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【医師監修】妊娠中の茶色いおりものは危険信号?ニオイや量、色の変化でわかる身体のこと

みなさんはおりものについてどのくらいの知識がありますか?女性にとってとても身近であるにも関わらず、そのことについてあまり学べる機会は少ないもの。また、デリケートゾーンの話はいくら親しい友人とであってもなかなか話題にはしにくいものです。そのため、間違った知識による自己流のケアを続けてしまっている方も少なくないようです。ここでは、そんなおりものについて詳しく学んでいきましょう。

【医師監修】妊娠中の茶色いおりものは危険信号?ニオイや量、色の変化でわかる身体のこと

2017年08月09日更新

髙橋怜奈 先生 (産婦人科医)

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[1] おりものとは何?基礎知識を知ろう

そもそも、おりものとはいったい何なのでしょうか。 「おりものってベタベタして嫌な感じがするし、下着も汚れて傷んでしまう、それにニオイも不快・・・。」こんなふうに、おりものに対してマイナスなイメージを持たれている方がほとんどだと思います。

しかし、そんな少しやっかいなおりものですが、それは女性にとって必要なものなのです。これからなぜおりものは女性にとって必要な存在であるのか、その理由をみていきます。

おりものってなに?

おりものとは、その名前からもわかるように、女性の身体の中からおりてくるものをさします。そして、その粘性にある液体の正体は、子宮、膣、汗腺からの分泌液が混じりあったものです。

おりものは、成熟した女性になら、誰にでもあるもので、それは、私たちに女性としてのカラダの変化や体調の変化を気づかせてくれる、カラダからのメッセージなのです。

おりものについて知ることは、自分のカラダの変化や体調について知ることでもあるのです。ぜひ、この機会に正しい知識を身に付けましょう。

おりものの重要な役割は?

女性にとってやっかいな存在に思われがちなおりものですが、女性の身体を健康に保つための重要な役割を果たしているのです。まず、ひとつめの役割は、自浄作用です。自浄作用とは、細菌が膣内で繁殖するのを防いでくれる役割のことです。

おりものの働きによって、膣内はpH 4.5~5.0の酸性で保たれています。また、デーテルライン桿菌という「善玉菌」が大腸菌やカンジダ真菌の異常増殖を防いでいるのです。

更に、排卵期に受精を助ける役割があります。粘調度の高いおりものがあることで、精子が子宮の中にスムーズにたどり着けるよう、サポートしています。

[2]あなたのおりものは正常?臭いの特徴を知る

そんな、女性の身体において重要な役割を果たしているおりものですが、では、一体正常なおりものとはどのようなものなのでしょうか。まずは、臭いについて詳しくみていきましょう。

正常な状態のおりものの臭い

おりものはふつう、無臭です。しかし、時間を置くと膣内に常菌している乳酸菌の一種である、デーデルライン桿菌がもととなった「甘酸っぱい」ようなにおいがしてきます。この菌が膣の中を細菌が繁殖しにくい酸性度の高い環境に保っているのです。

この「甘酸っぱい」においがするのはこのためで、健康な状態であるといえるのです。

また、おりもののにおいは、月経の時期や体調によっても変化します。異常な状態の場合には、においに変化がでることがあるため注意を払っておくことが必要です。

においの原因を突き止めよう

おりもののにおいは、正常な状態であれば、そこまできつくにおうことはありません。おりもののにおいをくさいと感じるかどうかには、個人差がありますが、あまり気にする必要はないでしょう。

しかし、いつもより臭ったり、それが長くつづくようであれば、異常のある可能性があります。では、おりもののにおいはなぜ強くなってしまうのか、考えられる原因をみていきましょう。

≪体調不良によるもの≫
考えられるおりもののにおいの原因のひとつとして、体調不良やストレスなどが原因となるものが挙げられます。何らかの体調不良がおきると、自浄作用が低下し、それに伴いデーデルライン桿菌が減少し、膣内の健康状態も一時的に悪化してしまいます。

すると、細菌の異常増殖がおき、おりもののにおいが強くなったり、くさくなってしまうことがあるのです。疲労などが原因となっている場合も多いので、しっかりと体を休めて、早めのケアを心がけるようにするといいかもしれません。

ストレスが原因にもなるので、おりもののにおいを気にし過ぎて神経質になってしまうことは、ストレスになり、状況を悪化させてしまう可能性があります。汗や尿と同じように体の分泌物であるため、多少の匂いはあるものだと思って、あまり気にしないようにすることも大切です。

