【医師監修】集団生活の多い赤ちゃんや子どもは感染しやすい!水疱瘡(水痘)の症状と予防の心得

赤い発疹が体いっぱいに広がる水疱瘡。
かゆさのあまりつい引っ掻いてしまうと、引っ掻いた傷が化膿してとびひになったり、痕に残ってしまったり、悪循環になりがちです。
特に、保育園や幼稚園で集団生活をしている子供たちの中には、数日間感染に気がつかないで通ってしまうこともあり、結果、徐々に流行してしまうことがあります。
ここでは水疱瘡の予防や治療についてご紹介します。

水疱瘡(水痘)とは?

水疱瘡とは一体どのような病気なのでしょうか。水疱瘡の原因である、水痘・帯状疱疹ウイルスについてご説明していきます。

水疱瘡(水痘)は感染症の一種

水疱瘡という病気はなんとなく聞いたことがあったり、幼いころに自分がかかってかゆい思いをしたり、幼稚園や保育園、小学校に行ってはいけないといわれてしまったり、いろいろな経験をされた方が多いのではないでしょうか。
かかったことのある人が多い分、情報量も多く、イメージがつきやすい水疱瘡ですが、実は水疱瘡は感染症の一種です。正式名称は水痘(すいとう)といいます。
学校感染症という、学校において予防すべき感染症に指定されており、すべての発疹は痂疲(かさぶた)になるまで出席停止が義務づけられています。
水疱瘡は、ヘルペスウイルス科の「水痘・帯状疱疹ウイルス」というウイルスに感染してかかる病気です。

主にこどもがかかる病気で、1-4歳頃に最も多く、幼児期から学童期にかけて多くみられます。なお、一度このウイルスに感染すると生涯にわたる免疫ができるので、再び水疱瘡にかかることはありません。

水疱瘡(水痘)の潜伏期間

潜伏期間は2週間程度、だいたい10日から21日くらいとされています。
発疹のでる1-2日前から感染力があるので注意が必要です。
もし、幼稚園や保育園で水疱瘡にかかってお休みをする人が出てきたら感染していないか注意する必要があります。

水疱瘡(水痘)の感染経路や流行の時期は?

次は、水疱瘡の感染経路や流行時期を見てみましょう。
流行の時期や、感染経路を知っておくことで、早めの対策が可能になります。

流行時期

感染力が強いので基本的には一年中かかってもおかしくありません。しかし、流行の時期というのがあります。それは、12月から7月と言われています。逆に8月から11月は少ないとされています。
理由はわかっていませんが、宮崎県の医療機関が、1997-2006年の10年間行った4万8388例を分析した結果、帯状疱疹と水疱瘡の流行が逆の関係にあるという調査結果を発表しています。この結果から、流行の時期について言われるようになったのです。

感染経路

学校感染症の共通点でもある、集団感染を引き起こしやすい感染症です。感染経路には、空気感染と接触感染と飛沫感染の3種類があります。
すでに発症している人がいる場合、患者がウイルスのついている手で他人に触れることで感染します。これが接触感染です。赤いぶつぶつをつぶしたときに出てきた液にはウイルスが多く含まれるので、直接触らないようにしましょう。。子供同士だと遊んでいる最中に体が接触したりすることが多いので、それだけうつるリスクが高いといえます。
子供が感染した場合、家族で使うタオルを変えたり、感染している子供が触ったところを消毒したりして、できるだけ感染していない人がウイルスに接触しないように気をつけないと、普段使っているものから感染してしまうこともあります。注意しましょう。

水疱瘡は潜伏期間中であっても、ウイルスを撒き散らしてしまうことがあります。その空気中のウイルスを吸って感染するのが、空気感染です。また、患者の咳やくしゃみで空気中に散布されたウイルスを吸って感染するのが、飛沫感染です。
ウイルスの大きさは150から200ナノメートル、インフルエンザウイルス(80から120ナノメートル)よりは大きいものの、電子顕微鏡がないと見つけることができないほど大変小さいものです。
マスクをしていても、その隙間を抜けてしまう大きさです。

そのため、空気感染や飛沫感染にもつながってしまうのです。
非常に感染力が強いので、家庭内で誰かがかかると家族全体がかかってしまうと考えていいでしょう。
一度もかかったことのない場合は大人でも注意が必要ですし、大人になってかかると重症化するケースが多いことも覚えておきましょう。

水疱瘡(水痘)の症状

水疱瘡になったらどのような症状が出るのでしょうか?

水疱瘡(水痘)の発疹はどんなもの?

