新生児・赤ちゃんのミルクの適量とは?月齢の目安と悩みを解説

赤ちゃんが飲むミルクの量に悩んでいるお母さんは多いのではないでしょうか。特に、初めての赤ちゃんを育てるときは、赤ちゃんが飲む量は足りているのか、飲ませすぎではないかと心配になってしまいますよね。ここでは、新生児のときから1歳までの赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と平均的な回数について詳しくご紹介します。

新生児に与えるミルクの適量

赤ちゃんの新生児期とは、生後0日から28日未満の時期を指します。この記事では、新生児の時期と、生後1ヶ月から1歳になるまでの期間に分けて、赤ちゃんに飲ませるミルクの量などについて詳しく解説します。

新生児の頃は飲ませるミルクの適量は生後の経過日数によって異なります。以下を参考にして赤ちゃんの様子を観察しながら与えるようにしてくださいね。

新生児に与えるミルク量の計算式

新生児にミルクを与えるときは、3時間おきに1日8回与えるのが目安です。そして、生後0~7日までの1回に与えるミルクの適量は、以下の計算式で出すことができます。

計算式:10ml+生後日数×10ml=◯日目の1回分のミルク量
例:生後3日目の場合は、10ml+(3×10ml)=40ml

生後0~7日までの赤ちゃんに与えるミルクの適量

上記の計算式使って、生後0~7日までの1回に与えるミルクの適量を表にしてみます。(生後7日目になると、1日に与える回数が7回になります。)

生後の日数 1回分のミルク量 1日のミルク量の目安
生後0日、1日目 20ml(3時間×8回) 160ml
生後2日目 30ml(3時間×8回) 240ml
生後3日目 40ml(3時間×8回) 320ml
生後4日目 50ml(3時間×8回) 400ml
生後5日目 60ml(3時間×8回) 480ml
生後6日目 70ml(3時間×8回) 560ml
生後7日目 80ml(3時間×7回) 560ml

退院後のミルク量の目安

新生児に与えるミルク量は上の表のとおりですが、それ以降は1回80~100mlを1日6~8回程度与えます。生後3~4週間頃は、1回のミルク量は100~120mlほどで、1日に6~8回あげましょう。この量については目安ですから、回数や量がこの通りではなくても、赤ちゃんの機嫌が良ければ気にすることはありませんよ。

生後1ヶ月から1歳になるまでのミルクの量

では、次に月齢に合わせたミルクの適量と1日に飲ませる回数の目安、悩みなどを月齢別に詳しく解説していきます。

まず、知っておかなければならないのは、粉ミルクを作るときはパッケージに書かれている量を守ることです。ミルク缶などには月齢に合わせたミルク量が記載されています。ミルクを作るときは、お湯の量とミルクの量を記載通りにするように気をつけましょう。

生後1ヶ月の赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と回数

生後1ヶ月~2ヶ月の赤ちゃんのミルク量は、1回120~160mlで3時間おきに1日に6回が目安です。

赤ちゃんは生まれてから生後1ヶ月までの間に、身長は3~5cm伸びて体重は1~2kg増えます。顔や体にお肉がついてきて、赤ちゃんらしくなってくるのがこの時期です。

生後1ヶ月になると、口のまわりの筋肉が発達してきて、哺乳瓶を上手に吸えるようになり、1回に飲めるミルク量が増えてきます。この頃の赤ちゃんは、まだ飲ませただけ飲んでしまうため、あげすぎに注意が必要です。

生後2ヶ月の赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と回数

生後2ヶ月~3ヶ月の赤ちゃんのミルク量は、1回120ml~160mlで3時間おきに1日6回が目安です。

この頃の赤ちゃんは、生後1ヶ月の頃に比べるとさらにお肉がついてきて、首がすわり始める子もいます。手足を活発に動かすようになり、動いているものを目で追うようになりますよ。

ミルクの与え過ぎは、赤ちゃんの胃腸に負担をかけることになりますから、適量を守ってあげるようにしてくださいね。

生後3ヶ月の赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と回数

生後3ヶ月~4ヶ月の赤ちゃんのミルク量は、1回180~220mlで4時間おきに1日に5回が目安です。

生後3ヶ月になると、赤ちゃんの体重は生まれたときの約2倍になり、身長は12~13cm伸びます。そして、この頃になるとミルクを飲む力がついてきて、それまでよりも短時間で飲むことができるようになりますよ。

