子どもが癇癪を起こしてしまって大変!何をしても子どもの気持ちは収まらないしどうしたらいいの?と困っているお母さんも多いはず。そんな子どもの姿を見てついイライラしてしまうこともありますよね。今回はそもそも癇癪はなぜおきるのか、発達障害との関係はあるのか、癇癪を起こした時の対応の仕方などを紹介します。原因や関わり方を知って子どもの癇癪と上手に付き合っていきましょう。
癇癪(かんしゃく)とは?
簡単にいうと癇癪とは子どもの自己表現方法のひとつといえます。体とともに心が成長していく中でどうしようもない感情や思いを癇癪といった形で大人に伝えようとしているのです。もちろん子どもによって個人差はあるので、癇癪を起こさない子もいれば手のつけようがないくらい癇癪が激しい子もいます。
どのような症状があるの?
症状としては大声で泣き叫んだり、噛み付いたり、たたく蹴るなどの暴力をふるったり、物にあたったりなど様々です。共通して言えるのは困らせようとわざとしているのではなく、自分でも気持ちをコントロールすることができず興奮状態にあるということです。
外出先などでも人の目を気にすることなく寝転がって地団駄を踏むことも多いです。
癇癪を起こしやすい時期
2歳頃
自分でできることや、やってみたいことが少しずつ増えてくるこの時期ですが、まだ言葉の発達が十分でないために自分の思いを上手く伝えられずに癇癪を起こしやすいといえます。
3歳~4歳頃
2歳頃に比べて言葉で伝えることもでき理解力も増えてきます。しかし、自我が発達してきたことによって自分で「こうしたい!」という思いも強くなり、それがうまくいかなかったときに癇癪を起こします。
また、自分でやりたいという気持ちとは反対に、まだまだ“甘えたい”という思いもあるため、その葛藤が癇癪につながることもあります。
5歳頃
この時期になると気持ちのコントロールを自分でできるようになってくるため、癇癪を起こすこともほとんどなくなっていきます。5歳を過ぎても癇癪がある場合は何かしらの原因があると考えられます。5歳になれば会話も十分に成り立つので、子どもの心の声に耳を傾ける時間を作ることも必要ですね。
子どもが癇癪を起こす原因
子どもは癇癪を起こそうと思って起こしているわけではないので、必ずしも原因があります。原因が分かると少しはお母さんのイライラもなくなるのではないでしょうか。
自主性や意思の芽生え
成長とともに少しずつ自主性や意思が芽生えてきます。自分でやりたいという気持ちに反して行動が伴わないことの歯がゆさによって気持ちが爆発してしまいます。
また、子どもは最後まで自分でやりたいと思っているのに“時間がないから”などといった理由で大人が手助けをすることに対して異常なほど怒ったり、うまく自分でできないことへのイライラを募らせたりした結果、癇癪を起こすのです。
言葉で伝えられないもどかしさ
まだ上手に話せない1歳~2歳の子に多く見られ、自分の思いが伝わらないことへのイライラが癇癪を起こす原因になっています。
欲しいものが取れない、かまってほしいのに大人が気付いてくれないなど、「自分はこうしたいのに何で分かってくれないの?」という思いをぶつけるかのように大声で泣いて暴れたり、物を投げたり、噛み付いたりしてしまいます。
それは言語が十分に発達していないからです。言葉で伝えたくても伝えられないもどかしさをどうにかしてぶつけようとしているのです。
環境の変化によるストレスや疲れ
引っ越しをして新しい生活になったり、保育園に入園したりと今までと違った環境になることで子どもはストレスや疲れを感じます。大人は自分でコントロールできますが、子どもは自分で対応しきれないのでそのような時に癇癪を起こしやすくなります。
欲求不満
自分の欲求が満たされないことへの不満から癇癪を起こしがちです。言葉で伝えられないもどかしさのように自分の思いが叶わないことへのイライラが癇癪につながるといえます。
発達障害との関係は?
