高卒・既卒が転職するなら?中途採用を狙ったほうがいい理由【データで解説】

高卒で転職となると、給与面や労働条件、大卒の人と採用枠を争わなければならないなど、不安になることも多いと思います。労働条件をどうにかするというのは難しいですが、採用されるための戦い方を工夫することはできます。この記事では、高卒の人のための転職戦略をご紹介していきます。

結論:高卒の転職は中途採用で狙う

結論として、高卒の人が転職をする場合にいちばん戦いやすいのは「中途採用」を狙う方法です。なぜ中途採用なのか? データを追いながら、その理由をご説明していきます。

高卒のハンデ「学歴」を重視する会社は少なくないのが現実

高卒であるということは、大卒という強みになる可能性のある学歴が減ってしまうのは事実です。高卒と大卒で初任給が異なったり、大卒に限定した求人に応募できないなど、労働条件で絞られてしまうことは珍しくありません。
そうでない採用でも、採用基準として学歴を見ている会社があるというのはよく聞く話ですね。
株式会社ワークポート「採用担当者の本音調査~採用の常識・非常識~」の調査では採用に学歴が関係あると答えた会社は34%、詳しい意見をまとめると、人柄やそのスキルを見るひとつの根拠にしているところが多いようです。3社に1社が学歴も採用基準の1つにしているのだと考えると、やはり少なくないのが現実であると言わざるを得ません。

しかし、それは採用に関係するかどうかの話です。
関係はするけれど、重視する採用基準のなかでは学歴の比重が少ない場合はどうでしょうか。

学歴ハンデには有効期限がある!?

実は、選考のポイントとして活躍する学歴の優位性には有効期限があります。
どういうことかというと、採用者は人材を決めるとき材料となる基準を決めていますが、欲しい人材によって、その基準は変わってくるからです。
就職・転職の採用枠は、おもに新卒(卒業してすぐ)、第二新卒(社会人1~3年目)、中途(職務経験がある)に分かれています。下のグラフを見てください。

高卒 転職 中途
参照元:株式会社マイナビ「2018年マイナビ企業人材ニーズ調査」(2018年12月調査)のデータより筆者作成

四角で囲った部分が学歴などです。ピンク色の新卒採用に対して学歴に着目していると答えた採用者は14.8%であるのに対し、オレンジ色の中途採用になったとたん、5.7%までがくんと下がっているのが分かります。
つまり、学歴が広い範囲で優位になるのは新卒・第二新卒までなのです。もちろん、だからといって中途採用になれば学歴を重視する採用担当者がいなくなるというわけではないので、まったく意味がないわけではありません。

新卒採用は経験を基準にできないから学歴を見る

どうして中途採用になると急に学歴を見る人が少なくなるのかというと、中途採用になれば業務経験や持っているスキルで判断することが出来るからです。
そもそも、新卒・第二新卒は職務経験がないことが大半です。他に判断材料がないので、自然と学歴などの比重が高くなります。中途になると学歴を見なくなるというより、新卒だから学歴を見る、と表現するのがより正確かもしれません。

つまり、狙うは中途採用

中途採用では高卒にとって競争のハードルが下がるほか、それまでに積んだ業務経験が大きく評価されるため、社会人になってから積み上げたもので勝負することができます。
大卒よりも院卒よりも社会人経験が長い高卒なら、中途採用を狙う戦い方をお勧めします!

