看護師のキャリアアップにつながる2つの資格とは?転職時に知っておきたい病院以外の職場とその仕事内容について

白衣の天使と言われている看護師さん、病院へ行くと優しく接してくれて憧れる人もいるでしょう。でもきっと笑顔の裏では色々大変な努力をしているのでしょう。そんな看護師の大変さや、やりがいはどんなことがあるのでしょうか。

看護師の仕事内容と給料・休日

看護師の仕事は医師の診察補助やケガや病気をした人のケアをする仕事です。看護師とは保健師助産師看護師法に基づいて、保健師・助産師・看護師・准看護師のことをいいます。知識や技術で私達の健康を守り、病気をしたときは体だけではなく、心にも寄り添ってくれる仕事です。

看護師の種類

病院で働く看護師の種類は「外来看護師」「病棟看護師」「オペ室看護師」「ICU看護師」があります。どこに配属されても病気やケガで苦しむ患者さんのために適切な処置を施したり、医師の指示に従って診療がスムーズに行われるために補佐します。

外来看護師

病気やケガをした人が病院へ訪れた際、その診療を行う医師の補佐をします。それとともに患者さんが安心して診療が受けられるように声をかけるなどのサポートもします。医師の指示で包帯の交換や消毒などを行う場合もあります。

病棟看護師

病棟の看護師は患者さんのケアなどで24時間体制で看護にあたります。日勤・夜勤・宿直など職員で順番にシフトして患者さんのお世話をします。仕事は点滴やガーゼ交換などの処置以外にお風呂に入れない患者さんの体を拭いたり、トイレの介助などもあります。時には入院している患者さんのご家族の心のケアなどに当たることもあり、医療だけではない部分に関わることもあるのです。

オペ室看護師

手術の介助も看護師の仕事です。手術の際に医師に手術機器を渡す役目や患者さんの容態を手術中に監視したり、医師の汗を拭いたりする役目があります。
手術前には患者さんに当日の流れを説明したり、熱を測ったりします。患者さんの不安を取り除く役目も重要な仕事の一つです。そして、手術が済んだら患者さんの容態を集中治療室に伝えるなどの連携も行います。手術に立ち会うということはそれなりの知識や経験が必要なので大変な仕事ですが、それだけにやりがいを感じて取り組めます。

ICU看護師

ICU(集中治療室)には手術後の患者さんやいつ容態が急変してもおかしくない患者さんがいます。看護師は常に患者さん達の容態に気を配り、対応するために幅広い知識と細かい観察力が必要です。また、ICUは面会が出来ない場合が多いので入院患者の家族の方へのケアも看護師の大切な仕事です。そして、ICUに入院している患者さんの容態をしっかり把握して医師に伝えることも大切です。
ICUでは呼吸器や心電図などの生命維持装置や容態を管理する機器を扱います。それらの機器の扱いに関する知識も必要となってきます。病院では勉強会を開いて機器の扱いなどについて学ぶことができます。看護師とは就職しても常に新しい知識を得るために勉強が必要な仕事なのです。

看護師の給料・休日

給料

看護師の給料は勤務先によって差はあるものの、同世代の給料の平均よりは高めです。月収は30万円程度で年収は平均478万円です。

参考サイト:厚生労働省(平成27年賃金構造基本統計調査より)

休日

これも勤務先によりますが、入院施設がある病院で病棟看護師をしている場合は、土日祝日が休みというわけではありません。看護師が順番で休みを取るシフト制です。入院施設のない病院ですと休診日があるので、その曜日に休めます。また、年末年始や夏期に長期休暇が取れる病院もあります。

看護師のやりがい

患者さんに安心を与える

看護師の一番の喜びは病気やケガをした患者さんが元気になることです。しかし、全員が健康を取り戻せるわけではなく、長い入院生活を余儀なくされる方もいます。そんな時に優しく声をかけ不安な入院生活の悩みを聞くことや、お風呂に入れない患者さんの体を拭いた時に「ありがとう。」と感謝の言葉をいただくことがあります。自分で水を飲めない患者さんの介助をした時に、「おいしいね。」と嬉しそうに言ってもらったときは看護師としての仕事が報われたように感じることでしょう。

経験が生かせる現場で働ける

看護師の仕事は責任が伴う精神的にも肉体的にも大変な仕事ですが、経験を積むことでできることが増えていくのは喜びでもあります。自分の経験値があがることで患者さんへのケアを素早くできるようになったり、医師との連携がスムーズにできるようになります。患者さんやご家族から感謝されたり、医師から褒めてもらえることでもっと頑張ろうと思えます。努力が仕事に反映され、やりがいが感じられるのです。

