テレビやラジオ番組の台本を書く「放送作家」。有名な方はテレビに出たり雑誌の連載をしたりなどと活動の幅が広いので、なんとなく耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、実際にどんな仕事をしているのか知っている方は少ないと思います。そこで、放送作家の仕事内容やなるための方法、女性に向いている職業かなどについて徹底的に解説します!
放送作家の仕事って?
放送作家の仕事とは、主にテレビやラジオ番組の台本を書くことです。番組の企画を立て、構成を組み台本に起こしていきます。番組の構成を考えるので構成作家とも呼ばれます。バラエティー番組やドキュメンタリー、歌番組など、ドラマや報道番組を除くあらゆる番組を担当しますが、放送作家によって得意なジャンルがあるようです。
有名な方では「ガキの使いやあらへんで」「めちゃ×2イケてるッ!」を手がける高須光聖さん、「探偵!ナイトスクープ」を担当している百田尚樹さん、「SMAP×SMAP」「ほこ×たて」「いきなり!黄金伝説。」と数々の有名なテレビ番組」を生み出した鈴木おさむさんなどがいます。
また、AKB48の総合プロデューサーとして知られている秋元康さんは、もともと放送作家をしていました。売れっ子の放送作家はタレントとしてテレビに出演したり、雑誌で連載を持ったりと様々な顔を持っていることが多いのも特徴です。百田尚樹さんは、ミリオンセラーの小説も書いているので小説家として活動していると思っている方も多いのではないでしょうか。
放送作家の年収はどのくらい?
放送作家の年収は、本人の人気や実績によって大きく左右されます。フリーランスで仕事をする放送作家の給料は、完全に歩合制でボーナスもありません。放送作家は番組を一本担当するごとに30,000円から200,000円の報酬を受け取ります。
また、担当する番組の数や質も作家によって大きく差があるようです。売れっ子作家は一週間に10本ものレギュラー番組を担当し、一本当たり10万円以上の報酬を受け取ります。一方、副業をしなければ生計がたてられないほど仕事がない作家もいます。駆け出しのうちは年収200万円を下回る作家も多いですが、超売れっ子になれば年収は一億円を超えるといわれています。
放送作家の一日の流れとは
複数の番組を同時期に担当する放送作家は、色々な番組の打ち合わせや台本作成、ロケハン、番組収録の見学や生放送といったスケジュールをこなしていきます。朝から晩までスケジュールが詰まっているためとても忙しい仕事です。さらに、それらの仕事の合間を縫って番組のネタ探しや放送内容について勉強をする必要があり、放送作家の一日は多忙を極めているのです。
「放送作家になる道のりは百人いれば百通りある」
放送作家になるためには、これといって決まった方法や道のりはありません。きっかけは様々で、キャスターやADから転職して放送作家になる人もいます。視聴者を楽しませる番組を作ることが仕事なので、お笑い芸人としてブレークを狙っていた人が放送作家に転向することもあります。
放送作家になるために学歴・資格は必要?
放送作家になるために、必要な学歴や資格はありません。しかし、一般的に日本語力や文章力、発想力や知識量が求められる仕事のため、大学や専門学校を出てから放送作家になる人が多いようです。
放送作家養成スクールに通う
芸能事務所やテレビ局・ラジオ局などが主催する放送作家養成養成スクールに通って、放送作家の仕事を勉強するという方法があります。仕事を得るためのコネクションを作る機会もあり、一番はじめやすい形といえるかもしれません。
また、数は少ないですが放送作家事務所が主催するスクールもあり、このようなスクールでは成績が優秀な場合、事務所に所属できるチャンスもあります。養成スクールで勉強した後にテレビ局などによるコンテストに応募してチャンスを狙う人もいます。
「ハガキ職人」からスタート
ラジオ番組では、リスナーからのハガキを出演者が読み上げそれを話の種にします。出演者や他のリスナーの間でペンネームが知られるほど常連のリスナーは、「ハガキ職人」と呼ばれています。これがきっかけでディレクターなどの目に留まり、スカウトを受けて放送作家になったという「”元”ハガキ職人」の放送作家がたくさん存在しています。
AKB48の総合プロデューサー秋元康さんもハガキ職人だったそうです。「とんねるずのオールナイトニッポン」は、複数の放送作家を輩出してきた番組として知られています。
プロの放送作家に弟子入り
放送作家事務所に入って、プロの放送作家に弟子入りする人もいます。弟子入りを認めてもらえれば放送作家の仕事を直接学ぶことができ、人脈をつくる大きなチャンスにもなるでしょう。売れっ子放送作家の事務所では、若手の放送作家が見習いとしてアシスタントをしている場合もあります。
しかし、弟子入りを志願しても断られてしまうことも多いようです。人気放送作家の鈴木おさむさんが、弟子入りを申し込んだ青年に対し自分が構成している番組を全て挙げさせるテストをして、青年が全て答えられなかったために不合格にしたというエピソードがあります。申し込む作家にもよりますが、相当な熱意をもって研究しないと弟子入りは難しいかもしれません。
体力勝負の放送作家!女性でもできる?