癇癪がひどいからといって発達障害だとは言い切れませんが、発達障害の特徴として癇癪がなかなかおさまらない、感情の起伏が激しいとった傾向がみられることは確かです。癇癪は大きくなるにつれてなくなっていきますが、保育園の年長になってもおさまらない場合は一度専門家に相談してみるのもひとつの方法です。
発達障害の特徴
気持ちの切り替えが苦手
自分にとって嫌なことや苦手なことがあると、人はそれを避けようとしたり、自分の都合のいいように考えを変えたりと子どもでも大きくなるにつれて自分の気持ちをコントロールできるようになります。しかし、発達障害の子は自分の気持ちをコントロールしたり、良い方向に気持ちを切り替えたりすることが苦手です。
そのため、ずっと不愉快な状況が続いてストレスが溜まってしまい、癇癪を起こしがちなのです。
相手の気持ちを理解しづらい
発達障害の子は相手の表情や言動から思いを汲み取ることが苦手で、人の気持ちが分かりづらいといった傾向があります。そのため、人とのコミュニケーションがうまく取れなかったり自分の思いだけで行動したりするので、それを他者から制止させられると感情が爆発してしまいます。
言葉の発達に遅れがある
発達障害の子は言葉の発達に遅れがあるため、自分の思いを伝える手段が少なく、相手に伝わらないことへのイライラが癇癪を起こす原因になっていると考えられます。
なるべく癇癪を起こさずに済むようにしていく
発達障害の子は特に一度癇癪を起こすとなかなかおさまらないので日ごろから癇癪を起こさなくて済むような環境を作ってあげることが必要です。
子どもを認めてあげる
子どもがやりたいと思ったことをできるだけさせてあげてください。あれもだめ、これもだめと制止ばかりが増えてしまうと、癇癪を起こすだけでなく子どもが成長していく上で大切な“やってみたい”と思う気持ちや探求心までも奪ってしまうことになります。
危険なこと以外は子どもの思う通りにさせてあげ、側で見守ってあげましょう。
見通しの持てる声掛けや肯定的な声掛けを心掛ける
子どもは大人と違って先々の見通しをもって生活することができません。そのため、急に遊びを中断されたり、場面を切り替えられたりすることを嫌います。スムーズに次のことに取り掛かれるように「これが終わったら~しようね」「何時になったら〇〇に行こうか」などと前もって伝えてあげましょう。
発達障害の子は言葉だけでは伝わりにくいことが多いので、次にすることの絵や写真などを見せながら伝えてあげると理解しやすいです。
また、「それはダメだよ」と否定的な言葉はなるべく使わないようにし、「こうするといいよ」と肯定的な言葉を使うことで同じ意味合いでも子どものとらえ方が変わってきます。
視覚的に気持ちを伝える
発達障害の子は、言葉の発達がゆっくりで気持ちを言葉で表現することが難しいので、今はどのような感情なのかを絵カードを使って知らせる方法を使うといいでしょう。怒っている顔、悲しい顔、困っている顔のイラストカードを用意しておき、そのカードを使って相手に気持ちを伝えるようにします。
また、反対にこちらの気持ちを伝える場合にも使うことで、相手がどのような気持ちなのかということが分かりやすくなります。
癇癪が起きた時の対処法を前もって考えておく
嫌なことがあったときや気持ちが収まらなくなったときなど、どうしたらいいか子どもと一緒に前もって決めておくといいでしょう。例えば、特定の場所を用意しておき、気持ちが収まらなくなったらその場所に行くといった方法です。
これは保育園でもよくする対処法ですが、部屋の隅に囲いをしてその子の好きな玩具を置いておき、一時的に落ち着ける空間を作ってあげるのです。また、好きな香りを嗅いだり好きな感触の物を触ったりと、その子に合った方法を考えてあげるといいでしょう。
癇癪を起こした時の対応
