よく耳にする「扶養家族」の意味ってなに?税金や社会保険で損しないために知っておきたい基礎知識

扶養家族

Kaede

家計のためにパートで仕事を始めたら、逆に税金や社会保険料が増えて、家計全体でみると収入が減ってしまっていた…なんていうことはないですか?これはあなたのパートの年収が、ご主人の税法上及び、社会保険上の扶養家族の範囲を超えてしまったことが原因です。今回は、よく耳にする扶養家族について、税金や社会保険で損をしないために押さえておきたいポイントについてご紹介させていただきます。

[1]扶養家族とはどういう意味?

年末調整の時期になると、よく耳にする言葉ではないでしょうか?しかし、よく耳にするわりには、いまいち意味がわからない…という人も多いと思います。今回は税金や社会保険で損しないために、押さえておきたい扶養家族の基本的な知識について確認していきましょう。

扶養家族とは

扶養家族の「扶養」という意味から、まずは確認していきましょう。扶養の「扶」の意味は力を貸す、世話をする、助けるという意味です。扶養の「養」の意味は、養うという意味です。

つまり、扶養家族の扶養される側は、なんらかの理由で労働が困難だったり、資産なども十分になく生活ができなかったりするため、誰かの保護が必要なのです。例えば、学生で仕事ができない、成人だが障害があり仕事ができない、他には失業中や、高齢者で仕事ができない人が該当します。

扶養家族のメリットは3つです。

  1. 所得税を抑える事ができる
  2. 健康保険料を支払うことなく健康保険に加入することができる
  3. 年金保険料を支払う必要がなく年金を受け取ることができる

このように、一定の要件を満たすことで所得税の軽減措置や健康保険料の納付免除を受けることができます。

扶養家族の範囲は税法上と社会保険上では違う

扶養家族には税法上と社会保険上の2つの種類があります。それぞれ、扶養家族の範囲が異なります。そのため税法上扶養家族でも、社会保険上で扶養家族にならない可能性もあるため確認が必要です。

[2]税法上の扶養家族の範囲と条件

所得税と住民税の扶養家族の範囲の条件について確認していきましょう。

奥さんがご主人の扶養家族になることでご主人の税金が安くなる仕組み

会社員のご主人の所得税が決定する流れをみていきましょう。ご主人の収入から(税金や社会保険料が引かれていない)必要経費が引かれます。会社員の場合の必要経費は、一律給与所得控除として年収ごとに決まってます。

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年収ごとの給与所得控除の計算方法は下記の通りです。

  • 180万円以下:収入金額×40%、65万円に満たない場合には65万円
  • 180万円超360万円以下:収入金額×30%+18万円
  • 360万円超660万円以下:収入金額×20%+54万円
  • 660万円超1000万円以下:収入金額×10%+120万円
  • 1000万円超1500万円以下:収入金額×5%+170万円
  • 1200万円超:230万円(上限 平成28年からの税制改正項目)

この時に考慮されるのは年収だけです。勤務形態や業種は関係ありません。収入ー給与所得控除=所得のため、この所得に税率がかけられ所得税額が決まります。納税者の状況によって、所得から配偶者控除や配偶者特別控除など、そのほかの控除を引いた課税所得に対して、最終的に税率がかけられて所得税が決まります。つまり、奥さんが扶養家族に該当しない場合は、所得控除額が減るため、相対的に税金が上がります。

奥さんの年収が103万円以下であれば、年収の103万円から給与控除68万円を引いた金額が35万円になります。計所得金額が38万円以下になるため、ご主人の扶養家族に該当します。それによりご主人が会社員の場合、年末調整で「配偶者控除」を受ける事ができるため、ご主人の所得税を抑える事ができます。この配偶者控除の範囲を扶養範囲と言います。

しかし、年収が103万円以上で奥さんの合計所得金額が38万円を超えてしまった場合は、ご主人の扶養の範囲外になるため、奥さん自身が所得税を支払わなければいけません。そのため世間では103万円の壁と言われています。

所得税の扶養家族の範囲と条件

≪税法上の扶養家族の要件≫

  • 12月31日現在、配偶者を除く6親等以内の血族と3親等以内の婚族及び、養育、養護委託を受けた里子やお年寄り(同居の有無は問わない)
  • 納税者と同一生計であること
  • 年間の給与収入(総支給額)が103万円以下であること
  • 「青色申告」の事業専従者としての給与の支払いを受けていないこと、「白色申告」の事業専従者でないこと

≪配偶者を除く6親等以内の血族と3親等以内の婚族≫

  • 1親等に該当するのが父母や子、配偶者の父母
  • 2親等に該当するのが祖父母、孫やその配偶者、兄弟姉妹、兄弟姉妹の配偶者、配偶者の兄弟姉妹
  • 3親等に該当するのがひ孫やその配偶者、納税者と配偶者の伯母、叔父及びその配偶者、甥、姪及びその配偶者
  • 4親等に該当するのが従兄弟姉妹、甥や姪の子供など
  • 5親等に該当するのが従兄弟姉妹の子供
  • 6親等に該当するのが5親等の高祖及び子孫、従兄弟姉妹の孫など

