空港で働く人になりたい!全16職種の仕事内容・必要な資格を一挙紹介

国や地域の窓口でもある空港ですが、その空港が機能するためにはたくさんの人が働いていることを知っていますか?空港で働く職業としてすぐに思いつくのは、パイロットや客室乗務員、グランドスタッフなどがあります。しかし空港には、私たちが知らないだけで、実はたくさんの人が働いているのです。そこで、今回は空港にどんな職業があるのか、ご紹介していきましょう。

空港での業務は幅広い!?

空港で働く

空港に関わる仕事は幅広く、様々な職業があります。地上勤務や空の上での勤務、旅客者の対応や、普段は私たちが目にすることがない裏方の勤務など、一言では説明できません。

空港関係の代表的な勤務先とは

まず、空港の業務に携わっている会社にはどのようなところがあるのか、代表的なものを紹介していきます。

航空会社(エアライン)

航空機を運行し、旅客や貨物を運びます。空港で働くと聞いて最初に思いつく方が多い勤務先ではないでしょうか?日本で主要な航空会社といえば、ANA(全日本空輸)やJAL(日本航空)ですが、ピーチやジェットスターなどの格安航空会社(LCC)も数多くあります。

空港運営会社

空港のターミナルビルの管理や旅客サービス、各種案内など、空港で受けることができる様々なサービスを取り扱う会社のことです。そのため、各空港によりその業務内容が異なることが多いのも特徴のひとつです。

旅客ハンドリング会社

空港を利用する方へのサービスを行う会社で、グランドスタッフ業務を、主に航空会社から受託しています。「グランドスタッフ=航空会社社員」と思われることもありますが、実はそうではありません。

グランドハンドリング会社

大きく分けて、「航空機の誘導」と「カーゴ業務(航空貨物の搬入)」の2つを取り扱う会社です。また、航空機の翼やタイヤの安全確認を行うなど、他のスタッフとのチームワークが必要であり、運行に欠かすことができない業務を担っています。

航空整備会社

航空機の機体整備を行う会社です。

商業施設

空港には、搭乗前や着陸後も快適に過ごすことができるよう、様々な施設が入っていることが多く、それぞれのお店をまとめている会社です。都心部の大きな空港になると飲食店や衣料品店・お土産ショップ・宿泊施設など様々なお店があります。

空港の仕事~航空業務編~

ここからは、具体的に空港で働くための職種にはどのようなものがあるのか、そして、その職業に就くためにはどうすれば良いかについて、具体的に説明していきます。

パイロット

空港で働く

仕事内容

航空機を操縦して、乗客や貨物を目的地まで安全に運ぶ仕事です。基本的に、旅客機は機長と副操縦士の2名により操縦されています。フライト前には毎回、燃料確認や気象情報チェック、整備状況の確認、コックピットでの点検などを実施し、運航中は航空管制官のアドバイスのもと安全な操縦をすることが求められます。

なお、勉強と訓練はもちろんのこと、身体検査に合格した者だけが操縦することが許されます。厳しい仕事ではありますが、やりがいは大きいでしょう。

働くには?

日本において、パイロットになるための方法は3種類あります。必要な資格としては、国家資格である操縦のライセンスで、そのライセンスには自家用操縦士→事業用操縦士→定期運送用操縦士の3種類があります。パイロットとして働くためには、この中の事業用操縦士以上の取得が必須であり、加えて「無線従事者」であることが必須になります。

  1. 自社養成パイロット
  2. 4年制大学もしくは大学院卒業が条件で、通常の企業と同様に就職活動をし、採用されたらパイロット訓練生として入社します。そして、入社後約2年半のパイロット訓練を受け、試験に合格すると、パイロットとして働けるようになります。

  3. 航空大学校を卒業後に航空会社に入社する
  4. 航空大学校は、短大や高等専門学校を卒業、もしくは大学2年生以上の課程を修了していることを条件に出願できます。大学で小型機の免許までを取得して航空会社に入社し、ジェット旅客機の訓練を受けて試験に合格すれば、パイロットになることができます。

  5. パイロット養成課程や航空学科のある大学・専門学校でライセンス取得後、航空会社に入社する
  6. 航空大学校を卒業後に航空会社に入社する場合と同様に、在学中に小型機の免許までを取得して、航空会社に入社後、ジェット旅客機の訓練を受けます。

このようにパイロットになるための方法は複数存在していますが、1番採用の可能性が高いのが、航空大学校を卒業することだといわれています。

客室乗務員(キャビンアテンダント)

空港で働く

仕事内容

大きく分けて「サービス業務」と「保安管理業務」があります。「サービス業務」は機内で乗客が快適に過ごすことができるように、機内食やドリンクの提供、社内販売、その他乗客のサポートをすることです。

一方、「保安管理業務」は緊急事態が発生したときに機内の安全を確保したり、急病人が出た時に救急処置を行ったりすることです。

見た目はとても華やかですが、フライトに合わせた勤務体系になるので、時差が大きい海外へのフライトが続いたり、疲れていても笑顔を絶やさずに接客したりと、意外とハードな面が多い仕事でもあります。

働くには?

