【医師監修】咳が止まらない時は病院で診断を!すぐにできる対処法や治療方法について

咳が止まらない

山田晃子 先生

咳が止まらない状態が続いていると、とても疲れてしまいます。咳をすることで、全身の筋肉を過剰に使ってしまうためです。3週間以上続く咳があるときは、風邪以外の病気なっていることが多いので、病院にいくことが大切になります。今回は、咳が止まらないときの対処法と、病院にいったときの診断や治療法についてご紹介していきます。

咳が止まらないのはどういう時?

咳が出るときは、気管支に外部から異物が混入したときと、気道に痰がたまって吐き出そうとしているときです。この状態がずっと続いていると、咳が止まらなくなります。気管支に入る異物は、ウイルスや食べ物のほかに、ほこりや煙なども含まれます。

咳をすると、体から勢いよく空気が出てきます。気管支やのどは、この空気の力で異物を外に出そうとしているのです。咳は意識的に出すこともできますが、止められない場合は、反射的に異物を外に出す脳の働きによって起こっているので、自分で止めるのが難しいのです。

咳が止まらない原因は?

咳が止まらなくなる原因は、のどや気管、気管支の粘膜に刺激が与えられることによって起こります。食べ物や埃のようなものであれば、何度か咳をするとそれらが出て行くため、咳は治まりますが、長期間続く場合には、何かの病気が原因の可能性があります。

咳は痰が出ない乾性咳嗽(かんせいがいそう)と、痰が出る湿性咳嗽(しっせいがいそう)があります。咳をすると、エネルギーを消化するほか、咳をする際に利用する筋肉で筋肉痛になったり、咳の衝撃で肋骨を骨折することもあります。原因が多岐にわたるので、原因を知るためには医療機関を受診する必要があります。

咳が止まらない時の診断や検査

咳が止まらないという理由で、病院に行った際に行われる検査についてご説明します。すぐに原因が特定できない場合は、たくさんの検査をされるので不安になるかと思いますが、正しい診断に必要な検査となります。

問診

まずは問診です。どの病気でも本人が話せる場合は本人が、難しい場合は家族が病気の症状について説明する必要があります。例えば、風邪のような症状がないか、タバコを吸っている人が周りにいないか、なども重要な情報です。

どのような症状が出ていたのかを聞くことによって、医師が病気を判断する手がかりにするのです。咳が止まらない場合は、咳が出始めた時期や、咳をしている期間、痰の有無や症状が悪化する状況を聞かれることが多いので、答えられるように情報を整理しておきましょう。

胸部レントゲン検査/CT検査

気管支や肺に炎症がないか、肺癌などが隠れていないかを調べるために、胸部の写真を撮影します。まずは簡便で被ばく量も少ないレントゲン検査を行い、異常が疑われればより詳細に胸部の観察ができるCT検査を追加する場合が多いです。

レントゲン、CTともに被ばく量はごく僅かであり、赤ちゃんや妊婦さんでも診断に必要な場合には積極的に検査をすすめています。

肺機能検査

肺機能検査とは、計測器を使って肺の機能を調べるものです。肺活量や残気量など複数の項目を調べることができます。スパイロメーターという機械が使われることが多いです。測定後は、それぞれの検査項目ごとに基準値がありますので、その基準値と比較して病気かどうかの診断を行います。この検査では、喘息や閉塞性肺疾患などの病気を診断することが出来ます。

血液検査

血液検査は血液を採取して色々調べるものです。現代では血液から色々なことがわかるようになりました。咳が止まらない場合に調べる項目としては、

  1. 気管支炎や肺炎など、炎症がないかどうかを調べる検査
  2. アレルギーがないかどうかを調べる検査
  3. がんの可能性を見る血液腫瘍マーカー
  4. 血栓などができやすい体質ではないか

等になります。血栓については、エコノミー症候群や肺塞栓症と呼ばれる、血液の中の血栓が、肺の動脈をふさいで詰まらせてしまう病気かどうかの参考にするものです。肺塞栓症は、咳以外にも、胸の痛みや息苦しさが出てきます。気づかれにくい病気のため、死亡率が高い病気ですが、検査を行うことで早期発見につながります。