また、生後3ヶ月頃からは満腹中枢が発達してくるため、ミルクの量を自分で調整できるようになります。自分でお腹がいっぱいになったら飲むのをやめるので、適正量を残してもあまり心配しないようにしましょう。

生後4ヶ月の赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と回数

生後4ヶ月~5ヶ月の赤ちゃんのミルク量は、1回200~220mlで4時間おきに1日に5回が目安です。

この頃の赤ちゃんは、首がすっかりすわり寝返りができるようになる子も出てきます。また、生活リズムがだんだん整ってきて、夜に長く寝てくれるようになる子もいて、お母さんは少し楽になってきますよ。

生後5ヶ月の赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と回数

生後5ヶ月~6ヶ月の赤ちゃんのミルク量は、1回200~220mlで4時間おきに1日に5回が目安です。

5ヶ月になると、赤ちゃんの体重は誕生した頃の約3倍以上になります。また、この時期から寝返りができるようになる子が多く、運動量が増えるため体重の増えが落ち着いてきます。

そして、この頃から少しずつ離乳食の準備を開始する子もいます。離乳食を始めるときの目安は、赤ちゃんの首が完全にすわっていること、支えてあげればすわっていられること、家族が食事をしていると興味を示してよだれを垂らすことなどがあります。また、スプーンを口に入れたときに嫌がらなくなったら離乳食を始めても良いでしょう。

離乳食は「食べることに慣れること」が目的で、栄養を摂る目的ではありません。離乳食の後にミルクを140~220mlほど飲ませてあげましょう。

生後6ヶ月~9ヶ月の赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と回数

生後6ヶ月~9ヶ月の赤ちゃんのミルク量は、1日200~220mlを4時間おきに1日5回が目安です。そのうち、2回は離乳食のあとに140~160ml飲ませてくださいね。

生後6ヶ月の赤ちゃんは、左右に寝返りができるようになり、寝返りから元に戻れるようになる子も多くなります。離乳食を始める赤ちゃんが多くなり、両手を前に置けばおすわりできるようになる赤ちゃんもいます。

生後7ヶ月になると、おすわりがしっかりできるようになり、ずりばいを始めるようになります。運動量が増えることで、離乳食をよく食べるようになるでしょう。この頃になると、口のまわりの筋肉が発達してくるため、食べ物を舌でつぶせるようになってきます。離乳食が順調に進んでいれば1日2回に増やしましょう。ただし、この時期も離乳食の後にミルクを飲ませて栄養を補給する必要があります。

生後8ヶ月の赤ちゃんは、ずりばいからハイハイができるようになり、ますます運動量が増えてきます。離乳食は2回になり、だんだん食べることが楽しくなってくる頃です。自己主張を始める時期でもあるため、離乳食を手で食べたがるようになるでしょう。赤ちゃんの気持ちを尊重し、汚れてもいいように新聞紙を敷くなどして、自分で食べる喜びを感じさせてあげましょう。

生後9ヶ月~1歳の赤ちゃんに飲ませるミルクの適量と回数

生後9ヶ月~12ヶ月の赤ちゃんのミルク量は、1回200~220mlを4時間おきに1日5回が目安です。この頃は、離乳食が3回になってきて、豆腐やバナナくらいの固さのものが食べられるようになって、色々な食材を食べるようになります。離乳食をしっかり食べるようになると、ミルクを飲みたがらなくなる子も出てきます。飲みたがらないときは、フォローアップミルクで栄養を補助してあげると良いでしょう。

生後9ヶ月になると、ハイハイが上手になってスピードも早くなります。気になるものを見つけるとものすごい勢いでハイハイしますよ。また、早い子ではつかまり立ちをする赤ちゃんもいて、ますます運動量が増える時期です。運動量が増えると、離乳食をしっかり食べるようになるため、食後のミルクを飲まなくなる子もいますよ。