看護師の辛い・大変なところ

プライベートを切り離せない

看護師の仕事は人の命と向き合う責任がある仕事です。時にはとても悲しい現場に立ち会わないといけないこともあります。仕事以外の時間にも入院している患者さんのことがふと頭をよぎったり、救えなかった命について後悔する気持ちが拭えなかったりと割り切れないこともあります。ストレスをうまく発散しないと精神的に参ってしまうこともあります。

体力的にキツイ

夜勤や宿直がある場合は生活のリズムが急に変わったりするため、慣れるまでは体力的に辛いものです。立っていることも多いので足がパンパンに張ってしまうこともあります。不規則な生活を続けることで私生活を楽しむ気力もなく、仕事が中心の生活になってしまうことがあります。友達の誘いを断ることが増えてしまったという看護師さんもいるようです。

看護師になるにはどうしたらいい?

看護師になるための方法はいくつかあります。法律で決められた3年以上の勉強を修了すると看護師国家試験の受験資格が与えられます

短期・4年制大学へ行く

短期大学

看護師になるための短期大学は3年制です。3年制の学校として他に専門学校がありますが、短期大学の特徴として、短期大学は看護の授業だけでなく心理学や文学などの学科が学べます。また、短期大学の最大の特徴は4年生大学への編入ができるということです。短大の時に取得した単位を共通の取得単位とできるので、大学3年から編入することができます。中には短期大学を卒業してから大学へ編入するという人もいます。

4年制大学

4年制の大学の特徴は看護師養成課程を学びながら、保健師・助産師の教育課程も受けられる大学があるというところです。このコースで学んだ場合、大学卒業の際に看護師国家試験の受験資格と一緒に保健師・助産師の試験受験資格も取得することができます。
そして、大学では一般教養科目の授業があるところも特徴です。社会へ出ると色々な人と接する機会があります。その時に大学で学んだことが役立つ機会がたくさんあるでしょう。

3年制と4年制の違いですが、看護師になったときの仕事内容はさほど変わりませんが、初任給が4年制卒業のほうが少し高く設定されている病院が多いようです。そして、病院によっては4年制大学卒業した人の方が昇給や昇格が早いというところもあります。

専門学校へ行く

専門学校では3年のカリキュラムが組まれています。「専門」学校というだけに、より専門的な実践能力を養うことが目的とされています。大学への編入資格を得られる学校を卒業した場合は大学への編入学ができます。

養成所へ行く

もう一つの方法として、看護師になるための養成施設に入って勉強をするという方法があります。最短で看護師を目指す場合は中学校卒業後、専門の看護施設に入り准看護師の資格を取得し、その後、働きながら看護師を目指し資格を取得する方法があります。

国家試験を受ける

看護師になるために必要な過程を修めたら、看護師国家試験を受験する資格が与えられます。年に一回ある国家試験に合格すると、晴れて看護師の免許が取得できます。合格率は平成27年度受験の場合で89%ほどです。

看護師が活躍できる場所・仕事内容

病院・クリニック

病院勤務でも入院施設があるかないかで勤務時間や働き方が変わってきます。入院施設がある病院は24時間の看護が必要になるので夜勤や当直、また土日にも勤務することがあります。入院施設がないクリニックなどは休診日があり、その日には休めて勤務時間も診療時間に合わせて比較的規則的な勤務ができます。
大きな総合病院や大学病院などでは手術に立ち上うこともあります。また、たくさんの診療科があるので病院内での移動があり、さまざまな経験を積めます。

高齢者介護施設

高齢化社会である近年、高齢者介護施設は年々増えています。特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・介護老人保健施設は入居人数に合わせて看護師を配置することが定められています。主な仕事内容は「体調チェック」「薬の服用管理」などです。高度な処置はせず、診察が必要な場合は看護師が付き添って病院へ行きます。高齢者介護施設での看護師の仕事は医療行為をするというよりも、入居者の方たちの話し相手や介護士さんへのサポートもあります。ご年配の方は体調を崩しやすいので、常に気を配っている必要があります。病院へ行くべきかの判断を任されるので、的確な判断能力が必要となります。

保健所・検診センター

病気を予防するという検診・健診センターでの場でも看護師は活躍しています。健康診断・予防接種の補佐など、健康に関する相談や指導などが主な仕事です。赤ちゃんからお年寄りまで幅広い年代の人と接します。保健所や保健センターでの勤務となります。

