親と一緒に住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために知っておきたい間取りや相続税について

結婚を機に親と一緒に住むことになったという方もいると思います。二世帯が一緒に暮らすことになると、それぞれの生活のペースの違いや共同スペースをどうするかで悩むこともあると思います。もし二世帯住宅を建てることになったら、どのような形態の二世帯住宅がいいのか、また、贈与税・相続税のことなどを知っておくと後で後悔しなくてすむでしょう。ここでは、二世帯住宅にはどんなものがあるのか、相続税などのことをご紹介いたします。

二世帯住宅とは

二世帯住宅とは、親世代と子世代が一緒に住む家のことを言います。二世帯住宅には様々なタイプがあります。

親と住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために間取りや相続税も考えよう

完全共有型

完全共有型の二世帯住宅は、一軒の家に家族全員で住むというタイプの二世帯住宅です。寝室以外のスペース、玄関、キッチン、トイレ、お風呂、リビングなどは二世帯が共有で使う家です。

部分共有型

部分共有型の家は、世帯ごとの生活スペースは別々にあるが、玄関、キッチン、お風呂などを二世帯が共有する家です。他に、玄関とリビングは共有でそれ以外は別々にあるというケースなど、家によって共有スペースが違います。

完全分離型

完全分離型の家は、全ての生活スペースが世帯ごとに別になっている家です。2つの家がくっついて1つになったようなイメージです。完全分離型には、色々なタイプがあり、縦に半分に分かれたタイプのものと、1階が親世代で2階は子世代が住むというタイプの家があります。

外からは全て分かれているように見えるが、廊下にドアがついていて、それぞれのスペースに行き来できるような作りの家もあります。

二世帯住宅に住む人の満足度はどうなのか

旭化成ホームズの「二世帯住宅研究所」が、二世帯住宅に住む人達に住み心地の満足度を聞いた結果を発表しています。

親と住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために間取りや相続税も考えよう

完全共有型に住む人の満足度

完全共有型に住む人達に満足度を聞いたところ、全体の約6割が満足していると答えています。そして、5割以上の人がほぼ毎日、二世帯一緒に夕飯を食べていると答えています。「同じ家に住んでいる」と感じている人は全体の9割で、共有スペースが全て一緒なので「同居している」という感覚は大きいのだと思われます。

完全分離型に住む人の満足度

一方、完全分離型に住んでいる人達は、住み心地の満足度は全体の9割りと高い割合の結果が出ています。また、「同じ家に住んでいる」と感じている人は全体の3割でした。隣同士や上下で分かれているタイプの家では、同居しているという感覚が少ないことが分かります。

親世代と一緒に夕飯を食べるのは月に1回ほどだと答えた子世代は、全体の7割でした。そして、6割ほどの子世代が母親を見かけない日があると答えています。

参考元:旭化成ホームズ 二世帯住宅研究所 調査研究報告書
参考元:シニアガイド 幸せな二世帯住宅は、世帯ごとにキッチンとバスルームが独立している

タイプ別のメリット・デメリット

二世帯住宅のタイプ別でそれぞれのメリット、デメリットを挙げていきたいと思います。

完全共有型

二世帯が寝室以外の生活スペースを共有している、完全共有型の場合、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

親と住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために間取りや相続税も考えよう

  • メリット
  • 水回りや玄関など、寝室以外の生活スペースを一緒にすることで、建築費を大幅に抑えることができます。キッチンやお風呂などは建築費がかかるものです。生活費もキッチンやお風呂が一つだということで、二世帯で折半して負担するなど、別々に暮らすよりは節約になります。

    また、リビングで親世代子世代が共に過ごすことで、自然と家族の交流の時間が持てて、大家族の良さが味わえます。親世代が孫と一緒に過ごすことで、親の生きがいができたり、子どももおじいちゃんおばあちゃんから得るものはたくさんあります。

    子世代が自分の子どもを預けて出かけることができたり、共働きの場合は親世代が家にいてくれると安心です。子どもが学校から帰ってきた時に、一人で鍵を開けて家に入って留守番をするのではなく、おじいちゃんやおばあちゃんが迎えてくれると親子共に安心です。

  • デメリット
  • 完全同居型の場合、親世代と子世代の生活のリズムの時間差が問題になることがあります。親世代は早寝早起きになってきて、夕食の時間も早いことが多くなりますが、子世代のほうは子どもが成長するにつれ、塾や部活で子どもの帰宅時間が遅くなり食事の時間が親と同じ時間ではなくなってきます。

    また、親が寝ている夜にお風呂に入ることがあるなど、生活音に気を遣わなければならない場合があります。生活のリズムはどうしても違ってきてしまうので、その部分は二世帯で話し合って折り合いをつけることが大切です。

    キッチンが同じだということから主婦同士がうまくいっていないと、難しい部分があります。お互いを尊重し、譲り合ってうまくやっていくことが必要です。

部分共有型

生活スペースの一部を共有して生活するという、部分共有型の二世帯住宅のメリット・デメリットはどんなことがあるのでしょうか。

親と住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために間取りや相続税も考えよう

  • メリット
  • 部分共有型のメリットは、程よい距離で生活できることです。完全に別々というわけではなく、共有のスペースがあることで家族でいることを実感できます。色々なタイプの部分共有型がありますが、食事の時には親世代子世代が全員揃ってダイニングで食べるなど、同じ時間を過ごすことができるのが良い点です。

    食事の時は二世帯が一緒になり、リビングはそれぞれの世帯で過ごすことで、プライベートな時間も確保できるのも良い点でしょう。子育ても協力してもらいながら、一人で悩まずにできるというのも部分共有型のメリットではないでしょうか。

