「スキル」という曖昧な言葉に惑わされないで!頑張ってきた自分を褒めてあげてほしい

女性のキャリア支援を中心に、恋愛や結婚等のメンタリングも行なうキャリアコンサルタントの赤塚恵理さん。主に未経験やノンキャリアなどで悩む女性の支援に力を入れている。年代問わず女性からの厚い支持を集め、各方面で活躍中の彼女に、女性のキャリアを取り巻く環境や最新のキャリアアップ事例などについて話を伺ってきた。

キャリアチェンジの仕組みが確立できていない現状

——現在の働く女性を取り巻く環境を分析していかがでしょう?

私のところにご相談にきてくださる多くは、「キャリアのステップの踏み方がわからない」「キャリアアップしたいけどその環境にいない」という意欲はあるけれどどうしたらよいか悩まれている女性が大半になります。

また、一番多いお悩みとしては「自分は経験が無い」「スキルが無い」「なにが出来るかわからない」「転職や就職をしたいけどどう探せば良いかわからない」ということ。例えば、いざ転職しようと決めて、大手の転職サイトを見ても、まずは業種や業界を選択しなければなりませんよね。ここで第一関門が立ちはだかるんですよ。

——確かに、選択しないと応募すら出来ませんよね。

やりたいことや、出来ることが明確な方であれば、とても便利で使い勝手のよいシステムだと思うのですが、そうじゃない人たちにとっては、登録する段階から門前払いを受けている気持ちになるほど高い関門です。転職スタートから「やっぱりダメだぁ」という気持ちになってしまうんですよ。

その他にも、先日ご相談を受けたショップ店員の女性のお話しですが、この仕事が好きで頑張っていきたいけど、接客しかしていないので今後はどうなるのか、会社や上司を見渡しても、社内キャリアアップしても年収アップはそれ程見込めず、責任だけが増えていく感覚があって、本当にこのままでいいのか…という「仕事+人生設計」についてのお悩みも多くあります。

女性がキャリアアップにまだまだ積極的でないということの証明でもありますし、その仕組みがなくて困っているというのがリアルな現場の声だと思います。

小さな世界から出て情報に触れる機会が必要

——好きな仕事なのに悩んでしまうなんて残念ですよね。

そう思います。みんな「これでいいのか」「将来どうなるのか」と思いながらも、情報も無いし、どうしたらいいのかわからないからズルズルしてしまう。先ほどのショップ店員の女性も、好きな仕事だから嫌ではないのだけど、「キャリアを詰キャリアを詰みたいと思えない」「接客以外のスキルが無い」「土日出勤で結婚後はどうなるのか」などを誰にも相談できず一人で悩んでいたんです。

そんな彼女が私たちに相談にきてくれたことにより、色んな情報を伝えることができましたし、アドバイスをすることができました。その後、新しいステップに踏み出されています。

——ひとりで悩んでいる女性はとても多い気がします。

大切なのは、自分のテリトリー内だけに留まっていないで、もっと色んな人に相談して、たくさんの意見を聞いたり見たりすることだと思います。悩んでいる大多数の女性は、自分の世界だけで考えてしまって、他の情報に触れる機会が極端に少ないんです。私自身もちょっと前まで同じように考えていましたし、自信の無い女性でしたから、とてもよくわかります。

——そうなんですね、赤塚さんのキャリアチェンジを教えてください。

もともと「自立したい」「自分で人生を選択したい」という思いが強かったので、大学を卒業後、芸能関係のお仕事をしたり、飲食業やECサイトスタッフなどいろいろなことをしていました。

多岐にわたっていろんなことをしていたのですが、いざ就職をという時に「自分にはスキルが無い」「職務経歴書に書くほどの経験もない」と思って悩んでしまいました。私も一人で悩んでいたのですが、思い切ってキャリアコンサルタントの方にその思いを相談したんです。

すると、いろいろな業務にたずさわった経験や私の生き方が、活かせる場合もあると言ってくださったんです。それまでの私の「スキル」という概念がガラッと変わった瞬間でした。

——「スキル」の概念とはどんな意味でしょう?

相談に来られる女性の多くが「自分にはスキルがない」といわれます。私もそうでしたが「スキル」というと、パソコン技術とか語学資格とか、仕事の業績とか、そういったものだと思いますよね。

私は「スキル」というのは曖昧なものだと思っています。販売のお仕事も「人と接してモノを売る」スキルを持っていますし、どんな仕事でもその業務を他の人より深く知っていれば、その仕事の「スキル」があるということになると思います。

だから本気で仕事をしている人が「自分にはスキルがない」というのはちょっと違う気がしますし、そんな曖昧なものに惑わされないでほしいと強く思っています。

自分が歩いてきた道や経験に誇りを持って!

——「スキル」は曖昧なもの、よくわかります。

個人的には「私はこれで頑張っていける!食っていける!」という仕事を持つことこそが「スキルを持っている」ということになると思います。どんな仕事でも、どんな場所でも、一生懸命に頑張っている自分をまずは認めてあげてほしいです。

自分がやってきたことが恥ずべきことでないならば、頑張ってきたことにちゃんと誇りを持ってほしいですし、その上で自分のステップアップを見据えてほしいと考えています。

——ステップアップは具体的にどうしたらいいでしょう?

そういった曖昧なことに惑わされなければ、ぼんやりとでもどんな生き方をしたいかが見つかるはずです。それから不安だと思いますが、まずは動いてみること。どんな形でもいいので動くこと。「どうせ無理だから」と決めつけないでほしいです。

今の世の中、ありとあらゆる色んなものがあります。どこでどう結びつくか、どこであなたが必要とされるか、本当にわからない時代なんです。諦めないでほしいという言葉は簡単に聞こえてしまうみたいですが、簡単に諦めている人が本当に多いことも事実なんですよ。

——動かないとなにも始まらないですよね。

そうなんです。動き方がわからなければ、私たちが相談に乗りますから、いつでも声をかけてください。悩んで自己完結だけはしないでほしい。今、あなたがしがみついているものは、そんなにたいしたものではないかもしれません。次の展開に足を踏み入れるだけで、いい結果が待っているかもしれません。失敗したってやり直せばいいんですから。

——最後に、もうひとこと後押しをお願いします!

再度になりますが、自分が歩いてきた道、やってきた経験、頑張ってきたことには、ちゃんと誇りを持って認めてあげてください。自分の豊かな経験として認めてあげたとき、人は成長すると思います。

そこそこ自信を持って生きた方が楽しいですし、うまくいきます。反省や振り返りはもちろん大切ですが、変な劣等感を持つことに、良いことなんてひとつもないと思います。足りない知識などがあれば、そこからまた精一杯身につけていけば良いと思います。

そして、信頼できる友だちももちろんですが、普段過ごしているコミュニティの外の人に相談してください。相談じゃなくても、心の中を吐き出すだけで、また違った自分が見えてくるかもしれません。それから、私たちキャリアコンサルタントもしっかりと相談に乗ります。キャリアアップや仕事についてだけでなく、恋愛や結婚等の相談もぜひぜひお待ちしていますね!

(取材・文/たなべりえ)

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