診療放射線技師は意外と身近な職業!1日の仕事内容や国家試験の合格率について

診療放射線技師をという仕事を知っていますか?健康診断で胸部X線検査をしていたのが、実は診療放射線技師なのです。また、レントゲンを撮ることも診療放射線技師の仕事の一つです。放射線と聞くと危険なイメージがありますが、診療放射線技師は放射線をどのように医療に利用しているのでしょうか?今回は、私たちの健康と深くかかわっている診療放射線技師について徹底解説します。

診療放射線技師とは

診療放射線技師は意外と身近な職業!一日の仕事内容や国家試験の合格率について

診療放射線技師は、医師の指示のもと放射線を用いた検査や治療を行います。昔は診療エックス線技師と呼ばれていましたが、α線やβ線を使うなど放射線治療が多様化したことで名称が変わりました。では、実際に診療放射線技師がどんな仕事なのか見ていきましょう。

診療放射線技師の仕事内容について知ろう!

診療放射線技師は、私たちに関係のあるさまざまな仕事をしています。

  • X線撮影

肺に病気があるか調べる検査です。基本的にX線を通すため、肺は黒く映ります。しかし、肺に炎症があると白い影ができます。息を止めて撮影しないとブレてしまうため、息を止めて撮影します。

  • 消化管造影検査、血管検査

消化管造影検査では普段しぼんでいる胃を発泡剤で膨らませて、胃の粘膜の隅々までバリウムを付着させます。これによって見落としのない画像を撮影します。血管検査では造影剤を血管に直接流し込み、血管の形や状態を撮影します。

  • マンモグラフィー

乳房を上下・斜め上下から圧迫をし、腫瘍の有無などを調べます。見逃しのない画像を撮影するためにも、なるべく薄く平たくします。

  • 核医学検査

体内に投与した放射性医薬品から出てくる放射線が臓器に集まる様子をガンマカメラで撮影し、病気の診断や治療に役立てます。臓器の形だけではなく、機能や血液の流れる量も調べることができます。

  • 放射線治療

ガンなどの病気になったときに、身体を傷つけることなく治療する方法です。身体の外からあてる外部照射と身体の内側からガンやその周辺にあてる内部照射があります。

  • CT検査、MRI検査

CT検査というのは、コンピューター断層撮影法のことです。ガントリーという円筒形の機械に入り、身体の断面や骨、血管、内臓などを3D画像で撮影します。MRI検査では、人の身体に含まれている水素原子が強い磁場に反応する性質を使って、脳や血管など柔らかい組織の検査をします。

一日の流れ

時間仕事の流れ
8:00医療機器の始業点検
10:00
外来患者の撮影
外来の受付開始後、数分で患者さんの撮影
12:00
お昼休憩(交代制)
13:00
入院患者の撮影
入院している患者のCTやMRI検査
15:00
画像処理
CTやMRI検査の場合、3Dを作ったり、色を付けたりなどの画像処理
17:00
終業点検

気になる年収は?

診療放射線技師の初任給は20万円程度です。一年の年収は350万~600万円程度になっています。また、派遣で働く場合は、時給1,800円~2,000円ほどです。高給取りになるのは難しいですが、安定した収入を得ることができるでしょう。

求人募集や就職先について

検診施設、総合病院、大学病院、公立病院、国立病院機構、企業などに就職することになります。有名な医療機器メーカーなどに就職したい場合や大学病院などに努めたい場合は、大卒である方が有利になることもあります。その他に、派遣社員やアルバイトとして働く人もいます。

診療放射線技師になるにはどうすればいいの?

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診療放射線技師になるためには、高校を卒業し、診療放射線技師の養成学科がある4年制の大学3年制の短大・専門学校に通います。そして卒業をしたら、診療放射線技師国家試験を受けます。試験に合格したら、医療機関に就職して技師として働くことになります。

診療放射線技師国家試験の合格率は?

合格率は70%前後となっています。年によって多少の違いはありますが、合格率が特別低いということはないようです。例年、診療放射線技師国家試験の受験者は2,500名前後で推移しています。試験は毎年2月下旬に行われています。

大学の難易度・偏差値はどのくらい?

  • 国立の偏差値

国立大学の偏差値は54~62ほどになっています。現在偏差値が一番高いのは名古屋大学の医学部保健学科放射線技術科学専攻です。国立大学は授業料が安い分偏差値が高いので、入るためにはしっかりと勉強をする必要があります。

  • 私立の偏差値

私立大学の偏差値は37~57となっています。一番偏差値が高いのは、北里大学の医療衛生学部医療工学科診療放射線技術科学専攻です。国立大学よりも偏差値は低いですが、授業料が高額になっています。

専門学校に通って夢を追いかけよう!

大学ではなく、3年制の専門学校に通うことによって診療放射線技師になることも可能です。専門学校では実習を中心として教育が行われ、現場に近い状況で学ぶことで即戦力になることができます。ただし、企業に就職する場合などは現場重視の専門学校よりも知識を学ぶ大学に進学するほうが有利になることもあるそうです。自分がどのような仕事をしたいかで、大学に行くか、専門学校に行くかを考える必要があります。

放射線って危なくないの?