このように扶養家族の範囲は思っていた以上に広範囲にわたります。

納税者と同一生計とは、日常生活と一緒にしていなくても他の親族と一緒に生活をしている場合や、親族間において常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合も含まれます。そのため、進学のために上京している子どもや地方に住む親も含まれます。同居していることは必須要件ではありません。

「白色申告」と「青色申告」の違いは、個人事業を開業して、特に何も申請をしなければ「白色申告」の扱いに該当し、「青色申告」をする場合は、事前に税務署へ申請書を出しておく必要があります。

「青色申告」の事業専従者とは、納税者が個人事業主の場合、納税者の個人事業を手伝ってくれている家族や親族で青色申告者と、生計を一緒にしている配偶者、もしくは親族のことをいいます。また、その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること、青色申告者の営む事業にもっぱら従事していることが該当します。つまり、納税者の家族の手伝いをして、その時に「青色申告」の事業専従者給与を受け取っている場合は扶養家族に該当しません。

参考元:国税庁

連れ子

住民税上の扶養家族の範囲と条件

基本的には考え方は同じです。ただし、扶養控除の金額(扶養控除額)と扶養控除を反映させる年度が異なります。つまり、所得税はその年の扶養状況に応じて判断され、住民税はその年の前年度の扶養状況によって判断されます。そのため、平成27年の扶養の状況で、平成27年の所得税と平成28年の住民税が決定されます。

住民税における扶養家族の範囲は、納税者と同一生計の16歳以上の親族で、前年の合計所得金額が38万円以下の家族です。給与所得者の場合は、年収が103万円以下の人です。同一生計に関しては、所得税と同じ考え方のため一緒に生活する必要はなく、一緒に生活していなくても生活費を仕送りをしていれば、扶養家族の条件の同一生計に該当します。

住民税の扶養控除額は親族の年齢によって控除金額が決まります。

  • 16歳未満の場合は0円
  • 16歳から18歳の場合は330,000円
  • 19歳から22歳の場合は450,000円
  • 23歳から69歳の場合は330,000円
  • 70歳以上の場合は380,000円(ただし、同居している場合は450,000円です)

[3]社会保険上の扶養家族の範囲と条件

社会保険とは健康保険と年金保険のことです。社会保険上の扶養とは、健康保険や厚生年金保険において、社会保険上の扶養家族になることで、社会保険料を支払うことなく健康保険や厚生年金保険に加入することができます。

社会保険上の扶養家族になれる親族の範囲

社会保険上の扶養家族に該当すれば、健康保険料を支払わずに健康保険に加入することができるため、扶養家族の条件に該当すればそれぞれに保険証が与えられます。社会保険上の親族の範囲は、生計維持かもしくは生計維持かつ同一世帯によって親族の範囲が異なります。

≪生計維持が条件になる親族の範囲≫

  • 被保険者の配偶者
  • 被保険者の子
  • 被保険者の直系尊属(血のつながった父母・祖父母・曾祖父母)
  • 被保険者の孫
  • 被保険者の兄弟姉妹

上記に親族が年収の条件をクリアしていれば、被保険者と生計維持をしているとみなされるため扶養家族に該当します。

≪生計維持かつ同一世帯が条件となる親族の範囲≫

  • 被保険者の義理の父母
  • 被保険者の義理の兄弟姉妹
  • 被保険者の配偶者
  • 被保険者の甥(おい)姪(めい)およびその配偶者
  • 被保険者の兄弟姉妹の配偶者
  • 被保険者の子の配偶者
  • 被保険者の孫の配偶者

上記の親族が扶養家族の範囲に該当します。もし、親族や親戚に仕送りなどをしている場合なども社会保険上の扶養家族に該当するか可能性が出てきます。

参考元:日本年金機構

社会保険上の扶養家族の条件の生計維持と同一世帯とは

生計維持と同一世帯とは具体的にどのような状況が該当するか、確認していきましょう。

生計維持とはどういう状態?

生計維持とは、主に被保険者によって生計を維持されていることです。会社員のご主人、専業主婦の奥様とお子さんの家庭の場合、専業主婦の奥様とお子さんはご主人にお給与によって生計を維持されています。しかし、共働き夫婦の場合は、奥さんの年収金額や勤務状況によっては生計維持されていると言えません。

奥さんの年収が130万円以下でご主人が会社員であれば、妻は夫の扶養家族という扱いになるため自分の収入から年金保険料や健康保険料を支払う必要がありません。しかし奥さんの年収130万円を超えると、ご主人の社会保険の扶養から外れます。そのため、奥さん自身が年金保険料や健康保険料を支払います。

≪社会保険の適用対象≫

  1. 週20時間以上働いている
  2. 1か月の賃金が8万8000円以上ある
  3. 1年以上働くことが見込まれる
  4. 従業員501人以上の企業で働いている
  5. 学生は除く

上記の5つの要件に当てはまった場合は、パートやアルバイトに関わらず、自分で社会保険に加入しなければいけません。該当した場合は、ご主人の社会保険の扶養家族から外れます。

同一世帯ってどういう状態?

