公務員は将来の安定性抜群で学生から人気!意外と知らない職種の幅と仕事内容について詳しく解説

公務員は収入が良く、リストラもない「安定」というイメージを持っている人も多いと思います。特に、不景気で不安定な時代は公務員という職業が注目されるようです。実際、大学生にはとても人気ですね。でもどんな仕事をしているのか、どんな待遇なのか知っていますか?実は公務員の仕事は幅広く、一言で説明できるほど簡単ではありません。今回は公務員という職業をご紹介いたします。

公務員の種類と仕事内容

身近な公務員職は市役所や本庁ですが、一口に公務員と言っても色々な種類があります。ここでは公務員の種類と、それぞれの仕事内容を簡単にまとめています。

国際公務員

国際公務員は特殊であるため、この項目でしか取り上げません。そのため少し詳しく説明しています。

世界規模の仕事

国際公務員とは、国連事務局やその他専門の国際機関で働く仕事です。日本の利益のために働くのではなく、国際社会や所属する機関のために中立の立場で働きます。

世界で活躍するための条件

国際公務員に研修制度はなく即戦力を求められるため、学歴は大学院修士課程以上、英語やフランス語で業務が遂行できる語学力、場合によっては専門的な知識が必要です。就職や給与は募集機関によって様々ですが、年収にすると500万~1,000万円ほどで、求められる条件からすると高収入ではありません。

国際公務員を目指すなら

国際公務員になる方法は、外務省が運営するJPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度を利用するか、空席公告で欠員が出るまで待つか、現地採用してもらうしかなく、狭き門となっています。比較的採用されやすいと言われているJPOでも、35歳以下という年齢制限や経歴が必要とされています。詳しくは外務省国際機関人事センターJPO派遣制度の募集事項に記載してあります。

国際公務員という仕事は世界で活躍したいと思っている人にとって、大変やりがいのある仕事です。

国家公務員

国家公務員は国の行政機関、または出先機関の職員であり、国の公務に従事します。具体的に行政機関とは内閣府、財務省、総務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省、経済産業省、環境省、防衛省、復興庁、警察庁の1府11省2庁になります。出先機関とは財務局、税関、国税局、公共職業安定所などのことで、それぞれの省庁には出先機関が複数あります。

「特別職」と「一般職」

国家公務員法の適用を受ける公務員職を「一般職」、それ以外の国家公務員法の適用を受けない公務員職を「特別職」として区別しています。特別職は、内閣総理大臣や内閣総理大臣秘書官、国会議員、裁判官、防衛省職員である自衛官などです。特別職は選挙によって採用される公務員と、試験を受けて採用される公務員とに分かれます。

これは国家公務員だけではなく、地方公務員の中にも地方公務員法の適用を受けない公務員職があり、こちらも「一般職」「特別職」と分けられています。多くが、特定の業務を任されている地方公務員を特別職としているようです。具体的には知事や副知事、議会の議長がこれにあたります。

「総合職」「専門職」「一般職」

国家総合職とはいわゆるキャリア組で、幹部候補者になります。採用時から幹部候補なので、政策の企画や立案、法律など専門性のある分野の改正など、2~3年ほどの周期で異動して経験を積み、重責のあるポストについて仕事をすることになります。公務員の中でも日本を牽引する中心的な仕事になるので、責任がある分とてもやりがいを感じられます。

国家一般職はノンキャリア組と呼ばれますが、中堅幹部候補者になります。1府11省2庁のうち、どこで働くかによって仕事内容も大きく変わり、仕事内容は国家総合職が企画・立案した政策などを実際に行ない運用していく仕事になります。業務は事務処理が多いですが、これも省庁により異なります。基本的に最初に入った省庁の中での異動になるため、その分野を突き詰め専門的な仕事をすることができます。

