赤ちゃんも人見知りをするの?原因と対処法について解説

赤ちゃんは成長とともにできることが増えてきて、感情も豊かになってきます。あやすと笑うようになる様子を見るのは幸せなひとときですよね。そんな赤ちゃんの成長のひとつとして「人見知り」があります。今回はこの人見知りについて、いつ頃から始まるのか、その原因と対象法を合わせて解説していきます。

赤ちゃんの人見知りとは?

赤ちゃんが人見知りする様子は、「知らない人を見ると怖がって泣く」ことだと思っている人が多いかもしれません。ですが、赤ちゃんが相手を緊張した様子で見たり、お母さんにしがみついて顔をそらしたりする仕草を見せるのも「人見知り」です。

それまで誰に対してもニコニコ笑顔を見せていたのに、人見知りが始まるとお母さん以外の人の抱っこを嫌がってしまったり、あやすだけで泣き出したりする子もいます。

人見知りはいつから始まるの?

赤ちゃんの成長には個人差があります。そのため、人見知りに関しても赤ちゃんによって始まる時期が違います。

一般的には生後6~7ヶ月頃から始まることが多く、人見知りの度合いには個人差があります。先ほども解説したように、相手の顔を見ると泣くだけでなく、お父さんやお母さん以外の人がそばに来ると真顔になって相手の顔をじっと見るケースも人見知りです。

生後3ヶ月頃でも人見知りはあるの?

赤ちゃんのなかには、生後3ヶ月~4ヶ月頃から人見知りが始まる子もいます。この時期は、赤ちゃんはお父さんやお母さんという自分のそばにいてくれる人を認識し始める頃です。

赤ちゃんは誕生してすぐに声や匂いでほかの人とお母さんとを区別します。そして、生後3ヶ月頃になると、だんだん視力がついてきて1mほどの距離にあるものを目で追うようになってきます。この頃にはお父さんやお母さんの顔もしっかり見えるようになり、ほかの人との違いも見た目で分かるようになってくるのです。

生後3ヶ月で人見知りが始まるなんて、早すぎない?と心配になることはありません。人見知りが始まるのは、赤ちゃんの視力や脳が発達している証拠だからです。だからといって、人見知りしないから発達が遅いのかという心配は無用です。成長には個人差があるので、人見知りが始まる時期についてはあまり神経質にならないようにしてくださいね。

人見知りはいつまで続くの?

赤ちゃんの人見知りは、始まる時期に個人差があるように、いつまで続くかについても個人差があります。一般的に、人見知りは2歳頃には落ち着く場合が多く、早い子では1歳頃にはおさまることもあると言われています。

子供の性格によって、人見知りが小学生にあがる頃まで続くこともありますが、その子の個性だと受け止めてあげてくださいね。

赤ちゃんが人見知りする原因

赤ちゃんが人見知りをするのはなぜなのでしょう。赤ちゃんの成長と人見知りの関係があるのでしょうか。

家族とほかの人の区別がつくようになった

赤ちゃんが人見知りする大前提に、「家族と他人の区別がついてきた」ことが挙げられます。生後3ヶ月くらいになると、赤ちゃんはお父さんやお母さんの顔を認識するようになり、ほかの人との区別がつくようになってきます。

いつもそばにいる家族とたまにしか見ない人、または初めて見る人を区別できるようになることで人見知りが起こるのです。

そばに行きたいけれど怖い心の葛藤がある

以前、赤ちゃんの人見知りは、「知らない人が怖いため」と捉えられていました。赤ちゃんは生後2~3ヶ月頃に「嬉しい」という感情が芽生え、生後6ヶ月頃には「怖い」という感情が芽生えます。

このことから、ちょうど生後6ヶ月頃に始まる人見知りと「怖い」感情が芽生える時期が同時期だったため、この2つを結び付けて考えられるようになったのです。

しかし、赤ちゃんの行動を見ていると、人を怖がるだけでなく恥ずかしそうにする様子をする子もいます。もし、相手が怖いなら目を合わせないようにして、見ないようにするはずです。ですが、お母さんの陰に隠れるようにして相手をじっと見たり、緊張したりする様子を見せながらも相手から目をそらさないことがあります。

このような赤ちゃんの行動から、人見知りは単に相手が怖いだけではないのではないか、と科学技術振興機構(JST)が東京大学の教授らと共同で研究を赤ちゃんの人見知りについて研究を行いました。

そして、この研究結果で、人見知りの強い赤ちゃんは相手に「近づいてみたい」という気持ちと「怖い」という気持ちの両方があり、心の葛藤があることが分かったのです。研究により、赤ちゃんは相手にじっと見られると怖くて目をそらしてしまうものの、相手が目をそらすと「近づきたい」気持ちから相手をじっと見る行動をとることも分かってきました。