基本的には専門学校や短大、4年制の大学、大学院を卒業後にエアラインに就職します。もしくは、客室乗務員専用の派遣会社に登録するという方法もあります。

国際線はもちろんですが、国内線でも海外の乗客と接することが多いので、英語力が求められます。目安としてはTOEIC(R)Listening&Reading Test 600点以上といわれており、加えて他の外国語も話せる場合はアピールポイントになります。

また、募集要項に記載はされていませんが、業務のなかに「座席の上の荷物を出し入れする」ということもあるので、身長が160cm以上ある人の採用が多いともいわれています。

航空管制官

空港で働く

仕事内容

航空機が安全に空を飛ぶことができるように、空港内にある管制塔から、レーダーや無線電話を使用して空の交通整理を行う仕事です。管制塔から数多くの航空機の位置や状態を確認しながら、決められた航路を進めるように方向や高度を伝え、機体同士の接触がおこらないように指示したり、離陸や着陸の順番を指示したりと重要な司令塔です。

働くには?

短期大学や高等専門学校、4年制大学などを卒業後に、国土交通省が実施している「航空管制官採用試験」に合格することで、国土交通省に国家公務員として採用されます。

この試験は21~29歳までが受験することが可能であり、3段階に分けられた試験(適性試験・外国語試験・面接)を合格すると、航空保安大学校にて約1年間、学科や技能研修を受けることができます。そして、それを修了すると空港で働けるようになります。

なお、航空大学校に在学中は給料がもらえます。そして、空港にて実地訓練を行い、技能証明等学科試験を突破することで航空管制官として働くことができるのです。

業務内容上、目視で空の状態を確認したり、片方の耳でパイロットとやり取りしながら、もう一方の耳では管制塔の情報を把握しなければならず、視力と聴力に関しては基準が設定されています

また、基本の言語は英語です。聞き間違いを防止するためにも、世界共通の言い回しを覚えることも必須になってきます。

航空整備士

空港で働く

仕事内容

空港や格納庫にて、航空機が安全に運行できるよう、整備や修理、点検、改造などを行います。仕事内容は大きく2種類に分けられます。ひとつは着陸からフライトまでの短時間に空港で行われる「ライン整備」です。もうひとつは、格納庫にて一定の時間運行した航空機に対して、時間をかけて行う「ドック整備」です。

働くには?

4年制大学や大学院の理系学部、工業高等専門学校、就職実績のある航空専門学校などを卒業後に、航空会社や整備関連会社に就職します。

業務に就くには、一等・二等航空整備士もしくは一等・二等航空運航整備士の国家資格取得が必要です。一等は大型のヘリコプター、二等は小型の飛行機もしくはヘリコプターの整備をすることができる資格です。

なお、航空整備士の方が業務の幅は広くなります。また、航空機の整備マニュアルは英語で記載されていること、パイロットや客室乗務員と接する必要があることから、TOEIC600点以上の英語力も求められる仕事です。

空港の仕事~地上業務編~

ここからは、飛行機に乗る前の空港内での地上業務について詳しく紹介していきます。

グランドスタッフ

空港で働く

仕事内容

空港の顔ともいえる、旅客へのサポートと接客を行う仕事です。主な業務は、カウンターやロビーで国内線や国際線のチケットの発券や搭乗手続きをしたり、搭乗ゲートや到着ロビーで旅客のサポートなどをしたりすることです。他にも、バックオフィスで工程管理を行ったり、一部外国の航空会社の業務を受託したりすることもあります。

特に国際線は深夜の離着陸もあるためにシフト勤務であり、早朝~午後や午後~夜中など不規則な早朝深夜勤務もあるので、体力がいる仕事でもあります。

働くには?

基本は、短期大学や専門学校、4年制大学、大学院卒業後に航空会社に就職します。ただし、大手の航空会社は高倍率のため、大卒以上の採用が多いのが現状です。

なお、TOEIC700~800点のスタッフが多く在籍しています。国内空港でも英語は必要ですが、特に国際空港では高い英語力が求められます。また、英語に加えて他の外国語ができることは有利になるでしょう。

航空会社に就職する以外には、航空会社専門の人材派遣会社に登録するという方法もあります。

運航管理者

仕事内容

空港内のターミナルオフィス内において、各空港の気象情報や航空情報を把握してフライトプランを作成し、フライト前のパイロットと打ち合わせします。また、運航中に無線を通して最新の気象情報を伝えたり、トラブルが起きた場合にアドバイスを出したりすることで、安全なフライトが行われるようにサポートします。そのため、別名「地上のパイロット」という呼ばれ方をすることもあります。

働くには?