中途採用で求められるもの

中途採用での転職を狙うなら、中途採用には何が求められるのかも知っておく必要があります。ここでは中途採用で重視される採用ポイントを詳しくみていきます。

資格〈業務経験

転職では資格が有利であるという話はよく耳にします。嘘ではありませんが、中途採用では資格より業務経験が重要です。

中途採用 理由
参照元:株式会社マイナビ「2018年マイナビ企業人材ニーズ調査」(2018年12月調査)のデータより筆者作成

企業が採用を行う理由はグラフの通りです。色の変わっている部分は最も多い3項目ですが、こちらを見てください。企業は専門的な知識を持つ人材や、自社の人員を補填するために中途採用を行うケースが多いことが分かります。
こうしてざっと見ているだけでも、人員の補填をするなら、すぐにでも代わりが欲しいということなので、即戦力となる人材が採用されるだろうと予想できます。

そして、専門的な知識や即戦力のある人材かどうかを判断する材料が、業務経験なのです。
たとえば、資格を持っていたとしてもそれが業務に生かされなければ意味がありません。会社は会社の利益になってくれるように、その人材をまた育成しなければならないことになります。
育成には時間もお金もかかりますから、それなら最初からその人が今までどういう仕事をしてきたのか、どういう仕事の経験があればこの会社で働けるかを考えて採用するかどうかを決めたいわけです。
だから具体的な業務経験が必要になります。

資格は知識を持っていることの証明ツール

資格も重要でないわけではありません。1つ目にご紹介したグラフでも、資格は割合の高い項目でしたし、なにより資格がなければ就くことのできない仕事はたくさんあります。

  • 最も重要視されるのは業務経験であること
  • 資格は知識を持っていることの証明になるもので、できる業務の指標になる

この2点に気を付けてください。
つまり、確かに重要なものであることには違いないのですが、よく言われるほど万能ではないということです。

英語の資格は強い

とはいえ、万能薬のような資格もあります。英語の資格は非常に強いです。
一時期、社内の公用語を英語にするなどの動きが目立ちましたが、日常的な英会話、ビジネス英語ができない日本人はまだまだ多いのが現状です。
そんな中、英語ができることは非常に強みになるでしょう。グローバル企業に挑戦するなら必須になってきますので、勉強しておいて損はありません。
株式会社マイナビ「中途採用状況調査(2018)」(2019年1月調査)によると選考基準を厳しくしたと答えた会社が、厳しくした項目として語学力を挙げた割合は三年連続で増加しています。

基本的な採用基準

中途採用に限らず、基本的な基準として重視される項目もピックアップしました。

企業とマッチしているか?

受ける企業が欲しい人材でなければ採用されることはありません。
採用されるためには企業との

  • 理念・価値観
  • 業務内容と経験

が近い必要があります。
価値観などが合わなければ、長く働くうちに「やっぱりなんか違うな」となる可能性も高くなりますし、せっかくの経験も、業務内容と合わなければ意味がなくなってしまいます。
選考を受けるなら、企業の研究はしっかりと行っておきましょう。
説明会だけでなく、会社ホームページやIR情報(投資家向けに出されている、企業が今どう運営されているのかといった情報が記載されているもの)を隅々まで見ておくだけでも勉強になります。

志望動機(やる気)

やはりどの会社も志望動機は重視します。
なぜその会社でなければならないのか?を意識しましょう。

対応力や責任力

これも数値の高かった項目です。
自己PRにうまく組み込むといいかもしれません。

新卒・第二新卒の時点ですべきこと

高卒 転職 準備
以上で求められるものは分かりました。中途採用での転職に向けて、新卒・第二新卒の人は何をすればいいのでしょうか。結論としては「業務経験を積むこと」になるのですが、その方法についてご説明します。

やりたいこと・業種の方向性などを固めておく

まず、業務経験を積む前に、自分がなにをやりたいのか、転職したい業種の方向性などを固めておきましょう。
業務経験を積むには、同じところでそれなりの長さで働く必要があります。働き始めたばかりの人に、重要な仕事は任されませんし、任されたばかりで辞めても身になりません。
当たり前のことではありますが、「経験」になるような仕事をするにはそれなりの期間が必要になります。
そうなると、幅広い経験をしたいならともかく、専門的な知識を培うにあたって職場を転々とするのはなかなか難しいです。方向性を決めることで、効率的に業務経験を積んでいきましょう。

