生理休暇って実際とれるの?申請方法や言い出しにくいときの対処法3つとは

イライラや頭痛、腹痛、眠気など、症状の種類や重さは様々ですが、働く女性にとって生理の悩みは深刻ですよね。しかし辛いときは、誰でも生理休暇が取得できることをご存知でしょうか?今回は、意外に知られていない生理休暇についてご紹介します。

生理休暇って?

労働基準法による生理休暇の定義

生理休暇って実際とれるの?女性のための法律と権利

労働基準法第68条に「生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置」という項目があり、その条文には「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」とあります。

雇用主である企業は、従業員の女性が生理休暇を望んだ場合は、必ず認めなくてはいけないと定められているのです。また、生理休暇を理由とした解雇や、勤怠における不当な評価など、女性に不利益となるようなこともしてはいけない、と定められており、これに違反した企業は罰金が課せられます。

ところが、法で認められた権利であるにもかかわらず、生理休暇の取得率は約0.9%と、とても低いのが現状です。なお、その背景は、「生理について言い出しにくい」という気持ちによるところが大きいとされています。デリケートな問題ですので、その気持ちを理解できるという女性も多いのではないでしょうか。

また、生理痛は個人差のある症状なので、「ずる休みや、甘えと思われないかな」と心配する方もいます。このような理由から、現在多くの女性が、辛い症状を我慢して出勤しているのです。

しかし、近年は女性の社会進出が増えていますので、雇用する側の意識も変わってきています。生理休暇についても、女性を雇用するにあたっての必須事項として、きちんと計算に入れている企業が多いです。

さらに男性社員も、女性と働くためには「生理休暇」や「産休・育休」について知っておく必要があるため、このような内容の講習を積極的に取り入れている企業も増えています。

有給規定

生理休暇って実際とれるの?女性のための法律と権利

生理休暇を有給休暇とするか、無給休暇とするかまでは労働基準法には明記されておらず、当事者の判断にゆだねられています。有給休暇が付与される基準に「就労日の8割を出勤していること」というものがあります。きちんと就労していれば有給休暇が付与され、生理休暇として消化することができます。

また有給休暇がない場合は、休んだ日数分の給料は減ることになりますが、無給休暇として生理休暇を取得することができます。なお、有給休暇が余っている場合でも、生理休暇に有給休暇を使わず、無給休暇を使うことも可能です。付与された有給休暇を自分がどれくらい消化しているかで、どちらの休暇として生理休暇を取得するのか、判断すると良いでしょう。

取得可能な日数

生理の期間は個人差が大きいので、これも労働基準法には明記されていません。なお、単位だけでなく、時間単位でも申請は可能です。午前中だけ、午後だけ、といった取得もでき、大事な会議やプレゼンテーションだけ出て帰宅、というのも可能です。しかしこれは、あくまでも「常識の範囲内で」を前提としていますので、一週間以上など長期の休暇はその範疇ではありません。1〜3日程度が一般的とされています。

生理休暇が適用される範囲

生理休暇って実際とれるの?女性のための法律と権利

女性全てに適用されるため、雇用形態は関係ありません。パートや派遣労働者でも取得可能です。なお、派遣社員に対しては、派遣先の企業に生理休暇を与える義務が発生します。生理休暇は全ての女性に認められている権利ですが、残念なことに、それを利用してずる休みをする女性が、少なからずいることも事実です。

過去に生理休暇と称して遠方に旅行し、旅先で事故を起こしたことによって発覚してしまった、という事例も発生しています。この女性は懲戒処分を受けたそうですが、このような行動は本人のみならず、働く女性全体の信用を損ないます。

生理休暇とは「取った方がお得」な休暇制度ではありません。「取らざるを得ない」女性のための、救済措置としての制度です。雇用主からしても、求めに必ず応じる義務はあっても、積極的に付与しているわけではありません。一部の非常識な人のために、本当に困っている人が休みづらくなってしまう環境はあってはならないことです。

そのことをふまえて、本来の目的である身体を休める日として取得してくださいね。ずる休みを疑われないためにも、普段の勤務態度を真面目に過ごすことも大切です。

生理休暇の取得方法

生理休暇って実際とれるの?女性のための法律と権利

会社の就業規則を確認しよう

生理休暇を、あらかじめ有給休暇として取り入れている企業もありますので、就業規則を確認してみましょう。「月に〇日、生理休暇を取得して良い」など明記されている場合もあります。なお、仮に就業規則に記載がない場合でも、取得はできるので安心してくださいね。

申請は難しい手続き不要!申し出るだけでOK!

