【医師監修】排卵日は妊娠しやすい?基礎体温で分かる排卵日の予測方法とカラダの変化

卵子が排出される排卵日は、妊活の上でひとつの目安となります。妊娠を望むのであれば、自分の排卵日や排卵期を把握しておくとよいでしょう。ここでは、排卵日を予測するための方法や排卵期に見られる体の変化や不調について詳しく解説します。

排卵日とは

排卵日っていつのことをいうの?

排卵日は、卵子が卵巣から放出される日のことを指します。この卵子の放出は月に1回のペースで起きます。
排卵日が1か月の中のいつなのかは個人差がありますが、生理周期が安定している人であれば、生理が始まる日の14日前が排卵日とされています。このことから、生理が来てから何日後に排卵が起きるかもおおまかには計算できます。生理周期が28日の人の場合、28日-14日=14日で、生理初日から14日目が排卵日となります。30日周期の人であれば、30日-14日=16日となり、生理初日から16日目が排卵日になる計算です。

排卵が起こるしくみ

排卵は、生理や妊娠に大きく関係しています。
女性の子宮の両脇には卵巣といううずらの卵くらいの大きさの臓器があります。この中では、卵子を中に含む卵胞という袋のようなものが育っています。この卵胞は、子宮内膜に働きかける卵胞ホルモン(エストロゲン)というホルモンを分泌し、子宮内膜を厚くする働きがあります。子宮内膜が着床できるくらいまでに厚くなると、卵巣から卵子が放出されます。卵巣から飛び出た卵子は卵管に入り、精子と出会うのを待ちます。ここで、卵子と精子が出会うことができると「受精」が成立し、着床すると「妊娠」成立となります。卵子と精子がうまく出会うことができないと、着床のために厚くなった子宮内膜は不要となり、剥がれ落ちて血液とともに外に出されます。これが「生理」です。

妊娠を望むなら排卵日を把握しよう

卵子と精子が出会い着床することで妊娠が成立しますが、卵子と精子には寿命があります。精子は射精されてから3~5日、卵子は1日しか生きられないと言われています。受精が可能なのはこの生きている間のみ。卵子の寿命がわずか1日と考えると、妊娠を成立させるには、排卵日前後にタイミングを合わせてセックスし卵子と精子の出会う確率を高めてあげることが大切と言えます。理想としては、排卵日にだけセックスするよりも、排卵日の数日前から続けてセックスし、卵子が放出される時には精子がスタンバイしている状態であること。きちんとタイミングが合わせられるよう、妊活中の女性は自分の排卵日がいつなのか把握しておくとよいでしょう。

排卵日の把握に役立つ「基礎体温」

基礎体温とは

基礎体温とは、睡眠中など体がもっとも安静な状態のときの体温のこと。
女性はホルモンの分泌によって体温に上下の変動があるため、基礎体温を毎日測りその変化を見ることで妊娠に関わる体のリズムを把握することができます。
通常、基礎体温は高温期と低温期があり、基礎体温のグラフもきれいな2層を描きます。ホルモン分泌が正常に行われていないと基礎体温のグラフもガタガタになるため、基礎体温の計測はホルモン分泌異常など婦人科系疾患の発見のヒントにもなります。

基礎体温で排卵日が予測できる?

生理中~排卵前は基礎体温が低い低温期が続きます。排卵後、卵子が出て空っぽになった卵胞は黄体となり、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。この黄体ホルモンには体温を上げる働きがあるため、排卵後は基礎体温が高めの高温期が続きます。高温期は一般的10~13日ほど続き、生理が始まる前に再び体温が下がり始めます。
つまり、基礎体温の高温期・低温期は排卵日を境に分かれ、基礎体温グラフで見る低温期の最終日が排卵日と考えられます。ただし、これは確実な特定ではなく、排卵が起きてもすぐに体温が上がらなかったり、基礎体温が上がっていても排卵が続いていたりということもあります。あくまで目安として考えてください。

基礎体温の正しい測り方

基礎体温は、体が安静な状態のときの体温です。そのため、基礎体温を測るときは、就寝後すぐ、体を起き上がらせず横になったままの状態で測ります。
基礎体温は非常に細かい数値の変化であるため、測るときは専用の基礎体温計を使用してください。基礎体温計を舌の下にあてて測ります。
基礎体温の計測で大切なことは、毎日測り記録をつけること。毎日同じ時間に測るのが理想ですが、多少時間がずれてしまったり体を起き上がらせたりしても大丈夫。毎日続けるためにも神経質になりすぎないことも大切です。

基礎体温以外にもある排卵日の把握方法

排卵日予測検査薬

排卵が起こると黄体ホルモンが分泌されますが、この黄体ホルモンの分泌を促す「黄体形成ホルモン」は排卵が起こる前に一気に分泌されます。この現象は「LHサージ」と言い、LHサージが起こるとその40時間以内には排卵が起こるとされています。卵日予測検査薬は、このLHサージの際の黄体形成ホルモンの数値を感知することで排卵日のおよそ1日前から予測するものです。妊娠検査薬と同じく尿をかけて調べます。ドラッグストアやインターネット通販などで販売されています。

排卵日の計算方法

冒頭で解説したように、排卵日は一般的に生理開始の14日前とされています。そのため、先ほど計算したように生理周期から14日を引くことで生理開始日から何日目が排卵日となるかが予測できます。この計算方法は「オギノ式」と呼ばれ広く知られていますが、生理周期は健康な女性でもちょっとしたことで乱れることがあるため、確実に14日前が排卵日とは言い切れません。おおまかな予測として考えておきましょう。

医療機関での検査

専門の医療機関では、超音波で卵胞の大きさを計測して排卵日を予測する検査も行われています。ただし、卵胞が排卵に必要となる大きさになる前に排卵が起こることもあり、医療機関での検査とはいえ、確実に予測できるわけではありません。

排卵日前後は体にも変化が起きやすい

排卵日のおりものの変化

排卵日前後はおりものの量が増えやすくなります。排卵期のおりものはどろっとしており無色透明。粘り気があり伸びるのも特徴です。ただし、おりものにはかなり個人差があり、排卵期でもそれほど量が増えない人もいれば、排卵期以外になんらかの理由で量が増えることもあります。

排卵期に起こりやすい体の不調

排卵期はおりものだけでなく体のさまざまな部分で変化が起きやすい時期で、人によっては以下のような不調が見られることもあります。

  • 頭痛
  • 排卵日近くになると、卵胞ホルモンの分泌量が減っていきます。卵胞ホルモンには自律神経を整える作用もあるため、卵胞ホルモンが減ることで自律神経が乱れ頭痛を引き起こすことがあります。

  • 腹痛
  • 排卵期に向けて大きくなった卵胞が腹膜を刺激することで、チクチクした痛みを感じることがあります。このような排卵期の腹痛は一般的に排卵痛と呼ばれます。

  • 眠気やだるさ
  • 排卵後分泌量が増量する黄体ホルモンには睡眠作用があります。そのため、排卵期に眠気やだるさを感じることもあります。

排卵日にこだわり過ぎないことも大切

排卵日を把握するための方法はいくつかありますが、いずれも確実な排卵日を予測できるものではありません。また、排卵日にセックスをすれば確実に妊娠する、というものでもありません。排卵日前後はあくまで理屈上で妊娠しやすいと考えられる時期。女性の体はちょっとしたことでも状態が変わり、生理周期もずれることがあります。あまり神経質になると、かえってストレスが溜まりよくない影響が出ることもあります。排卵日はひとつの目安と考え、こだわり過ぎないことも大切です。

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