ワインソムリエという仕事をご存知ですか?最近では野菜ソムリエや味噌ソムリエなどがありますが、まず最初に思い浮かべるのがワインソムリエではないでしょうか?ワインソムリエになるためにはどうしたらいいか、資格は必要なのか等を詳しく解説していきます。
ワインのスペシャリスト、ワインソムリエの具体的な仕事とは
ワインソムリエの仕事内容
ワインソムリエの仕事はレストランなどの飲食店で、お客様の好みや出てきた料理に合わせたワインを選んで提案する仕事です。料理の味や素材に合ったワインを提供するため、ワインの知識だけではなく料理に関しての知識も必要です。
また、ワインソムリエの仕事はワインの入荷や保存までワインソムリエが携わります。ワインは産地や使われているブドウの種類で味や深み、渋みが変わります。それらを把握し、お客様のお料理に合わせたワインを提案し、食事の時間を豊かなものにする手助けができる仕事です。
ワインソムリエが活躍する場
- 高級レストラン・ホテル
- ビストロ
ワインソムリエが活躍する代表的な場所として高級レストランやホテルがあります。レストランやホテルには料理のメニューの他に飲み物のメニューが別にあるところが多く、ワインもたくさんの種類があります。この料理にはどのワインが合うか素人には分かりませんが、ワインソムリエはお客様の好みを聞いて、出てくる料理に合わせたワインを提案します。
ビストロとは気軽に入れるレストランで、フランス語で「居酒屋」を意味します。ビストロには洋風な料理が多く、ワインと合うおつまみを推している店も多いです。そのため、ワインを選ぶアドバイスをするためにワインソムリエを雇うことがあります。しかし、レストランに比べると専属の仕事というより、料理の提供やワインの説明をしたりするサービス全般をする事が多いようです。
ワインソムリエの給料・休日
- ワインソムリエの給料
- ワインソムリエの休日
勤務先や立地条件によって給料は異なりますが、ワインソムリエの平均年収は300万円~600万円程度です。勤務地が高給レストランである場合が多いので、一般的な飲食店よりも少し高い設定のところが多く、経験を積めばそれだけ収入がアップします。
ホテルでの勤務の場合はワインの仕入れや勉強のために海外出張があったりと、ワインソムリエとしてスキルアップの機会を与えている職場もあります。勤務先によってはランクをつけているところもあります。
ワインソムリエが働くレストランやビストロは土日祝日にお客様が多いため、店自体が平日休みのところがほとんどです。店の休みに合わせてワインソムリエも休みます。勤務時間も店に合わせてですが、ランチをやっている店ですと昼少し前から出勤し、夜は遅くまで勤務することが多く11時~22時か23時頃まで働きます。ワインの管理などをしなければならないので、ワインソムリエは開店の日にはワインの在庫の管理や保存方法をチェックします。
ワインソムリエになるための学校
専門学校で学ぶ
- 調理系の学校
- 観光系の学校
ワインソムリエになるための特別な専門学校はありません。では、どうして専門学校で学ぶことをおすすめするのかというと、ワインソムリエの仕事は料理に合わせてワインをすすめるからです。魚料理一つとっても味付けでワインの選び方が変わります。そのために料理について、どんな食材を使っているのかや味について知っておく必要があるのです。
専門学校では調理系のところで学ぶことをおすすめします。ワイン好きな人は自分でワインに合うおつまみを作る人も多いようです。調理系の専門学校で料理について学びながら、ワインソムリエになるための勉強も併用していくこともできます。
観光系の学校でホテルマンかレストランのコースを選んで学ぶのもいいでしょう。ワインソムリエはホテルのレストランで働く場合が多いため、ホテルで働く際の接客や心構え、言葉遣いを学ぶことはワインソムリエとして働くために必要な知識となります。
ワインスクールで学ぶ
ワインソムリエになるための専門学校はありませんが、資格を取るために通えるスクールはあります。ワインソムリエに特化して勉強したい人には適した場所だといえます。仕事をしている人が通えるように夜のコースを設けている学校もあるので、昼間は仕事をして夜にスクールに通う人もいます。ワインソムリエの資格は様々なものがありますので、自分が取得したい資格に合わせた授業が受けられるスクールを探してみるのがいいでしょう。
ワインソムリエになるには
資格を取得する
ワインソムリエの仕事は資格がないと働けない、というものではありません。しかし、民間の資格があってその資格を持っていることで、ワインについての勉強をしたという証明書のような役目をするため、ワインソムリエとして働くには有利になる場合があります。ワインの資格にはたくさんの種類がありますので、紹介しいきます。
日本ソムリエ協会のソムリエ資格
ワインソムリエの資格には「一般社団法人日本ソムリエ協会」の認定する資格があります。
- ワインエキスパート
- ソムリエ
- シニアソムリエ
- マスターソムリエ
ワインエキスパートとは、ワインをはじめとする酒類、飲料、食全般の専門的な知識を有し、テイスティングができる者のことを言います。ワインエキスパートの受験資格には酒類を取り扱う店での経験は必要なく、誰でも受験出来ます。プロフェッショナルな資格ではなく、ワインが好きであるという人向けの資格です。
ソムリエの受験資格があるのは「酒類を提供する飲食サービス」か「ワインなどの酒類の仕入れや管理、流通、販売、輸出入、教育機関、酒類酒造」または「酒類を取り扱うコンサルタント業務」を3年以上経験し、試験の日にも従事している人です。飲食店でワインを取り扱うプロフェッショナルの認定資格です。
