克服できたりなど利点もたくさんあります。そんなメンタルトレーニングについて、簡単に紹介していきます。
メンタルトレーニングって何をするの?
- なりたい自分、目標をイメージする
- 瞑想をしてみる
- 自分の思い込みをなくす
最終的にどうなりたいか、といったような理想のイメージを具体的に持ちます。そして、それを達成するためにはどういうことをしていけばいいか、の小さな目標を定めます。これにより、セルフイメージを高めることができます。
瞑想には、観察瞑想と集中瞑想の2種類あります。集中瞑想は、どのような思考が浮かんでも自分の呼吸のみに集中することです。観察瞑想は、呼吸を大切にしていきながら瞑想中に生まれた思考を客観的に捉える練習をすることです。
これによって意識を「今」に向け、ブレない精神をつくっていきます。
肯定的な言葉使ったり、できる人のまねをすることで、自分のセルフイメージを高めます。そういったことで、「完璧でなくてはならない」「失敗は許されない」などの思い込みをなくし、「自分にはできない」というネガティブな感情を薄めていきます。
このようなトレーニングによって自分のセルフイメージを高め、「なりたい自分」を実現していきます。
コーチング料金はいくらくらい?
相場では、一時間約8,000円~15,000円ほどになっています。主なコーチングの受け方は3つあり、詳細は以下のとおりです。
- 必要な時に単発で指導を受けるもの
- 定期的に相談やトレーニングを受けに行くもの
- 期間を決めてサポート契約をするもの
また、気軽にメンタルトレーナーをやってみたいという方は通信講座によってトレーニングすることも可能なので、そういったものも試してみるのもよいでしょう。
メンタルトレーナーの選び方は?
さまざまな料金で展開されていますが、一般的にトレーナー経験が浅い人は料金を安くして、経験が豊富な人は料金を高くする傾向にあります。つまり、高い値段を払えば経験と実力が伴った質の良いコーチングを受けることができます。しかし、高い値段はそれだけ支払いが大変になりますので、「自分がどれだけそのことに投資したいか」を考えて選ぶとよいでしょう。自分がどうなりたいか、どのような指導を受けたいかを明確にして、自分に合ったメンタルトレーナーを選びましょう。
有名なメンタルトレーナー 元ラグビー代表のメンタルコーチ・荒木香織
荒木香織さんは、五郎丸選手率いるラグビー日本代表にかかわっていた、メンタルトレーニング・コンサルタントです。科学的な根拠に基づいた指導をし、リオデジャネイロ五輪で初採用された7人制ラグビーで、強豪・南アフリカを破って日本代表を4位に導きました。
メンタルトレーニングの本
- ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」(講談社+α新書)荒木香織
- №.1メンタルトレーニング-本番で最高の力を発揮する最強の自分をつくる
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先ほどご紹介した荒木香織さんの著書です。五郎丸選手のあのポーズはなぜ、どのようにして生まれたのかなど、荒木さんにしかわからないことが書かれています。
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女子マラソン・五輪メダリストの有森裕子さんが推薦する一冊です。心理的アプローチだけではなく感情面にも働きかけることによって、脳をNo.1の状態にする方法を説いています。
メンタルトレーナーは人の悩みに寄り添い、心を支える仕事!
何かに挑戦するとき、誰しも壁にぶつかることがあります。身体的には問題がないのにどうしてうまくいかないんだろう、と感じている人は、もしかしたら心が弱っているのかもしれません。そんな時に一緒に悩んで、解決するためにどうするのがいいかを考え、指導するのがメンタルトレーナーの仕事です。
メンタルトレーナーに国家資格や、必ず取らなければならない資格はありません。しかし、なにも資格を持っていないと胡散臭いと思われたり、怪しまれたりすることもあるようです。精神は人の目に見えない曖昧なものです。身体の病気とは違って、誰の目にも明らかなものではありません。だからこそ、メンタルトレーナーは専門家として、精神の不調に対してどのようなアプローチをすべきか、理論をしっかりと勉強する必要があります。