美味しい料理を食べて感動したことはありますか?美味しい料理を食べると幸せな気持ちになったり、明日への活力になったりと心が満たされることがあります。そのように、人々の心を豊かにしてくれる料理を作ってくれているのがプロの料理人、「シェフ」です。「シェフ」になるにはどうすればいいのか、シェフに資格はあるのか、などなど気になることをまとめました。
シェフとは
一般的に料理の世界では「料理長」のことを言います。元々フランス語で「組織の長」を意味しています。英語ではチーフがシェフと同じ意味になります。シェフは調理場での総監督ですので、厨房にいる他の料理人はコックと呼ばれていることが多いです。
ホテルや規模の大きいレストランなどで働くシェフ
ホテルやレストランなどの厨房では、各担当のコックが自分の仕事をこなして料理を仕上げていきます。そのコック達の育成や管理をしながら、仕入れや段取りなど最後のチェック、お客様に出す全ての料理の責任者を努める役割を担うのがシェフです。
自分のお店を持って働くシェフ
自分のお店を持って働くシェフは、どこにお店を作るか、お店をどんなインテリアにするかなど考えたり、お店に出すメニューも決めます。料理やスタッフの育成、食材管理だけでなく、お店の経営にも責任を持ちます。誰かに雇われるのではなく、自らが経営者であり、シェフでもあります。
シェフになるまでの道のり
どんなお店で働きたいのか
規模の大きいレストランで働くシェフ、有名ホテルで働くシェフ、独立して自分のお店を持つシェフなど、どういうお店で働くのかによって資格や経験、知識、技術の習得も変わってきます。
自分がどのジャンルの料理を作り、どんなお店で働きたいのか、目標を明確にすることが大切です。進むべき道によっては、専門の学校で資格を取得してからという所もありますし、お店に飛び込みで見習いから始めるという所もあります。
どういうお店のジャンルがいいのか
シェフと一言でいってもたくさんのジャンルがあります。専門的なジャンルで腕をふるう場合は、そのお店で修行を積むことが大切です。
- 和食
- 中華
- イタリアン
- フレンチ
日本の伝統料理のことです。和食は、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。「多様で新鮮な食品とその持ち味の尊重」「栄養バランスに優れた健康的な食生活」「自然の美しさや季節の移ろいの表現」「正月などの年中行事との密接な関わり」という点が認められました。
中華料理は世界三大料理の一つで、中国で食べられている料理です。中国の中でも地域によって食材などは異なります。「三東料理」「江蘇料理」浙江料理」「安徽料理」「福建料理」「広東料理」「湖南料理」「四川料理」の八つに分類でき「八大採系」と言います。
イタリアを発祥とする料理法で、パスタ料理やピザなどが有名です。イタリア料理は2010年に「地中海の食事」としてスペイン料理、ギリシャ料理、モロッコ料理とともにユネスコの無形文化遺産に登録されました。
フランスの宮廷料理として発達した献立の総称です。地方によって親しまれている郷土料理があり、それらもフレンチと言います。「フランスの美食術」は、2010年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。
特に海外の料理はその国へ行って学ぶことにより、高い技術やその国の料理の精神性も学ぶことができます。それにより、レベルの高い料理を提供することが可能になってくるのです。
どんなシェフになりたい?
どんなジャンルでどんな規模のお店で働くのかは、とても大事なことです。さらに大切なのは、自分自身がどんなシェフになりたいかということです。自分のお店を持ちたい人、有名レストランやホテルの料理長になりたい人、肩書にこだわるのではなく美味しい料理、新しい料理が作れる人など様々な形があります。料理の仕事を通してどういう仕事をするシェフになりたいのか、明確に思い描くことで、何を学ぶべきでどういう道に進むべきなのか分かりやすくなると思います。
目指すシェフ像
- 自分のお店を持ちたい人
- 有名レストランやホテルのシェフになりたい人
- 肩書きにはこだわらない人
- 海外でシェフになる人
初めは、自分が目指す料理のジャンルのお店で見習いや修行を積んでから独立する人や、専門学校などに通って資格を得てお店を出す人などがいます。独立した場合は、お店を経営していくことが大前提にあるので、長く続いているお店の修行に入り、料理と一緒に経営の仕方も学ぶことも大切です。
料理の知識や技術だけでなく、厨房の管理、コックの育成など多くの仕事を任される立場にある仕事です。すぐに、レストランやホテルの採用情報を調べるという方法もありますが、有名な専門学校に入学し、そこから就職先としてホテルや有名レストランを探すのがおすすめです。
資格や肩書きにこだわらないという人もいます。料理を通して自分を認めてもらいたい気持ちや、コックを育成したい、現場を取り仕切りたいという想いではなく、どんな場所でもどんな規模のお店でも関係なく、ただ「美味しい」と言ってもらえる料理を作りたいという人です。自分の気に入る味のお店を探して、修行する方法もあります。
海外で日本料理のお店を出す人や、フランス料理など海外の料理を修行しシェフになる人も最近は増えてきています。特にフランス料理などを海外で修行する場合は、言葉の壁や人種差別など、乗り越える壁は大きいです。しかし、海外で成功すると三ツ星など「星の称号」が与えられることもあります。
どんな人が向いているの?
