【医師監修】女性に多いカンジダ症ってなに?カンジダ症の種類と治療法について

カンジダ症の原因となるカンジダ菌は、人間の体に元々いる菌です。しかし、感染症であるカンジダ症を引き起こすことがあります。カンジダ症は重くなると免疫不全に陥って死にいたることもあります。とはいえ、体からすべてのカンジダ菌をなくすことはできませんので、カンジダ菌とうまく付き合っていくようにしましょう。

カンジダ症とは

カンジダ症とはカンジダ属菌によって引き起こされる真菌症で、体調不良の際に免疫力が低下すると起こるとされています。皮膚や粘膜で感染症の症状が出ると炎症が起きたり、かゆみなどの不快感が出てきます。その中でも感染症の原因となるものは、カンジダ・アルビカンスという菌が多いと言われており、かゆみや炎症が出てこなかった場合でも感染症になっていることがあります。

治療方法は、抗真菌薬の塗り薬や、婦人科で膣洗浄とともに、膣錠をいれて治療することも可能です。基本的には規則正しい生活をしたり栄養をしっかりとることで自然に治ることが多いです。

カンジダ菌とは

カンジダ菌は、もともと人間の皮膚や消化器、粘膜に住んでいる常在菌です。そのため、カンジダ菌がいるだけで病気になってしまうというものではありません。

カンジダ菌は酵母の姿の菌類の属名で、実はたくさんの種類があります。また、酵母の不完全菌として有名な菌です。不完全菌というのは、無性生殖を繰り返す菌のことを指し、無性生殖で増える菌は細胞分裂をして増殖します。

カンジダ菌の菌糸は、ホルモンに似たような形に変形してレセプターにくっつき、ホルモン異常を引き起こすことがあります。また、カンジダの菌糸特有の酵素を作り出して、その酵素が体の中にある免疫グロブリンを壊してしまいます。免疫グロブリンというのは病原菌を認識して体の外に出す働きをするものですが、壊れてしまうと免疫力が低下してしまうのです。

ちなみに、ブルーチーズで有名になったアオカビや、味噌やしょうゆの発酵に有効なコウジカビも同じ分類です。そのため、菌という名前がついていますが、ウイルスというよりもカビの仲間と言われます。

カンジダ症の種類と治療法

カンジダ症は、発症する場所や症状によってさまざまな種類があります。ここでは皮膚カンジダ症、口腔カンジダ症、カンジダ性外陰腟炎を紹介していきます。

女性に多いカンジダ症はどんな症状が出るの?カンジダ菌って何?

皮膚カンジダ症

皮膚カンジダ症は、場所によって症状の出方が異なります。カンジダ性指間びらん症、カンジダ性爪囲爪炎、カンジダ性間擦疹、乳児寄生菌性紅斑などが有名です。

カンジダ性指間びらん症
指間では水仕事の多い女性や、飲食業、理容、美容業などの人に多くみられます。足趾間ではゴム長靴をはく、足が濡れたり蒸れたりする職種の人に多くみられます。指の付け根の赤みで始まり、次第に拡大して皮がむけ、びらん面となります。痛痒さがあります。

カンジダ性爪囲爪炎
やはり水仕事の多い人にでき易いです。爪囲の発赤・腫脹から始まり、次第に爪甲の波状の不整形、変形、混濁などを生じてきます。横溝を生じることもこの疾患の特徴です。時に排膿がみられます。

カンジダ性間擦疹
間擦部(こすれる部分)に生じます。陰股部、腋窩、乳房下部などに発赤を生じます。

乳児寄生菌性紅斑
オムツかぶれに似た症状が出て、鑑別が必要です。カンジダ菌は、湿っていて、こすれやすいところに発生しやすいので、おむつを使っていることで汗をかいたり、不衛生な状態になっていたりすると、皮膚が清潔に保てないため、皮膚カンジダ症につながります。

おむつかぶれは、蒸れたりこすれたりすることによって起こり、おしりに赤い発疹が出たり、赤くなったりします。カンジダ菌はおむつの当たっていないところにもできることがあります。水ぶくれのようになったり、膿を持ったり、シワの中までかぶれたりします。オムツかぶれよりカンジダ菌のほうが治るのに時間がかかります。

【治療】
治療の共通するところとしては、治療の前提として、カンジダ菌が発育し易いような蒸れた状態、高温、多湿のような局所の環境要因の改善が重要であることです。

また、全身的な要因、例えば肥満や糖尿病や免疫不全、血液疾患などがあればそれによって発症している場合もあるので、それらの治療、改善も重要になってきます。

薬の治療としては、外用薬の抗真菌薬を利用します。手のカンジダ症を手あれと勘違いして、保湿用のハンドクリームなどを使う場合がありますが、カンジダ症の場合は保湿用のハンドクリームでは治りません。

