【医師監修】頭皮・耳・顔がカサカサに!赤ちゃんに起こる脂漏性皮膚炎とは?

脂漏性皮膚炎を起こすと、もちもちしたあかちゃんのきれいな肌がカサカサになってしまいます。
特に顔や耳の後ろにできることが多いので、目に付きやすいです。
見ていて痛々しく感じてしまうことでしょう。
ここでは、子供におきる脂漏性皮膚炎と、その対処法についてご説明いたします。

脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌量が増えることで起こる皮膚炎です。脂漏性湿疹ともいわれます。
大人と子供で出てくる症状や対処が異なりますが、皮脂の多い部分を中心に症状が現れます。
子供の場合は、乳児脂漏性湿疹といい、大人のものとは区別して扱われます。

脂漏性皮膚炎の原因は?

生後1~2か月の赤ちゃんは皮脂の分泌量が活発です。これは成長の過程なので過剰に心配する必要はありません。分泌された皮脂と汚れが固まり皮膚に付きくことで脂漏性皮膚炎になると言われています。
大人の場合はその他に、マラセチアという常在菌であるカビの一種の関与や紫外線や睡眠不足、栄養バランスの偏りが原因になることもあります。皮膚にダメージを与えないために、帽子をかぶって紫外線が当たらないようにしたり、十分な睡眠をしっかりとったり、バランスのよい食生活を心がけると改善されることがあります。

赤ちゃんの脂漏性皮膚炎の症状

赤ちゃんが脂漏性皮膚炎になった時はどのような症状が出るのでしょうか。
ここでは、どこにできて、どのような症状になるのかをご紹介します。

どこにできるの?

皮脂の分泌が多い、頭、眉毛、頬、耳の後ろの首から上の部分によくできます。
耳の後ろにできるときは、石鹸やシャンプーの洗い流しが不十分なことが原因となることがるようです。
顔や頭は余分な皮脂を洗い流すことやふきとることが良いと言われていますが、皮脂を取りすぎたり、洗った後に保湿をしないで乾燥してしまうと、そこから皮膚炎になることがありますので注意しましょう。

どんな症状なの?

赤い湿疹ができたり、黄色い膿のようなものが出てきたり、皮膚がカサカサになってしまったり、フケのようなものが出るようになります。
さらに、膿が固まりかさぶたに覆われることもあります。かさぶたがかゆくて、赤ちゃんが引っかいてしまうこともあります。
引っかき傷が悪化してしまうと、お傷がとびひとなることもあるので、引っかかないように工夫したり、病院を受診し医師の指示に従いましょう。
また、脂漏性皮膚炎はアトピー性皮膚炎と症状が似ており、区別が難しい場合があります。

赤ちゃんの脂漏性皮膚炎の治療法

皮脂の分泌を抑えるという原因そのものの治療は難しいため、一番のケアは毎日の入浴の際に皮脂汚れをきちんと落とし、清潔の保つことです。また赤ちゃんでも大人でも脂漏性皮膚炎の症状が強い場合、治療に使われる薬として、外用薬と内服薬がありますので、ご紹介していきます。

外用薬

まず、よく利用される塗り薬についてご紹介します。
ここで紹介する、ステロイドとイミダゾール系抗真菌薬は、原因によって使い分けて処方されます。
それではひとつずつ見ていきましょう。

ステロイド

湿疹ができてしまった部分の炎症を抑えるのに処方されます。赤ちゃんにステロイドを使うことに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが医師に指示に従って短期間であれば症状を緩和してあげることができます。

イミダゾール系抗真菌薬

イミダゾール系の抗真菌薬であるケトコナゾール(ニゾラール)は、マラセチア菌が原因となっている脂漏性皮膚炎に効果があります。

内服薬

次に、飲み薬についてご紹介します。
飲み薬は補助的に、改善効果を促すために使われることがあります。

抗アレルギー薬

炎症や痒みによって症状がひどくなる場合に処方されます。

ビタミン剤

大人ではビタミンCやビタミンB2、ビタミンB6のビタミン剤が補助的に処方されることがあります。
これらのビタミン剤を摂取することで、皮脂のコントロールや皮膚の代謝を改善します。