体力がある人が向いていると言われています。料理人は朝早くから仕込みをし、お店が終わってからも夜遅くまで片づけや次の日の準備があります。一日中重い鍋やフライパンを持って立ちっぱなしの仕事です。さらに主軸となる料理の研究やメニューの開発なども行います。お店によって勤務時間は違いがあるかもしれませんが、基本的には朝から深夜まで働いてる人が多いようです。
体力、忍耐力だけでなく、一番は料理が好きな気持ちと、さらに美味しい料理を提供したいと思う向上心が大切になります。
気になるシェフの給与
朝も早く、仕事中はずっと立ちっぱなしで体力勝負のシェフですが、気になるお給料はというと初任給で平均約17~18万円程度。また、働くお店によっても影響してくるようですが、10年くらいは見習い期間としてみなされることが多いようです。大手企業で就職すると、賞与があり給与もそれなりに安定している傾向にあります。
自分でお店を開業する場合、うまく軌道に乗れば年収1,000万円~2,000万円くらいまでいくこともあるようです。休憩時間や休日は少ないですが、常に勉強をして資格を取得し、シェフとしての道を広げて給与をアップさせる方も多いようです。
シェフになるために必要な資格はあるの?
シェフになるためには特別な資格が必要なのかというと、必ず資格が必要とは限りません。目指すシェフや働くお店によって資格の有無は違ってきます。
国家資格 調理師免許
- 調理師を養成する施設を修了する
- 調理師試験に合格する
厚生労働大臣が指定する調理師養成施設、調理科がある高校や調理師専門学校、短大、大学を必要な単位を(科目)を取得、履修し卒業すること。
日本調理師会では、受験資格内容が下記の通りに定められています。
「中学校卒業後2年以上給食施設、飲食店、魚介類販売業、そう菜製造業等で調理の業務に従事することを受験資格とし、都道府県知事が行なう試験を受ける。」
引用サイト:公益社団法人 日本調理師会
例年の合格率は、全国平均60%と高めです。受験するまでに日々勉強をしておくと、合格する可能性は十分にあるでしょう。
食品衛生責任者
食品衛生責任者養成講習を受講し、修了証を取得することができます。食品を扱うお店などに、この修了証を取得している人が必要になります。講習会の時期は、各講習の機関によって異なりますが、1997年より講習のカリキュラムは全国で標準化されています。
都道府県や地域によっては、実際に働いている人の食品衛生責任者実務講習会の受験を義務付けている所もあります。自分のお店を持つ場合には必須になります。ただ、注意したいのが「食品衛生管理者」の場合は厚生労働省の管轄ですが、「食品衛生責任者」の場合は各都道府県の管轄ということです。
- 東京都で受けられる方はこちらを参考にしてください
シェフの現状はどうなっているの?
シェフと聞くと素敵な美味しい料理を提供してくれる人で、バリバリと仕事ができるイメージがありますが、料理を作るだけでなく沢山の仕事をしています。シェフの現状はどうなのでしょうか?
外食が増えニーズも多様化
ファミリーや若者だけではなく高齢者にも需要が増えているため、老若男女問わず好まれる料理や、安心安全に食すことのできる料理を提供しなければなりません。近年は食品の偽装問題や食中毒の問題も課題ですので特に消費者から求められるレベルがあがっていることがわかります。
時間と体力がポイント
シェフの仕事は長時間労働に耐えられる体力、精神力、時間の使い方などが大切といわれています。特に女性は男性と比べると体力が少なく、結婚により出産や育児の時間を考えるとブランクができてしまい、厳しいと言われています。シェフになる前の見習い期間や修行期間を含めると、体力のある10代や20代の早いうちから働くことによって、たくさんの経験が積めると思います。
シェフの魅力はどんなところ?
シェフはカッコイイだけでなく、体力的にも精神的にも大変苦労をするイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし、シェフは大変なことばかりではありません。シェフになることで味わえる喜びや嬉しいこともあるのです。
料理の知識と技能が身に付く
料理の腕が上達するだけでなく、食材の知識も豊富になります。肉や魚、野菜や季節の食材など、素材の見分け方も上達します。効率よく調理をすることができ、器の選び方や盛り付けの基本も身に付きます。仮にシェフを途中でリタイヤしたとしても、料理に知識や高い技術は食生活をワンランク上げることができます。
お客様の幸せな表情を見ることができる
料理を提供することで、誰かが幸せな時間を過ごすことができます。自分の作った料理で笑顔になる人がいるということは簡単なことではありませんが、とても素晴らしいことです。お客様の笑顔を、直接見ることができないときもあるかもしれませんが、料理を作りたいという気持ちを忘れず取り組むことが大切です。
日々の業務に追われてしまうかもしれませんが、気持ちを込めて作った料理はお客さまの心に届いています。
独立して自分のお店を持つことができる
自分の理想のお店作りができることは最大の魅力です。イメージしたお店が形になり、結果がついてくると収入も上がります。お店のコンセプト、スタッフの教育、営業時間などお店の全てのことが自分でできます。責任は大きいですがやりがいに繋がります。自分の居場所ができ、何が何でも守る場所があることは生きる強味にもなります。
シェフになる夢を叶えたいあなたへ
シェフになると沢山の責任を背負うことになりますが、まずはシェフになるまでの道のりが大変です。シェフになるまでの辛く苦しい道のりや大きな壁に当たった時、どう頑張れるかが鍵になります。シェフになるには知識や技術、体力や忍耐力だけでなくそれを乗り越えるための明確な目標と目的をもつことが大切です。
辛くなった時になぜシェフを目指そうと思ったのかいつでも思い出せるといいですよね。シェフになったらこんな楽しみがあるというイメージを鮮明に描くことも頑張る糧になると思います。