小学校教師は子どもの未来を創る!向いている人の特徴とやりがいについて

小学校教師は子どもたちに国語、算数などの勉強を教えるだけでなく、子どもたちが大人になる上で大切なことを教える仕事です。そのため、責任の重い仕事でもあります。しかし、子どもたちの笑顔や成長が仕事の大変さを忘れさせてくれ、それが仕事に対するモチベーションにもなります。今回は、子どもの未来を創る小学校教師になるための進路や仕事内容について紹介します。

小学校教師の仕事ってどんなことをするの?

仕事内容を分けると大きく2つ!

小学校の先生の仕事は大きく分けると2つです。子ども達の成長をサポートする仕事と、それ以外の保護者対応や事務作業です。子ども達の成長をサポートする仕事とは、国語・算数などの勉強を教えること、集団生活を通して人間性が豊かに育つように指導することです。

最近では、一つのクラスを二人の教師で教えるチームティーチングの取り組みが増えています。基本的には小学校の先生は全科目を全て一人で指導します。同時に、運動会などの行事が近いときは行事の準備や、PTAや教員会議などさまざまな仕事をします。そのため、小学校教師の仕事は多岐に渡ります。

小学校教師の一日のスケジュールとは

小学校の先生の一日のスケジュールを一緒にみていきましょう。

  • 出勤
  • 小学校の先生の出勤時間は大体朝8時位からです。全科目を教えるため、先生によってはもう少し早くから出勤をして授業の準備をします。朝一番の仕事は、教員全体で朝礼です。その日の連絡事項などを共有し、その後は学年ごとに打ち合わせをします。

  • 午前中
  • 朝の打ち合わせ終了後は、子どもたちの待つ教室へ向かい朝の会です。朝の会後は、午前中の授業がスタートします。授業は1時限が45分で、授業の合間には10分の休憩時間を挟みます。休憩時間も生徒と遊んだり、宿題の採点をしたりと休む暇はありません。

  • 午後
  • 給食は子どもたちと一緒に教室で食べます。給食の片付けが終わったら、教室や廊下などの掃除をします。昼休みの後は、午後の授業がスタートします。低学年の場合は4~5時限、高学年だと6時限まで授業があります。授業が終われば帰りの会をして子どもたちは帰ります。

  • 子どもたちの下校後
  • 子どもたちが帰ったら、休憩時間が設けられています。しかし、実際は次の日の授業の準備や宿題の採点などで休めません。部活の顧問の場合は、部活の指導に入ります。退勤時間は17時ですが、多くの先生は残業などで18時から19時くらいに退勤します。

公立小学校と私立小学校の違いってなに?

公立の学校は、子どもたちの「教育を受ける権利」を保障するために国が主体となって設置しています。私立の学校は「建学の精神」をもとに学校法人が運営します。公立も私立も同じ学校です。しかし公立の学校は、公教育の実践が目的のため公立の学校間で授業の差を作ることが原則できません。

私立の場合は、公立の学校よりも学校側にどのような授業を実施するか裁量権があります。そのため、授業時間数や授業日数なども学校裁量で増減することができ、私立の場合は学校によっていろいろな種類の学校があります。

小学校の非常勤講師ってどんな仕事をするの?

小学校教師は正規雇用以外に、非常勤講師という雇用形態があります。正規雇用の教員は、教員免許を持っていて学校の教員採用試験に合格した職員です。正規雇用されずに働く教員のことを臨時的任用教員と言います。非常勤講師には次のような働き方があります。

  • 週29時間
  • 教科・教科補充
  • 学級指導補助、学習支援
  • 短時間勤務

小学校の場合は、担任の教師が全科目の授業を行なうため、中学や高校に比べると非常勤講師の求人は少ないです。

週29時間勤務の場合は、その他の非常勤講師と違って2ヵ月以上の任用期間があれば社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険)や雇用保険に加入することができます。勤務時間は、6時間×4日と5時間×1日となるため正規雇用の先生とあまり変わりません。

教科・教科補充の場合は、音楽、家庭科、理科などのより専門的な知識が必要になる授業を担当します。1教科に限らず、各学年の複数の教科を担当します。場合によっては、妊娠中の女子教諭の体育実技補助や、初任者研修の補充、全教科の補完などの対応もします。学級指導補助、学習支援は、正規雇用の教諭や常勤講師のサポートや特別の補助が必要な生徒の対応をします。

