職業訓練を受けるためにはどのような手続きが必要なの?選考試験や給付金についても知っておこう

仕事を探しているけれど、自分には就職に有利に働く知識や技術がない、という人はどうしたらいいのでしょうか。そんな人のためにハローワークでは、再就職をサポートする目的で色々な講座を開催しています。これを「職業訓練」と言います。今回は、職業訓練について解説していきます。

職業訓練について知ろう!

職業訓練を受けるためにはどのような手続きが必要なの?選考試験や給付金についても知っておこう

職業訓練とは

職業訓練とは、ハローワークで仕事を探している人を対象に、就職に必要な知識や技術を学ぶための訓練のことです。再就職をサポートする目的で行われていて、失業中に失業給付を受給しながら学ぶことができるため、職業訓練を希望している人が増えてきています。ハローワークには「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類があり、職業訓練のほうは失業保険を受給している人、求職者支援訓練は失業保険を受給していない人が受けるものです。

訓練の期間はさまざまで、6ヶ月、1年、2年などがあります。科目についても多種多様で、通信・情報・電気・機械・金属系などがあり、自分が目指す仕事に合わせて学ぶことができます。運営は、国、都道府県、市町村などで、「学卒者訓練」「離職者訓練」「在職者訓練」の3種があります。

職業訓練はどんなものがあるの?

職業訓練の職種はとても多く、さまざまな雇用のニーズに対応できるようになっています。最近はIT系の職業訓練が人気になってきていて、ホームページ作成、ExcelやWordの基本から応用編までが学べる訓練が特に人気です。また、電気工事、建設や溶接、機械やビル管理、福祉関連、清掃業務まで多くの職種に対応しています。

職業訓練にどんなものがあるかは、都道府県によって異なります。まずは最寄りのハローワークへ行き、パンフレットを集めてみましょう。ハローワークには無料でもらえるパンフレットが置かれています。気になる講座のパンフレットを全部もらって検討してみることをおすすめします。中には年に1回しか募集をかけない講座もありますので、全ての講座のパンフレットが置いてあるわけではありませんが、パンフレットを揃えることでどんな講座があるのか知ることができます。

講座によっては年齢制限を設けていることがあります。気になる講座があったら、ハローワークの相談窓口で詳しい内容や申込み方法などを聞いてみましょう。相談する時は、自分がどのような職種に就きたいのかを伝えます。その職種に必要な知識や技術がどんなものかによって、講座をいくつか紹介してもらいます。職業訓練の相談は、失業している人だけではなく、在職中の人でもできますので、自己のスキルアップのために講座受講を考えている人は相談に行ってもいいでしょう。

職業訓練を受講するためにやるべきこと

職業訓練を受けるためにはどのような手続きが必要なの?選考試験や給付金についても知っておこう

受講の資格や費用について調べる

職業訓練は申込に条件や対象者が定められています。受験できる条件として、「ハローワークに求職申込をしている人です。受講したい職業訓練の受講開始日からさかのぼり、1年以内に職業訓練を受講したことがある人は申込ができません。しかし、雇用保険の受給資格の有無に関わらず、申し込みは可能です。

  • 離職者対象の講習

仕事を探している離職者が再就職する際に、必要な知識や技能を習得することを目的にした職業訓練で、ハローワークで求職の申込をしている人が対象になります。訓練の期間はさまざまですが、基本は3ヶ月から1年ほどのものが多く、教科書代等は自己負担になりますが、受講料は無料です。

ただし、都道府県実施講座の中には、受講料が有料である長期の講座のものもあります。講座を受講することになったら、雇用保険受給対象者は給付金がすぐにもらえ、講座が修了するまで延長されます。退職理由が自己都合だったとしても、3ヶ月の給付制限期間を待たず訓練校に通い始めた時点で給付が開始されます。

  • 学卒者対象の講座

訓練期間は1年~2年程度で、受講料は有料になります。仕事に必要な専門的で応用的な知識や技術を学ぶために長期の訓練を行なっています。

  • 在職者対象の講座

訓練期間は2日~6ヶ月程度で、受講料は有料です。高等技術専門学校や職業能力開発センターで、技術の向上、ビジネススキルの向上、資格取得を目的に短期間での講習を開催しています。

申し込みに必要な書類

  • 受講申込書

ハローワークでもらえるパンフレットに付いているものです。

  • 証明写真

縦3センチ×横2.5センチの証明写真を用意します。また、失業保険受給者資格証を持っている人は、失業保険受給者資格証も用意しておきましょう。

ハローワークに申し込む

申込先は受講を希望する訓練校ではなく、ハローワークです。ハローワークの職業相談窓口に提出します。

職業訓練校の選考試験について

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筆記試験を受ける

職業訓練を受けるための筆記試験には、数学や国語などの試験とSPIのような適性試験の2種類があり、このどちらか一方を受けることになります。職業訓練の受講を決めるためにはこの筆記試験よりも面接を重視するところが多いようですが、最低限の知識があることを測るために行なっています。筆記試験については、過去問を掲載している都道府県があるので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

