妊娠出産は女性にとって人生の一大イベント!こどもが産まれることで、旦那さんとの絆もより一層深まる…。そんな風に考えている女性も多いですよね。しかし、大好きな人の子供を産んだはずなのに、その旦那さんを嫌いになってしまう“産後クライシス”がここ数年で大きな話題を呼んでいます。離婚に繋がるケースもあり深刻な問題です。今思えばあの時のイライラやモヤモヤは産後クライシスだったのかも?そこで今回は、時には、離婚のきっかけともなってしまう、産後クライシスについて、原因と解決策を考えていきましょう。
産後クライシスとは
産後クライシスは「産後2年以内に夫婦の愛情が急速に冷え込む状況」として、2012年にNHKの「あさイチ」という番組内で提唱された造語です。
産後のママはとてもデリケート。そんな時期に旦那さんが余計な一言を放ってママを傷つけてしまったり、家事や育児に協力してくれない現状に不満が溜まってしまうことで起こる愛情の減少を“産後クライシス”と呼びます。
いつもであれば聞き流せたり、気にも留めない些細なことでも産後となれば話は別!「産後の恨みは一生忘れない」とばかりに、産後数十年経っても「あの時あなたは〇〇してくれなかった…」と言い続け、旦那さんを嫌いだという気持ちを抱えたまま離婚してしまうケースも珍しくないのです。
産後クライシスになる原因
旦那さんに対する不満や嫌悪感が大きくなり、愛情を感じられなくなってしまう産後クライシス。これらは旦那さんの家事や育児に対する認識が甘いこと、自分の大変さを理解しきれていないことから起こるケースが大半です。
それでは、産後クライシスになる具体的な原因をみていきましょう!
夫が育児に協力してくれない
子育てに協力的な男性を意味する“イクメン”。「きっとうちの主人もイクメンになるはず…」と期待する女性もきっと多いはず。しかし、イクメンブームによって育休取得率が上がったか…というとそうではないですし、「子育ては女性がするもの」と思っている男性が圧倒的多数なのが現状。
それにも関わらず「イクメン男性が増えている」「育児に積極的で、家事までこなしてくれるパパもいる」というイクメン神話が独り歩きしているせいで、「なんで世の中の旦那さんは育児に参加してくれるのにうちは違うの?」とイライラ。産後クライシスを引き起こします。
自分だけが感じる孤独感
こどもが産まれると、多くの女性は1日中赤ちゃんと2人きりで過ごしますよね。特に、床上げを迎える前の1ヵ月は安静に過ごさなければならないため、外出もできず家の中…。
どこにも行けず、誰にも会えず…。自分ひとりだけポツンと取り残されてしまったような疎外感、孤独感に襲われてしまうことも。
そんな時、今まで通り仕事に出かけ、付き合いで飲みに行く旦那さんの姿を見ると「なんで自分だけ…」「私だって出かけないのに!」と、と不満が生じてしまうのも頷けますね。
育児疲れ
産後の女性は慢性的に睡眠不足です。赤ちゃんの月齢が小さいうちは2~3時間起きの授乳に加え、オムツも変えなくてはなりません。しかも、赤ちゃんは授乳後、お腹いっぱいになったからと言ってすぐに寝てくれませんし、目が覚めると眠りにつくまで抱っこし続けないといけないことも…。やっと寝た!と思っても、ベッドに寝かせた瞬間泣き出してしまうこともしょっちゅう。
初めての育児だと、常に気が張ってしまい赤ちゃんが寝ていても「ちゃんと呼吸しているかな」「寝苦しくないかな」と様子が気になってしまうもの。自分は24時間赤ちゃんの様子が気になっているのに、旦那さんは赤ちゃんの泣き声にも気付かず毎日きっちり8時間寝ていると「たまには代わってくれてもいいのに…」と、イライラ。諦めに似た感情と同時に愛情も減少してしまうのです。
ホルモンバランスの変化
産後はホルモンバランスが急激に変化するため、心身に不調を感じる女性はとても多いです。特に、訳もなく落ち込んだり、涙が出たりといった精神面の変化が目立ちます。先ほど紹介した「育児に協力してくれない」「孤独感を感じる」「疲れた」といった負の感情も、ホルモンバランスの変化が関係しています。
ホルモンバランスのせいとはいえ、これが原因で「旦那さんが嫌い」「もう好きじゃない」という想いを今後何年間も抱え続けていくのは、とてもツライことですよね。
産後クライシスのセルフチェック
いつもなら聞き流せたり、寝れば忘れられるような些細なことでも、産後クライシスに陥ると何年経っても「あの時あなたは〇〇してくれなかった」「私がツライときに〇〇と言った」と根に持ってしまうことも。それが離婚のきっかけにもなるのですから、産後クライシスを甘く見てはいけません。
セルフチェックで、自身の産後クライシス度をチェックしてみましょう!