専門職とは、国税専門官や労働基準監督署官など、専門的なスキルが必要な仕事になります。皇宮護衛官もこれにあたり、仕事内容は皇族の護衛や警備を行います。警察官と同じように、犯罪者を逮捕する権限も与えられています。専門職はスペシャリストであり、その分野に深く関わることから、長く勤務すると税理士科目試験の免除や簡易裁判所判事など資格が与えられるものもあります。

地方公務員

国家公務員が「国」単位だとしたら、地方公務員は各都道府県や市区町村に関わる仕事で、私たちにとって身近な存在であると言えます。

「上級」「中級」「初級」

地方公務員に「上級」「中級」「初級」といった職種や試験の名称はありません。正式名称ではなく、公務員試験の難易度と考えると分かりやすいと思います。「上級」は大学卒業程度、「中級」は短大卒や専門学校卒程度、「初級」は高卒程度です。

試験の難易度が分かれていることからも、「上級」に合格して採用されると幹部候補として育成していくという意味合いがあります。もちろん高卒でも上級試験を受けることは可能です。

一般行政部門

知事や市町村の長が上になる組織であり、都道府県は「知事部局」、市町村は「市町村部局」と呼ばれています。一般行政部門は、福祉関係(民生、衛生)と福祉関係を除く一般行政(議会、総務・企画、税務、労働、農林水産、商工、土木)に区別することができます。

特別行政部門

特別部門には教育部門、警察部門、消防部門があり、教職員、警察官、消防官などがこれにあたります。総務省の28年度4月時点の調査によると、特別行政部門の割合は全体の半数(57.6%)を占めています。

公営企業等会計部門

病院、水道、交通、下水道、その他がこの部門です。地方公共団体が経営する、公益的な事業を行なう企業のことで、公立病院がこれにあたります。基本的に住民や利用者が利益を得るために運営されています。

公務員の気になる給料や待遇

公務員の給与や待遇など、気になるけど聞けない部分を見ていきましょう。

平均の給料は?

総務省では、国家公務員・地方公務員ともに給与実態を調査しています。それによると平成28年度の国家公務員給与平均は410,984円(年齢平均43.6歳)、地方公務員給与平均は365,549円(年齢平均42.3歳)になっています。国の公務を行う国家公務員の方が給与が高いと思っていた方も多いと思いますが、実際にはあまり差がないことがわかります。

ただ、これは全体的な平均であるため職種によってはかなりの差があります。詳しくは総務省のサイトをご確認ください。

平均退職金

平成27年度の国家公務員、地方公務員、それぞれの平均的な退職金を見ていきましょう。

  • 国家公務員(定年退職者平均)2,295万円
  • 地方公務員(定年退職者平均)2,273万円

こちらも給与と同様に、全体を比べるとあまり差がないように見えますね。実際は職種以外に、都道府県や市区町村によって金額が異なります。自分の住んでいる地域はどのくらいなのか気になりますね。

勤務時間と休日

公務員の魅力の1つに、勤務時間や休日がきちんと決まっていて働きやすいことがあります。これは条例によって定められています。ほとんどの自治体で「1日7時間45分、週38時間45分勤務」と設定されています。基本的な時間は、8時半~17時15分です。休日は土日祝日の週休2日で、有給休暇などもしっかり取ることができます。

警察官など職種によっては交代制が取られており、この限りではないためご注意ください。教職員の部活による休日出勤や超過勤務なども問題になっていますので、職種によっては休みが取りづらいなどがあるようです。市役所でも部署によっては残業が多いところもありますね。このことから「公務員=定時で帰れる」というわけではありません。

公務員になるには?