面接を受ける

職業訓練の講座を受ける際、面接は重要視されます。再就職に意欲的な人であるか、再就職できそうな人かを面接で見定めているのです。そのため、面接のときには志望動機や講座が修了した際にはどのような展望を持っているかアピールするといいでしょう。

面接の時の志望動機はどんなものがいいのか

職業訓練の競争率は人気があるものですと、2倍を超えるものもあります。「就職するために必要なスキルを身につけるために」など、誰もが言いそうな志望動機では合格を勝ち取ることは難しいでしょう。スキルアップしたいと思った出来事を具体的に話すことができることが大切です。「就職活動をしていて、◯◯の技術が身についていないことで採用してもらえなかったため、◯◯の必要性を強く感じています。」と詳しく伝えられるといいでしょう。

面接の際の服装はスーツがいいでしょう。就職したいという意欲をどれだけアピールできるかがポイントになってきます。

職業訓練で就職しやすい職種とは

職業訓練を受けるためにはどのような手続きが必要なの?選考試験や給付金についても知っておこう

介護職

職業訓練を受講して就職しやすい職業の一つに介護職があります。介護職の種類はさまざまです。未経験でも採用してくれるところもあるので、それぞれの施設の特徴をしっかり認識した上で自分でもできそうな種類を選ぶことが重要です。「老人ホーム」では生活面をサポートします。「デイサービス」では利用者の方とのレクリエーションなどを決まった時間に行います。そして、高齢者のお宅へ行く「訪問介護」などがありますので、職業訓練を通してどの職種が自分に合っているかを参考にしましょう。

保育士

保育士の仕事も比較的就職しやすい職種です。園児たちの安全を守り、日常生活の世話をすることが主な仕事です。保育士の仕事は保護者が働いている時間、大事な子どもを預かるという重要な責任を担っています。子どもたちだけでなく、保護者や保育士同士のコミュニケーションも大切です。

IT関連

もう一つ、就職しやすいのはIT関係の仕事です。IT関係の仕事は未経験でも採用してもらえる会社がありますが、職業訓練で短期間で新しいアプリケーションやスキルを修得しておくと採用されやすくなります。職業訓練ではIT関連の講座がありますので、この業界を目指す人は講座に申し込んでみてはいかがでしょうか。

職業訓練受講給付金制度とは

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職業訓練受講給付金制度とはどんなもの?

「職業訓練受講給付金制度」とは、雇用保険の受給期間が終了しているなどで、雇用保険が受給できない人でも職業訓練を受けて求職できるように、訓練を受講している期間中は経済的な支援をしてくれる制度のことです。誰でもこの制度を使えるわけではありません。支給資格を得るにはいくつかの条件を全て満たしていることが必要です。詳細は以下のサイトでご確認ください。

厚生労働省「職業訓練受講給付金制度」

職業訓練給付金申請手続きについて

ハローワークで求職者支援制度の説明を受け、職業相談をして訓練コースを選びます。受講申込の手続きをし、給付金の事前審査を申請します。ハローワークからもらった受講申込書を訓練実施機関に提出して選考を受ける、という流れになります。

  • 自分で用意するもの

■本人確認書類(免許証や健康保険証など)
■住民謄本の写しまたは3ヶ月以内に交付された住民票記載事項証明書
■審査日の前月の本人収入を証明する書類
■申請日の前年の本人および同居する全ての家族の収入を証明する書類(源泉徴収票など)
■本人および同居家族が持っている、申請日の時点で貯金残高が50万円以上であるすべての預貯金通帳または残高証明
■給付金の振込先となる通帳

  • ハローワークで交付される書類

■受講申込書
■受講申込・事前審査書
■職業訓練受講給付金要件申告書
■職業訓練受講給付金通所届

職業訓練給付金の受給で注意すべき点

  • 訓練には全回出席が必要

給付金の支給には、訓練を休まず受けることが必要です。遅刻や早退または講座の課目を一つでも欠席したらそれも欠席扱いになります。病気などハローワークが定めるやむを得ない理由で欠席する場合は、証明書が必要です。

  • 支給の申請は毎月

職業訓練の受講期間が終了してからは、ハローワークが定める日に1ヶ月に1回訪れて職業相談と支給申請をする必要があります。指定日以外にハローワークへ行くことは基本的にはできませんが、やむを得ない理由がある場合は証明書類を提出することで変更できる場合もあります。

  • 講座の欠席や就職支援の拒否をする場合は給付金を返還することもある

訓練の欠席を繰り返したり、受講終了後の就職支援のための指定日に連絡せず行かないことを繰り返した場合、訓練を受講できなくなることがあります。また、場合によっては訓練の初日からの給付金を返還しなければならないこともあります。

就職を目指して職業訓練を受けよう!

職業訓練を受けるためにはどのような手続きが必要なの?選考試験や給付金についても知っておこう

職業訓練は就職を目指す人にとても役立ちます。スキルアップのために就職に必要な知識や技術を得ることができるのはとても嬉しい制度です。ハローワークには多くの講座のパンフレットが置いてあります。目指す職業に合わせて職業訓練を受けてみるのもいいのではないでしょうか。

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