高卒の人向けに職業ランキングなどをまとめた記事もありますので、方向性がなかなか決まらないという人は参考にしてみてください。

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方向性が決まったら、2つの選択肢があります。

今務めているところで実務経験を積む

1つ目は今務めているところから動かずに経験を積む選択肢です。目指す方向性として、今いるところで必要な業務経験が積めるのであれば、無理に転職する必要はありません。
今のところと異業種を目指すのであれば、できれば転職することが望ましいですが、働きながら必要な知識を勉強するという方法もあります。

狙いたい業種と同じ業種に転職して実務経験を積む

狙いたい業種と今いる職場環境が異なるのであれば、方向性が同じ業種に転職するといいでしょう。
転職理由としては、キャリア形成のための転職というポジティブなものになりますので自己PRも作りやすく、会社としても意欲のある人として見てくれるため、採用に繋げやすくなります。

目的にマッチした業種へ

目的に合っていない業種に転職しても、あなたの望むスキルや経験は得られない可能性が高いです。よく調べて、自分の目的に沿った企業を探してください。
また、できるだけ経験を積んでおくため、なるべく転職先が決まるまでは今の会社を辞めないようにしましょう。
転職サイトをいくつかピックアップしてみたので、ご活用ください。

新卒・第二新卒で転職するメリット・デメリット

この記事を読んでいる人の中には、おそらく「とにかく転職したい」という人もいると思います。
今、狙いたい業種と一致する職場にいるからといってどうしても合わないのに無理に続ける必要はありません。
転職するのも手段のうちですが、高卒で第二新卒として転職するとなると、これまでご説明してきた通り学歴というハードルがあるなかで戦うデメリットがありますので、この点は注意しておいてください。
第二新卒は若手で、他社風土とのかかわりも薄く教育しやすいという点で採用する会社が多い点はメリットになりますので、ここを推していきましょう。

第二新卒に強い転職サービスもありますので、うまく活用してください。

必要な知識の勉強をする

最後に、経験の他に、必要な知識を入手する方法を説明してきます。職務に必要な知識・経験は、資格スクールに通うことで培う方法がスタンダードですが、実は職業訓練を受けるという手段もあります。

職業訓練校で職業訓練を受ける

そもそも職業訓練校とは何というと、求職者が基本的に無料で専門知識などを学ぶことができる公的支援機関(民間でもあるが、公的機関の承認が必要)です。「基本的に」というのは離職者なのか、学卒者なのか在職者なのかによって変わるからです。
仕事のない人、ハローワークの求職者であれば無料で1年までの訓練を受けることができます。
今回紹介している仕事をしながら勉強したい人などは在職者にあたり、有料で2~5日の訓練を受けることができます。
学ぶ業務内容にもよりますがたとえばビジネスの基礎知識講座で1600円、ソフトの使い方講座で6500円など、比較的安価で受講することができます。

参照元:東京都立中央・城北職業能力開発センター 在職者向け講習「4月募集科目一覧」

利点としては転職に繋がりやすいこと、安いなどが挙げられます。

離職者向けのまとめですが、職業訓練についての記事もありますのでよろしければ参考にどうぞ。

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自分で資格や英語を勉強する

eラーニングやスクールで資格の勉強ができるなど、コストが高い分、自分に合ったものを選べる幅があります。おすすめをリストアップしておくので、活用してください。

転職・英語関係の資格はこちらでも紹介しています。

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まとめると

  • 高卒で転職をする場合には、競争相手である大卒の武器である「学歴」が利く会社が少なくなる中途採用を狙う戦い方がおすすめ。
  • 中途採用では業務経験、その内容が重要視されるので、もし転職するなら方向性を決めて、業務経験を積むための転職をしていくことで目標の業種に就く。
  • 資格はあると便利だが、業務経験に勝るものはない。ただし英語は格別。

ということになります。
この記事で紹介した転職の戦略はあくまで考え方の1つです。自分のやりやすい方法で自分なりの戦略を立てながら、より自分に合った職を目指して転職活動を行ってください。

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