同一世帯とは、被保険者と住居と家計が同じことです。そのため同じ戸籍である必要や、被保険者が世帯主でなければいけないという訳ではありません。被保険者と一緒の家に住み、被保険者の収入で生活していれば該当します。

同一世帯ではなくても扶養家族に該当する場合

一緒に住んでいなくても扶養家族に該当する場合は、お子さんが進学のため家から出て一人暮らしをしたとき、また、病気をして長期入院したときなどは、同一世帯でなくても扶養家族に該当します。

参考元:厚生労働省

ご主人の社会保険上の扶養家族になれる収入の上限

今まで130万円の壁という言葉を聞いたことがあると思いますが、社会保険において年収が一定額を超える保険料を支払い、社会保険に加入必要があります。家計収入全体で見るとどうしても支出が増えてしまいます。

しかし、個人で扶養家族として社会保険に加入することによって、下記のメリットもあります。

  • 将来の年金額が増える
  • 出産手当金が支給される
  • 傷病手当が支給される

将来の見込み金額はどのように計算したらいいのか?

社会保険の年収金額とは「将来にわたっての見込み額」のことです。「今後1年間にわたって得られる収入金額」という意味で非常に曖昧です。基本的には、前年度の収入から見込み額を予測します。扶養家族になるためには、将来にわたっての見込み額が130万円未満である必要があります。

アルバイトしている大学生の子どもの場合

大学生になるとアルバイトを始めるケースが多いでしょう。大学生のお子さんが、アルバイトを始めて年収が130万円を超えてしまった場合の税金及び、社会保険それぞれどのような影響が出るか確認しましょう。

まず、税金ですが、被保険者である親が支払う所得税や住民税が増えます。社会保険料はそのままですが、前年度に比べて家計年収が減ります。また、お子さん自身が年収130万円を超えたことにより、税法上及び社会保険上の扶養家族の範囲からはずれます。

そのため、バイト先で源泉徴収して所得税や住民税を払います。そして、父親の社会保険の扶養家族範囲から外れることとなります。お子さん自身で国民健康保険もしくは、バイト先の健康保険に加入する必要が出てきます。

これは専業主婦の奥さんがパートで仕事を始め、年収が130万円を超えてしまった場合も同じです。奥さんもお子さんもご主人の扶養家族にしておきたいのであれば、アルバイトやパートの年収は税法上の扶養家族の範囲である103万円までに抑えておくほうがいいでしょう。

年金をもらっている60歳以上の方や障害者の場合

扶養家族が60歳以上で年金受給者や、身体障害者で障害年金を受け取っているの場合は、年収金額130万円~180万円まで増額されます。そのため、扶養家族に認定される範囲が広がります。

[4]こんな時は扶養家族に入った方がいい?

扶養家族に関してこんな時どうしたらいいのというケースに関して具体的に紹介していきます。

夫婦共働きの場合、子どもはどちらの扶養家族にした方がお得?

最近は奥さんが専業主婦でなく、夫婦共働きの家庭が増えてきました。またご家庭によっては、奥さんの方がご主人より収入が多い、というご家庭もあるのではないでしょうか?夫婦共働きの家庭で、奥さんがご主人の扶養家族ではなく、自分で社会保険に加入していた場合は、必ずお子さんをご主人の扶養家族にしなければいけないと決まっている訳ではありません。

ご主人と奥さんの年収額を比較した時に、ご主人の年収が高いため、お子さんをご主人の扶養に入れているケースが高いです。そのため、ご主人と奥さんの年収を比較して奥さんの収入が高ければ、お子さんを奥さんの扶養に入れた方が税金を押さえることができます。

両親を扶養家族を扶養家族にした方がお得?

田舎に住んでいるご両親に対して、毎月仕送りをしている場合や、介護施設に入所していて、その入所費用を毎月負担しているのであれば、ご両親を扶養家族にできる可能性があります。ご両親を扶養家族に入れることで、ご両親は保険料の負担なく健康保険に加入することができます。

また、同じ社会保険に加入している家族であれば、医療費が高額になった場合、高額療養費を世帯合算することにより、家計全体で医療費の負担を抑えられます。もし、ご両親が扶養家族の条件に該当しているのであれば、扶養家族にすることでご両親の医療費の負担を減らすことができます。

[5]年末調整の前にしっかり確認しておこう

扶養家族と聞くと、奥さんやお子さんだけが扶養家族に該当するように思ってしまいがちです。しかし、扶養家族の範囲は田舎に住む両親や、甥っ子など、思った以上に広範囲になります。もし、あなたがご両親に仕送りをしているのであれば、ご両親を自分の扶養家族に入れることができます。
また、あなたがパートを始めた時に、扶養家族の範囲確認した上でパートをしなければ、せっかく働いたお給料が税金や社会保険料で消えてしまう可能性があります。扶養家族について正しい知識を持つことで、年末調整の前に慌てないようにするため、事前にしっかり確認しておきましょう。

参考元:寺田税理士・社会保険労務士事務所

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