≪おりものではなく外陰部のにおい≫
通常、おりもの自体が強くにおうことはあまりありません。ただ、アンダーヘアなどの毛におりものや尿、汗がついたりして長時間たつと、細菌が増殖し、においが発生することはあります。これは、頭皮やわきが汗をかいてくさくなってしまうことと同じ原理ですが、アンダーヘアでも同様のことが起きるのです。

おりもの自体がにおうわけではないですが、尿のふき残し、汗、おりものが下着についたものが長時間たつとデリケートゾーンににおいが発生してしまうことがあります。おりものシートを活用したり下着を通気性のよいものにするとよいでしょう。

≪薬の服用によるもの≫
3つめににおいの原因として考えられるものとして、抗生物質の服用が原因となっている場合があります。膣内には、デーデルライン桿菌が常菌していますが抗生物質の服用によって、デーデルライン桿菌が減少してしまうことがあるのです。抗生物質は病原菌を排除するという重要な役割を果たしてくれますが、デーデルライン桿菌のような善玉菌の働きまでも低下させてしまう場合があります。

膣内の善玉菌が減少してしまった結果、雑菌が異常増殖し、細菌性腟症を発症すると、おりものが魚のくさったようなにおいになることがあります。
このような場合は、抗生物質の服用を止めれば、徐々にもとのおりものの状態に戻っていくことでしょう。また婦人科で治療をすることも可能です。

≪婦人科系の病気が原因になっている場合≫
最後に、婦人科系の病気が原因でおりもののにおいが」きつくなっている場合についてみていきます。今まで挙げてきた、3つのにおいの原因の中に心当たりのあるものがなく、明らかにおりものの量やにおい、色などに普段と違う異変があれば、より注意が必要です。

子宮頸癌や子宮や卵巣の炎症でもおりものが増えたり、匂いがでることがあります。

[3]おりものの量について悩む前に知っておくべきこと

おりもののお悩みの中で、「量が多い」というのをよく耳にします。これは、デリケートゾーンのことなので、「なかなか他人には相談」しにくい内容のお悩みですし、いつもより分泌量が多いとどこか身体に異常があるのではないか、と不安に思ってしまう人も少なくはないでしょう。

悩んでしまう前に、まずみなさんに知っておいてもらいたいことは、おりものの量は非常に個人差が大きく、また、その量を多いと感じるかどうかも主観に大きく左右されてしまうもので、正常かどうかを判断することは、とても難しいということです。

おりものの量が多いか、判断できる目安として、おりものシートだけでカバーできる量なら、基本的に問題はありません。

また、膣の過剰な洗浄も控えたほうがいいでしょう。お風呂で外陰部を石鹸で洗いすぎたり、膣内にまで手をいれて洗浄するなど、過度の洗浄は、膣内の「善玉菌」までも洗い流してしまう恐れがあります。

この善玉菌は、雑菌の繁殖を抑える働きをしてくれているので、この善玉菌がいなくなってしまったり、不足したりすると、膣内の抵抗力が低下し、感染を起こしてしまったり、異常なおりものが出たりといった症状がでることがあります。

基本的にはシャワーのみで洗うだけで十分、気になる場合はデリケートゾーン専用の石鹸を泡立てて優しく外陰部だけ洗うようにしましょう。

ホルモンの働きによるおりものの量の変化

おりものがでること自体、全くおかしいことではありません。おりものには、膣内に潤いを与え、雑菌などから守ってくれる役割があるのです。それは、口にとっての唾液や、目にとっての涙と同じ役割といえます。

特に異常がなくても、おりものの量は、女性ホルモンのバランスによって変化するものです。特におりものの分泌と密接にかかわっているのは、女性ホルモンのひとつである卵胞ホルモンというものです。

卵胞ホルモンが多くなるのは排卵期であるため、生理と生理のちょうど中間の時期におりものの量が増えることは正常な反応だといえます。また、妊娠中も卵胞ホルモンの分泌量が増えるため、おりものの量は多くなるでしょう。

≪妊娠中にみられる異常なおりものの原因は?≫
先ほども述べたとおり、妊娠中は女性ホルモンの作用が一層強まるため、おりものの量も増加します。おりものが増えても多少の変化なら正常と考えて大丈夫でしょう。

基本的には、通気性をよくしておくことを考え、清潔に保つだけでよいのですが、もしも痒みや痛みが出てきた場合には検査をする必要があります。妊娠中は、膣内が「カンジダ」というカビの一種が増殖しやすい環境になるので、膣炎を起こしやすくなります。