虫刺されのような赤いぶつぶつが皮膚に出てきます。
はじめは、虫刺されやあせもとよく似ているので、診断が難しいこともあります。

赤く小さな発疹は、徐々に盛り上がって丘疹(きゅうしん)となり、その後かゆみを伴う水水疱(すいほう)にかわります。水疱は3-4日で痂疲(かさぶた)になりますが、はじめは新しい発疹が次々にでてくるので、これらの発疹がすべて入り混じった状態になるのが特徴です。

水疱瘡(水痘)の症状は?

水疱瘡になったらどのような症状が出るのでしょうか。赤いぶつぶつができる2-3日前から、身体のだるさや微熱(37度程度)、頭痛、食欲低下などの症状がみられます。

赤ちゃんや子供の場合は、身体の不調をうまく自分で伝えられないので、なんとなく機嫌が悪いなどのサインを見逃さないことが大切です。
幼稚園や保育園に通園する際、毎日体温を測ってから、というところが増えているようです。
毎日体温を測って報告するとき、日ごろから確認しやすいように一覧表にして残しておくと、ちょっとして変化にも気がつきやすいかもしれません。

水疱瘡(水痘)はどこにできるの?

水疱瘡の発疹は、全身に出現します。
特におなかなど体の中心部にあらわれることが多いと言われていますが、どこからできると決まっているわけではありません。はじめに発疹がでてから、半日くらいの間に頭・顔・うで・あしなどのほぼ全身に拡がります。口のなかや口の周り、お尻や陰部のあたりにもでることがありますが、手のひらと足のうらに出ることはまれです。

おしりや股の辺りはオムツでかぶれたりすると赤くなったりするので、そういうときに出てきてしまうと、見落としてしまうかもしれません。注意しましょう。
また、この場所すべてにできるわけではなく、発疹の数には個人差が大きく、ほんの数個で済むこともあれば、数えきれないくらい無数にできることもあります。
ちょっと気になる発疹がみられたら、病院に連れて行ってみましょう。

水疱瘡(水痘)の予防方法

水疱瘡の予防の方法には大きく2つあります。
予防接種を受けて免疫のある体作りをすること、もうひとつは外から入らないようにする方法です。

それではひとつずつご紹介していきます。

ワクチン接種

水疱瘡に効果のあるワクチンとしては、水痘・帯状疱疹ワクチンがあります。
平成26年10月から定期予防接種に指定されているので、対象年齢の時に接種すると、自治体の公的補助が受けられます。ほとんどの自治体では対象年齢の時に接種すると無料です。
接種時期は、1歳から2歳(3歳の誕生日前日)までの間に2回受けることが推奨されています。1歳の誕生日を過ぎたら1回目を接種し、それ以降は1回目の摂取から3ヶ月以上あけて2回目を接種するとよいでしょう。予防接種を受けていても水疱瘡にかかる可能性はありますが、軽症ですむ場合が多く、合併症の可能性も低くなるので、忘れずに受けるようにしましょう。

消毒

水疱瘡の原因の、水痘・帯状疱疹ウイルスは、熱やアルコール、漬けおきする食器用洗剤によく含まれている、次亜塩素酸ナトリウムに弱いと言われています。
子供のものにアルコールなどの薬品を使うことに抵抗がある場合は、熱湯消毒が効果的です。お風呂のお湯よりもぬるい、25度以上で死滅するウイルスなので、水疱瘡の子供の体を拭いたタオルや、子供が触った食器などから感染が広がらないようにするために、可能であれば熱湯につけたり、さらしたりしてから洗うようにすると効果的です。

水疱瘡(水痘)の治療方法や薬にはどんなものがあるの?

水疱瘡にかかってしまったらどうすればいいのでしょうか。
本来は自然に治る病気ですが、重症化させないためにも、また、感染を拡大させないためにも、まずは病院に行って適切な治療を受けましょう。
では、治療のときに処方される薬についてご紹介します。

水疱瘡(水痘)の薬の種類

水疱瘡で処方される薬は、飲み薬と塗り薬になります。
両方処方される場合もありますし、飲み薬だけの場合もあるかもしれません。
ここでは塗り薬と飲み薬についてご説明します。

塗り薬

フェノール亜鉛華リニメントが一番有名です。
「カチリ」とも呼ばれています。
水疱瘡のかゆみを抑える効果があります。白いどろりとしたお薬ですが、ひとつひとつの発疹にかぶせるように塗り、5分程度して乾いたら服を着せるとよいでしょう。