短時間勤務は、パートタイマーのような働き方をします。地方公務員法の「特別職」なので、副業・兼業自由です。また、国民健康保険に自己加入し、確定申告も自分でします。教員採用試験を目指して受験勉強と両立したい人や、定年退職後の再就職、出産、育児後の復帰として短時間勤務を選択する人が多いです。

非常勤講師のお給料は、基本的に授業1コマ単位の時給制です。一般的には、授業1コマ1,500円~3,000円程度で、勤務時間が週に何時間(何日)までという制約もあるため、年収は50万円~100万円程度です。そのため、副業として塾などで講師をする人も多いです。退職金や期末勤勉手当(ボーナス)、諸手当はありません。自治体によって「寸志」(5,000円~10,000円程度)が年2回支給されることもあります。

非常勤講師になるには、政令指定都市の市立学校の場合は市の教育委員会、それ以外は都道府県の教育委員会、地域教育事務所または市町村教育委員会に登録します。応募方法や応募時期は各自治体によって異なります。選考方法も書類選考のみの自治体もあれば、書類選考と面接を行なう自治体もあります。

小学校教師になる方法は大きく2つ

小学校教諭養成課程のある短大や4年制大学、短大に進学する

小学校の先生になるためには、教員免許を取得しなければいけません。小学校の教員免許は、教職課程のある学校で教職課程を修了すると、取得することができます。また、教育課程を履修していない人でも「教員資格認定試験」に合格することにより、2種免許状の取得が可能です。

小学校教諭養成課程で学ぶこと

小学校の先生は全科目を教えるため、教育課程で学ぶことがたくさんあります。学ぶべきことは、法律や心理学、歴史などの教養と子どもたちに教える専門科目です。

  • 教養
  • 学級経営や学習指導要領、日本や世界における教育の歴史や情報教育、日本国憲法・教育基本法・学校教育法などの教育に関する法律について学ぶ教育原理。悩みを抱えた生徒に対するカウンセリングの方法、心理テスト、保護者と良好な関係を築くために教育心理学について学びます。

  • 専門科目
  • 小学校で子どもたちに指導する各教科の指導方法を学びます。小学校の先生が子どもたちに教える科目は、国語・算数・理科・社会・体育・音楽・家庭・図工・生活・英語です。これらの科目の授業計画の立て方、授業の進め方を学びます。

  • 教育実習
  • 教育実習は小学校で1ヶ月間母校に通勤して、指導教官から学級経営や授業の仕方、児童の指導の仕方など学びながら実践する場です。実習の最後には授業計画を立てて、実際に授業をする研究授業が行なわれ、指導教官から指導方法など評価されます。

  • 卒業をすると取得できる資格
  • 小学校教員免許を取得することができます。免許は3種類あり、大学で取得するできる1種免許状、短大で取得できる2種免許状、大学院で取得できる専修免許状です。教育課程を履修していない人でも「教員資格認定試験」に合格することで、2種免許状を取得が可能です。

公立の小学校教師になる方法は?

  • 小学校教師教員採用試験を受験から採用までの流れ
  • 公立小学校の先生になるためには小学校教員免許を取得した後、各都道府県で実施されている教員採用候補者試験を受験し、合格しなければいけません。合格したらすぐに働くことができる訳ではなく、教員採用名簿に登載されます。

    そこから必要に応じて、各学校や教育委員会での面接や所定の手続を経て、正式採用となって初めて小学校の先生として働くことができます。

  • 小学校教員採用試験の概要
  • 小学校教師教員採用試験の受験者数は、毎年増加傾向です。採用数も微増ですが年々増えているため、採用倍率は4.5倍前後を推移しています。教員採用試験の応募要項は都道府県(市)ごとに実施されるため、受験する都道府県(市)の教育委員会等で手に入れます。例年3月下旬くらいから試験概要が発表され、募集要項の配布が始まります。

    試験は1次試験と2次試験が実施されます。試験の内容は各自治体によって異なりますが、1次試験は主に教養試験・専門試験といった筆記試験や論文試験。2次試験は、面接試験や論作文試験、実技試験が行なわれます。

    教員採用試験に合格すると「教員候補者名簿」試験結果の上位者から順に登録されます。そのため、最終合格者数が教員需要数を上回った場合は、採用されないことがあります。候補者名簿は1年間有効です。採用されなかった場合でも、その期間内に教員の欠員が生じたときには採用されることがあります。

    採用がなかった場合は、次年度の試験を再受験しなければいけません。ただし、その年度の採用試験において候補者名簿に登載されながら採用されなかった場合は、次年度の1次試験を免除するといった特別な措置をとる都道府県(市)が増えています。

私立の小学校教師になる方法は?