  • デメリット
  • 完全共有型と同様に、共有するスペースによって、生活のリズムが違うことで気を遣うことが必要になってきます。キッチンが共有になっている時は、どのように家事をするのか役割分担をしておくことが大切になってくるかもしれません。

    生活のリズムが違う場合は、平日の食事はそれぞれの世帯ごとにとり、休日に二世帯で一緒に食事をするなど、工夫をすることでコミュニケーションをとるように心がけるとよいのではないでしょうか。

完全分離型

玄関、キッチン、お風呂など生活の全てが別々だという完全分離型の二世帯住宅のメリット・デメリットはどんなものがあるのでしょうか。

親と住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために間取りや相続税も考えよう

  • メリット
  • お互いのプライバシーを干渉し合うことなく生活ができることがメリットといえるでしょう。世代の違いで考え方や生活のリズムが違ってくることがありますが、生活スペースを別にすることで自分達のペースで生活ができます。完全に生活のスペースは別でも、隣や上下に親世代、子世代が住んでいることで何かあったときにすぐに助け合うことができます。

    嫁姑のトラブルなども生活を別にすることで目につくことがあまりなく、うまくやっていけるのではないでしょうか。

  • デメリット
  • 完全分離型のデメリットの一番大きい点は、建築コストがかかるということです。一軒の家に2つずつキッチン、お風呂などを作るとかなりの費用がかかります。また、生活が完全に別なので光熱費などは別々となり、共有型に比べて生活費はかかります。

二世帯住宅を建てる時の補助金について

二世帯住宅を建てる時に使えるかもしれない補助金の制度があります。二世帯住宅を建てる前に補助金制度について、自分達は適用されるかどうか、専門家に相談することをおすすめします。

親と住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために間取りや相続税も考えよう

地域型住宅グリーン化事業

国土交通省がスタートさせた、「地域型住宅グリーン化事業」は二世帯住宅のリフォームを促進させるためにできた制度です。この制度は、地域の風土や気候に合わせた家づくりが行われた住宅や、省エネに配慮した設計を取り入れている住宅に対して、国から一定額の補助金が支払われるという制度です。

参考元:ホームプロ 二世帯住宅へリフォームしたい!親世代と仲良く暮らせる改修ポイント

すまい給付金

すまい給付金とは、消費税の増税によって住宅取得者が負担を抱えることになったため、住宅所得者の年収に応じ、現金を支給する制度です。支給機嫌が消費税引き上げの延長に伴って、2019年6月末まで延長されました。

参考元:へーベルハウス すまい給付金、住宅ローン減税、贈与に関する特例など

二世帯住宅と相続税と贈与税について

二世帯住宅を建てる際に、相続税や贈与税についてしっかり調べておきましょう。家を建てる前にどのように建てたらいいのか、相続税や贈与税のことを含めて相談することをおすすめします。

親と住む理想の二世帯住宅とは?後悔しないために間取りや相続税も考えよう

二世帯住宅は相続税の減額がある

実家の土地に親と同居する二世帯住宅を建築すると、相続の時に「小規模宅地の評価額の特例」が適用されます。土地の評価額を下げることができ、その結果評価額を80%減額することができます。

参考元:へーベルハウス 相続税の改正と対策~基礎控除、税率、計算方法~

二世帯住宅の贈与税はどうなる?

二世帯住宅の場合は子世帯が親の土地に住宅を建てるというケースが多いのですが、その際、ある一定額の範囲内であると贈与税がかかりません。また、生前贈与という制度があり、住宅資金についての贈与は非課税となります。二世帯住宅を建てる際は、プロに相談をして贈与税についてもよく調べておくといいでしょう。

参考元:All About どうすればいい?二世帯住宅の名義と贈与

二世帯住宅でうまくいく方法

二世帯住宅で暮らすには、それぞれの生活のリズムが違ったり、子育てについての考え方が違ったりする場合にどうするか。それが二世帯住宅に住む上で、うまくいくかいかないかの焦点となってきます。

二世帯住宅でうまくいかないケース

二世帯住宅を建てたということで、どうしても子どもの世帯のことが気になってしまい、手や口を出してしまうケースはうまくいかないことが多いので気をつけましょう。同じ家の中に孫がいるので、ついつい子育てに関してお嫁さんに口を出してしまい、嫁姑の仲が悪くなってしまうという場合もあります。

二世帯住宅のタイプが完全同居だったとしても、子どもの親が持っている教育方針などには口を出さずに見守ることが必要です。

二世帯住宅でうまくいくケース

お互いの生活に干渉せず、生活のペースが違ったとしてもそれを尊重し、譲り合って生活をしていくことで二世帯住宅の同居はうまくいきます。困った時には助け合い、そばにいることで安心して暮らしていける関係であれば、二世帯住宅にしたことは良かったと思えるはずです。

二世帯住宅を建てる前にメリット・デメリットを踏まえてよく考えて

二世帯住宅は親世代と子世代が寄り添って暮らせる素敵な家です。メリット、デメリットはあるにせよ、お互いのことを理解してお互いに尊重し合うことで二世帯住宅での暮らしはよりよいものとなります。二世帯の中で、しっかりルールを決めて関わりをうまくしていけば、きっと二世帯住宅は住み心地が良いものになるはずです。

参考元:へーベルハウス 二世帯住宅のコツ イマどき二世帯の理想の住まい
参考元:TOYOTA HOME トヨタホームの二世帯住宅

0