生後10ヶ月の赤ちゃんは、離乳食が1日3回になって、栄養の7割を離乳食から摂るようになります。お腹がすいてミルクを飲むことは少なくなり、赤ちゃん用のミルクを卒業する子も多くなる時期です。

生後11ヶ月になると、離乳食で栄養が摂れるためミルク量が減ってきます。離乳食が順調でしたらミルクを卒業しても良い時期です。

1歳になると卒乳を考えるお母さんも多くなるでしょう。この時期は離乳食をよく食べていればミルクを卒業しても構いません。ただ、なかには哺乳瓶をくわえることによって安心感が得られる子もいるため、ミルクを飲みたがる場合は無理にやめることはありません。

赤ちゃんのミルク育児の悩み

赤ちゃんに与えるミルクに関して、量は足りているのかなど多くの悩みを抱えるお母さんが多いものです。ここでは、ミルク育児で多い悩みを解説していきます。

赤ちゃんの体重の増加を知っておこう

ミルクの量が足りているかを知る目安になるのが、赤ちゃんの体重です。私たち大人の食事量が毎回同じではないように、赤ちゃんのミルクの量も毎回同じではありません。しかし、お母さんとしては目安のミルク量を飲んでくれないと不安になってしまいますよね。そんなとき、赤ちゃんの体重の増加を知っておけば、ミルクの量が足りているかどうかの判断材料になります。

赤ちゃんの体重は、誕生してから生後1ヶ月までの間は、1日当たり約40gずつ増加していきます。そして、2ヶ月から3ヶ月目は、1日当たり約30g、4ヶ月目からは体重増加が少し落ち着き、1日当たり約20g増えます。そして、生後7ヶ月目からは1日約10gの体重増加です。体重の増加が少なくなってくるのは、寝返りやずりばいなどができるようになることで、運動量が増えることが考えられます。

ミルクを飲みすぎていないか

母乳育児をしている場合、赤ちゃんが欲しがったらそのたび授乳しても構いません。しかし、ミルク育児の場合は、母乳と栄養や消化時間が異なるため、授乳間隔は3時間以上あける必要があります。

ミルクの目安量はご紹介しましたが、この量は目安ですから赤ちゃんによってはこの量が多すぎる場合があります。赤ちゃんにとってミルクの量が多い場合は、以下のようなサインが見られます。このようなサインが見られたら、ミルクの量を見直すようにしましょう。

・授乳したあとにミルクを吐く
・授乳中に口の端からミルクをこぼす
・お腹が膨れて苦しそうに泣く
・下痢や便秘の症状が見られる
・機嫌が悪い

新生児の赤ちゃんはミルクを吐きやすいのはなぜ?

生まれたばかりの赤ちゃんは、まだミルクを上手に飲むことができません。この頃の赤ちゃんの胃は、口の閉まっていない縦型のとっくりのような形をしています。そのため、ミルクを多く飲んだときに口から溢れてミルクが垂れてしまったり、吐いたりしやすいのです。

また、ミルクを飲んだあとに動いたことで逆流してしまい、吐くことも多くあります。赤ちゃんはミルクと一緒に空気を吸い込んでいますが、この頃の赤ちゃんの胃の筋肉は弱いため、胃の中の空気を外に出すことはできません。そのままにしておくと、空気が逆流してミルクを吐いてしまうため、ミルクを飲ませたあとはゲップさせてあげましょう。

赤ちゃんがミルクを多く欲しがる

新生児の頃、赤ちゃんは口に入ったものを無意識に吸う「吸啜反射」があり、哺乳瓶を口に入れたら吸い始め、お母さんが離すまで哺乳瓶をくわえ続けます。ですから、赤ちゃんが哺乳瓶を離さないからといって、必ずしもミルクが足りないということではないのです。

また、新生児の頃の赤ちゃんは、脳の満腹中枢が未発達なため、お腹がいっぱいになったから飲むのをやめるということができません。そのため、この頃の赤ちゃんはミルクをあげたらあげた分飲んでしまいます。

