妊娠初期は何を食べたら良い?食べてもOK/NGな食材とおすすめな食べ物

妊娠初期は何を食べたら良い?食べてもOK/NGな食材とおすすめな食べ物

妊娠初期はつわりが始まるなどして、食べ物が十分に摂れなくなる人もいます。しかし、お腹の赤ちゃんのためにはできるだけ栄養を摂取したいものですよね。では、妊娠初期にはどのようなものを食べたら良いのでしょうか。本記事では、おすすめの食べ物と避けたほうが良い食べ物を合わせてご紹介します。

妊娠初期に食べてほしいおすすめの食材


お腹の中の赤ちゃんは、お母さんが口にした食べ物の栄養をもらって大きくなります。そのためにはお母さんは食べるものに気をつけなければなりませんよね。

ここでは、具体的に妊娠初期に食べても良いもの、特におすすめの食材をご紹介します。食事を作るときに積極的に取り入れていただきたいものばかりですよ。

緑黄色野菜

ほうれん草やアスパラガス、ブロッコリーなどの緑黄色野菜は、妊娠中でなくても普段から積極的に摂っておきたい食材です。特に、これらの食材は妊娠初期に必要とする鉄分や葉酸、食物繊維、ビタミンなどがバランス良く含まれています。

ほうれん草には不足しがちな鉄分が、モロヘイヤには妊娠初期に胎児のからだをつくるために必要な葉酸が豊富に含まれています。妊娠初期は便秘に悩むママが多くなりますが、野菜には食物繊維が多く含まれているため、便秘解消にも役立ちますよ。

風邪予防に役立つ栄養素であるビタミンCは、からだの免疫力を高めてくれます。このビタミンCを多く含む野菜はブロッコリーやほうれん草です。また、インフルエンザウイルスなどの侵入を防ぎ、免疫力を高める働きがあるビタミンAは、にんじんやかぼちゃ、トマト、モロヘイヤなどに豊富に含まれています。そして、小松菜は、お腹の赤ちゃんの歯や骨をつくり、ママの骨密度をキープするためのカルシムが豊富に含まれているなど、野菜には妊娠初期に必要な栄養素がたくさん含まれているのです。

栄養素のなかにはビタミンや葉酸のように、茹でるとお湯の中に栄養が溶け出してしまうものがあります。その場合はお味噌汁やスープにして飲むようにすれば栄養をしっかり摂ることができますよ。

小松菜やほうれん草は栄養分が逃げないようにサッと茹でてゴマを振っておひたしにすれば、ゴマに含まれている抗酸化作用のあるビタミンEや良質なタンパク質が一緒に摂れます。おひたしにはカルシウムたっぷりのしらすをトッピングするのもおすすめです。

精製されていない穀類

玄米や胚芽米などの精製されていない雑穀には、ぬかや胚芽がついています。これらには、ビタミンやミネラル、鉄分、カルシウム、食物繊維、マグネシウムなどの豊富な栄養素が含まれています。

妊娠初期にはホルモンバランスの変化により、貧血や便秘に悩むママがいますが、雑穀に含まれる鉄分や食物繊維がこの悩み解消に役立ちます。また、雑穀は白米と比べるとかみごたえがあるため、満腹感を感じやすいので体重管理の面でもおすすめです。

もし、玄米が苦手な場合は、はじめから全部玄米にするのではなく、白米7と玄米3などにして少しずつ慣らしていくと良いでしょう。そして、玄米は消化に時間がかかるため、よく噛んで食べるようにしてくださいね。

大豆食品

豆腐や納豆などの大豆製品には、赤ちゃんの血液や筋肉をつくるのに大切な良質なタンパク質が豊富に含まれています。大豆製品に含まれる植物性のタンパク質は、肉などに含まれる動物性のタンパク質に比べると、脂質が少ないため安心して摂取できます。

また、大豆製品には食物繊維が含まれているので、便秘に悩む妊婦さんにおすすめです。さらに、枝豆には赤ちゃんのからだをつくるために大切な葉酸が含まれているため、積極的に摂ると良いですよ。

大豆製品に含まれる女性ホルモンに似た働きをする「イソフラボン」は、サプリなどと併用するとホルモンバランスが崩れるおそれがあります。豆腐や納豆などを普通に食べているときには影響はありませんが、サプリを飲んでいるときは過剰摂取に注意が必要です。

きのこ類

きのこ類には、妊娠中に積極的に摂りたいビタミン、食物繊維、鉄、カリウム、亜鉛などが含まれています。さらに、まいたけやエリンギなどには葉酸が豊富に含まれているため、妊娠初期に食べるのにおすすめの食材です。

