獣医師は飽和状態と言われながらも子ども人気が高い!夢を叶えるために必要な資格とその気になる将来性とは

子どもに聞く将来の夢に、昔からランクインしているのが「獣医」です。子どもの目からは「かわいい動物を治してくれるお医者さん」というイメージなのでしょう。では、獣医師になるためにはどのようにしたらいいのか、学校や資格、仕事内容まで詳しくご説明していきます。

獣医師の仕事

獣医師の仕事は、動物病院へ来る動物の怪我や病気を治療する他に、動物園などの施設で動物の健康管理をする仕事です。小動物から大きな動物まで関わります。また、獣医は就職先も幅広く、様々なところで獣医師は活躍しています。

獣医師の役割

獣医師はペットの動物だけでなく、牛や豚のような家畜動物や動物園などにいる動物、保護された野生動物などを相手にします。動物の種類は様々で、獣医師が活躍する場所は多岐にわたっています。

獣医師は感染病の対策など、時には人間の健康・安全のためにその役割を担う場合があります。獣医師は、人間を診察する医師と同じように国家資格が必要です。資格を持っていないと獣医師として仕事をすることはできません。

獣医師の年収・休日

  • 獣医師の平均年収
  • 厚生労働省が発表した「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、獣医師の平均年収は637万円で月収の平均は44万円でした。職業別の年収ランクでは9位で、一般企業の正社員が年収321万円ほどなので、約2倍の所得となります。

    卒業したての雇われ獣医師は年収平均400万円ほどですが、経験と技術で年々あがっていきます。

  • 獣医師の休日
  • 獣医師の仕事はハードです。動物病院で働く場合、休日は病院が休みの日と、休みが取れたとしても1日か半日です。中には年中無休の病院もあり、そういう病院は数人いる獣医師が順番で休みをとるようにしています。

    勤務時間は平均で12時間ほどで、救急の対応や手術が入った場合はもっと長くなる場合があります。動物病院以外で働く獣医師は職場の規約に準じます。メーカーで働く場合や、公務員として働く場合によって休日や勤務時間は変わってきます。

    動物病院を開業した場合、そのためにかかった多額な費用を返済していかなければならず、軌道に乗るまでは休みなく働くという場合もあるでしょう。

獣医師に向いている人

  • 動物に愛情を注ぎ冷静に向き合える人
  • 当然のことながら、獣医師は常に動物と向き合って、動物のことを深く知っていなければなりません。幅広い知識と確かな腕が必要です。ただ、犬が好きだから獣医師になるというような理由では、続けられるような仕事ではありません。動物全般の知識が必要ですし興味を持つことが大切です。

    また、動物へ愛情を注いで、動物へも飼い主さんへも親身になって治療ができなければなりません。ただ、いくら愛情を持って最善を尽くしても、助けられないこともあります。そんな時に悔しく悲しい思いをすることが何度もあるでしょう。

    しかし、それをいつまでも引きずって落ち込んでいては他の動物が救えません。事実を冷静に受け止めて対応できることが重要なのです。

  • 人とのコミュニケーションが苦手ではない人
  • 動物病院で働く場合は、飼い主さんとのコミュニケーションが大切です。動物は自分で症状を伝えることができないので、どのような症状なのか飼い主さんから上手に聞き出さないといけません。

    飼い主さんにとってペットは大切な家族です。そのペットが病気やケガをしたら、心配や不安を抱えて病院へ来ます。そんな飼い主さんの心に寄り添い、治療にあたる必要があります。動物は好きだけど、人と関わることは苦手…という人は、動物病院ではない活躍の場を選ぶといいのではないでしょうか。

  • 常に向上心がある人
  • 医学というものは日々進歩しています。新しい知識を得ることがとても大切で、獣医師になっても常に勉強をしていなければいけません専門的な知識が必要な獣医師は、勉強することを苦と思わず向上心があることが大切になります。

  • 臨機応変に対応できる人
  • どんな職業でもそうですが、物事は自分の思うように進むとは限りません。特に、獣医師が向き合う動物は自分で体調の変化を伝えることができないため、獣医師や飼い主さんが動物の変化を見逃さないようにしなければなりません。