~産後クライシス・チェックシート~
- 出産前後に夫が浮気した
- 出産後、夫婦の会話が減った
- 出産後、セックスレスになった
- 友人の夫と自分の夫を比較して、「なんでうちは…」とがっかりしたことがある
- 夫にも育児や家事に協力してほしい
- 夫に父親としての自覚をもってほしい
- 「出産したら別人みたいなったね」と言われたことがある
- 寂しい、つらいと感じることがある
- 夫にきつい発言をしてしまう
産後クライシスと産後うつ
産後クライシスは、家事育児に協力してくれない、育児の大変さを分かってくれないことから起こる「妻から夫への愛情の減少」を言いますが、産後うつは自分自身を責めてしまったり、不安感に襲われてしまうなど、自身の精神面が大きく関係しています。産後うつの状態が長く続くようなら、心療内科や精神科を受診しましょう。
~産後うつ・チェックシート~
- 気分がひどく落ち込む
- いつも疲れている気がする
- うまく眠れない(寝つきが悪い、早朝に目覚める、眠りが浅い)
- 将来のことを考えて不安になる
- イライラや焦りを感じる
- 倦怠感がある
- 食欲がない
- よく泣いてしまう
- 好きなことにも興味が持てない
- 物事に集中できない・考えがまとまらない
- 自分を責めてしまう
- 死にたいと思うことがある
- 身なりに気を使わなくなった
- 子供を産まなければよかったと思う
- 子供や夫への愛情を感じられない
産後クライシスの対処法
通院や服薬などの治療が必要な産後うつと異なり、産後クライシスを防ぐために大切なのは「夫婦間の話し合い」と「家事育児の共同作業」です。下記のようなことを実践するだけでも、産後クライシスを防ぐことができるはずですよ。
手伝ってほしいと伝える
ツライ時期ほど旦那さんに「察してほしい」と求めてしまいがちですが、女性が大変な時に駆けつけてくれる男性は漫画やドラマの世界にしか存在しません。男性は察することがとても苦手なため「言葉にしないとわからない」のです。これは脳の作りが女性とは違うため、仕方のないこと。旦那さんだってあなたの力になりたいはず。ただ、何をすればいいのかわからないだけなのです。ですから、「お皿を洗ってくれると助かる」「赤ちゃんお風呂に入れてくれる?」など具体的にお願いをしましょう。
夫を褒めてやる気を引き出す
ママだって授乳やおむつ替えの度にお母さんやお姑さんに「やり方が違う」「そうじゃない」なんて細かく指図されたり、口を挟まれたら嫌ですよね。旦那さんだって、あなたや赤ちゃんのために家事や育児に協力しようと思っているのに「それは違う」「まったく…」なんて言われたら嫌な気持ちになってしまいます。あなたが初めての育児に悪戦苦闘しているように、旦那さんだって慣れない家事と初めての育児に四苦八苦しているのです。
二人ともわかないことばかりなのですから、余計な口出しは厳禁。「手伝ってくれることが嬉しい」という気持ちを大切にし、褒めてやる気を引き出しましょう。
夫婦の時間を大切にする
赤ちゃんが産まれて大変なのに、旦那さんのケアをするなんて無理!という気持ちもわかりますが、夫婦間のコミュニケーションが取れてこそ、産後クライシスは防げるのだと思います。夫婦生活を無理に行う必要はありませんが、いってらっしゃいのキスをしたり、マッサージをしてもらうなどのスキンシップは欠かさないようにしましょう。
夫婦仲が良くなれば、旦那さんも育児家事に積極的になってママを喜ばせようとしてくれるはずですよ。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 産後、旦那さんに対してイラっとしてしまうのは誰にでもあること。しかし、一時の感情で終わるのか、何十年もしこりとなって残り続けてしまうのかは、日ごろから夫婦で話し合いの時間が持てているのかで大きく変わってきそうです。
プレママは産後の育児や家事の分担を今のうちにしておくと同時に、“産後クライシス”についての知識を夫婦で深めておくと良いですよ!