私立の小学校の場合は、教員免許取得後各学校の教員採用試験を受験します。採用情報は、ハローワークや民間の求人情報サイトなどで探します。最近は、教師専門の派遣会社に登録し、仕事を探している人も増えています。

小学校教師の年収はいくら?待遇はいいの?

公立と私立の年収や、初任給の違い

現在、少子高齢化が進み、私立学校の中には定員割れを起こしている学校もあるため、全体的に都市圏の有名校を除けば、公立小学校の先生の方が年収が高い傾向にあります。

公立小学校の先生の平均年収は693万円です。月収にすると約37万円です。地方公務員になるため、職務の責任や困難度に応じて区分される級と、職務経験年数における職務の習熟度「号給」の組み合わせによって年収が決まります。小学校の先生の場合は管理職にならないと級が上がりません。

年収をあげるには総括教諭や教頭、校長など管理職につく必要があります。しかし、毎年約10,000円は昇給するような仕組みになっているため、勤続年数が長くなるほど給与は上がります。大卒の小学校教諭だと、初任給で約20万円~22万円といわれています。

残業や長期休暇はあるの?

  • 教員は残業代が出ない
  • 公立小学校の先生は、教員の給与を定めた「給特法」(1972年施行)に「教育職員については時間外勤務手当及び休日勤務手当を支給しない」と定められているため、残業代は出ません。

    ただし、教員には毎月、基本給の4%に相当する教職調整額が支給されます。教職調整額は1966年に行なった教員の残業時間(当時の平均は月8時間)調査を元に決められています。しかし、50年後現在の教員の残業は10倍の80時間まで増えているため、実情と合わないような状況が続いています。

  • 長期の休みは?
  • 公立の学校は地方公務員のため、基本的に土日休みでそれ以外は出勤です。夏休みの勤務は日直制です。交代で勤務し、夏休み期間に夏期休暇を取得します。冬休みの時期は、地方公務員と同じで12/29~1/3までが年末年始のお休みです。

育児や介護をしながら仕事を続けることができる?

育児中の場合など、フルタイムでの勤務を続けることが難しい場合は、朝の勤務時間を30分遅らせるなど出勤時間を遅くしたり、給料が減ってしまいますが短時間勤務などの制度を利用しながら仕事を続けることが可能です。

短時間勤務の場合は半日勤務のため、午前中勤務や午後勤務、昼間勤務などいろいろなパターンで勤務することができます。しかし、短時間勤務を利用する方の多くは、午前半日勤務を選択する人が多いです。小学校の先生は勤務時間が長く激務と言われていますが、今は働く時間や雇用形態を変えることで長く働くことができます。

小学校教師の魅力や大変なことが知りたい!

やりがいや魅力はどんな時に感じる?

  • 子どもの未来に関わることができる
  • 小学校の先生は、子どもの人格形成にとって重要な6歳から12歳の時期に教師として指導します。特に、低学年の生徒に対しては科目についての指導だけでなく、物の片付け方、食べ方など、生活面のことや、挨拶の仕方や友達への接し方といった、子どもたちが大人になっていく上で大切なことを教える役目を担います。

    そのため小学校の先生は、子どもたちの未来に関わることができる仕事だといえます。

  • 子どもの成長していく過程を間近でみることできる
  • 逆上がりができなかった子ができるようになったりと、子どもが成長していく姿を間近で見ることができます。また、低学年の時に担任だった子が卒業する頃には、下の学年の子の面倒を見てくれてたりと、頼り甲斐のある姿を見ることができ、それは小学校の先生の仕事の醍醐味といえるでしょう。

  • 成長した子どもが会いに来てくれる
  • 卒業後の同窓会や帰省の時に、成長した生徒が会いに来てくれて思い出話を肴にお酒を楽しむことができるのも、先生の仕事ならではの楽しみです。

大変なことってどんなとき?

  • 仕事量が多い
  • 小学校の先生は、基本的に全教科を教える必要があります。1クラスの児童数も、1学級で30~40人ほどの生徒を受け持ち、いろいろな性格の生徒を相手にしなければいけません。勤務時間は17時までとなっていますが、勤務時間通りに仕事が終わる先生は少ないでしょう。

    平日は毎日授業があるため、それぞれの授業の予習、理科、家庭科、図工などは、授業で使うものを前もって準備するため、仕事終わりに買い物に行かなければいけません。それだけでなく、国語や算数など毎日宿題がある教科は宿題のチェックを毎日しなければいけないため、学校での作業が終わらなければ自宅で仕事をする必要もあります。