特定の学歴や入社前に必須資格などは特にありません。航空会社などに就職することが必要です。ただし、航空機の重さや燃料計算、気象データを読みとくための数字の強さはもちろん、マニュアルや用語には英語が多く使用されていたり、外国人スタッフとコミュニケーションとったりすることからある程度の英語力は必要です。

そして、入社後に航空工学や関連の法律の知識を勉強しながら国家資格である運航管理者技能検定の合格を目指さなければなりません。

空港業務スタッフ(グランドハンドリング)

仕事内容

一言でいうと、滑走路を走る航空機の誘導役です。よく目にするもののひとつが、マーシャリングと呼ばれる滑走路で飛行機と向かい合って大きく手を広げながら飛行機を誘導することです。

他には、航空機の牽引をしたり、旅客手荷物や航空貨物・機内食などの運搬をしたり、搭乗用階段の着脱、給油や汚水給水、機内清掃をしたりと、航空機の出発前と到着後に必要な幅広い業務を行います。

働くには?

特定の学歴や必須資格などは特にありませんが、フォークリフトの運転があるので普通自動車免許は必要になります。そのため、高卒以上でエアラインやグランドハンドリング会社に入社が必要です。

また、業務内容によっては、「大型特殊自動車免許」や「危険物取扱者」、「けん引免許」などが必要になることもありますが、基本的には入社後の取得で問題ありません。なお、グランドハンドリングの業務の幅は、空港によっても異なります。そのため、どこまでが業務内容であるのかは、勤務先に確認する必要があります。

手荷物検査

空港で働く

仕事内容

主な仕事は、空港内でX線検査機や金属探知機を使用しながら、手荷物検査や身体検査をすることです。この検査には、機内に危険なものや持ち込み禁止のものが持ち込まれないようにする大切な役割があります。その他、この作業を行う警備スタッフは、定期的に空港内を巡回して、不審者や不審物がないかの確認もします。

働くには?

学歴や資格などは特に必要がなく、基本的には警備会社に就職します。そのため、空港の警備員として働きたいのであれば、居住地に近い空港や航空機の整備場、関連工場などに配属実績がある警備会社を選ぶことが必要です。

ケータリングスタッフ

仕事内容

機内で提供される機内食を取り扱う仕事です。空港近隣のケータリング工場で機内食を用意したり、機内に機内食を運んだりします。もちろん、使用後の片付けや洗浄などの作業もあります。

また、ケータリング工場の配属部署によっては、メニュー開発や材料の調達などの業務に携わることもあります。そして、その他にも免税品・医療器具・雑誌などの物品を機内に搬入したり保管したりという業務も担っています。

働くには?

航空会社からケータリングサービス業務を受託している会社に就職しましょう。特定の学歴や資格は必要ありませんが、ケータリング会社の多くは外資系の航空会社と契約しているところも多いので、打ち合わせの際に外国人スタッフとの会話が必要になることもあります。英語力を求められることは多く、TOEIC600点以上が理想です。

インフォメーション

仕事内容

空港ビル内のロビーやインフォメーションセンターにて、空港利用者に向けて情報提供や案内業務を行います。

案内業務はターミナル施設案内から始まり、フライトスケジュールや、館内放送、空港からの各種交通アクセスの案内・乗車券の販売、空港周辺の主要な観光地情報など幅広い内容を把握しておくことが必要です。

また、落とし物の管理や各種困りごとの対応をすることも、業務に含まれます。

働くには?

短期大学・専門学校以上卒で、空港運営会社への就職が必要です。様々な人と接する業務で、外国人の対応をすることが多いので、高い英語力を身に着けておきましょう。また、英語以外の多言語を話すことができることは有利です。

ターミナルサービス

仕事内容

空港ターミナル内で手荷物やショッピングカートの管理・整理手荷物の一時預かりやコインロッカーの管理など空港にとって欠かすことのできない各種サービスに携わる業務です。特に国際線がある空港では、24時間稼働しているので早朝・深夜業務も必要です。

働くには?