    前回の診察の時と変化はないか、入院中の動物の急変にもすぐに気付いて対応しなければなりません。急な変化に慌てず冷静に対応できなければなりません。

  • 体力がある人
  • 大型の動物を診察する際に、体を持ち上げることがあります。暴れる動物を抑えながら診察をすることもあるでしょう。また、重篤で目を離せない動物がいる場合は、寝る時間を惜しんで状態を見守ることもあります。急患が入り、緊急手術をするために休憩時間が取れないという場合もあるでしょう。獣医師には体力が必要ですし、それとともに精神力も必要なります。

獣医師の勤務先とそれぞれの仕事内容

動物病院

臨床獣医師として、動物病院でペットの診察をする仕事です。動物病院で診察する動物は様々です。犬や猫の他にウサギ、ハムスター、小鳥、トカゲなどの爬虫類を診察することもあります。最近では、小動物専門の動物病院や爬虫類専門、小鳥専門の動物病院もあり、そういった病院で働く場合はより専門的な知識が必要になってきます。

各種施設

牛・豚・鶏などの家畜や競走馬がいる管理牧場、動物園や水族館などの施設にも獣医師は必要です。動物たちの予防接種など健康管理、出産の際に立ち合うこともあります。ケガや病気のときは素早く対応し、動物病院と同じように手術を行うこともあります。

民間企業

人または動物用の医薬品の開発・研究をするために企業へ就職する人もいます。ペットの臨床業務には関わることなく、新薬の開発のために実験動物を用いて有効性や安全性を研究します。ここではペットの病気に関する知識ではなく、研究色が強い内容の仕事です。

公務員

  • 空港で働く検疫官
  • 空港では、動物や植物の検疫官がいます。この仕事は、外国から輸入される動物や植物を介して、病原菌国内に侵入しないように検疫を行う仕事です。こういった場合、厚生労働省や農林水産省で国家公務員として働きます。

    私達を病気から守ってくれる、大切な役割を果たしてくれる仕事です。動物の診察に関する知識だけでなく、こういった検査に関しての専門的な知識が必要な仕事も、獣医師の重要な役割なのです。

  • 家畜衛生分野に携わる
  • 農林水産分野で、家畜動物を相手に動物の保健衛生、畜産業の発展や公衆衛生の向上に携わる獣医師がいます。私たちが食べている牛や豚が、もしも伝染病にかかってしまったら、私たちの健康や畜産に携わる人たちの生活に重大な影響を及ぼします。そのようなことにならないよう、獣医師が動物の衛生や健康などを管理し、伝染病を未然に防ぐ役割をしています。

    また、狂犬病予防の予防接種などを行うこともあります。

NPO法人など

獣医師の資格を、海外で役立てたいという人もいるでしょう。海外で活躍する場合は、国際機関への勤務や海外援助がありますが、どれもある程度の訓練を受ける必要があります。問題が起こった場合に対処できる能力や語学力も必要になりますので、医師免許があるからといってすぐにできるわけではありません。

獣医師になるためにはどうしたらいい?

獣医師は医師や看護師などの医療従事者と同じように国家資格が必要です。そのためには大学で学んで国家試験を受けなければなりません。

獣医学部のある大学へ行く

獣医師になるためには獣医学部、獣医学科などがある獣医系の大学で6年間のカリキュラムを受けて必要な知識を勉強します。獣医になるための学部がある大学は、全国で16校しかないため、入学することが大変だと言われています。

獣医師を目指すのであれば、しっかりと受験勉強に臨まないと厳しいのです。同じ獣医学部でも力を入れている分野が多少違うこともあるので、自分が獣医師になったらどのような職場で働きたいかを考えて学校を選ぶことも大切です。

国家試験に合格する

  • 国家試験について
  • 大学で6年間の獣医学の過程を修了したら、年に一度ある獣医師国家試験を受験します。

  • 国家試験の難易度
  • 獣医師国家試験の合格率は例年80%前後です。6年間の過程をしっかり学んで備えれば合格は難しくはないでしょう。

農林水産省 獣医師国家試験のホームページはコチラ

獣医師の仕事に対する本音

やりがいや魅力

  • 動物を助けられる
  • 言葉を話せない動物の病気やケガを治してあげられるのは獣医師にしかできません。知識や経験を生かして、苦しんでいる動物を助けられた時は喜びでいっぱいになります。動物が元気になり、生き生きとした表情を浮かべた時は苦労が報われた達成感が味わえることでしょう。