漢方薬

大人では皮膚疾患に使われることの多い十味敗毒湯や黄連解毒湯が処方されることもあります。漢方薬は、薬局で購入することもできるため希望であれば薬局の薬剤師や、漢方医に相談してみてください。

赤ちゃんが脂漏性皮膚炎になったときのケア

赤ちゃんが脂漏性皮膚炎になったときは、どのようにケアしたらいいのでしょう。
脂漏性皮膚炎の部分を洗うときのポイントや、他に気をつけたい点についてご説明します。

清潔に保つ

赤ちゃんの肌を清潔に保つためにはどうしたらいいでしょうか。
清潔にしているのに、なぜ脂漏性皮膚炎は起こってしまうのでしょうか。
ここでは、清潔に保つ際のポイントをいくつかご紹介します。

シャンプー

ベビー用や低刺激のシャンプーをよく泡立て、泡でマッサージするように洗ってください。赤ちゃんの肌はデリケートなので、女性が顔のクレンジングをするときのように、つめを立てずにくるくると優しく洗いましょう。
使っているシャンプーの刺激が強すぎると、シャンプー後に頭皮が乾燥して、脂漏性皮膚炎が悪化する原因になってしまいます。シャンプーはしっかりと流し、シャンプー後はタオルではなくきちんとドライヤーを使うと、より清潔に保つことができます。

また、抗真菌薬が配合されたシャンプーも薬局で市販されていますので、使ってみると効果が得られる場合があります。

洗顔

シャンプー同様、しっかりと泡立てた石鹸で洗います。
指の腹を使って優しく洗いましょう。
また、洗い流す際に石鹸が残らないように注意します。
洗い流すのが難しい場合は、ぬらしたガーゼなどで拭き残しのないようにふき取りましょう。

かさぶたの処理

無理にとってしまうと出血したり皮膚トラブルの原因となります。
頑固なかさぶたやふけが気になる際は入浴前にベビーオイルやワセリン、オリーブオイルを数分間つけて頭皮に馴染ませておくと良いでしょう。やわらかくなってから石鹸やシャンプーを使って洗うと、自然にはがれてきます。

衣類や寝具

赤ちゃんのミルクや、乳幼児の食べこぼしが服についたままの状態になっていたり、顔をふくのに使うタオルや、よだれかけなども、同じものを長期間使っていると赤ちゃんの肌も不衛生になってしまいます。汚れてしまった衣類、シーツやまくらカバーはこまめにとりかえましょう。また赤ちゃんの肌に触れる下着や寝具類はなるべく刺激の少ない綿でできたものを使用することをおすすめします。赤ちゃんが患部を掻き壊さないように爪をまめに切ってあげることも大切です。

保湿する

子供も大人も共通ですが、入浴後は保湿をすることが大切です。
脂漏性皮膚炎の場合は、クリームタイプのものや油分が入ったものはまれに悪化することがあります。その場合は、化粧水やローションなど、脂分の少ないもので保湿するようにしましょう。

食べ物に注意する

大人では脂の多い食事は、マラセチアを増やす原因となりますので気をつけましょう。
その他、塩分、糖分の過剰摂取や、香辛料、アルコール、コーヒー、タバコも脂漏性皮膚炎の増悪の原因になることがあります。
また緑黄色野菜の摂取を心がけてビタミンBやビタミンCが不足しないようにしましょう。

赤ちゃんの皮膚を清潔に保ち、適切なケアを心掛けよう

脂漏性皮膚炎は、皮脂の多い部分で起こる病気です。赤ちゃんの場合は基本的には一過性で適切なケアを行えば、自然に治まっていくことが多いです。症状が強い場合や心配な場合は皮膚科や小児科を受診しましょう。
また一度治っても、皮脂のバランスが崩れると、また再発することがあります。
再発予防のためにも、皮膚のケアや衣類を清潔に保ち、規則正しい生活を心がけるようにしましょう。

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