「申請」というと、難しい手続きが必要と思われることも多いですが、生理休暇には、休みたい旨を口頭で伝えるだけで取得可能です。生理による身体の不調は、その日にならないと分からないことが多いので、当日の電話連絡でも大丈夫です。

ただし、生理周期が正確である程度の予想が出来る場合は、「この日は少し不安です」「このあたりは休む可能性があります」とあらかじめ伝えておくと、周囲の理解やサポートも得やすいでしょう。

なお、よほどの長期間でない限り、医師の診断書の提出も不要です。長期間就労できない程の深刻な体調不良が続く場合は、他の病気である可能性があります。

一度きちんと医師の診断を受けましょう。いずれにしても、普段からの体調管理や自分の生理周期を把握していることは、安心して働くためにも大切なことです。婦人科検診など、こまめに受診することをおすすめします。

生理休暇の前後は周囲へのフォローも忘れずに

生理休暇って実際とれるの?女性のための法律と権利

周囲に迷惑をかけないように業務の調節をしておくことも、休みを取りやすくするためには大切です。また、生理休暇は仕方のないことなので、過度に謝罪する必要はありませんが、気持ちよく働くためにも感謝の気持ちを口にしておきましょう。「ありがとう」「助かりました」のひと言が、良好な人間関係を築くためには重要なポイントなのです。

そして、あなた自身だけでなく、他の女性も生理休暇を取りやすいよう、助け合うことも大切です。困った時はお互い様、という気持ちでいましょうね。

言い出しにくいときは専門の人に相談しよう

相談機関

女性の社会進出が増えているという背景もあり、生理休暇について相談できる無料電話相談所など、相談機関が増えています。専門家によるアドバイスをもらえるので、悩んでいることがあれば利用することをおすすめします。

また、こうした機関に寄せられる相談のなかには、生理について男性社員からのからかいを受けた、上司から嫌味を言われた、ということもあります。

このような言動や行為は決して許されることではなく、セクシャルハラスメントやモラルハラスメントといった犯罪行為に当たります。我慢する必要はありません。社内で解決できない場合は、弁護士に相談しましょう。 

社内カウンセラー

生理休暇って実際とれるの?女性のための法律と権利

社内に、働き方や職場の悩みを相談できるカウンセラーが在籍している企業も増えてきています。また、福利厚生のひとつとして社内医がいることもあります。

労務

勤怠管理や調節をしている部署に相談するのも良いでしょう。就労にあたっての心配事や働き方についてのアドバイスを貰えるはずです。また、直接の上司に言い出しにくいときも、労務の方から伝えてくれることもありますので、ぜひ相談してみてください。

労務担当者は労働基準法の知識に精通しているので、生理休暇についても理解しています。安心して働くための環境作りも、労務の大切な仕事なのです。

男性社員も女性の生理について相談している

最近は女性からだけでなく、男性から、一緒に働く女性社員の生理について相談がくることも増えているようです。多くの男性は「生理に関することは触れてはいけない」とタブー視していることが多いのですが、理解しようとしてくれる男性もいるということは、とても喜ばしいことですね。

なお、男性から寄せられる相談で多いのが、「一緒に働いている女性社員が、生理日になると感情的でどうしたら良いか分からない」「辛そうなのは気づいているけれど、そのことに触れて良いのか判らない」といった内容です。

確かに、生理にともなう感情の起伏は、、女性ならある程度は理解できるものの、男性からすると怖いと感じるかも知れませんね。また、善意から生理について言及するにも、一歩間違えるとセクシャルハラスメント、と受け取られてしまうリスクがあります。

女性としても、「生理だから仕方ないじゃない!」と開き直った態度をしてはいけません。男性も気を使ってくれているということを、きちんと理解しておきましょう。どうしても感情のコントロールがきかない場合は、生理痛がなくても生理休暇を取得することをおすすめします。

ひと昔前に比べて、男性の多くは女性の生理についての理解を深めています。勇気を出して相談すれば、真摯に向き合ってくれるでしょう。

ひとりで悩まないで!女性がもっと活躍できる社会へ

生理休暇って実際とれるの?女性のための法律と権利

働くにあたって一番辛いことは「理解してもらえないこと」ではないでしょうか。これは女性の生理に限ったことではなく、持病や障害を持つ人にも言えることです。個人差の大きい生理の症状は、ときとして同性からも理解されないことがあります。生理痛や症状がまったく出ない女性もいれば、激痛を伴う重い人もいます。お互いに理解し合うことが大切ですね。

生理休暇を取得したいと言い出すに勇気がいる、と感じる方は多いでしょう。しかし、多くの女性が当たり前に取得する世の中に変わっていけば、抵抗感は無くなるのではないでしょうか。より良い仕事をするために、休むことは決して悪いことではありません。

あなたが動くことで、他の女性も取得しやすい環境に変わるかもしれません。女性がもっと活躍できる社会にするためにも、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

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