スクールカウンセラーは子どもたちが楽しい学校生活を送れるよう手助けをする!主な役割と必須資格とは

学校には相談室という部屋があり、スクールカウンセラーが生徒の悩みを聞いたり、相談に乗ってくれます。スクールカウンセラーとはどんな人がなれるのでしょうか。スクールカウンセラーの役割、また、どのような勉強をしたらいいのか、資格は必要なのかを解説します。

スクールカウンセラーの仕事について知りたい!

スクールカウンセラーとは

スクールカウンセラーとは、学校で生徒が抱える問題や悩みに対して相談を受ける仕事をしている人です。任期は基本的に1年です。相談の内容はさまざまで、いじめや友達・先生との関わり方や家庭内のことまで多岐に渡ります。

そして、スクールカウンセラーは学校に関わるだけでなく、災害に遭った子どもたちの心のケアをすることもあります。東日本大震災では、文部科学省が被災地域の全ての公立学校に、スクールカウンセラーを置くようにしました。また、被災地から全国各地へ避難した子どもたちへ、健康相談・心理相談に力を入れるように転校先の学校へスクールカウンセラーを派遣し、心のケアをするようにした支援事業に取り組んでいます。

スクールカウンセラーの仕事内容は主に何があるの?

  • 児童生徒へのカウンセリング
  • 近年、学校内外ではさまざまな問題が起こっています。いじめ、不登校、進学の悩みや親との関わり方など、子どもたちの中にはいろいろな悩みを抱えている子がいます。担任の先生や親には話せないようなことをスクールカウンセラーが相談室で、子どもが話しやすいような雰囲気を作りカウンセリングを行ないます。

    子ども達に居場所を作ってあげるようにして、相談室は安心な場所だと思ってもらえるような働きかけも大事な仕事です。時には、学習障害や注意欠陥多動性障害などの検査をすることもあります。

  • 保護者や教職員との連携・助言・援助
  • 子どものことで悩む、保護者からの相談に乗ることもあります。また、教職員からの子どもの様子で気になることを相談されることもあり、その相談を受けて保護者や教職員と連携を取り、子ども達の悩みや保護者の問題解決を目指します。

  • 児童生徒のカウンセリングによって情報収集や提供
  • 子どもたちや保護者、教職員からの相談によって、情報収集が必要な場合は各方面からの情報を得ます。情報を共有し、必要であれば病院や児童相談所などの専門機関へ問題解決の協力を依頼をします。

  • その他、学校において適当と認められること
  • 保護者や子どもたちに向けての講演や教職員への勉強会を行うこともあります。その他、学校新聞のコラムを書いたりなど、いろいろな仕事があります。

以上のように、生徒の相談だけでなく、子どものことで悩む保護者、または教職員の相談に乗ることもあります。スクールカウンセラーの仕事は、相談を受けて解決する手がかりを一緒に考えること以外に、ただ話を聞いてほしいだけという場合もあります。解決することが目的ではない場合もあるのです。誰にも話せないでいる子どもの心の拠り所になることも大切な仕事です。

スクールカウンセラーの役割って?

  • 子どもたちの健やかな成長を助ける
  • スクールカウンセラーの仕事は、学校のことだけではありません。子どもたちが健全に安心して毎日を送れるように、手助けをすることが仕事です。子どもの生活には「家庭」「クラスの仲間」「部活の仲間」「塾の仲間」などさまざまな世界があります。その世界の中で悩みを抱えることがあります。

    小さな悩みがだんだん大きくなり、抱えきれなくなることもあるのです。誰にも言えずに不登校になったり、いじめに発展する前に学校の先生と連携して、様子がおかしい子どもの話を聞いて未然に防ぐことも大切な役割です。子どもたちが、健全な学校生活や私生活が送れるよう手助けをするために、スクールカウンセラーは重要な役割を担っています。

  • 第三者の立場で話しやすい相手になる
  • 子どもが悩みを親や担任の先生に話せないのは、「心配をかけたくない」「いじめられている自分を知られるのは恥ずかしい」「弱みを見せたくない」などの理由があります。知られたくないというのが主な理由です。また、「話しても解決しないだろう」と思ってしまうこともあるでしょう。

    親のタイプによっては「お前が弱いからだ」などと話を聞いてくれないなどの環境もあるでしょう。家庭環境も含め、子どもはいろいろな理由で悩みを抱えるしかない場合があるのです。身近な人には話せない子どもには、第三者であるスクールカウンセラーの存在が子どもの救いになる場合があります。

スクールカウンセラーの給料は時給3000円~?

