上司からのセクハラ事例と対処法

職場において、上司からのセクハラは大きな問題です。上司からすると「冗談なのに」「このぐらいで」と思うのかもしれませんが、女性からすると気持ち悪い以外の何ものでもありません。実際にセクハラを受けた場合、どのように対処したら良いかご存知ですか?今回は、上司からのセクハラ事例やセクハラを受けた場合の対処法をご紹介します。

セクハラについて

上司からのセクハラ事例と対処法

セクシャルハラスメントの略語である「セクハラ」が、世間の話題となったのは30年前です。1989年に、日本において初めて性的ないやがらせの訴訟が行われ、「セクハラ」が浸透し始めました。

その後、改正男女雇用均等法によって、事業主に対してセクハラ防止の雇用上の管理が義務づけられたのです。

セクハラの種類

セクハラには、「対価型セクハラ」と「環境型セクハラ」の2パターンがあります。今回ご紹介する上司のセクハラに悩んでいる場合は、「対価型セクハラ」であることがほとんどですが、職場全体で気付かずにセクハラが日常化している場合もあります。では、その2パターンを詳しくみていきましょう。

対価型セクハラ

対価型セクハラとは、会社での立場を利用して性的な言動をし、それに対する相手の対応によって、相手に不利益をもたらすというものです。

上司からのセクハラを拒否した場合に、給料や待遇、出世などに影響が及ぼすおそれがあると思わせます。そのため、会社内で相談できないことも多く、そのまま泣き寝入りするケースも多くあるのが現状です。

環境型セクハラ

環境型セクハラは、性的な言動を行うことにより、特定の相手だけでなく周囲の職場環境を悪化させるというものです。上司だけでなく、同僚や部下も含め、会社全体の環境が原因になっています。

対価型セクハラのような個人での接触ではなく、恋愛や容姿の噂話、性的な冗談、また恋愛経験や結婚について訪ねる、男性社員の場合は無理やり風俗店に連れて行かれるというのも、環境型セクハラのひとつです。

上司からのセクハラ、境界線はどこ?実際に起きた5つの事例

上司からのセクハラ事例と対処法

世間を騒がせている「セクハラ」という言葉ですが、実はセクハラの境界線は人によって違います。自分にはそのようなつもりはなくても、相手に不快感を与えれば「ハラスメント」となるのです。

よくセクハラが発覚した際に「そんなつもりはなかった」「セクハラではない、仲良しだと思っていた」という言葉を耳にします。では、セクハラとはどのようなものなのか、実際に起きた事例からご紹介します。

セクハラ発言をする

一言で「セクハラ発言」といっても、色々な発言があります。ここでは代表的なものをご紹介します。

容姿に関する発言をする

胸が大きいね、胸が小さいね、お尻が大きいね、などという女性の容姿に関する発言は、セクハラです。

上司からすると、「褒め言葉だったのに」と思うかもしれませんが、女性にとっては不快でしかなく、そのようなことを言われて嬉しいとは思えませんよね。また、スリーサイズを聞く、服を褒める、容姿をけなすのもアウトです。

生理中か聞いてくる

仕事がうまくいかず、少しイライラしているときに「生理中?」と聞いてくることも、セクハラにあたります。何気ない会話のなかでにあっても、体のことを聞かれるのは嫌なものですよね。

明らかにデリカシーのない発言です。生理中かどうかは仕事に関係なく、ましてや上司にも全く関係のないことです。

恋愛経験を聞いてくる

「これまで何人と付きあったの?」「どんな男性がタイプ?」「今彼氏はいるの?」「男性経験は?」といった、仕事に全く関係のないこともセクハラにあたります。

恋愛はプライベートなことで、仕事中に話す内容ではありません。そもそも、女性社員の恋愛は、上司に一切関係ないことですし、仕事にも関係ありません。

口説く

職場で女性を口説くこともセクハラにあたります。「かわいいね」「きれいだね」「モテるでしょ?」などの言葉も、職場にふさわしくありません。

上司のそのようなことを言われても、女性からすると返答に困るだけで、決して嬉しい言葉ではありませんね。

過剰に近付いたり、直接触る

上司からのセクハラ事例と対処法

異性に直接触れたり、過剰に近付くのは明らかなセクハラです。職場は仕事をする場所であり、スキンシップは必要ありません。

頭をポンポンする

よくテレビや雑誌で「頭をポンポンされると女性は喜ぶ」という話がありますが、それはあくまでも好きな男性限定ですよね。上司に頭をポンポンされて、喜ぶわけがありません。