煮物に干し椎茸を入れると、旨味が増して醤油などを多く入れなくてもおいしくなるため塩分を抑えることができますよ。そして、しいたけにはビタミンDが含まれていますが、ビタミンDはカルシウムの吸収を良くする働きがあるため、妊娠初期にぴったりの食材なのです。

きのこ類は、栄養が豊富でローカロリーです。調理法も、煮物や焼き物、炒めもの、鍋など幅広いため、飽きずに食べることができますよ。体重増加に悩む妊婦さんは、ぜひきのこを取り入れてみてくださいね。

海藻類

わかめやもずく、ひじき、青のりなどの海藻類には、鉄分、ミネラル、マグネシウム、食物繊維などが豊富に含まれています。また、海藻類は低カロリーであっさりと食べられるものが多いため、妊娠初期のつわりがひどい妊婦さんでも比較的口にしやすい食材です。

先に紹介した緑黄色野菜やきのこ類、大豆製品との相性も良い海藻類は、様々な食材と合わせて食べるとより効果的に栄養を摂ることができます。にんじんやごぼう、豆腐、しいたけなどを入れた味噌汁に、わかめをたっぷり入れれば多くの栄養が摂れますね。

ただし、ひとつ注意しなければならないのは、海藻類に含まれている「ヨウ素」の存在です。ヨウ素は胎児の脳や骨の成長に欠かせない栄養素です。しかし、このヨウ素を過剰摂取すると、お腹の赤ちゃんが甲状腺機能低下症を引き起こしてしまうおそれがあります。

この病気にかかると、脳の発達などに必要な甲状腺ホルモンが足りなくなってしまいます。このようなリスクを避けるためには、ヨウ素の過剰摂取に注意が必要です。

厚生労働省が発表している『日本人の食事摂取量基準』(2015年版)では、妊婦さんのヨウ素の耐用上限量は2,000μg/日としています。18歳以上の女性は130μg/日を推奨量としていますので、普通に食事をしていれば2,000μg/日を超えることはまずありません。

ヨウ素は妊婦さんにとってもお腹の赤ちゃんにとっても大切な栄養素ですが、過剰摂取には十分注意してくださいね。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版):https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

ヨーグルト

妊娠するとお腹の赤ちゃんの骨や歯をつくるために、普段よりも意識してカルシウムを摂る必要があります。カルシウムが足りなくなると、お腹の赤ちゃんに優先的にカルシウムが供給されるため、妊婦さんの骨がもろくなってしまうおそれがあります。

また、ヨーグルトに含まれている乳酸菌は、腸内環境を整える働きを持っています。整腸作用によって便秘解消に期待できるため、便秘になりやすい妊娠初期の妊婦さんにおすすめですよ。

果物

果物は手軽に食べられて、ビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれているため、妊娠初期におすすめです。特に、つわりがある場合は酸味がある果物は食べやすいでしょう。

バナナには食物繊維と葉酸、カリウムが豊富に含まれています。食物繊維は便秘解消に役立ち、葉酸は赤ちゃんのからだをつくるために働きます。そして、カリウムは体内の余分な塩分を排出させてくれるため、むくみ予防に役立ちますよ。

ただし、メロンやスイカなどの水分が多い果物は、からだを冷やす作用があるため、食べすぎには注意が必要です。

妊娠初期に避けたい食材


妊娠初期におすすめの食材をご紹介しましたが、妊娠中に食べないほうが良いものも多くあります。次に挙げるのは、妊娠中に食べるのを避けたい食材です。

アルコール・カフェイン

妊娠したらアルコールやカフェインを控えなければならない、とよく耳にしますが、妊娠中にアルコールを摂取すると、お腹の赤ちゃんが「胎児性アルコール症候群」にかかるリスクがあります。これは、お腹の赤ちゃんが低体重や脳障害、奇形などを引き起こすもので、少量の飲酒でも起こり得ます。そのため、妊娠が分かった時点で飲酒はやめるようにしましょう。また、妊娠していないときでも、妊娠を望んでいる時期はアルコールを控えることをおすすめします。

次にカフェインについてですが、妊娠中にカフェインを多く摂りすぎると、胎盤を通じて赤ちゃんにカフェインが送られてしまうことになります。赤ちゃんはカフェインを体外に排出する機能が未熟なので、カフェインがからだに蓄積され、発育が阻害されてしまいます。

