小学校でプログラミングが必修に?授業内容や目的、メリットを解説

2020年度から小学校で必須になる「プログラミング教育」ですが、プログラミングと聞くと難しいイメージがありますよね。これを小学校に取り入れるのは、どのような目的やメリットがあるのでしょうか。また、授業はどのような内容になるのか、この記事では詳しく解説していきます。

小学校でプログラミングが必修になるのはいつから?

小学校でプログラミング教育が必修になることが公表されたのは、2016年です。そして、2017年に学習指導要領が改訂され、ついに2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されることになりました。

プログラミングとは

「プログラミング」とは、コンピューターに仕事をしてもらうために、コンピューターに指示を出すことです。

人間はやってほしいことを察して動くことができますが、コンピューターにはそれができません。そのため、コンピューターが分かりやすい「プログラミング言語」を使い、やってほしいことの「指示書」を作ります。

この指示書をつくることを「プログラミング」と言います。そして、コンピューターがわかる言葉のことを「プログラミング言語」といい、日本語や英語のように言語にはいくつかの種類があります。

さらに、プログラミング言語を使いスマホアプリなどをつくることを「システム開発」と言います。

小学校でプログラミングを教える目的

プログラミングを小学校で教えることになった目的とは一体どのようなものなのでしょうか。

コンピューターを扱うための基本スキルを学ぶ

近年、スマホやパソコンの普及により、子供も小さなうちからこれらに触れる機会が増えてきています。いまや、赤ちゃんがスマホを操作して動画を観ることができる時代になってきているのです。

このように、なんとなく触っていたスマホやパソコンですが、世の中はものすごい勢いでデジタル化してきています。現在でも、仕事をする上でパソコンのスキルが必要な場合が多かったり、小学校のクラスのお知らせをメールで受け取ったりすることが増えてきているのが現状です。

こうした時代になってきたことから、小学生のうちからコンピューターの基礎を学び、理解することが重要だと考えられました。また、なんとなく使うのではなく「基本的な操作を習得」し、コンピューターを活用できるようにする力が求められる時代になってきたことも、プログラミング教育の必須化の目的と言えます。

プログラミングを学ぶことで論理的思考を身につける

小学校でプログラミング教育を導入したもうひとつの目的は、「プログラミングを体験し、コンピューターを動かすための考え方(論理的思考力)を養う」ことです。

コンピューターを目的通りに動かすためには、いくつもの命令を組み合わせる必要があります。そのためには、どのような記号をどのように組み合わせれば良いかを論理的に考えなければなりません。

プログラミング教育を受けることで、今まで「なんとなく」動かしていたスマホなどのコンピューターが、実はプログラムによって動かされていた事実を知ります。そして、それをきっかけに「どんなことでも理由があり、問題が起きたときにはそれを解決するための手順があること」に気づく。

このことが、子供の「物事を論理的に考え、本質を探る力」を養うことにつながるのです。そして、小学生のうちからプログラミングを学ぶことで、「もっと便利に使いたい」「ほかの方法はないのか」「自分でシステムを作ってみたい」と考えるようになり、積極的に学びたいとの意欲が出てくることも期待できるのです。

小学生がプログラミング教育を受けるメリット

小学生のうちにプログラミングを学ぶことで、子供にどのようなメリットがあるのでしょうか。以下にそのメリットについて詳しく解説します。

プログラミングを通じて人との関わり方が学べる

プログラミングが人との関わり方に関係あるのかと疑問に思われる人もいるでしょう。プログラミングは、「論理的に考える力」を養うことだと説明しましたが、実はこれは人との関
わり方にも相通じるものがあるのです。

コンピューターを思い通りに動かすためには、プログラミング言語を間違えないように使い、システムを作らなければなりません。もし、コンピューターが正常に動かない場合は、それを解決するために順序立てて考える必要があります。

これを人との関わりに置き換えてみると、「人は自分の思い通りには動いてくれない」ことに気づくのです。自分が当たり前だと思っていたことが他人には通用しない、自分がこうしてほしいと思っても伝わらないということが分かります。

そのため、誰かに何かをお願いするときは相手に分かりやすく、論理的に伝える必要があることを理解します。また、思い通りにいかなかったとき、どうして伝わらなかったのか「言い方が分かりにくかったのではないか」「あそこでこれを言い忘れたからだ」など、コミュニケーションの大切さを学ぶことにつながるのです。