また、妊娠初期症状として、茶色いおりものがでることがあります。これは、妊娠初期症状として子宮などから出血していることが原因となって起こる症状です。しかし、このような出血が続く場合や、悪臭がする場合、出血だけでなく痛みがあるときなどは、病院を受診する必要があります。

おりものの量が異常に多い場合

おりものの量が異常に多い場合の原因として、クラミジアや淋菌など性病による子宮頸管炎の可能性もあるので、早めに受診しましょう。

クラミジア頸管炎は、放置した場合、発熱や下腹部痛を引き起こすことがあります。また、抗生物質の服用で治療できますが、対応が遅れると不妊症の原因となる場合もあるため注意が必要です。

[4]おりものの色の変化を見極める

おりものの状態は、自分自身の身体の健康状態を映す鏡のようなものです。おりものの量は、もともと多少変化するものなので極端な変化でなければ、気にする必要はありません。しかし、おりものの色やにおいの異常は、重大な身体からのサインである可能性があります。そのため、おりものの色の変化を見極めることは、自分の身体の変化を見極めることに直結するのです。

正常時のおりものの色

正常な状態では、おりものの色は透明、または乳白色です。実際に体内から出てくるときには膣の粘膜の細胞など様々なものが混じるため、多少クリーム色がかっていた場合でも正常の範囲内だと言えます。

黄緑色

膿のような黄色や鼻水のような黄緑色のおりものが多く出た場合は、細菌性の膣炎である可能性があります。淋菌やクラミジア感染の可能性もあります。いずれも婦人科で検査、治療することが可能です。このようなおりものをみたら婦人科を受診しましょう。

ピンク色や茶色

ピンク色や茶色のものは、血が混じってしまったおりものです。このおりものは、不正出血があるサインであるため、長期的に続く場合は診察を受ける必要があります。このようなおりものによって疑われる病気としては、子宮がんやクラミジア、淋菌、子宮頸管ポリープ、子宮筋腫などがあります。

妊娠中のおりものの色の変化

妊娠すると、おりものの色やにおい、量がいつもと変わったように感じるかたが多くいますが、ホルモンバランスが通常とは異なるため、量が増えたとしても、何か特別に問題があるわけではありません。

妊娠初期に、茶色いおりものが出る場合があります。茶色いおりものが出るようになり数日して、妊娠が発覚した方もいます。妊娠初期段階に多いこの茶色いおりものは、血が酸化した色です。

お母さんのおなかの中で赤ちゃんが成長していくときに毛細血管が切れ、その出血がおりものと一緒にでてきたものが、茶色いおりものの正体です。

色は、赤に近い茶色や茶褐色で、微量の出血が酸化しただけなので、心配する必要はない場合がほとんどです。

ただし、茶色から赤(鮮血が混じったような色)におりものの色が変化したりし、量が生理のように多くなったりした場合は、医師の診察を受けましょう。

[5]おりものケアにおりものシートがおすすめ

おりものの量が多い方は、下着をこまめに換えることが基本的な対処法ですが、おりものシートの使用もおすすめします。おりものシートとは、別名パンティーライナーとも呼ばれるもので、おりもの専用に開発されたシートのことをいいます。

厚さは、約1~2mmと、生理用ナプキンと比べるとだいぶ薄く小さいので、下着につけてもほとんど違和感を感じません。しかし、長時間のあてっぱなしは、かゆみの原因になることもあるため、こまめに交換し、清潔に保つことが大切です。

おりものにおい対策

ほとんど気にならない程度ですがおりものに、においを感じる方もいるかもしれません。また、おりものにはタンパク質が含まれているため、ずっと放置していると腐敗臭がすることもあります。

もしも、においが気になるようであれば、お湯で洗ったり、下着をこまめに取り換えたりするのがいいでしょう。デオドランドタイプのパンティーライナーを使うのも効果的です。

ただし、いつもと明らかに違う異常なにおいを感じたら、すぐに婦人科に相談しましょう。

その他の対策法

おりものの量やにおいが気になるからといって、デリケートゾーンを洗いすぎるのは逆効果です。石鹸でかぶれてしまったり、乾燥によってかゆみが起きることがあります。

おりものは、膣やデリケートゾーンのうるおいを守るためにある程度は必要なものです。洗うときはお湯で優しく洗うか、気になるようであればデリケートゾーン用の石鹸をよく泡立てて使用しましょう。

[6]おりものの変化を日頃からチェックすることが大切

女性にとって厄介な存在であり謎が多き存在であるであろう、おりもの。今までは深く知る機会がほとんどなかった存在でもあるはず。大切な自分の健康のために、これからは、正しい知識を持ってしっかりと理解したうえで、自分の身体と向き合っていきたいですね。

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