さらに、カフェインには血管を収縮させる作用があるため、お母さんの栄養や酸素がお腹の赤ちゃんに十分に供給されなくなります。酸素や栄養が不足すると、赤ちゃんは低酸素状態になり、発育不全や流産、早産につながる場合もあります。

<刺し身などの生もの

妊娠中は免疫力が低下しがちな時期ですから、刺し身などの生ものを控えたほうが良いでしょう。生ものには、食中毒を引き起こすサルモネラ菌やカンピロバクター菌などが潜んでいる可能性があり、これらの菌に感染するとお腹の赤ちゃんイン影響が出るおそれがあるのです。

また、生魚などに寄生するトキソプラズマなどの寄生虫に感染すると、お腹の赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症を発症することがあります。妊娠中に食べるものは新鮮な物を選び、よく火を通すように心がけましょう。

生肉

お肉はタンパク質や鉄を豊富に含んでいるため、妊娠初期に食べるのに適した食材と言えます。特に、赤身の肉は低カロリーで栄養価に富んでいるためおすすめです。しかし、生肉は刺し身と同様、食中毒を引き起こすおそれがあるため、妊娠中は避けましょう。

ユッケや馬刺し、生ハムなども控えて、ステーキを焼くときは、生焼けでなくしっかり火を通してから食べるようにしてくださいね。

塩分を多く含むもの

産婦人科の検診で、「塩分を控えるように」との指示が出されると思います。なぜ塩分を控えるべきなのかというと、妊娠中に塩分を摂取しすぎると、「妊娠高血圧症候群」にかかるおそれがあるためです。

妊娠34週未満でこの病気になった場合、重症化しやすく、妊婦さんが血圧上昇、痙攣発作を起こすことがあります。さらに、ひどくなると脳出血や肝臓や腎臓の機能障害を引き起こします。そして、お腹の赤ちゃんの発育不全、常位胎盤早期剥離、赤ちゃんの状態が悪くなる胎児機能不全などになることがあるのです。

塩分の摂取量は、目安として、成人女性が1日9.4gまでで、妊婦さんは1日7gまでとなっていますので、覚えておきましょう。

水銀を含む魚

魚には水銀を含むものがあり、妊婦さんはこの水銀を含む魚を食べすぎないようにしたほうがよいとされています。

これに関しては、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 が発表した「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項 」のなかで、水銀濃度が高い魚ばかりを多量に食べることを避けるように、と記されています。

水銀を含む魚として、キンメダイ、メカジキ、メバチマグロクロマグロなどは週1回までの摂取目安、マカジキ、クロムツなどは週2回までの摂取目安としています。

魚はカルシウムを多く含む、妊娠初期には積極的に食べてほしい食材ですが、なかには水銀が含まれる魚が存在することを理解し、過剰摂取には注意するようにしましょう。

薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項 」:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/index-a.pdf

菓子類・甘いジュース

妊娠中は自身と赤ちゃんのためにも太り過ぎないようにと、医師から厳しく言われるでしょう。体重が増加すると妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群を引き起こす原因になるため、十分な注意が必要です。

妊娠初期にお菓子などの甘いものが食べたくなる方もいるでしょう。お菓子は脂肪や糖が多く含まれているため、食べすぎないようにしなければなりません。ただ、我慢しすぎるのはストレスになりますから、量や回数のルールを設けて少しにすると良いでしょう。

インスタント食品・ジャンクフード

妊娠初期でつわりがある場合、日によって食べることができるときと、何も食べられない日があるでしょう。食事の支度をすると、ニオイで気分が悪くなってしまうため、ジャンクフードやインスタント食品に頼りがちになってしまうこともあるかもしれません。

しかし、これらの食品には添加物や塩分、油が多く含まれていて、栄養を摂る目的のものではありません。塩分が多い食事はむくみや高血圧の原因になるためおすすめできません。

たまに食べる分にはさほど影響はありませんが、毎回の食事をインスタント食品で済ませるなど偏った食べ方をしないように注意しましょう。

妊娠初期のつわりの時期はどうしたらいいの?