この研究により、赤ちゃんの人見知りは、相手が怖いだけではなく「近づきたい」気持ちもあって相手をよく観察している行動だということが考えられます。

<参照>
JST 科学技術振興機構「赤ちゃんの「人見知り」行動単なる怖がりではなく「近づきたいけど怖い」心の葛藤」:https://www.jst.go.jp/pr/announce/20130606/

お母さんの不安が赤ちゃんに伝わっている

赤ちゃんはお母さんが思っている以上に、お母さんの気持ちに敏感に反応します。

お母さんが相手の人と楽しそうに会話しているのを見ると、赤ちゃんは「この人は怖い人ではない」と安心します。しかし、お母さんが「この人に会わせたとき赤ちゃんが泣いてしまうのではないか」と緊張していると、赤ちゃんは不安で泣き出すことがあります。

お母さんがおおらかで「もし泣いても赤ちゃんの成長の過程だから仕方ない」と、捉えていれば赤ちゃんは安心できるかもしれません。

暮らしている環境の違い

赤ちゃんの人見知りは、暮らしている環境によって差が出てくることもあります。例えば、お父さんとお母さんのほかに、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしているなど、家族が多い家庭で育っている赤ちゃんは人と接する機会が多いです。

一方、お父さんとお母さんと赤ちゃんだけで、人の出入りがない家庭で育っている赤ちゃんは人と接する機会が少ないため、人見知りしやすいこともあります。

ただし、人見知りに関しては個人差があります。家族が多い家庭で育っている子でも人見知りする赤ちゃんもいますので、一概に環境が原因とは言い切れません。考えられる原因のひとつとして捉えてくださいね。

赤ちゃんが人見知りしたときの対処方法

せっかくあやしてもらったのに赤ちゃんが大泣きしてしまうと、お父さんもお母さんも困ってしまいますよね。この赤ちゃんの人見知りはどのように対処したら良いのでしょうか。

赤ちゃんにばかり目を向けない

赤ちゃんの人見知りが始まったとき、お母さんは人と会うときに緊張してしまうかもしれませんね。しかし、お母さんがあまりに緊張すると、その緊張が赤ちゃんに伝わり赤ちゃんのほうも身構えてしまうことがあります。

赤ちゃんを主役にした振る舞いをしないようにして、普段通りに接することで赤ちゃんも緊張せずにすみます。また、相手の方に人見知りが始まっていることを事前に伝えておくのもひとつの対処法です。

克服させようと無理しない

赤ちゃんが人見知りするのは成長の過程で自然なことです。先ほども説明したように、人見知りは赤ちゃんの心の中で怖い気持ちと近づいてみたい気持ちが混在し、葛藤している表れなのです。

そのときに、無理に人見知りを治そうとして、赤ちゃんが泣いているのにお母さん以外の人に抱っこしてもらったり、大げさに反応したりすると余計人見知りがひどくなる場合があります。

赤ちゃんに優しく声をかける

お母さん以外の人に会ったとき、赤ちゃんが人見知りをして泣き出してしまったらお母さんが赤ちゃんに優しく声をかけてあげましょう。

そして、相手の方にもいきなり抱っこしてもらうことはせず、まず優しく話しかけることから始めてもらうと良いですね。赤ちゃんに声をかけながら手を握るなどのスキンシップから始めて、徐々に距離を縮めていただくようにすることを心がけるのが良いでしょう。

その際もお母さんが赤ちゃんを抱っこして、「撫でてもらえてもらってよかったね」などと、優しく声をかけてあげると安心します。そして。その間、お母さんは笑顔で見守ってあげると赤ちゃんの緊張がほぐれていくでしょう。

お母さんが相手の人と親しく接する

個人差はありますが、赤ちゃんのなかにはおじいちゃんやおばあちゃんにも人見知りしてしまう子もいます。自分の孫に人見知りされてしまったら、おじいちゃんたちはショックでしょうが。その場合は、お母さんが赤ちゃんにおじいちゃんたちは怖い人たちではないということを教えてあげましょう。

赤ちゃんが一番安心できるのはお母さんです。そのお母さんが相手の方と親しげに話していると、赤ちゃんは「この人は自分の大好きなお母さんと仲良しなのだ」と分かると安心することができます。

月齢が近い赤ちゃんと触れ合う機会をつくる

赤ちゃんの人見知りは暮らしている環境や、まわりの人たちとの関りで人見知りしやすいかどうか決まることがあります。ただ、人見知りは性格も関係してくるため、大家族のなかで育っていたとしても人見知りする子もいます。