妊婦さんはお腹に赤ちゃんがいることで血流が悪くなったり、運動量が減っていることからエコノミークラス症候群のリスクが高いので、特に注意が必要です。血液検査は受ける側は血液を採取されたら、結果を待つだけなので特別何かしなければならないというわけではありません。

たんの検査

たんの検査は、喀痰(かくたん)検査と呼ばれています。たんを採取して、顕微鏡などで確認することで、どの中にどのようなものが含まれているのかを調べます。顕微鏡で見て、細菌がいるかどうかや、血が混ざっていないかどうかを確認します。

さらに、病原菌を特定したり、がんの細胞がないかどうかを見て、総合的に病気を判断する材料にします。検査を受けるときは、口の中に食べ物などが残っていないように、歯を磨いてうがいをしておくことが大切です。たんを取るときに、食べ物が口の中にあると、取り出したたんに混ざってしまい、検査する際に鑑別が難しくなるためです。

気管支内視鏡検査

気管支内視鏡検査とは、口からファイバースコープという管を入れて検査をする方法です。内視鏡検査なのでカメラの画像をモニターで見ながら、炎症がどこで起きているのかを見ることができます。ほかにも、異常のある部分の組織を採取することも可能です。検査はだいたい30分くらいで終わります。異常のある部分を採取した場合は、採取した組織の細胞を顕微鏡などで調べて、癌になっていないかなどを調べることがあります。

咳が止まらない時の症状と治療法

咳が止まらないときに考えられる病気を、咳が続いている期間別にご紹介します。早く検査を受ければ、3週間以上の症状も、3週間以内で発見されることはありますので、期間は目安と考えてください。

3週間以内

まずは3週間以内で咳が治まる病気についてご紹介します。ただし、適切な治療をしないと、長引いたり、別の病気になることがありますので注意してください。

■感染症
感染症で一番多いのは風邪です。風邪のときは、咳以外にも、鼻水が多かったり、熱が出たりという症状が出てくることが多いです。場合によってはのどに炎症が起きている場合もあります。

風邪の原因となるもの以外で、乳児に多い、咳の止まらない病気には、百日咳があります。百日咳は「百日咳菌」によって引き起こされる病気です。名前の由来は、咳が100日という長い時間続くというところからです。こちらはワクチン接種で予防が可能です。

風邪の場合、感染しているのはウイルスです。原因となっているウイルスが、体の中からいなくなれば、咳も治まります。風邪による咳は、症状が辛く薬で何とかしたいものですが、一般的な「咳止め」はあまり効果を発揮しないと言われています。喉を乾燥させないように注意して、安静にして治るのを待つのが一番です。

また、ウイルスには抗生物質も効果がないので、病院を受診して薬をもらう必要もありません。

風邪症状で病院受診をすべき目安としては、

  1. 3日以上の高熱の持続
  2. 黄色~緑色のどろっとした痰や鼻水が出る
  3. 4日以上の症状の持続や悪化がみられた場合

です。ただ、妊婦さんや赤ちゃんは免疫力が低下しており、悪化する前の早めの受診が重要です。

■肺炎
肺炎は細菌やウイルスによる感染症で起こる場合もありますが、他に、薬の副作用や、食べ物を飲み込む際に誤って肺に入ってしまったり、ほこりや化学物質を吸い込んだことによっても起こります。感染症の場合は、感染症の治療を行います。薬の副作用の場合は、その薬を飲むのをやめれば治まるのですが、病院から処方されている薬で症状が出ている場合は、医師に相談しましょう。

薬の副作用があるからといって、勝手に飲ませるのをやめてしまうと、別の病気が重くなってしまう可能性があります。食べ物を誤って飲み込んだことによる肺炎の場合は、肺の中で菌が繁殖してしまっている場合があるので、肺の中の菌を殺す薬を利用します。風邪以外で子供がかかりやすい病気の例として取り上げて、感染症の文章の中に挿入しました。

ほこりや化学物質が原因の場合は、まず原因となるものから離れることが必要です。ほこりであれば、部屋の掃除などで除去、化学物質の場合は、その物質がこないところに移動するのが一番良いと考えられます。一度発症した場合、アレルギーのようになってしまい、その物質のあるところに行くと症状が出る場合がありますので注意しましょう。