妊娠初期にはつわりで食べ物が口にできないという妊婦さんもいるでしょう。お腹の赤ちゃんのためには栄養があるものを食べなければ、とストレスを抱えてしまうかもしれませんね。妊娠初期につわりがある場合、どうしたら良いのでしょうか。

つわりをやわらげる食べ物

日本産婦人科学会は、つわりのときにビタミンB6を摂取するとつわりや嘔吐を緩和するとの研究結果を発表しています。効果が出るかは個人差がありますが、つわりで辛いときはビタミンB6を豊富に含んでいる食材を食べてみると良いでしょう。

ビタミンB6を多く含む食べ物は、バナナや玄米です。バナナはジュースにしたり、ヨーグルトに入れたりすると、つわりのときに食べやすくなりますよ。また、玄米は白米を炊いたときのようなニオイがしないうえに、食物繊維や鉄、葉酸などの栄養が含まれているため、妊娠初期にぜひ摂ってもらいたい食材です。

日本産婦人科学会 産科疾患の診断・治療・管理「異常妊娠」:http://fa.kyorin.co.jp/jsog/readPDF.php?file=to63/59/11/KJ00005050115.pdf

つわりを悪化させる食べ物

つわりは食べ物のニオイに敏感になり、白米を炊いているニオイがだめになった、ニオイが強い野菜を切っていたらつわりがひどくなった経験がある妊婦さんは多いでしょう。

白米を炊いているときのニオイを避けるためには、食べてほしい食材のところでおすすめした玄米に替えてみるのもひとつの方法です。玄米は妊娠初期に摂っておきたい栄養がたくさん入っていますし、炊いたときのニオイが白米のものとは異なります。そのほかには、白米を炊くときは違う部屋に移動する、炊きたてではなく冷めてから食べるなど工夫すると良いですよ。

野菜に関しては、食べてはいけないものはありませんが、ニラやにんにく、ねぎなどのニオイが出るものはつわりを悪化させることがあります。つわりがひどい時期はこれらの食材を避けましょう。

また、つわりの時期に脂身がある肉やベーコンが苦手になる場合もあります。つわりがあるときは、さっぱりした鶏の胸肉や赤身の肉を食べるようにすると良いですよ。

つわりのときは無理しない

妊娠初期の頃は、赤ちゃんのために栄養があるものを食べなければならない、と神経質になってしまうこともあるかもしれませんね。しかし、つわりがあるときに無理に食べようとするとかえって気分が悪くなり、つわりをひどくしてしまう場合があります。

妊娠初期の小さな赤ちゃんは、お母さんがつわりで食べられなかったとしても栄養不足になることはありません。食べることをストレスに感じないように、食べられるときに欲しいものを食べるようにすれば大丈夫ですよ。

ただし、避けるべき食材でご紹介したものをできるだけ避けて、脱水症状を引き起こさないように水分をこまめに摂るように心がけてくださいね。

妊娠初期の食事で意識すること


妊娠初期に気をつけるべきポイントを以下に2点、ご紹介します。

食事のバランスを考えて食べる

つわりの時期は難しいかも知れませんが、3食のバランスを考えて食事をするように心がけましょう。献立を考えるとき、単品のものにならないように、主食・主菜・副菜を揃えるようにすると良いですよ。

主食:ご飯、麺などの炭水化物
主菜:魚、肉、大豆製品、卵などのタンパク質
副菜:きのこ、海藻、野菜などの食物繊維

サプリに頼りすぎない

妊娠中にサプリメントで栄養を摂取しようと考える妊婦さんもいらっしゃると思いますが、あくまでもサプリは栄養補助食品だということを念頭に置いてくださいね。からだに必要な栄養素は食事から摂取するようにするため、バランスが取れた食事を心がけることが大切です。

ただ、葉酸などの栄養素に関してはサプリで摂るほうが効率的な場合もあります。医師に相談して、サプリを上手に取り入れるようにしてくださいね。

妊娠初期はストレスをためずに栄養があるものを食べよう

妊娠初期はできるだけストレスをためないようにして、本記事でおすすめしたおすすめの食材を摂るようにしてください。バランスの良い食事を心がけ、つわりがあるときは一度に食べようとせず、少しずつ分けて食べると良いですよ。

神経質になりすぎず、お腹の赤ちゃんに良いものを取り入れることから始めてみると良いのではないでしょうか。そして、本記事が妊娠初期の食事の参考になれば幸いです。

<参照>
https://192abc.com/15334
https://moomii.jp/birth/duringpregnancy-food.html
https://akanbo-media.jp/posts/798#head-a3e246fb4baea044828f34f7e077c848
https://www.amoma.jp/ch/column/maternity/food-drink/25089/
https://mamanoko.jp/articles/20015#3061745
https://veramagazine.jp/article/food-pregnancy
https://baby-calendar.jp/knowledge/pregnancy/1330
https://192abc.com/15093
厚生労働省「胎児性アルコール症候群」:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-015.html
日本産婦人科学会「妊娠高血圧症候群」:http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=6

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