  • スクールカウンセラーの給料
  • スクールカウンセラーは非常勤勤務です。週1回で8時間勤務なのが一般的な勤務体制です。契約期間は1年、時給は3000~5000円くらいが一般的で、全国平均は5000円ほどになっています。スクールカウンセラーだけの仕事で生計が立てられないため、何校か掛け持ちにしている人や、精神科医や大学の講師などの本職を持っている人が兼務していることがほとんどです。

  • スクールカウンセラーの休日
  • スクールカウンセラーは非常勤勤務で週に1日出勤するというのが基本です。掛け持ちでスクールカウンセラーをやっている人は、平日に何校かに出勤します。学校が休みの日はスクールカウンセラーの仕事も休みなので、土日祝日、夏休みなどの期間は休みになります。

スクールカウンセラーになるには何が必要なの?

スクールカウンセラーに必要な資格とは

スクールカウンセラーとは資格の名前ではなく、職業の名前です。スクールカウンセラーになるためには、臨床心理士、精神科医、大学教員の資格が必要で、実際には約9割が臨床心理士の資格を持っている人です。

  • 臨床心理士
  • 財団法人 日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士は、資格認定協会の指定大学院で専門的なカリキュラムを修了し、大学院によってはさらに修了後1年、病院や相談所で現場を経験してから臨床心理士の受験資格が取得できます。そして受験合格し、初めて臨床心理士の資格を手に入れることができるのです。この資格は5年に1度の更新を受けなければならず、常に努力が必要です。

スクールカウンセラーになるための学校について教えて!

  • 大学の心理学部で学ぶ
  • 心理学を学べる大学で学び、臨床心理士資格を取得してスクールカウンセラーになるという方法があります。上でも書きましたが、臨床心理士の資格を取るためには資格認定協会の指定大学院で、専門的なカリキュラムを修了しなければ資格試験が受けられません。

  • 医学部で学び精神科医として働く
  • スクールカウンセラーの中には、病院の精神科で医師として働いている人もいます。精神科になるには、大学の医学部で6年間学び、国家試験を受けて医師の資格を取得しなければなりません。そして、研修医として2年間さまざまな医療現場で経験を積み、希望の精神科に配属となります。

スクールカウンセラーの募集要項の条件はなに?

スクールカウンセラーを募集している学校の募集要項には、どこも以下のような条件が記載されています。

  • 臨床心理士
  • 精神科医
  • 児童生徒のリン料心理に関して高度な専門的な知識や経験を有している者で、大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授または講師として勤務している者、または勤務していた者

スクールカウンセラーの求人状況について

近年、学校ではさまざまな問題に対応するため、スクールカウンセラーを必要としています。いじめもスマホを使ったものやインターネットを使ったものなど、大人には分かりにくいものも増えてきました。また、子ども達だけではなく教師も保護者からのクレームや不登校の子への対応、受験対策など、たくさんの仕事で精神的に追い込まれることもあります。

そんな中、スクールカウンセラーは大切な役割を担っているのです。そして、震災で傷ついた心が回復するには長い年月がかかります。そんな子どもたちのためにも、スクールカウンセラーの需要はこれからも増え続けていくと考えられています。求人情報は、各都道府県の教育委員会のホームページや市のホームページに載ることがあります。

スクールカウンセラーが活躍する場所はどこ?

集団生活に馴染めるように手助け「小学校」

小学校では、初めての学校生活に馴染むまで時間がかかる子どもへのフォロー、今まで気づかなかった学習障害や多動性障害の子どもへの対応などスクールカウンセラーの仕事は大切なものになります。

それまで集中力がないだけだと思っていたことを、小学校に上がって担任の先生が気づき、スクールカウンセラーへ相談するというケースもあります。保護者や病院との連携をとって、どのように対応するかを相談したりします。そして、保護者へのフォローが必要な時は保護者と面談することもあります。

多感な時期をフォロー「中学校」

中学生はとても多感な時期です。反抗期と言われる年齢を過ごす中学校では、小学生の時にはおとなしかった子どもが荒れたり、クラスの中ではいじめが起きたり、教師に反発して授業を聞かない子どもがいたりします。不登校の子どもの保護者やクラスや部活内での悩みを相談してくる子ども達と、一緒にどうしたら解決できるかを考えます。

悩みも複雑に?「高校」

高校でもスクールカウンセラーを置き、生徒からの相談を受けています。高校生になると大人への階段を上がり始める年齢で、悩みも複雑なものになってきます。生徒は、担任の先生や友達には話したくないことを相談に来ることもあります。

スクールカウンセラーのやりがいと大変さ

スクールカウンセラーのやりがいはいつ感じるの?