3週間以上

続いて3週間以上続いている場合に考えられる病気についてご説明します。

■喘息
喘息は、原因となる刺激を受けたとことが引き金となって、気道が狭くなることで起こります。のどからヒューヒューという高い音がする喘鳴が聞こえるのが大きな特徴です。一番怖いのは、気道が狭くなり呼吸困難になることによる窒息死です。

風邪をひいたりすると、急に症状が悪くなることがあり、注意が必要です。小児喘息の場合は、大人になると治療によって改善されることもあります。治療は、飲み薬と吸入薬を組み合わせることが一般的で、発作が起きないように長期間使われるものと、発作が起きたときに使うものを併用して、喘息が起きないように管理します。

■慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患は肺胞が破壊されたり、気道に炎症を起こしたりする病気です。息切れや咳の症状以外に、喘息を併発することもあります。通称「たばこ病」と呼ばれている通り、原因の多くは、タバコの煙です。

喫煙している場合だけではなく、受動喫煙によっても引き起こされます。破壊された肺胞は元には戻らないため、一度かかってしまうと症状が悪化しないようにするしかありません。症状の重さによって、入院や薬の投与、在宅酸素療法が行われます。

■アトピー咳嗽
アトピー咳嗽は、アトピーの要因になる症状を持っている人が、咳が止まらなくなるものです。アトピー咳嗽の場合は乾いた咳をすることが多いです。アトピー性皮膚炎になったことがある他、血液中の好酸球が多い、IgEが高い、特定の食べ物にアレルギーがあるなどの人が発症しやすいとされています。

アトピーに関しては、検査方法が確立されていますので、アトピー検査を受けるとはっきりします。また、風邪を引いた後に乾いた咳が長期間続く場合も、アトピー咳嗽になっていることが多いです。アレルギーを抑える薬を使うことが多いですが、咳が止まらない場合は、喘息の時に利用する吸入薬を利用することもあります。

■アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎の多くは鼻に症状が出るアレルギーですが、鼻の症状に加えて、咳やくしゃみ、目のかゆみを伴うことが多いです。アレルギー体質を治すことは困難なため、治療にはアレルギー症状を緩和するための薬を使います。体質が改善されたり、加齢などによってアレルギーを感じにくくなると改善されることもあります。

■薬剤性咳嗽
薬剤性咳嗽は薬の副作用として咳が止まらなくなるものです。この場合、痰が出ることは少なく、乾いた咳が出ることが多いです。有名なものでは、ACE(エース)阻害薬と呼ばれる血圧を下げる薬で起こることがあります。

利用している薬を飲むのをやめれば治まりますが、心当たりがある場合は、薬を処方してくれた病院に相談してください。勝手に飲むのをやめてしまうと、他の病気を悪化させることにつながります。

■気管支拡張症
気管支は鼻や口から吸った息を、肺の中に空気を運ぶ管です。肺に空気を効率よく運ぶために、途中から枝のように分かれています。この気管支が広がってしまった状態を言います。

気管支が広がる状態は、気管支そのものが何かに感染しているときに起こります。気管支がずっと広がった状態は、繰り返し何かに感染していたり、気管支そのものが弱くなってしまっていることが考えられるのです。

治療は、感染しているものが特定できれば、感染源に対する治療を行います。あまりにも症状が悪化している場合には、手術で気管支と肺の切除をすることがあります。

■副鼻腔気管支症候群
副鼻腔気管支症候群は、副鼻腔炎と、気管支炎の両方を併発した状態を言います。鼻も、のどや肺なども、呼吸をするのに大切ですが、その両方が病気になっている状態なので、重い症状が出ます。

特に呼吸が難しくなることが多いため、呼吸不全などにならないように気をつける必要があります。

■慢性鼻炎
慢性鼻炎は、鼻の粘膜が赤く腫れている状態がずっと続くものです。さらに、鼻水もずっと出ている状態になります。蓄膿症の場合も同じような症状が出ます。鼻水がずっと出ている状態では、のどに流れた鼻水が原因で痰がからんだり、咳が出るようになったりします。