  • 幅広い分野で活躍・社会に貢献できる
  • 獣医師は、動物病院以外でも活躍できる場が多くあります。専門的な知識が必要な獣医師は、様々な分野で活躍できます。動物病院で働く場合は、人々が家族のように大事にしているペットのケガや病気を治療できることで、飼い主さんから感謝されたり頼りにされます。

    動物園や水族館では、動物の健康管理や病気の治療を行うことで、元気な動物の姿を見せられ、人々を喜ばせられます。家畜の健康を守ることは、人々の健康を守ることに繋がり、海外から入っている動物や植物を検疫することで国内に病原菌が入ってこないようにし、日本国民を守ります。

    このように職場は違っても動物や人間を守れる仕事は素晴らしいものです。それだけにやりがいを感じることができるのです。

  • 独立開業が可能
  • 経験を踏んで、経営のノウハウなどを身に付けることで、独立開業の道も可能です。開業するためには、資金繰りや経営について学ぶことが必要で、そう簡単なことではありませんが努力次第で自分の病院を持つことはできます。

  • 国家資格なので安定している
  • 獣医師の免許を持っているということは、6年間という勉強を終えて知識を身に付けたという証です。獣医師が活躍できる場所は多くあるため、転職を考えた時に幅広い分野の中から仕事を選べます。

悩み・大変なこと

  • 思い通りにならないこともある
  • 当たり前のことですが、動物は言葉を話しません。どこが痛いとか苦しいとかを伝えてくれるわけではないので、飼い主さんからの情報だけで治療をしないといけません。治療のために動物を押さえても動物は怯えて暴れたり、噛み付いてきたりします。

    動物からすると、何をされるか分からず不安で仕方がないのです。そんな動物をなだめながら治療するのは大変なことです。体力を使いますし、精神的にも疲れることがあります。

  • 動物の死に向き合う
  • いくら懸命に治療をしても、報われずに助けられないこともあります。医療の世界は日々進化していますが、命あるものはいつか最期が訪れます。その最期に向き合わないといけないという辛さがあります。そんな時、治療に関して後悔したりすることもあり、いくら経験を積んでも自分を責めることがあるものです。

    獣医師は、家族同様に思っている大切なペットの死を伝える役目もしなければいけません。悲しむ飼い主さんの姿を見るのは辛いことで、獣医師まで悲しい気持ちになってしまうことがあります。

獣医師は不足しているのか

犬や猫の飼育頭数は、2020年をピークに減っていくという予想がされているなか、獣医師は年々増えてくる見込みなのです。内閣府の資料によっても、獣医師が不足しているということはないと言われています。朝日新聞sippoニュースによると、獣医師全体でみればその数はむしろ飽和気味だ、と言っています。

しかし、獣医師の仕事は様々な分野で活躍できる仕事です。動物だけでなく人の健康を守る役割ができる素晴らしい仕事です。これからの医療の発展を支えるのも獣医師の大切な仕事です。獣医師が必要な場はこれから増えてくるのではないでしょうか。

獣医師の将来性

獣医師が飽和状態との見方もありますが、ペットブームの世の中が落ち着いたとしても少子化の世の中、ペットを我が子のように可愛がる人が増えてきています。そのせいか、昔に比べてペットの健康状態を気にして病院へ連れていく人が多くなっているのです。ペットの病気も、人間のように糖尿病やガンなどがあります。皮膚の病気や目の病気など専門的な病気が診れる病院も増えてきました。

また、食の安全を守るために公務員として検疫官として働いたり、家畜の健康を守る仕事も獣医師の大事な仕事です。大学でも、臨床獣医以外の仕事にも目を向けていくことを必要として積極的に取り組んでいます。国家資格が必要な獣医師の仕事は、社会に必要でとても大切な仕事なのです。

獣医師の必要性

どんな仕事をするにしても、自分の仕事に誇りを持って取り組むことが大切です。獣医師の仕事は誰もができる仕事ではありません。動物や人のためになる、とても大切で素晴らしい仕事です。獣医師はいつでも子どもたちの憧れです。それはきっと獣医師が輝いて見えるからでしょう。

参考元:公益社団法人 日本獣医学会

3+