心理学を活かした資格4種類を徹底解説!日本初の国家資格「公認心理士」もご紹介

心理学に関する資格はたくさんあります。これまでは民間の資格しかなかったのですが、最近になって心理関係の資格に国家資格ができました。今回は心理学を活かした資格の特徴や取得方法を詳しく説明して、日本初の国家資格についても解説していきます。

心理学とはどんな学問?

心理学を活かした資格4種類を徹底解説 日本初の国家資格【公認心理士】もご紹介

心理学とは、人の行動や心理がどのような動きをするか研究する学問のことです。ドイツの大学の哲学教授が作った「心理学実験室」が現代の心理学の起源と言われています。

心理学にはさまざまなアプローチがあります。発達心理学は人が生まれてから死ぬまでの心の変化が何によって起こるのかを探求する心理学です。また、認知心理学では人の近くや記憶、理解と学習、問題解決、意識状態について研究します。臨床心理学は心のバランスを崩してしまった人へ心の状態の改善を目指すものです。

心理学を活かした資格の種類一覧

大学で学ばなくても取得できる「心理学検定」

心理学を活かした資格4種類を徹底解説 日本初の国家資格【公認心理士】もご紹介

一般社団法人 日本心理学諸学会連合認定

  • 心理学検定と受験資格
  • 心理学の受験資格のほとんどは、大学や大学院で心理学の単位を取得することです。しかし、この心理学検定は大学で心理学の単位を取得していなくても受験できる資格です。心理学検定は一番易しいレベルの2級から、1級、特1級のレベルがあります。試験は年に1回で、受験資格の設定はありませんので誰でも受験することが可能です。
    大学で大学院を卒業していなくても取得できる「心理学検定」は、大学や大学院を卒業していないと得られない資格に比べると資格としては弱い側面がありますが、資格を持っていない人に比べれば就職などで有利に働くことはあります。

  • 大学院入試に役立つ場合がある
  • 臨床心理士の取得を目指す人が、自分の知識を試すために心理学検定を受験する場合があります。心理学検定の一番難しいレベルの特1級に合格できるくらいではないと、大学院の入試に合格できないという指標として心理学検定を受ける人もいるようです。大学院によっては心理学検定の資格を持っていると入学試験の際に優遇される場合もあるので、受験する大学院に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

  • 再就職に役立つ場合がある
  • 心理学に関連する資格を持っていると再就職の時に有利になる場合があります。心理学の資格の中では一番弱いものではありますが、無資格に比べれば有利です。

心理学について基礎的な知識がある証明「認定心理士」

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公益社団法人 日本心理学会

  • 認定心理士と受験資格
  • 認定心理士は、「公益社団法人 日本心理学会」が認定する心理学の基礎資格です。この資格は、「4年制大学で、所定の36単位以上の心理学の単位を修得していること」「大学を卒業し、学士(修士)の学位を取得していること」を満たしていれば、申請することで取得できます。

    認定心理士は心理学の専門家として仕事をする上で、心理学の基礎知識と技能を修得している証明になる資格です。この資格を持っていないといけない職業はありませんが、人と関わる仕事や心理学の専門職を目指している人は取得しておくことをおすすめします。

    公的に認められている専門家の証「臨床心理士」

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    公益社団法人 日本臨床心理士資格認定協会

    • 臨床心理士と受験資格
    • 臨床心理士は、臨床心理学の知識や技術を使って、心理的な問題に関わる専門家です。資格を取得するためには、文部科学省が認可する「日本臨床心理士資格認定協会」が実施する試験に合格する必要があります。

      受験資格は、「指定の大学院を修了し、所定条件を充足している」「臨床心理士養成に関する専門職大学院を卒修了している」「諸外国で指定大学院と同等以上の教育を受けている、修了後の日本で心理臨床経験が2年以上あること」「医師免許を持っているもので、医師免許取得後、心理臨床経験2年以上があること」などです。

    • 資格が活かせる場所
    • 臨床心理士は、公立学校のスクールカウンセラーになるために必要な資格であるように、公的にも認められている心理学の資格です。この資格を持っていると、スクールカウンセラーや福祉・医療分野や民間企業のカウンセラーなど専門職として働けます。

    心理教育的援助の専門家「学校心理士」

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    一般社団法人 学校心理士認定運営機構・日本学校心理士会

    • 学校心理士と受験資格
    • 現在、多くの児童生徒が学校生活の中でさまざまな悩みを抱えています。そして、小中学生の不登校が増えていたり、いじめ、高校の中退、非行、学級崩壊、校内暴力などの問題が深刻になっています。
      また、学習障害・注意血管多動性生涯・高機能自閉症などの生涯を抱える児童生徒への教育の整備は重要な課題になっています。資格の有効期間は5年間で、5年ごとに資格更新手続きを行わなければなりません。