特に睡眠時に仰向けに寝ると、鼻水がのどに流れていきやすくなります。ステロイドのスプレーを直接鼻の中に吹き付けて改善する方法が一番多いです。アレルギーの場合は、アレルギーを抑制する効果のある飲み薬を使うこともあります。また、花粉症の対策で有名な、鼻の中をレーザーで焼いて治療する方法も有効です。

8週間以上

最後に8週間以上続いている場合に考えられる病気についてご説明します。この期間続いている場合は重症だと考えて間違いありません。すぐに病院に行きましょう。

■結核
結核も感染症の一種です。結核菌という菌によってひきおこされます。結核はさまざまな症状が出て重症化する病気ですが、日本では8割が肺に感染する、肺結核になるといわれています。昔は、死亡率が高く、不治の病と言われていました。現在では抗菌剤による治療を行うことができます。空気感染する病気なので、診断された場合には隔離入院が必要になる場合があります。

■肺がん
肺がんは肺にできる悪性腫瘍です。大人の場合はタバコが原因になりやすいとされています。発見が遅くなると死に至る病ですが、早期であれば、手術や放射線治療を受けて治すことができます。

咳が止まらないときの対処法

次にご紹介するのは、家にいてもできる、咳が止まらないときの対処法です。病院で診察を受けることも大切ですが、薬をもらって家で休むことになった時には有効です。

部屋を加湿する

咳をするとどんどんのどが渇いていきます。のどが乾燥すると、さらに咳が止まらなくなることが多いので、加湿器などで部屋を加湿しましょう。ただ、加湿器を定期的に掃除しないと、加湿器内でカビが増殖してアレルギー性の咳の原因になることもありますので、常に清潔を保つようにしましょう。

もし、加湿器が難しい環境であれば、濡れたタオルを干しておいたり、水やお湯を入れた容器を置いておくと、加湿効果があります。特に冬は空気が乾燥しているので、注意が必要です。

マスクをする

マスクは蒸れると感じる人が多いと思いますが、蒸れるということは湿度が高くなっているということです。マスクをしていると、マスクの中の湿度が上がります。濡れマスクでもいいですが、普通のマスクで充分です。

感染症などが原因の場合は、感染予防にもつながります。マスクには唾液などがついたりしますので、毎日取り替えるようにしましょう。

首やのどを温める

マフラーやタオルを巻いて首を温めましょう。のどを温めると、低温で活動するウイルスや細菌の活動を抑えることができます。また、腫れや痛みを軽減することもできます。

水やはちみつの入ったものを飲む

のどがいがいがしたときは水を飲むのがおすすめです。直接のどに水分が入ることで感想を予防することができます。また、はちみつにはのどの炎症を抑える効果があるので、はちみつでもかまいません。有名なのは「だいこんはちみつ」です。

「だいこんはちみつ」の作り方は、切った大根に大量のはちみつをかけて、冷蔵庫などで寝かせます。そうすると、はちみつとだいこんの水分が混ざり、さらさらになります。大根の殺菌作用と、はちみつの鎮静効果で、のどに良いのです。

はちみつを利用する際には注意点があります。小さい子供、特に1歳未満の子供に与えると中毒を起こすことが知られています。小さい子供の場合は、はちみつを入れず、お水を飲ませてあげましょう。

ツボを押す

まずは尺択(しゃくたく)というツボです。ひじを90度くらいまげて、内側に倒したら上になる方のシワから親指ひとつ分、内側あたりに押すと痛いところがあります。次は天突(てんとつ)というツボです。左右の鎖骨の真ん中に少しくぼんだところがあります。

どちらのツボも勢いをつけて強く押したりせず、ゆっくりと押し込むようにしてください。回数の押しすぎにも注意しましょう。

長期間咳が止まらないときは病院へ

長期間咳が止まらないときは病院にいくのが一番です。原因によって治療方法が異なるので、自己判断で薬を飲むと悪化する可能性があります。長期間かどうかの目安は3週間となっています。病院ではレントゲンなどの検査を行う必要が出てくることがあります。

もし、3週間以上、咳が治まらないのであれば、検査をする必要がありますので、レントゲンなどの検査ができる病院を選んで、受診する必要があります。咳が止まらないときの対処法は、軽減する効果はあるものの、病気の場合は完治することにつながりません。ただし、薬を飲みながら、家で療養する場合は知っておくと便利です。

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