人見知りの対処法として、赤ちゃんが緊張しない環境をつくることがおすすめです。それには、赤ちゃんと月齢が近い子供と接する機会を増やすことです。親子でイベントに参加したり、児童館の集まりに行ってみたりすることで、赤ちゃん同士で触れ合うことができます。月齢が近い赤ちゃんが相手だと、警戒心が薄れるため、人と接することに慣れていくでしょう。

ほかのことで気を紛らわせる

赤ちゃんが人見知りをして泣きやまなくなってしまったときの対処法として、おもちゃなどで気を紛らわせる方法があります。

赤ちゃんが好きなおもちゃや絵本で気を引いて落ち着かせるほか、初めて見るもので気を引く方法もおすすめです。ビニール袋を手でこすってガサガサ音を立てる、音楽を流すなども赤ちゃんを泣き止ませるのに良いですよ。

相手の方へのフォローを忘れずに

人見知りされた方は、自分が赤ちゃんを泣かせてしまったと申し訳ない気持ちになってしまうものです。ですから、お母さんは相手の方に赤ちゃんが人見知りするのは、その方だけではない旨を伝えてフォローするようにしましょう。

赤ちゃんの人見知りは知らない人にだけなの?

赤ちゃんが人見知りする対象は、家族以外の人だけにするのでしょうか。実際はそうでもないようです。

パパに対して人見知りする赤ちゃんもいる

赤ちゃんが人見知りするのは家族以外だと思う人が多いのですが、なかにはお父さんに対して人見知りする場合もあります。

お父さんはお母さんに比べて接する時間が少ない場合が多く、赤ちゃんが寝ている時間に家を出て、赤ちゃんが寝てから帰ってくることもあるでしょう。仕事が忙しいと、平日は赤ちゃんと触れ合う時間がほとんどないお父さんもいるようです。

そうなると赤ちゃんにとっては、お父さんはたまに顔を合わせる人という存在になってしまいます。お父さんが休みの日にしか接する機会がないため、お父さんに対して人見知りをしてしまうのです。

赤ちゃんがお父さんの顔を見て泣いてしまうのは、お母さんにとっても辛いですよね。その対処法として、写真を飾っていつも「パパだよ」と赤ちゃんに話しかける、お父さんが赤ちゃんに接するときにできるだけスキンシップをとるなどがあります。

お父さん見知りがおさまるまで少し辛いかもしれませんが、赤ちゃんにとって人見知りはその人のことが嫌いというわけではありません。赤ちゃんがその人に興味がある証拠でもあるので、その点をお父さんに理解してもらって人見知りがおさまるのを待ちましょう。

人見知りではなく場所見知りしている可能性がある

赤ちゃんのなかには、初めて行った場所が不安で泣く子がいます。この場合は、人見知りではなく「場所見知り」ですね。赤ちゃんの人見知りの原因のひとつである「怖いけれど近づきたい」という意識の対象が場所になるというわけです。

初めての場所で泣き出してしまった場合、その場所を離れて赤ちゃんを落ち着かせてあげるようにすると良いですよ。

人見知りしない子もいる

なかには人見知りしない赤ちゃんもいます。人見知りに関してはしたほうが良いか、しないほうが良いかということはありません。

人見知りは赤ちゃん自身の性格や、育っている環境によって変わってきます。また、赤ちゃんの人見知りの行動は泣くだけではなく、緊張した様子でお母さんの服をギュッと握るのも人見知りです。また、知らない人に会ったとき、はにかんだ様子を見せて目をそらす行動も人見知りと言えます。

そのため、赤ちゃんは人見知りしているけれど、泣いているわけではないためお母さんが人見知りしていないと思っているだけということもあるのです。

人見知りしやすい赤ちゃんってどんな赤ちゃん?

赤ちゃんの人見知りについて研究したJSTと東京大学の教授による研究チームが、生後7ヶ月~1歳の赤ちゃん57人とお母さんを対象にアンケートなどを行ないました。

その結果、赤ちゃんは相手のことが気になって相手の目を見るけれど、見返されると目をそらすことが分かりました。そして、相手が目を離すとじっと見るのです。この結果を見ると、人見知りする赤ちゃんは、「好奇心旺盛だが怖がり」な性格の子が多いと言えます。

赤ちゃんの人見知りは個性と成長の証だと思って見守って!

赤ちゃんの人見知りが始まると、お母さん以外の人があやすと泣いてしまったり、お母さん以外の人に抱っこされると嫌がったりと、困ってしまう場面もあるでしょう。

しかし、この赤ちゃんの人見知りは成長した証拠で、喜ばしいことなのです。人見知りは、お父さんやお母さんという身近な人たちを認識したため起こることです。そして、人見知りして泣いたからといって、相手の方のことが嫌いというわけではないということがこの記事を通してお分かりいただけたと思います。

赤ちゃんの人見知りは、成長のひとつとしてゆったり構えて見守ってあげてくださいね。

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