では、子どもが癇癪を起こしたときはどうしたらいいのでしょうか。原因がはっきりとわからないまま癇癪を起こされるとお母さんもイライラと怒りがこみ上げてきますよね。特に外出先でひっくり返って泣かれた時には周りの目も気になるし、どうにかして泣き止ませようと焦ってしまいがちです。
まずは深呼吸して自分の気持ちを落ち着かせてから子どもと関わることを心掛けましょう。
子どもの気持ちを代弁する
何が原因で癇癪を起こしているのかわからなくても、思い当たることを口にして子どもに伝えてあげましょう。
「これが嫌だったのかな?」「こうしてほしかったのかな?」と言ってあげることで子どもはお母さんが自分としっかり向き合ってくれていると感じます。その言葉が引き金となり、落ち着きを取り戻して自分の言葉で伝えようとします。
また、言葉が話せない小さい子に対しては、「嫌だったね」「眠たいね」など思いを代弁してあげることで安心します。
抱きしめてスキンシップをとる
子どもはお母さんに抱っこをしてもらうだけで気持ちが落ち着き、満足します。すぐには泣き止まない場合もあるとは思いますが、根気強く接してあげてください。スキンシップを取りながら場所を変えてあげるだけで赤ちゃんは特に気持ちを切り替えることができることがあります。
また、好きな玩具で気を引いたり、外の景色を見ながら「あっ!あそこに鳥さんがいるよ」などと少し声を張って話しかけたりと嫌な状況から気をそらせてあげることも大切です。
表現の仕方を伝える
気持ちを代弁したりスキンシップを取ったりして、子どもの気持ちが十分に落ち着いたところで、「さっきは何が嫌だったの?」「どうしたかったの?」と子どもの気持ちにゆっくりと耳を傾けてあげましょう。
3、4歳にもなれば自分の言葉で伝えようとするはずです。子どもの思いを聞いた上で、“そういう時はこうやって言うのはどう?”と表現の仕方を一緒に考えてあげるのです。
例えば、「嫌なことがあったときは物を投げるんじゃなくて、ここが嫌だって教えてくれるとお母さん嬉しいな」や「何かしてほしい時は叩くんじゃなくて“取って”って言ってくれたらわかるよ」などと具体的に表現の仕方を伝えてあげるといいでしょう。
感情的になって怒らない
いつまでも泣き止まなかったり、癇癪を起こして子どもが投げた玩具が運悪く自分に当たったときなど、ついイラっと怒りが込み上げてきますよね。怒っても仕方ないと分かっていても大きい声を張り上げてしまうお母さんも多いです。
しかし、子ども自身どうしたらいいのかわからずパニック状態になっている上に、親が感情的になって怒ったところでさらに状況は悪化するだけです。子どもも負けじとこれまで以上に大声で泣き叫んだり、暴れたりと取り返しのつかないことになるので、イライラした気持ちをぐっとこらえてゆったりと関わってあげることが必要です。
癇癪がおさまった後は必ず褒める
いろいろな対応を試みて、子どもがようやく落ち着きを取り戻したときには「えらいね、泣き止んだね」「今日は物投げて怒らなかったね」などと良い所を見つけてその場で必ず褒めてあげてください。
子どもは褒められることで喜びを感じ、癇癪をやめると褒めてもらえるんだと思うようになります。癇癪を減らすひとつの方法にもなりますよ。
癇癪も成長の一つと考えてじっくりと向き合いましょう
子どもの癇癪には悩まされますし、精神的にも疲れますよね。ただ、お母さんが感じているのと同じように子どもも悩み、癇癪を起こすたびにどうにもならないもどかしさを感じているはずです。
癇癪を起こすということは、それだけ自我が芽生え成長している証拠なので、今しかないこの時期を大切にし前向きな気持ちで子どもと向き合ってほしいと思います。癇癪の原因が何なのかを考え、お母さんが温かく寄り添ってあげることで子どもは安心感、満足感を感じられることでしょう。
子どもにゆったりと関わってあげられるように、お母さん自身が忙しい日々の生活の中で無理をせず、リフレッシュする時間も大切にしてくださいね。子どもの癇癪で悩んでいるお母さんにとって、今回の記事が少しでも子育てのヒントになれば嬉しいです。