      受験資格は、「大学院で学校心理関係の科目単位を修得し、修士課程・専門職学位課程を修了して学校心理学に関する専門的実務経験が1年以上ある」「4年制大学卒業で学校心理学に関する専門的実務を5年以上経験している」「大学または大学院で授業を2年以上担当して学校心理学の8領域に関する研究実績が5編以上ある」などです。筆記試験、提出された書類、研究実績又はケースレポートによって資格認定審査が行われます。申請のための条件や手順はホームページに掲載されていますので、ご確認ください。

    • 学校心理士が活躍するところ
    • 学校心理士は、特別支援学級、特別支援学校、幼稚園、小中高等学校などの教育現場で活躍できます。他には、教育委員会や教育相談所、教育センターで活躍している人や相談業務に携わっている人もいます。

    日本初の国家資格「公認心理師」とは

    公認心理師とは

    心理学を活かした資格4種類を徹底解説 日本初の国家資格【公認心理士】もご紹介
    心理学関連の資格は今まで公的な資格がありませんでした。しかし、最近になって「公認心理師」は国家資格として創設されました。第1回の公認心理師の資格試験は平成30年9月に実施する予定です。公認心理師と臨床心理士の違いは、臨床心理士は大学院卒業ではないと資格を取得できないのに比べ、公認心理師は大学卒業と実務経験のルートで受験資格が得られるところにあります。

    公認心理師の資格取得方法

    公認心理師の資格資格を取得するためには、「大学、大学院で必要科目を修了している」または「大学で必要科目を修了し、文部科学省・厚生労働省が指定する施設で2年以上実務経験を積んでいる」ことが条件ですす。

    公認心理師の実務経験とは

    実務経験を満たすためには文部科学省・厚生労働省が指定した施設で2年以上の経験があることとされていますが、施設での実務経験プログラムを修了するためには標準的な期間として3年間ほど必要とされています。また、大学や大学院の実習先、実務経験として認定される施設は、病院・診療所、介護福祉老人施設、児童相談所、地域活動支援センター、学校、教育委員会、刑務所、少年院、生活支援センターなどがあります。

    経過措置について

    大学・大学院に在学中の人、大学・大学院で心理系の科目を修了して卒業した人、心理職に就いている人については「経過措置」があります。公認心理師法施行後の5年間、特例として受験資格が認められる人がいます。それは以下に挙げた人です。

    • 公認心理師法施行日前に大学院で必要な科目を修めている、あるいは大学院在学中で施行日以後に必要科目を修めた方
    • 施行日前に大学に入学して必要な科目を修めて卒業し、施行日以後に大学院で必要科目を修了して卒業した方
    • 施行日前に大学に入学して必要科目を修了して卒業し、大学卒業後に2年以上の実務経験を積んだ方
    • 5年以上実務経験があり、指定の現任者講習会を受講した方

    現任者講習会は、すでに5年以上、心理関係の職業に就いている人が受ける日本心理研修センター主催の講習会です。この講習会を受けることで公認心理師の受験資格を得ることができます。現任者講習会は、4~5日ほどで約30時間の内容です。

    公認心理師の活躍の場

    公認心理師は、専門的な心理学の知識や技能、精神医学などの医学や福祉、教育、保険医療などの知識を活かして心理的な支援を必要とする人へのサポートを目的としています。関連するいろいろな職種の人たちと協力しながら、一人ひとりに合わせた適切なサポートを行っていきます。公認心理師は今後、医療・福祉・教育の場はもちろん、司法の分野や産業・労働の分野でも活躍していくことが期待されています。

    心理学の資格を取得するメリット

    心理学を活かした資格4種類を徹底解説 日本初の国家資格【公認心理士】もご紹介

    心理学の資格を取得したいと考えたのは、心理学を勉強して社会や人の役に立ちたいと思ったからではないでしょうか。心理学は人の心を理解し、支えるためにとても素晴らしい学問といえます。集団生活の中で人間関係に悩んだり、さまざまな要因で心の病を持つ人が増えてきている現代で、心理学を活かした仕事で人を救えるのは素晴らしいことです。悩みや迷い、心の中に抱えている問題を誰にも打ち明けることができず悩んでいる人は多いでしょう。そんな人たちの助けになれるよう、心理学を学び資格を取得することは、誰かの救いにつながります。

    • 資格を持っていると手当が付く場合がある
    • 心理学の資格を持っていると資格手当が付く場合があります。中でも臨床心理士は心理学の職の中では給料が高い傾向にあります。心理学という専門的な知識は誰もが持っているものではありません。その専門的な知識や技術を仕事に活かせる資格は、給料や待遇がよくなる事が多いです。

    自分に合った心理学を活かした資格を取得しよう

    心理学の資格は専門的な勉強が必要です。そして、心理的な職業をするためには資格を持っていないとできないこともあります。今までは民間の資格だけであった心理学を活かした資格に国家資格ができ、本年度初の国家試験が実施されます。人の心を支えたい、サポートしたい人は心理学を学んで仕事に活かすことを考えてみてはいかがでしょうか。

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