カンジダ性指間びらん症

カンジダ性爪囲爪炎は、爪の周囲に起こるので、指に絆創膏などをはってしまうと、湿気が溜まり、治りが遅くなったり、かえって悪化することがありますので注意する必要があります。また外用薬では治りにくく、内服治療を行います。

指の間に水が触れないように、洗い物をするときは、長靴やゴム手袋を利用したり、水を使ったら、指の間まできちんと水をふき取るよう気をつけるようにしましょう。

乳児寄生菌性紅斑の対策としては、オムツをこまめに交換することです。また、おしりをよく乾かして、湿気がたまらないようにするのも大切です。

【治療】
口腔内の清掃、抗真菌薬を含むうがい薬や塗り薬を使用しますが、時に抗真菌薬の内服を必要とすることもあります。

口腔カンジダ症

口腔カンジダ症は、口の中でカンジダ菌が異常に増殖した際に症状が出ます。

副腎皮質ステロイド薬の使用や、糖尿病、全身衰弱など免疫力の低下している状態、唾液量の減少、長期間の抗生物質の服用などによりもともと口腔内にいる菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が異常に増殖し発症します。

歯に歯垢(しこう)や歯石が付着して口の中が汚れていたり、入れ歯を使用している人も発症しやすい傾向にあります。またHIV(エイズウイルス)感染者では、初期にあらわれる症状として重要な決め手となります。

【症状】
口腔カンジダ症は、多くは舌に、その他の部位では頬(ほお)の内側、口蓋(口の天井)、歯肉に白い膜ができます。ガーゼや歯ブラシでこすってもなかなか取れないこともあります。食べ物を食べると痛みがあったり、口の中がひりひり痛む、口の中が熱い感じがする、食べ物の味を感じにくいなどの症状があります。

免疫力が低下するような慢性疾患がある場合は、口の中からのどや食道までカンジダ症が広がってしまうことがあります。カンジダ性口唇炎といって、口唇の腫脹や口唇周囲の発赤を生じる病態もあります.

【治療】
カンジダが口の中にいても症状がなければ、多くの場合において治療の必要はありません。症状がある場合は治療の対象となります。多くは1~2ヶ月で治りますが、治療が長引いたり、再発することもあります。

治療としては、口腔内の清掃、抗真菌剤を含むうがい薬や塗り薬を使用しますが、時に抗真菌薬の内服を必要とすることもあります。ステロイドが原因の場合は、一時的に使用を中止したりする必要が出ることもあります。

予防法としては、歯磨きや舌磨きをしっかり行い、口の中を清潔に保つように心がけることが大切です。また口腔カンジダ症を発症したときは何か病気が隠れている可能性が高いので、原疾患や何か原因となるものがないか検索をすることが最も重要になります.

カンジダ外陰膣炎

カンジダ外陰膣炎は、性器にカンジダ菌が繁殖してしまうものです。女性はもともと、膣にカンジダ菌がおり、男性器よりも通気性が良くないため、女性に起こることが多いです。

ステロイド剤などを飲んでいる場合は、菌のバランスが崩れてしまうことがあり、男女関係なく発祥することがあります。また外陰部や膣の洗いすぎで発症することもあります。

【症状】
一番わかりやすい特徴は、女性はヨーグルト状や酒粕状とたとえられるようなおりものが出るようになることで、量は下着にもべったりとつく量になります。さらに非常に強いかゆみがあります。

妊娠中はかかりやすく、治療を行う必要があります。膣のカンジダが産道から新生児に感染してしまい、鵞口瘡(がこうそう)といって、生後、赤ちゃんが口腔カンジダ症の症状を呈することがあります。

【治療】
産婦人科で膣洗浄と膣剤の挿入や軟膏の処方を行うことが多いです。

予防法としては、患部を清潔に保つよう心がけることや、栄養バランスのよい食生活、適度な運動など、免疫力が落ちないような生活をすることが大切になります。

また通気性の悪い下着は避けるようにしましょう。シートやナプキンなどを利用している場合は、こまめにかえるようにしましょう。

カンジダ症はひとつではない

女性に多いカンジダ症はどんな症状が出るの?カンジダ菌って何?

カンジダ症とひとくちに言っても、発症する部位や症状は様々です。

カンジダ菌は、もともと体に存在している菌ですが、生活習慣が乱れたり、ストレスや睡眠不足、栄養状態が悪いといった要因があると感染症の症状が出ることがあります。

またカンジダ症を発症する背景には糖尿病や全身の衰弱状態、HIVなど様々な病気が隠れている可能性があるので、場合によっては検査する必要があります。

感染症になってしまった場合、部位や症状によっては自然によくなることもありますが、悪化することもあるので、自己判断せず病院で検査、治療が必要です。

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