その他、抗生剤の塗り薬が出ることもあります。抗生剤は水ぶくれからの二次感染防止のため、または化膿止めとして使われます。いずれの薬剤も、外用する際には手指をきれいに洗ってから、水疱を破らないようにやさしく塗りましょう。綿棒などを使って、直接手指で触らないように外用するのもお勧めです。

飲み薬

飲み薬には「アシクロビル」「バラシクロビル」があり、
どちらもヘルペスウイルスに有効なお薬です。

持病がある場合や、飲み合わせなどを考えて医師によって選択されますので、飲み薬を飲んでいたり、持病のある人は最初に伝えておく必要があります。

水疱瘡(水痘)の薬の注意点

塗り薬のフェノール・亜鉛華リニメントは、すでに傷がついた皮膚や、粘膜に使うことはできません。
飲み薬で有名なものとしては、水疱瘡のときにアスピリン系の薬を飲むと、ライ症候群という命にかかわる脳症を起こすことがあります。ライ症候群とは、激しい嘔吐やけいれんが起こる急性脳症です。
市販の風邪薬や解熱剤にもこのアスピリン系の成分が含まれているものが多くありますので、自己判断で使用するのはやめましょう。

薬を飲まなかったらどうなるの?

原因がウイルスなので、基本的に処方された薬は、すべて飲み切るようにします。
ただし、ウイルスを殺すお薬ではないので、はじめは発疹が拡がり効果を感じにくいことがあります。飲み始めて2日後くらいに徐々に効いてくるので、自己判断でやめないことが大切です。

勝手な判断で治ったからと薬を中断したり、外出したりすると、周りに感染させてしまうことがあるので注意が必要です。

水疱瘡(水痘)以外で水疱が出てくる病気

水疱

水疱とは、水ぶくれのことです。直径5ミリ以上のできものの中に水がたまって膨らんでいる状態です。
一番わかりやすい例はやけどです。やけどをすると、やけどの部分が赤くなって腫れたり、水ぶくれになったりすることがあります。
他には以下のような病気のときに水疱ができます。

虫刺症

水疱瘡の病初期では、虫刺されと鑑別が難しいことがあります。髪の毛の生えている部分に発疹がある場合には、水疱瘡の可能性が高いと考えてよいでしょう。

手足口病

エンテロウイルスによる感染症で、名前の通り、主に手のひら・足の裏・口のなかに水ぶくれができる病気です。水疱瘡は、口のなかにも発疹がみられることがありますが、手のひら・足の裏に発疹がでることは少ないので、この部分に発疹が多くみられる場合には手足口病の可能性が高いといえます。

伝染性膿痂疹

いわゆる「とびひ」です。小さい傷口から黄色ブドウ球菌や連鎖球菌などが感染して発症する病気です。水疱瘡の発疹をかき壊すことで、二次的にとびひになってしまうこともあるので注意が必要です。

天疱瘡

天疱瘡は、細菌やウイルスを攻撃して体を守るはずの免疫が、自分自身を攻撃してしまうことで起きる自己免疫性疾患のひとつです。
いくつか種類がありますが、皮膚や粘膜に水疱やびらんが生じる病気で、発病年齢は40~60歳代に多いといわれています。

帯状疱疹

水疱瘡と同じ、水痘・帯状疱疹ウイルスが原因です。一度このウイルスにかかって水疱瘡を発症すると、治癒後もウイルスは神経節に潜んで体の中に存在しています。そして、宿主の免疫機能が低下すると、再活性化し、今度は帯状疱疹として発症します。水疱瘡と異なり、発疹は体の左右どちらかのみ、神経分布にそって発疹が出現する特徴があります。水疱瘡と同じ内服薬で治癒します。

水疱瘡(水痘)にかかったら、すぐに病院へ行き治療しよう

水疱瘡は保育園や幼稚園への登園が禁止されるくらい、感染力の強い病気です。
子供もぶつぶつができて、とてもかゆいので、治るまで大変辛いでしょう。
定期予防接種を受けることで、かかったとしても多くは軽症で済みますし、合併症の可能性が低くなるので、忘れずに接種しましょう。
水疱瘡にかかってしまった子供と生活している場合は、感染した子供と食器やタオルの共有は避けるようにし、使ったものは消毒をすると、家庭内での感染予防につながります。
また、飲み薬や塗り薬を利用することで、より早く症状を改善することにつながります。
お薬をもらって早く治すためにも、あやしいな、と感じたら、すぐに病院に行き、適切な処置ができるようにしましょう。

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