公務員になるのは難しい?試験は大変?公務員になるためには、どのような方法があるのか見ていきましょう。

公務員試験を受験する

まずは公務員採用試験に合格する必要があります。国家公務員と地方公務員では試験方法が異なりますので、それぞれ確認しましょう。

国家公務員の試験

総合職と一般職では受験資格や試験種目が違います。ここでは一般職を見ていこうと思います。

≪大卒程度試験≫
▼受験資格:21歳以上30歳未満
▼第一次試験:基礎能力試験(多肢選択式)、専門試験(多肢選択式)、一般論文試験
▼第二次試験:人物試験。

≪高卒者試験≫
▼受験資格:校卒業見込み、または卒業後2年以内
▼第一次試験:基礎能力試験(多肢選択式)、適性試験(多肢選択式)、専門試験(多肢選択式)、作文試験
▼第二次試験:人物試験。

国家公務員は採用試験の後、官庁訪問で面接をして内定、採用となります。

地方公務員の試験

地方公務員は、各地方自治体の地方公務員試験に合格して採用となります。

▼受験資格:新卒枠30歳程度まで
▼第一次試験:筆記試験、第二次試験:面接

自治体によっては三次試験までしているところもあります。

比較的受かりやすい職種

公務員職の中にも、倍率が高い職種、低い職種とあります。受かりやすい職種というのは、倍率が低い職種のことですね。高倍率は人気であると共に、難易度が高いという意味でもあるので、倍率が低い職種といっても人気がないわけではありません。

難易度が低く採用されやすい職種は、高卒警察官・消防士、自衛隊があります。また、難易度はそれほど高くないけど倍率が高い職種は、高卒・短大卒の警察事務、学校事務、市役所などです。

転職には年齢制限の壁

国家公務員、地方公務員ともに社会人試験には40歳という年齢制限が設けられています。経験者採用枠であれば年齢制限はほぼないと考えていいでしょう。しかし、経験がなければ年齢が転職への壁になってしまいます。未経験で公務員に転職したいと考えているなら、早めの行動が大切です。

みなし公務員

公務員並みのやりがいを求める方法として、みなし公務員(準公務員)になる方法もあります。注意したいのは、みなし公務員は、公務員ではないということ。公務員の雇い主が国や国民だとしたら、みなし公務員の雇い主は企業であるからです。

みなし公務員職には、日本銀行の役職員、企業年金連合会の役職員などがあり、郵便局で働いていた人は、郵政民営化により公務員からみなし公務員になりました。公務員に求められるような公益性や公共性を有し、公務員と同等に扱われます。

安定だけじゃない!公務員の魅力

公務員の魅力は安定以外に、どんなものがあるでしょうか?さっそく見ていきましょう。

社会貢献している実感

民間企業であれば企業のために利益を追求しなくてはいけませんが、公務員は国や国民の利益のために働いています。そのため国民により近く、社会をサポートしていく仕事なので社会貢献している実感を得ることができます。

公務でしかできない仕事ができる

警察官の仕事を例に挙げると、事件を捜査し犯罪者を捕まえることは、民間企業にいては経験できません。このように公務でしかできない仕事ができる、というのは公務員の魅力です。国家公務員の専門職で紹介した皇宮護衛官も公務員でしかできない仕事ですね。

仕事の規模が大きい

仕事の規模は国、または都道府県や市区町村になります。企業によっては大きな規模を任される場合もありますが、公務員は誰のために働くか、何のためかが分かりやすい上に規模が大きいという魅力があります。また、社会的な信用はダントツです。

公務員を目指したい人へ

自分は公務員に向いているのかな?と迷っている人もいると思います。お役所仕事と呼ばれるように、公務員は一部の人のためではなく、国民全体の利益を考えているので融通が利かないと言われることもあります。民間企業の目的が経済活動であるとすれば、公務員は奉仕性が高い仕事です。そのため自分の思い通りにならず、上に従わなければならないことも多々あります。

このことから、真面目でコツコツ決められたことができる人は向いていると言えます。さらに、仕事にやりがいを求める人、社会的な信用、待遇を望む人にもオススメできる仕事です。公務員でも一生安泰と言える職種ばかりではありませんが、興味があるなら調べてみたり、チャレンジしてはいかがでしょうか?

1+