特定の学歴や資格などは特に必要がなく、空港運営を行う管理会社に就職が必要です。空港内での業務なので、いろいろな人と接する機会が多く、ビジネスマナーや接客、語学は、勉強しておくと有利になるでしょう。

入国審査官・税関職員

空港で働く

仕事内容

いずれも国際線が就航している空港では欠かすことができない職種で、国家公務員です。

入国審査官は法務省の職員であり、パスポートやビザに不正がないか確認するとともに、入管法で定められた在留資格を取得しているか、違法なものの持ち込みがないかの審査もします。税関職員は財務省の職員で、税金の徴収と通関手続きを行うことで、円滑な貿易を行うためのサポートをしています。

具体的には、空港内に設置されている税関において、申告書類を確認したり麻薬探知犬、X線検査装置などを使用したりして、麻薬や密輸商品など違法なものが空港に持ち込まれていないかどうか、持ち込んだものの関税や消費税などの金額に誤りがないかどうかどうかを厳しく検査します。

働くには?

国家公務員になる必要がありますが、試験自体は「国家公務員採用一般職試験」を合格すれば良いので、中学卒業2年以上経過であれば、高校を卒業せずとも受験資格はあります。

合格者のうち、さらに各地方入国管理局における面談に合格した人は、入国管理局職員となり、最初は法務事務官として従事します。なお、勤務経験が増えてくると、特にテストなどに合格しなくても入国審査官になれるといわれています。

一方、公務員試験合格者のうち、さらに各税関における採用試験に合格した人は、一般職での税関職員となり、港や空港に配属されます。そのため、必ず空港勤務になるとは言えません。

入国審査官や税関職員は外国人と接することも多いので、語学力が必要であることはもちろんのこと、難関である国家公務員の試験を合格するための勉強が必要です。

販売スタッフ

仕事内容

空港の販売スタッフとは、空港内の免税店やお土産物屋さんで働く人のことです。主な業務としては、商品の品出しや陳列、発注、商品管理、レジ、接客、店内の掃除などがあります。

また、空港内にあることから、取り扱い商品以外にも、空港利用に関わる質問・問い合わせなどを受けることも多いでしょう。物を売ることはもちろんですが、お客様の空の旅をサポートできるよう、空港の設備などを把握しておくことも求められます。

働くには?

特定の学歴や必須資格などは特に必要がなく、空港内のお土産屋や免税店を経営している会社に就職が必要です。ただし、会社によっては勤務先が空港以外のこともあるのでそこはしっかりと確認が必要です。

また、接客業であるのでコミュニケーション能力は求められます。そして、外国人の搭乗者も多いことから、特に英語や中国語のスキルがあれば有利になるでしょう。国際線が運航されている空港では、深夜・早朝の勤務が発生することも理解しておく必要があります。

レストランスタッフ

仕事内容

空港内の飲食店街のレストランにて、ホール接客や調理を行う仕事です。

働くには?

空港に入っているレストランの運営会社への就職が必要です。販売スタッフと同様に接客業のため、コミュニケーション能力をはじめ、英語などの外国語のスキルもあると、空港店勤務においては特に有利になるでしょう。

車両整備士

仕事内容

空港に隣接した整備区間において、特殊車両の点検や整備、修理などを行います。特殊車両は飛行機の運航を地上でサポートするために欠かせないもののため、その車両の整備は、非常に重要な仕事のひとつです。

直接お客様と接する機会はほとんどない縁の下の力持ち的なポジションになり、機械と向き合うことが多く、空港で活躍している様々な車両を整備することから、幅広い知識や経験が必要になる業務でもあります。

働くには?

特定の学歴は特に必要ありませんが、車を扱うので、普通自動車免許は必須です。航空会社や車両整備関連会社などに就職しましょう。必須ではありませんが、車の知識が豊富であれば有利ですね。

航空貨物スタッフ

仕事内容

航空機に積み込む貨物の運搬や計量をして、貨物を目的地に無事に届けます。

「貨物」「運搬」と聞くと、力仕事をイメージする人も多いでしょう。もちろん、体力も必要ですが、貨物の計量は、安全な運航をするために重要な事項です。貨物をリストと照合したり、種類にあった梱包するなど、細かい確認も発生します。

働くには?

高卒以上で、普通自動車免許の取得が求められます。NCAという航空貨物専門の会社や、貨物を扱う求人を出しているグランドハンドリングの会社に就職すると良いでしょう。体力に自信があり、細かな作業が苦ではない几帳面な方に向いている職種です。

空港で働くのにもいろいろな職種がある!自分に合うものを見つけてみよう

空港で働ける職種を一気に紹介していきましたが、知っているものもあれば、初めて知ったというものも多かったのではないでしょうか?一言で「空港で働く」といっても、様々な働き方があります。

あなたの希望に近い職種はあったでしょうか。ご自身の得意・不得意を見直し、ぜひ、あなたの今、そしてこれからのライフプランにもぴったりな職を見つけるための参考にしてみてください。

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