ソムリエの資格の更に上の資格です。「ソムリエ」の資格または「ワインアドバイザー」の資格を持っていて、資格を取ってから3年が経過していることが受験資格の一つです。もう一つは、酒類を提供している飲食店で10年以上従事し、受験の日にも同様の仕事をしていることが受験資格です。
マスターソムリエになるには「シニアソムリエ」の資格を持っていて、ソムリエ歴が20年以上であること。更に協会の役員としての功績が認められている人であり、協会から推薦を受けた人であること。そして、選考委員会で認定された人だけが受ける名誉称号です。この資格を持っている人は、ワインについての知識が深く広いと認められた人ということになります。
全日本ソムリエ連盟のソムリエ資格
ソムリエの資格には、「全日本ソムリエ連盟」が認定しているものもあります。ワインや他のアルコール類をサービスする上で必要なテイスティング能力やサービスについてを見極める試験です。
全日本ソムリエ連盟の方の資格は、実務経験がなくても20歳以上であって、連盟が指定する講習を受ければ受験できます。日本ソムリエ協会の受験資格と異なり、長い実務経験が必要ではないため、ワインは好きだが実務経験がない人にとっては受験しやすいものとなっています。
- ワインコーディネーター/ソムリエ
- プロフェッショナルソムリエ
ワインコーディネーターとソムリエの試験内容は同じで、呼称が違うだけです。試験を受ける際にどちらの呼称を選ぶかは受験者が選ぶようになっています。この資格はワインの楽しみ方や魅力を伝えることが目的です。試験を受けるためには、連盟が指定している講習を受講しなければなりません。講習には「通信コース」「在宅受講」「2日間集中受講受験コース」があり、どれか一つを選んで受講します。講習の内容はワインの歴史や原料や醸造に関する事などの基礎知識などです。試験には、筆記試験・テイスティング、実技があります。
前述したワインコーディネーター/ソムリエの上級資格です。この資格を受験するためにはワインコーディネーターかソムリエの資格を持っていて、連盟が指定している講習を受講することが必要です。ワインに関しての知識を高めるための勉強をし、就職や転職の際に持っていると有利になる場合があります。
資格試験の合格率
ワインソムリエの試験の合格率は約40%です。ワインの知識だけではなく、食品についての知識も求められるため、広い範囲の勉強が必要になります。一次試験の筆記試験が合格すると後日、二次試験が受けられます。
ワインソムリエのやりがいと大変さ
ワインソムリエのやりがい
- 好きなワインに囲まれる仕事
- お客様に喜んでもらえる
ワインソムリエになる人はワインが好きな人がほとんどです。好きなワインの在庫管理や仕入れ、保存などを始め、新しく出たワインがあれば勉強をすることも大切なワインソムリエの仕事です。お客様へワインをすすめる仕事よりも、このような地道な仕事のほうが多いのがソムリエの仕事です。目立ちはしませんが、好きなワインに囲まれて仕事ができるのが楽しくやりがいを感じられるでしょう。
一番のやりがいといえば、自分がおすすめしたワインをお客様が喜んでくださった時でしょう。お客様の好みに合わせ、注文されたお料理に合ったワインを選び提案をし、そのワインが料理にぴったりで食事の時間がより楽しいものになる。そうなった時はワインソムリエとしての喜びを感じられる瞬間です。お客様が満足してお帰りになった時にやりがいを感じることができるでしょう。
ワインソムリエの大変さ
- ワイン以外の仕事もこなすことがある
- 専任の場合は忙しいこともある
- 常に学び続ける必要がある
ワインソムリエの仕事はお客様に料理に合ったワインを選んで提案する仕事ですが、職場によってはワインソムリエ以外の仕事をしなければならないことがあります。大きなレストランでワインソムリエ専任として雇われている場合は、ワインの仕入れや管理などをはじめ、ワインのことに専念できる場合が大半です。
しかし、ビストロなどの小さな店舗で働く場合はウエイターのように料理をお客様へ提供する仕事も兼任する場合があります。仕事を選ぶ時にどこまで仕事をするのかを知ることも大事です。
ホテルやレストランでワインソムリエの仕事に専念できる環境であっても、ワインソムリエの数が足りない場合は一人でワインに関することを行わなければなりません。開店から閉店までを一人でこなすのは大変なこともあります。
ボージョレ・ヌーボーなど毎年発売されるワインの中でも、産地やぶどうの種類でワインの味や深みが変わります。世界中にあるワインは膨大な数で新しく発売されるワインもたくさんあります。仕事が休みの日にはワインショップへ行ったり、自らレストランへ出向きワインを飲んだりして勉強しなければなりません。ワインに関して常に学び続ける必要がある仕事ですので、ワインが大好きな人でなければ務まらないでしょう。
ワインソムリエに求められること
ワインソムリエとして働くためにはワインの知識が豊富なのはもちろん、ワインが大好きであることが必要です。ワインに興味があり、もっと知りたいと思う探究心がある人こそワインソムリエに向いているのではないでしょうか。
また、働く場所はホテルやレストランです。お客様に接する仕事なので、人と話すことが好きだという人ではないと務まりません。楽しく食事をしてもらうために、ワインと会話は大切なエッセンスです。お客様が喜んでくれることがワインソムリエのやりがいにつながるのです。