幼稚園・保育園

厚生労働省は2007年に私立認可保育園へ看護師の配置を促進しました。0歳児保育がある保育園では看護師がいないといけないという決まりがあります。保育園では園児のケガや病気をした時の対応や子供たちの健康管理などを行います。保育園には看護師は1名しか配置しないという場合があるので、何かが起こった時は自分でどうするか判断する必要があります。

企業

大手の企業では会社内に医務室が併設されているところがあります。そこでは社員の病気やケガの処置を行なったりします。また、会社の健康診断の結果に応じて健康指導を行うこともあります。他には仕事のストレスを抱えている社員の相談に乗ることや、必要であれば病院を紹介することもあります。企業では土日祝日が休みという規則的な勤務です。

訪問介護サービス

高齢化社会に伴い、自宅で療養している人が多くなっています。医師の指示に従い診察の補助や投薬、血圧の測定などを行います。看護師は在宅看護の際に患者さんの介護だけでなく、患者さんのご家族の相談に乗ったり愚痴を聞いたりもします。家族にとっては看護師が心の支えになっているということもあります。在宅で療養やリハビリをしている高齢者が増えているため、訪問介護に携わる看護師はこれからもっと必要になってきます。訪問介護の仕事に就きたい場合は訪問介護サービスを行っている病院などに就職します。

看護師の就職状況とキャリアアップするためには

雇用形態の違う働き方

パートタイマー・アルバイト

看護師の仕事は国家資格があるため、結婚や出産で一度離職した人も復帰できる仕事です。子どもが大きくなったので働きたいと再就職する人もいます。子育てをしながら働くとなると正社員として夜勤をするのは難しいため、パートタイマー・アルバイトとして働く人が多いようです。入院病棟がない病院などでは夜勤がないため子どもを育てながら働くためにパートタイマー・アルバイトとしての働き方を選ぶ人もいます。

派遣社員

パートタイマー・アルバイト以外の雇用形態は派遣社員です。派遣会社に登録し、自分の希望の勤務時間や場所に合った職場を派遣会社から紹介してもらい働きます。派遣社員は短期間だけ働きたい人や、一箇所でなく色々な職場を体験したいという人には適した働き方です。派遣看護師の中には数ヶ月や数週間単位の派遣の他に、団体旅行や学校の遠足や修学旅行、などの保健要員としての仕事もあります。

ステップアップするために

看護師としての経験を積んで、ステップアップしたいと考えた人には「認定看護師」と「専門看護師」を目指す方法があります。

認定看護師

日本看護協会が定めた615時間以上の認定看護師教育を修了し、認定看護師審査に合格した人が取得できる資格です。この資格を得るためには看護師として5年以上の実践経験が必要です。認定看護師の役割は専門的な知識を生かして患者さんや家族へ最適な看護を行います。また、他の看護師の見本となり、より水準の高い看護が行えるように教育・指導を行うとともに、看護に関する悩みの相談に乗ることもあります。

専門看護師

専門看護師は看護系の大学院で修士課程を修了し、必要な単位を取得して日本看護師協会専門看護師認定審査に合格した人が取得できる資格です。資格を得るには看護師として5年以上の実務経験が必要です。専門看護師は病気やケガのケアだけでなく色々な面での不安を抱えた患者さんやその家族に寄り添い、相談に乗る場合もあります。また、病院から在宅看護になった時に病院や患者さんの連携を調整したりすることもあります。看護に関する様々な面での質の向上を目指します。

看護師の将来性

高齢化社会に対応できるかが求められる

日本はこれからますます高齢化が進むことが予想されています。そのため、訪問看護や老人ホームを利用する人が増えていきます。病院に入院する人も高齢者が多くなっていくでしょう。看護師の不足が叫ばれている中、高齢者の看護をする看護師がもっと必要になっていきます。認知症の患者さんは目が離せないことがあり、看護師の人数がもっと必要になってきます。高齢化社会へ向けての看護師確保が重大な課題となってきています。

専門的な知識が求められる

看護師は医師のサポート役として仕事をするのはもちろん、医師の指示を的確に理解し患者さんの変化にいち早く気づく洞察力が必要となります。患者さんのケアのために「看護計画」を立てますが、患者さんの状態をしっかり把握できていないといけません。看護師には医療に関する専門的な知識が必要となってきます。

患者さんとご家族に寄り添える看護師になろう

看護師はこれからもっと活躍の場が広がることが予想されます。また、専門的な分野での知識もますます必要になってきます。患者だけでなく家族にも寄り添う看護師を目指す人が増えるよう、待遇面などの見直しも必要になっているのかもしれません。

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