肩を揉む

朝、出社したときに挨拶の代わりに肩に手を置いて声をかける、大切な会議の前に緊張をほぐすために肩を揉む、という上司もいるかもしれません。

思わず、叫びたくなるかもしれませんね。もちろん、このような行為もセクハラにあたります。職場では、そのようなスキンシップは必要ありません。

顔を近寄せる

「ちょっと見せて」など、資料やパソコンを覗き込む、必要以上に女性に顔を近寄せるという行為もセクハラです。

そのような上司に好意を抱くわけもなく、女性は少しでも離れたくて仕方がないことでしょう。「横顔が素敵」なんて思うはずもありません。

お尻や胸を触る

このようなことは、やった時点でアウトです。絶対にやってはいけないことであり、例えお酒の席であろうと、冗談では済みません。

職場で抱きつく

職場での勤務中、急に抱きついてくる、キスをしようとしてくる、キスをしてくるなども、当たり前ですがセクハラです。それが上司であれば、なおさら立場を利用した卑劣な行為であり、それを受け入れる必要はありません。

しつこく誘う

食事にしつこく誘う

「仕事終わったら、2人で食事に行こう」と1対1で誘うのもセクハラにあたります。一度誘って断られた場合、何度もしつこく誘うのも同様です。

ラブホテルに誘う

ダメ元でも冗談でも絶対にダメなことですね。

お酒の席でセクハラをする

上司からのセクハラ事例と対処法

よく「お酒の席は無礼講」などと言いますが、セクハラが最も多いのはお酒の席です。「少しぐらい…」「お酒のせいで…」と男性は思うのでしょうが、女性にとっては、お酒うんぬんでなく苦痛な時間ですね。

酔った勢いで身体を触る

手や肩、足など、お酒を飲んで酔った勢いでも、異性に体を触られたら、それはセクハラです。

肩を抱く

隣に座った女性社員に対し、自然と肩を抱いたり、カラオケのデュエットなどで肩を抱いて歌うなど、さも当然のように女性の肩を抱く上司もいます。

「女性の身体には触れない」ということを念頭に置いてほしいものですね。

「アーン」する

まるで恋人同士かのように、自分の箸を使い、女性社員に対して「アーン」をする上司もいます。いくらお酒の席とはいえ、絶対に嫌ですし、周囲も盛り上がるはずがありません。

善意からのセクハラ

上司が女性部下を思うあまり、良かれと思ってしたことが、女性側にはセクハラに捉えられる、嫌がらせに感じるということもあります。

何度もメールする

仕事で悩んでいる部下に相談を受けた後、心配なあまり何度もメールしてくる人もいます。相談をしたときには「頼れる上司」だったのが、いつのまにか「しつこい上司」となる人が多いでしょう。

相談をしたとき、話をしっかり聞いて気づかい、気に掛ける程度であれば嬉しいと感じますが、過剰な数のメールをしたり、望んでいる以上の行動をされると、嫌悪感を抱いてしまいそうですね。

帰り道に家まで送る

残業で遅くなったからと、帰り道に途中まで送ってくれる上司もいます。女性にとっては、「後をつけられる」「住所を知られる」など、恐怖でしかありませんね。

善意だとしても、女性にとっては大きなお世話です。

毎日褒める

よく企業の研修などで「褒めて伸ばす」ということがありますよね。それ自体は良いものの、なかには特定の社員だけを褒めたり、能力ではなく容姿を褒める、という人もいます。

上司のセクハラは気持ち悪い!効果的な対処法とは

上司がセクハラをしてきた場合、そのまま泣き寝入りは悔しいですよね。毅然とした態度で対処しましょう。

周囲の人に相談する

上司からのセクハラ事例と対処法

上司からセクハラを受けたら、周囲の人に相談するようにしましょう。自分ひとりで悩んでしまうと、どんどん落ち込んでしまいます。「気持ち悪い」「不快だ」という気持ちも、ひとりで抱えるより、周囲の人に話すことで気持ちが楽になります。

そんなあなたのことを、周囲の人は必ず見ています。こちらが相談することで、周囲も同調し、上司相手でもセクハラをやめるように強く言えるようになります。まずはひとりで悩まずに、周りの人に打ち明けてみましょう。