  • 保護者からのクレームが増えていること
  • 昔とは違い、今は教師よりも保護者の方が強いため「義務教育だから給食費は国が面倒を見ろと言って給食費を支払わない」「自分の子どもが学園祭で主役じゃないと劇に出させない」など、理不尽な要求をしてくるモンスターペアレントへの対処も教師の仕事です。保護者からどんな理不尽な要求を言われたとしても、教師は耐えなければいけないため、ストレスを感じている方も多いようです。

  • 学級崩壊やいじめ問題
  • 学級崩壊とは、授業中に席を離れたり、教室を勝手に出たりして普通に授業ができないような状況のことです。埼玉県の教育委員会の「学級がうまく機能しない状況」に関する調査では、およそ7%の学校で学級崩壊が発生しています。20学級に1学級の割合で発生しています。つまり、3クラス編成の学校の場合、1校につき1学級の割合で学級崩壊が発生しているという調査結果でした。

    また、いじめも同様に文部科学省がを発表した児童の問題行動調査によると、2015年度に全国の小中高校と特別支援学級で認知されたいじめの件数が、1985年の調査開始以来最多(22万4540件)という結果でした。このように、自分が担当したクラスは学級崩壊やいじめは起こらないとはいえない現状があります。

小学校教師に求められる適正とスキルを教えて!

小学校教師に向いてる人の特徴とは

  • 学問知識や指導力
  • 子どもたちに勉強を教えるための各教科の専門知識や、教えるための知識やスキルが必要です。また、勉強だけでなく集団生活の仕方や生活指導を合わせて行なうため、指導力も必要です。

  • 観察力と広い視野
  • 小学校の先生は、一人につき約30人前後の児童を受け持ちます。クラスの子どもたち一人ひとりを観察するだけでなく、クラス内にトラブルがないか常に見極めることが必要です。子どもたちの変化を観察するための観察力や、広い視野が求められます。

  • コミュニケーション能力
  • 先生は子どもたちだけでなく保護者、教師同士として、幅広くいろいろな世代の人たちと良好な関係を築く必要があります。最近は、いじめや学級崩壊の問題も深刻なため、これらの問題が発生した場合は外部機関などと連携しての対処が求められます。そのため、様々な人と信頼関係を築くためのコミュニケーション能力は欠かせません。

小学校教師に必要なスキルは4つ

  • マネージメントスキル
  • 子どもたち同士の付き合い方や、グループ同士の関係性などを把握して上手にクラス運営を行なうため、マネージメントスキルは必要です。クラス内でのトラブルが発生しないように防止するだけでなく、子どもたちの自主性を尊重しながらも一人ひとりが過ごしやすい、勉強に集中できるクラスの環境を作ることは教師の重要な役目です。

  • コーチングスキルやカウンセリングスキル
  • 子どもたちの学習能力を高め、目標達成をサポートするために必要になるスキルが、コーチングのスキルです。また、クラス内に問題行動を起こす生徒や、思春期特有の悩みを抱える生徒がいた場合は、生徒の悩みに耳を傾け解決に向かわせるためにもカウンセリングのスキルが必要です。

  • 事務処理能力
  • 小学校の先生は教室から離れると、授業で必要なプリント・テストの作成から採点、成績付け、保護者向けのしおり作成や面談調整、部活動の顧問、職員による会議、学校行事の準備など、やらなければいけないことがたくさんあります。

    勉強を教えるだけの塾講師であれば教えることに集中できますが、学校の先生の場合はこれらの事務作業も全て行わなければいけません。そのため、これらの事務作業を早く終わらせるための、高い事務処理能力が必要です。

  • 今後求められる英語とITスキル
  • 今度、小学校での英語やプログラミングの授業の必修化に向けて知らない、できないでは済まされません。そのため、教育系アプリやWebサービスを使いこなしながら、英語のスキルだけでなくITスキルを習得していくことが、今後の小学校の先生に求められます。

小学校教師は子どもの大事な未来を創造する仕事です

小学校の先生は、子どもたちの今後の未来を作る人格形成の時期に、子どもたちの親の次に深く関わる大人です。子どもたちが自分の未来を切り拓くために、必要な学問知識だけでなく、生き抜くために必要な能力を身に付かさせる手助けをする、とても責任の思い仕事です。

そして、その分やり甲斐の多い仕事です。最近では、副担任制を設けている学校など増え、労働環境が改善に向かっています。もし、子どもたちの未来を創るサポートをしたいと思っているなら、小学校の先生にチャレンジしてみるのはいかがでしょうか?

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