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診療放射線技師は放射線を使って仕事をします。医療目的で使う放射線は、身体に影響が出る量よりもはるかに少ないので、きちんと知識をもった診療放射線技師が使う分には問題ありません。撮影することでの病気発見や症状の診断による利益は大きく、放射線は医師が診断や治療をするためにとても重要であると言えます。

医師や放射線技師にとって欠かせない放射線とは、一体どのようなものなのでしょうか。

放射線と放射能の違い

放射線は、放射性元素の破壊によって放射される莫大なエネルギーのことです。現在はそのエネルギーを使って電力にしたり、透過する性質を生かして医療分野で使ったりしています。一方、放射能は放射線を出す能力のことです。つまり、放射能から放射線が出ているのです。

被爆した場合の影響

放射線は自然界に存在していて、1年に人が受ける放射線量は世界平均で2.4ミリシーベルトと言われています。このように、被爆しても一定の量よりも少なければ身体に影響は起こりません。けれど一気に被爆するとガンになる危険性が高まると考えられています。ですので、放射線の取り扱いには十分な知識と注意が必要です。

診療放射線技師の将来性

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人体に影響のある放射線を取り扱うので、正しい知識を持った診療放射線技師の存在は欠かせません。少なくとも今後、すぐに機械に取って代わられるということはなさそうです。

一方で、診療放射線技師は就職難であるともいわれています。理由としては、技師には医師や看護師と違って人員基準がなく、各病院で必要とされる人員が少ないことがあげられます。また、一度就職したら定年まで同じところで働くことが多いので空きが出なかったり、毎年採用をするわけではなかったりするのが就職難の原因ともいえるでしょう。

診療放射線技師がすぐに必要なくなるという事はありませんが、早くから就職に向けて行動することが必要です。

診療放射線技師の魅力について

レントゲンやCT写真を撮ることで、患者さんの病気を早期発見することができます。また、放射線を使って現在日本人の死因第一位ともいわれているガンの治療をすることも可能です。患者さんの治療効果が出てくると、大きな喜びとなるでしょう。

やりがい・大変なことはどんなところ?

診療放射線技師は主に撮影するのが仕事なので、上手くレントゲンを撮れたり、撮影した写真から病気を発見できたりすることがやりがいとなっているようです。力仕事はあまりありませんが、治療によっては一日中重い放射線防護エプロンを着て立っていなければならないこともあります。

忍耐力がある人が向いてる!

診療放射線技師は高度な医療機器を使って、患者さんの検査や治療を行います。医療分野の中でも次々と新たな知識や技術が生まれるので、毎日勉強し続ける覚悟が必要です。また、基本的には日中に働くことが多いですが、大きな病院によっては「日勤」や「当直」が入ることもあったり、急な呼び出しに対応しなければならないこともあります。ですので、勤勉で忍耐力があり、患者さんのために頑張れる人が診療放射線技師に向いていると言えます。

女性の診療放射線技師は需要が高い!?

診療放射線技師は就職難だといわれている中で、マンモグラフィーを撮れる女性の需要が増しています。マンモグラフィーというのは、乳がんがないかを調べるための検査の事です。乳房をX線で撮影します。乳腺全体を撮るためにぎりぎりまで引っ張り出し、乳房を薄く平たくする必要があるので、どうしても接触する必要性があります。そのため、男性技師だと抵抗を覚える患者さんも少なくありません。

また、マンモグラフィーを撮れると手当をもらえることもあるので、女性で技師を目指す方は認定資格を取ってマンモグラフィーのある施設を選んだほうがよい待遇を受けられると思われます。結婚や出産をして仕事から一度離れても、知識や経験があれば復職することも可能です。医師や看護師よりも規則的な勤務なので、仕事と家庭の両立がしやすいといえるでしょう。

診療放射線技師は高度なチーム医療の一員!

診療放射線技師は意外と身近な職業!一日の仕事内容や国家試験の合格率について

医療による放射線利用は、かつて医師によって行われていました。しかし、放射線診療技術の高度化に伴って、診療放射線技師ができました。診療放射線技師になるために大学や専門学校で大量の知識を身につけたり、国家試験を合格する必要があったりと、その道のりは容易ではありません。

診療放射線技師は高度なチーム医療の一員です。次から次に出てくる新しい知識や技術を学ぶ勤勉性や、それらに対応する柔軟性が求められます。

また、放射線は便利である反面、適切に扱わなければ命を危険にさらすものなので、注意力が必要な仕事といえるでしょう。患者さんの病気をいち早く発見したり、放射線を使った治療ができるのも、診療放射線技師だからできることです。医師や看護師と協力しながら医療従事者として患者さんと向き合い、自覚と責任をもって仕事をすることが大切になってきます。

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