放送作家は男性が九割を占めている
女性の放送作家はとても少なく、九割以上が男性であると言われています。これは放送作家の仕事が激務であり、体力勝負だということが大きいからでしょう。放送作家になると、一日中打ち合わせや収録に追われ会議が深夜まで続いたり、プロデューサーなどから急に呼び出しを受けたりということもあるため、かなり体に負担がかかる仕事です。また、勤務時間も一定ではないので出産や育児との両立はかなり難しいでしょう。
女性ならではの視点を生かして活躍する人気女性放送作家のご紹介!
放送作家には昔から男性が圧倒的に多いですが、最近は番組作りに女性の視点を求める声が増えていて、女性放送作家の需要は高まってきています。そこで、女性としての視点を生かして活躍する人気の女性放送作家の方をご紹介します。
たむらようこさん
大ヒットした「慎吾ママ」を手掛けたたむらようこさんのことは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。たむらようこさんは早稲田大学卒業後、ADとしてテレビの制作会社で働きはじめました。テレビ番組の制作現場では、女性がとても少ないので女性としての意見を求められることが多かったそうです。
しかし、一ヵ月以上家に帰れないほどの激務で、普通の女性とはかけ離れた生活を送る自分が、女性たちを代表して意見を言うことに疑問を感じるようになり、放送作家ならADよりも自分のペースで仕事をしてきちんとした生活を送れると考えて転職をしたそうです。
女性放送作家として働き始めたたむらさんは、男性が多数を占める制作会議で女性の感覚を反映させた意見が通りにくいことを実感したといいます。そして、制作現場で働く女性の仲間を増やしてもっと女性視聴者の感覚に近い番組を作りたいという考えの下、2001年に女性がたくさんいる番組制作会社「株式会社ベイビー・プラネット」を設立しました。女性が働きやすいように、育児と仕事を両立できる制度を整えているそうです。
山田美保子さん
「踊る!さんま御殿!!」「ノンストップ!」「カノッサの屈辱」など人気番組を数多く手掛けてきた山田美保子さん。青山学院大学を卒業後、TBSのキャスタードライバーやレポーターを経て放送作家になったそうです。現在では「女性セブン」「サンデー朝日」「日経MJ」などで連載を持つほか、「情報ライブ ミヤネ屋」「二時っチャオ!」「やじうまプラス!」など多数の番組にコメンテーターとして出演し、辛口のコメントで知られています。
勝木友香
勝木友香さんは、モデル出身の放送作家です。福岡出身の勝木さんは地元でスカウトされ、高校卒業を機に上京してきたそうです。モデル活動の傍ら放送作家のアシスタントを始め、2004年に放送作家としてデビューしました。独特のセンスを生かして「浜ちゃんが!」「サワコの朝」「ペットの王国 ワンだランド」「紅リサーチ」「明石家さんちゃんねる」など、多数の番組を手掛けています。
また、占いや美容、料理や着物の着付けと趣味や資格を多く持ち、ネット上での占いの連載や家庭料理研究家としての活動などもされています。
新井桜奈
新井桜奈さんは、「とんねるずのオールナイトニッポン」のハガキ職人出身の放送作家です。同番組パーソナリティの石橋貴明さんと放送作家の吉野晃章さんに直接申し込んで、放送作家見習いにしてもらったというとても行動力のある方です。その後、秋元康さんを中心とする映像コンテンツ制作会社に入社して放送作家になりました。
これまでに、「クイズ赤恥青恥」「ウチくる!?」「めちゃ×2イケてるッ!」「ジャンクSPORTS」など、多数の人気番組の制作に携わっている実力者です。現在はフリーランスで活動し放送作家の他にも様々な媒体でのライターをしています。また、心理学・セラピー・スピリチュアリティなどに詳しく、セラピストとしても活動しています。
放送作家は狭き門の厳しい世界、でもやりがいは十分!
人気が出れば様々な場で華やかに活躍できる放送作家。実際は地道な作業も多く下積み期間は収入も少ない大変な仕事で、放送作家として成功するのはほんの一握りです。しかし、自分がプロデューサーやカメラマンなど多くのスタッフさんや芸能人と、一緒に作り上げた番組に視聴者からの反響があったときの達成感は放送作家ならではでしょう。女性がまだまだ少ない業界だからこそ、熱意のある方は挑戦してみてはいかがでしょうか。