子供は成長していくにつれ、多くの人と関わることになります。世の中には様々な人がいて、色々な考え方を持った人がいます。子供がこれから社会に出ていくとき、プログラミングを学ぶことで、「物事を順序立てて考える能力」が大変役立つことになると考えられています。

海外で活躍できる人になる

文部科学省の「小学校プログラミング教育の手引」によると、プログラミングが子供たちの可能性を広げるものになると書かれています。

プログラミングを学ぶことで、子供が持っている可能性を引き出し、社会で活躍できるきっかけを持つことになることが期待できます。また、今後どの仕事でもコンピューターが使えることが必要になっていくことが考えられます。そのため、小学生の頃からプログラミングを学び、コンピューターを活用できるようになっておくのが重要なのです。

海外でも初等教育の段階からプログラミング教育を取り入れていることから、子供たちが将来、日本のみならず海外でも活躍するためにもプログラミング教育が重要と考えられているのです。

大学受験に備えることができる

将来的に、大学入試にプログラミングを含んだ「情報」という科目が加わることが、政府の未来投資会議にて決まりました。

まだ具体的な導入時期や内容については決定されていませんが、今の小学生が大学を受験する頃にはプログラミングが大学入試に必須になっている可能性もあります。

実際に現在でもプログラミングを入試に取り入れている学校もあるため、今後はプログラミングを学校以外のところでも学ぶ子供たちが増えていくかもしれません。

将来の就職に有利になる

将来、子供が就職するときにはプログラミングができて当たり前という時代になるかもしれません。現在、IT業界は学歴や年齢に関係なく、実力があれば比較的良い待遇で働くことができる場合が多いです。

今後、子供が将来を決めるとき、スキルを身につけておけばそれだけ選択肢も増え、可能性が広がるのです。

プログラミングの授業内容はどんなもの?

小学生が学ぶプログラミング教育ですが、実際は「プログラミング」という教科が加わるわけではなく、今まで学んでいる教科の中に組み込んでいく方法で取り入れられます。

小学生が学ぶのは【ビジュアルプログラミング】

コンピューターを動かすとき、難しそうな文字を打ち込むのを映画などで見たことがある人は多いでしょう。しかし、小学校で用いるのは「ビジュアルプログラミング」という図形や命令が書かれたアイコンやブロックをマウスで操作するものです。

基本的にキーボードは使わず、マウスで操作してアイコンを動かすだけなので、キーボード操作に不慣れな子供でも簡単に行なうことができます。

ただし、プログラミングの授業内容は小学校ごとに異なるため、必ずしも「ビジュアルプログラミング」のみの授業というわけではありません。

プログラミングをほかの教科に取り入れて学ぶ

小学校のプログラミング教育は、算数や理科、音楽などの教科に工夫しながら取り入れていきます。

例えば、算数のプログラミング教育では、「多角形をかく」動作が学べます。マウスを動かしながら、長さや角度を考えながら三角形や正方形などを描くのです。

理科では、人などが動くとセンサーが感知してライトが点灯する装置をプログラミングで作ります。どの程度の距離で感知するのか、ライトを何秒間点灯させるかなど、考えながら楽しく学べますね。

音楽では、数種類の楽器のリズムやパターンをプログラミングして、それらの楽器を使って曲を作ります。ひとつの学期につき、どんなリズムでどんな大きさにすれば良いかなど、考えるのも楽しそうです。

このように、小学校ではこれまでの教科のなかに組み込み、楽しみながら学ぶプログラミング教育をしていくよう望まれています。

子供たちの可能性を広げるプログラミング

「プログラミング」と聞くと、難しそうなイメージがありますが、この記事で解説したように、小学生が学ぶプログラミングは、子供たちが楽しく学べるような工夫をしながら取り入れていくものです。

子供たちがプログラミングを学ぶことで、進学するときや将来を決めるときの可能性を広げ、選択肢を増やせます。また、論理的に物事を考える力がつくことで、お友達やまわりの人たちとの関わり方がスムーズなものになることが期待できます。

子供の可能性を広げるため、考える力を身につけるために、プログラミング教育は役立つ教育と言えるのではないでしょうか。

<参照>
文部科学省「小学校プログラミング教育の手引(第ニ版):https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/11/06/1403162_02_1.pdf

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