妊娠初期に息切れ・動悸しやすくなるのはなぜ?原因と対処法を解説!

妊娠初期には息切れや動悸が起こりやすくなると言われています。実際、現在妊娠中の方は、息苦しさや動悸を体験したという方は多いのではないでしょうか。なぜ妊娠初期に息切れや動悸が起きるのか。今回はその原因と対処方法、予防法について詳しく解説します。

息切れ・動悸とはどんな状態?

そもそも、息切れや動悸とはどのような状態をいうのでしょうか。

息切れとは

「息切れ」とは、運動をしたあとや、急な階段の登り下りをしたあとなどに起こる状態で、呼吸が早くなり息が苦しくなることを言います。息切れするとハアハアと息をして、大きく息を吸って吐くようになります。

激しい運動をしていないのに、息切れするような場合は、酸素が十分に取り込めていない場合やからだに酸素が行き渡っていない可能性が考えられます。

動悸とは

心臓の鼓動が激しくなって、脈拍が早くなることを「動悸」と言います。この場合も、息切れのときと同じように、激しい運動や急な階段の登り下りなどのあとに起こります。また、アルコールの過剰摂取や薬の副作用で動悸がする場合もあります。

息切れや動悸は、何らかの原因によって酸素不足や心臓に負担がかかっている状態のときに起こる症状です。

妊娠初期に息切れ・動悸が起きるの原因

息切れや動悸は、激しい運動のあとなどに起こるのが一般的だと解説しました。では、なぜ妊娠初期に「運動をしていない状態」で息切れや動悸が起こるのでしょうか。

ホルモンの変化によるもの

妊娠するとからだの中で「プロゲステロン」という黄体ホルモンの分泌量が増えます。このホルモンは子宮膜や子宮周辺の血行を良くする働きがあり、赤ちゃんが育つ子宮の環境を整えるために必要なホルモンです。また、乳腺を発達させて赤ちゃんを迎える準備を整える働きもしてくれます。

しかし、一方でこのホルモンは自律神経を乱して、呼吸数を増やすことがあるため、妊娠初期には息が切れやすくなったり、動悸を感じやすくなったりするのです。

貧血

妊娠初期は、お母さんのからだからお腹の赤ちゃんに酸素や栄養を送るため、妊娠前に比べると血液量が増えます。このように、急激に血液量が増えると赤血球が足りなくなり、血液濃度が薄くなってしまいます。

このことによって、妊婦さんは鉄欠乏性貧血になりやすくなり、息切れや動悸という症状が起きるのです。

また、妊娠初期につわりがひどい妊婦さんは、十分に栄養を摂取できていない点も貧血になりやすい原因と考えられます。

妊娠や出産に対する不安などのストレス

妊娠初期は、つわりで体調が悪くなることで、普段と同じように動けないためストレスを抱えがちです。また、妊娠や出産に対しての不安などもストレスの原因になります。

ストレスを抱えると交感神経が活発になって、自律神経が乱れることがあります。自律神経は呼吸器の働きに関わっているため、ストレスが原因で息切れや動悸を引き起こす原因になるのです。

心臓への負担

妊娠すると赤ちゃんに栄養や酸素を送るために、血液量が増えます。そのため、妊娠前と比べると血液を全身に循環させるために心臓の働きが活発になることで、息切れや動悸の原因になることがあります。

妊娠初期の息切れ・動悸はいつまで続く?赤ちゃんへの影響は?

妊娠初期に息切れや動悸があると、お腹の赤ちゃんには影響があるのか心配になりますよね。お母さんが苦しいと赤ちゃんも苦しくなってしまうのでしょうか。また、息切れ・動悸はいつまで続くのでしょうか。

妊娠中の息切れや動悸はいつまで続くの?

妊娠初期に息切れや動悸を感じると、不安でいつまで続くのかと思ってしまいますよね。息切れや動悸の原因になる黄体ホルモンは、妊娠中期になると落ち着きます。ですから、ホルモンが原因で起こる息切れや動悸に関しては一旦おさまってきます。

しかし、お腹が大きくなるにつれて、赤ちゃんに送るための栄養や酸素は増えていくため、血液量は減ることはありません。そのため、血液を全身に送る役割をする心臓の活発な働きは出産まで続きます。妊娠中の息切れ・動悸は出産まで完全におさまることがないのです。

お母さんが息切れ・動悸すると赤ちゃんも苦しい?

お母さんが息苦しいとき、お腹の赤ちゃんにすぐに影響が出ることはまずありません。ただし、息切れや動悸が長く続いて安静にしてもおさまらない場合は、赤ちゃんへの影響を考えて早めに病院へ行きましょう。

妊娠初期に息切れ・動悸がしたときの対処方法

妊娠初期に息切れ・動悸がする原因を解説しましたが、息切れ・動悸を感じたときにどのように対処したらおさまるのかをご紹介します。是非試してくださいね。

座って休む

妊娠初期は少し動いただけで、息切れや動悸を引き起こしてしまいます。そのときは、焦らず座って休みましょう。外出中などですぐ座れる場所がない場合は、つかまれるところを探して、立ち止まって息を整えるようにしてくださいね。

急に動悸がすると不安になってパニックになってしまう方もいますが、慌てないで転倒に気をつけて息切れや動悸がおさまるのを待ちましょう。ゆっくり深呼吸したり、水を飲んだりすると気持ちが落ち着くのでおすすめです。

足を高くして横になる

動悸や息切れを感じたときは、足を高くして横になるのがおすすめです。足を高くすると、むくみの改善や予防にも効果的なので、クッションなどを足の下に置いて休みましょう。そうすることで、血液の流れが落ち着いて息切れ・動悸が落ち着きます。