拒否の姿勢を示す

セクハラをされても、何も言わない状態では、相手も「嫌じゃない」と間違えて捉えてしまうこともあります。セクハラをされたとき、はっきりと拒否の姿勢を示し、不快に思っていることを伝えましょう。

また、口頭だけではなく、メールやLINEなどでも嫌な思いをしている、やめてほしいということを伝えることも大切です。その際には、感情的にならず、事実を明記し、その事実に基づいて意見を伝えましょう。

他の上司に相談する

周囲に相談したり、上司にはっきり伝えたりしてもセクハラが続く場合には、他の上司にも相談するようにしましょう。中規模以上の会社の場合には、セクハラの相談窓口があることが多いです。もしくは、人事部や他の部署の上司でも結構です。

相談をする場合には、まず具体的な証拠を用意しておくと話がスムーズです。具体的な証拠があると、迅速に動いてくれるでしょう。もし、相談内容が抽象的で具体的な証拠がない場合には、迅速に対応してくれない可能性もあります。セクハラを受けた場合には、証拠を残しておくことも大切です。

外部機関に相談する

会社に相談窓口がない、他の上司も頼りにならない、相手にしてくれないという場合には、社外の機関に相談する方法もあります。全国各地にある労働基準監督署でもいいですし、都道府県労働局雇用均等室、セクハラ問題を扱っているNPO法人でも結構です。

ただし、これまでは、対セクハラ上司という個人を相手にしていましたが、社外の機関に相談すると、対会社とのやり取りとなってきます。

弁護士に相談する

セクハラ上司に対して、しかるべき対応を求める場合には、弁護士に相談するのが一番でしょう。訴訟を起こす場合にも、弁護士の力が必要となります。

あらゆる手段を取った後でも、上司のセクハラが続くようであれば、弁護士への相談だけでも検討してみてください。その際にも、具体的な証拠があれば良いので、できるだけ証拠を集めるようにしてくださいね。

発言を録音しておこう

上司からのセクハラ事例と対処法

上司のセクハラに対して、他の上司に相談したり、会社の人事部や相談窓口、社外の外部機関、弁護士に相談するとしても、重要なポイントは具体的な証拠です。セクハラが実際に行われたという具体的な証拠をそろえておくことで、迅速に対応してくれます。

なお、証拠は上司からのセクハラ発言を録音する、メール内容を消さずに保存しておく、周囲の人に証言してもらう、手紙をもらったら捨てずに持っておく、などで結構です。

また、セクハラが原因で心療内科に通っている場合には、診断書も証拠となりますので、担当医にお願いし、診断書を書いてもらいましょう。

セクハラを受けた場合の慰謝料の相場

弁護士を立て訴訟となった場合には、上司に対して、慰謝料を請求することも可能です。セクハラの場合、慰謝料の相場は50万~200万円となっており、被害の内容によっても変わってきます。慰謝料を判断するための要素は、次の4つです。

  1. 悪質性
  2. セクハラの内容が悪質であればあるほど、慰謝料は高くなります。

  3. 持続性
  4. セクハラを受けた機関が長ければ長いほど、慰謝料は高くなります。

  5. 関係性
  6. セクハラをした人物が上司であればその分慰謝料は高くなりますし、加害者の地位が高いほど、慰謝料も高くなります。

  7. 損害
  8. セクハラを受けたことにより、対人恐怖症になった、うつ病になった、退職をせざるを得なかったなど、被害者が受けた損害も慰謝料に換算されます。

上司にセクハラされたと感じたら、悩まずすぐに相談しよう

上司からのセクハラ事例と対処法

上司のセクハラは、絶対に許してよいものではありません。職場で、上司という立場を利用してセクハラ行為に及ぶのは、とても悪質です。

女性社員からすると、自分の出世や待遇などの権限を持っている上司からセクハラをされても、なかなか強く拒否できない場合もあるかもしれません。

それによって職を失ったり、待遇が悪化したりする可能性を考えると、行動に移して良いものか、考えてしまう人もいるでしょう。

しかし、そのような弱みに付け込み、自分の思い通りにする上司に対しては、強い態度でいる必要があります。セクハラを受けた場合、周囲の人に相談をし、協力を得ましょう。

それでもセクハラが続くようであれば、外部機関に相談するなど、あらゆる方法でセクハラをやめるように訴え続けることも大切です。その際には、証拠を掴むことも忘れないでくださいね。

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