赤ちゃんにあげるミルクの量は、目安の適正量を基本にしましょう。ミルクが足りているか不安でしたら、赤ちゃんの体重が順調に増えているか確認すると良いですよ。

赤ちゃんがミルクを飲みたがらない

授乳の時間になっても赤ちゃんがミルクを飲みたがらないとき、いくつかの原因が考えられます。

お腹がいっぱいで飲みたくない

まず、考えられるのは、お腹がいっぱいで飲みたくない場合があります。赤ちゃんには個人差があるため、標準的なミルクの適正量では多い赤ちゃんもいます。3時間ごとの授乳時間で飲みたがらない場合は、少しミルクの量を減らしてみましょう。標準よりも少し量を減らしても、赤ちゃんの機嫌が良く体重が増えていれば大丈夫ですよ。

哺乳瓶の乳首の形が苦手

次に考えられるのは、哺乳瓶の乳首の感触が気に入らないという理由です。赤ちゃんの口の中はとても敏感で、哺乳瓶の乳首を変えた途端にミルクを飲まなくなることがあります。

市販の哺乳瓶の乳首は、、メーカーによって様々な形や素材のものがあります。また、乳首に空いている穴の大きさも月齢によって異なります。乳首を変えてから飲まなくなった場合は、元の乳首に戻すと飲んでくれるようになるかもしれません。赤ちゃんにも好みがありますから、いくつか用意して試してみると良いでしょう。

ミルクの味が嫌い

粉ミルクはメーカーによって味の違いがあります。ミルクを飲みたがらないのは、飲ませているミルクの味が苦手なのかもしれません。どのメーカーのミルクを好むのかは飲ませてみないと分からないため、色々なメーカーのミルクを試してみましょう。試しに買ってみるときは、缶のミルクではなくキューブ型の小さなサイズのミルクがおすすめですよ。

ミルクの温度や濃さに注意

ミルクの温度や濃さはどうでしょうか。ミルクの温度は「人肌と同じくらいの温度」と言われています。調乳してから、手首の内側にミルクを1滴垂らして熱くないか、ぬるすぎないかチェックしましょう。

また、夏場などの気温が高い時期は、人肌の温度でも飲まなくなる赤ちゃんがいます。赤ちゃんによってはぬるめが好きという子もいますから、様子を見て温度の調整をしてあげると良いですね。

そして、ミルクを溶くときにお湯の量は間違っていないかを確認しましょう。薄くておいしくない、濃くて飲みにくいなどの理由も考えられますので、ミルクの濃さを確認することも大切です。

便秘をして苦しい

赤ちゃんがミルクを飲みたがらないとき、便秘をしていてお腹が張っているのが原因でミルクを飲まないことがあります。うんちが出てないときは、無理に飲ませないで授乳時間を少し空けてみましょう。そして、便秘が改善しない場合は、お腹をマッサージしてあげるなどして対処してあげましょう。

落ち着いてミルクが飲めない

赤ちゃんがミルクを飲むとき、まわりが騒がしいなどの理由でミルクに集中できないことがあります。月齢が上がってくると、まわりの環境に興味を示すようになるため、ミルクを飲まそうとしたときに何か気になることがあるとそちらに意識が向いてしまいます。

また、ミルクをあげるときにお母さんが他のことに意識がいっていると、赤ちゃんは落ち着いてミルクを飲めなくなってしまいます。授乳中は、赤ちゃんの目をしっかり見つめながら、優しく語りかけながら落ち着いて飲めるような環境づくりをしてあげてくださいね。

ミルクの量はあくまでも目安です!

ミルク育児の場合、飲む量が分かりやすく、赤ちゃんの体調管理がしやすい反面、飲んだ量で一喜一憂してしまうこともあるでしょう。しかし、赤ちゃんの機嫌が良くて体重が順調に増えていればあまり神経質になることはありません。

もし、ミルクをあまり飲まず、機嫌が悪かったり体重の増えが悪かったりした場合は、早めに医師に相談しましょう。

ミルク育児は、お母さんだけでなく、お父さんでも与えることができることで、子育ての喜びを共有することができます。また、育児を分担することでお母さんの負担を減らすこともできます。ミルクの量はあくまでも目安と捉え、赤ちゃんとの生活を楽しんでくださいね。

<参照>
株式会社明治「赤ちゃんに必要なミルクの量を知ろう」:https://www.meiji.co.jp/baby/club/category/ask/milk_qa/as_milk_qa272.html

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