身体の左側を下にして横になる

妊婦さんにおすすめの寝方に「シムス体位」というものがあります。特に、妊娠中期から後期にお腹が大きくなってきたときにおすすめです。シムス体位は、身体の左側を下にして横向きに寝る姿勢ですが、この姿勢で寝ると子宮のまわりの血管の循環が良くなります。血管の循環が良くなると、心臓への負担が軽減されて息苦しさや動悸がおさまるのです。

このシムス体位は、息切れや動悸を感じたときだけでなく、お腹が大きくなり重くなってきたときに睡眠をとるときにおすすめです。横になるときは、クッションや枕などを足の間に挟むと楽になりますから、苦しくて寝付きが悪くなったときに試してみてくださいね。

妊娠初期の息切れ・動悸を予防する方法

妊娠初期に、息切れや動悸をできるだけ引き起こさないようにする方法がいくつかあります。普段からこれらの方法を取り入れてみてくださいね。

ストレスをためずリラックスを心がける

ストレスを溜め込んでしまうと、自律神経が乱れて息切れや動悸を引き起こしてしまいます。つわりなどの体調の変化、お産への不安など、妊娠初期は様々なことが原因でストレスを感じてしまうことがあります。

息切れ・動悸を引き起こさないためにも、ストレスを抱え込まないように上手く発散していきましょう。好きなテレビを観たり、体調の良いときに散歩したりすることで気分転換になりますよ。

意識して休むようにする

妊娠初期でつわりがあるときは、あまり外に出ず家の中で過ごすことが多くなりがちです。しかし、つわりが落ち着いてきたときに、その反動で予定を入れないように注意しなければなりません。妊娠初期は疲れやすいため、自分で意識して休むようにしないと疲れがたまって息切れや動悸がひどくなってしまうおそれがあります。

横になってもすぐに眠れない場合があると思いますが、眠れなくても横になって目を閉じればリラックスできて疲れが取れますよ。

姿勢に気をつける

普段から姿勢を正しくする習慣をつけておくと、呼吸器が正常に働くため息苦しさを軽減させてくれます。前かがみになると、肺や胃などを圧迫してしまうため、息苦しく感じてしまうのです。

スマートフォンを長時間操作するなど、首を下げてばかりいる方は意識して姿勢を良くするようにしましょう。

足湯や入浴でからだを温める

からだを温めると血行が良くなり、からだの隅々まで酸素や栄養を行き渡らせることができます。酸素が十分に行き渡れば息苦しくなることが減り、血行が良くなると心臓の負担を軽減することができるのです。

また、お風呂につかりリラックスすることで、ストレス解消されたり寝付きが良くなったりします。ただし、長風呂にしないように気をつけてくださいね。

軽い運動やマッサージをする

息切れのほかに、むくみがあったら血液の循環が悪くなっていることが原因かもしれません。血行を良くして、むくみを予防するためには軽い運動やマッサージが有効です。運動に関しては、無理のない程度で軽いストレッチや散歩で構いません。からだを動かすことで血行が良くなって、息切れや動悸の予防になり、加えてむくみの予防にもなります。また、お風呂上がりに気になる部分をマッサージすると血流が良くなりますよ。

寝るときに足を高くする

血流が滞って息切れや動悸が起きる場合、横になるときに足を高くすると血流を良くすることができます。足を高くすることで、むくみの予防・改善にもなるため、むくみが気になる方にもおすすめです。

栄養バランスを考えた食事を摂る

妊娠初期はお腹の赤ちゃんに栄養を送るので、貧血になることがあります。貧血は息切れや動悸を引き起こす原因になるため、食事をするときは鉄分を積極的に摂るようにしなければなりません。

鉄分だけでなく、妊娠中は栄養バランスを考えて食事をしっかり摂りましょう。つわりの時期は思うように食事ができないこともありますが、そんなときは無理せず食べられるものを摂るようにしましょう。

息切れ・動悸が辛いとき

妊娠初期は息切れ・動悸が起こりやすいのですが、妊娠が原因でない場合もあるため注意が必要です。それはどのようなときなのでしょうか。

持病が悪化している場合

もともと心臓疾患や喘息などの持病を持っている方は、妊娠によって心臓などにかかる負担が増えて持病が悪化することがあります。妊娠が分かった時点で、医師に持病があることを伝え、薬を服用していたら続けても良いかなどの確認をとるようにしましょう。また、妊娠中の注意点を聞いて、無理ない生活を送るように心がけなければなりません。

違和感を覚えたらすぐに受診しよう

妊娠初期の息切れや動悸は起こりがちなのですが、先述した通り、持病がある場合は十分に注意が必要です。また、持病がなかったのに、妊娠がきっかけで発病することもあるので、少しでも違和感を覚えたら病院へ行きましょう。

妊娠初期の息切れ・動悸は予防策を取って乗り切ろう

妊娠初期は妊娠への不安やつわりなどでストレスを抱えがちです。そのときに息切れ・動悸があると、さらに不安を感じてしまいますよね。ただ個人差はあるものの、一般的に妊娠初期の息切れ・動悸は多くの人が体験することです。

あまり気にしすぎるとかえってストレスを抱えることになってしまいます。息切れ・動悸を起こしにくくするために、ご紹介した対策を講じて無理せず乗り切りましょう。

<参照>
https://192abc.com/19115
https://mamanoko.jp/articles/24350
https://akanbo-media.jp/posts/564#head-49d201341fcc34c908511314f3f76fdd
https://www.syufeel.com/onayami_ichiran/maternity/chousyoki/ch04/
https://192abc.com/23674
https://192abc.com/25056

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