  • 子どもの健やかな成長を手助けできる
  • 悩みを抱えて相談に来た子どもへアドバイスをしたり、一緒にどうしたらいいのか考えることで子ども自身が自分の問題に向き合い、少しづつ乗り越えていけます。相談に来たばかりの頃、暗い顔をしていた子にだんだん笑顔が増えていき、いつしか明るさを取り戻すことができたとき、スクールカウンセラーとしてのやりがいを感じられます。

  • たくさんの出会いがある
  • スクールカウンセラーのところへ来るのは悩みを抱えた子だけではなく、誰かと話したい子もいます。子ども達の世界は大人が思っているものよりも、複雑で疲れるものです。いつも気を張って仲間はずれにならないように振る舞ったりしている子も多いのです。

    そんな子どもたちが唯一リラックスできる場所をスクールカウンセラーに求めることもあります。たくさんの子どもたちと出会い、話すことでスクールカウンセラー自身もいろいろなことを学ぶことができ、自身の成長にも繋がるのです。

スクールカウンセラーの大変さってどんなとき?

  • 心だけでなく命とも向き合う
  • 誰にも話せない悩みを抱え、思い悩んでいる子どもへの対応はとても難しいものです。ひとつ間違えてしまうと、子ども同士の関係が悪化してしまうこともありますし、相談に来た子どもがスクールカウンセラーを信頼できず、引きこもりになってしまったりします。

    テレビではいじめを苦に自殺してしまう子のニュースが流れますが、スクールカウンセラーは子どもの命を救うためにどうしたらいいのか、重大な責任を背負っている仕事であるといえます。

  • 自分自身のストレスになってしまうことも
  • 人の悩みを聞くことは、とても神経を使うことです。子どもの悩みの中には、とても深刻で重いものがあります。親から虐待を受けているが誰にも言えなかった子や、陰湿ないじめにあっているなど。

    そのような話を聞くと、自分のことのように心を痛めることがあります。時には、家に帰ってからも子どもの悩みを悶々と考えてしまうこともあります。うまく切り替えができる人ではないとストレスになってしまうことがあります。

スクールカウンセラーに向いている人の特徴は?

  • 子どもの気持ちに寄り添える人
  • 子どもたちは誰にも言えなかった悩みをスクールカウンセラーに打ち明けます。人に悩みを話すということはとても勇気がいることです。いじめられている子どもの中には、いじめられていることが恥ずかしいと思ったり、誰かに話すことで今まで以上にいじめがひどくなるのではないか、と思っている子がいます。そのような心の葛藤を抱える中、話をしてくれたのです。その時に「いじめられてるのは気のせいじゃない?」「なんで担任の先生に言わないの?」などと言ったらどうなるでしょう。

    その子はもうスクールカウンセラーに悩みを話さなくなるでしょう。子どもは自分の味方をしてくれる人を求めているのです。ただ黙って聞いてほしい時もあります。スクールカウンセラーには子どもが何を求めているのかを察して、気持ちに寄り添える事が求められます。

  • 正義感があり、冷静に物事を考えられる人
  • スクールカウンセラーには、いろんな人がさまざまな悩みを打ち明けてきます。いじめられている子どもの中には相談したことを誰にも知られたくない、と思う子もいます。悩みというものはデリケートなもので、勝手に誰かに話したりしてはいけません。

    また、色々な悩みや話というものは、片方の話だけで判断して感情的になってはいけない部分があります。冷静に話を聞いて、どう対応したらいいのかを判断できる人ではないとスクールカウンセラーは務まらないでしょう。

スクールカウンセラーの将来性

スクールカウンセラーは、文部科学省の後押しで公立学校に派遣されるようになっています。私立の学校でもスクールカウンセラーを設置して、子どもたちや保護者の悩みや相談を受けるようにしています。しかし、スクールカウンセラーは週に1~2日での勤務で職業としては安定していません。ほとんどのスクールカウンセラーは本業を持ち、兼務しています。

学校はスクールカウンセラーを必要としているが、スクールカウンセラーのために、今後は福利厚生や収入の面での安定を確保することが必要ではないかと思います。

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