飼育員になって動物や生物のお世話をする!一日の流れと気になる給与・休日のことについて徹底解説

動物が好きな人なら一度は憧れたことのある飼育員の仕事。そんな飼育員の仕事は、動物園の動物たちの世話や水族館の生物たちの世話はもちろんのこと、絶滅の危機にある動物たちを守る重要な仕事を担っています。今回は、仕事内容や飼育員になる方法について紹介します。

飼育員の仕事内容と役割について詳しく知りたい!

主な仕事内容について

  • 動物のお世話や健康管理をする
  • 動物園や水族館の飼育員の主な仕事は、動物のお世話です。担当する動物が決まった量の餌を食べているかチェックをしたり、園舎の掃除をしながら排泄物の状態をチェックすることも大事な仕事です。

    日々動物と接し、観察することで病気の兆候がないかなど、健康状態を確認します。同時に、動物が生活する園舎を常に清潔に保ち、動物を病気から守ることも仕事の一つです。

  • 来場者の対応やショーの解説
  • 園内でショーを行なっている場合は、その司会をするのも飼育員の大事な仕事です。担当する動物がショーに出演する場合は、イベントの企画から運営、広報活動、訓練まで担当の飼育員が行います。

一日の仕事の流れが知りたい!

動物園の飼育員の場合

動物園に飼育員になったらどんな毎日が待っているのか、今から一緒にみていきましょう。

飼育員の朝は早いです。大体7時くらいに出勤します。動物園に到着後、自分の担当している動物の園舎に行き、掃除や餌やりを行います。この時に動物に異常がないか、健康状態を確認するのも大事な仕事です。

多くの動物園は9時から開園です。開園直前になったら動物たちを展示スペースへ移動させます。そして、来園したお客様を挨拶しながらお迎えします。もし、担当している動物がショーに出演する場合は、午前中にショーのリハーサルや訓練を行います。

11時位から二度目の餌やりを開始します。ゾウなどの大型動物の場合は一日の餌の量が100キロほどもあるため、餌の準備や後片付けだけでもかなりの重労働です。餌やりの時は、動物の健康状態を確認する大事な時間です。食べ残しがないか、おかしな食べ方をしていないかなど細かく確認します。

12時位から交代で休憩をして午後の仕事に備えます。午後からは園舎を清掃したり、園内のガイドツアーの担当日なら、園内の動物たちの習性を紹介しながら、お客様と一緒に園内を周ります。園舎の清掃は、動物たちが元気に健康で過ごすための重要な仕事です。糞などの排泄物がないよう常に綺麗に片付けます。

夜間の営業をしていない動物園なら、17時頃が閉館時間です。お客様が園内から帰った後は、動物たちを展示スペースから寝室へ移動させます。寝室に移動させた後は、餌やりや体重測定などをして動物たちの健康状態をチェックします。

これらの動物たちのお世話が終わり、スタッフでミーティングをしたら帰宅します。基本的に繁忙期以外は残業がありません。ただし、担当する動物が病気や、出産間近の場合は、深夜まで残ったり、もしくは園内に泊まり込みをすることもあります。

水族館の飼育員の場合

次は、水族館の飼育員になったらどんな一日が待っているのか、見ていきましょう。水族館の飼育員の場合は、一人で複数の生物を担当します。朝は8時くらいに出勤し、自分の担当している生物の水槽を見回りしながら、餌やりをして一日がスタートします。一通り見回りが済んだら、水槽の清掃作業に入ります。来館者の目線で見て水槽に汚れがないか確認し、汚れを見つけたらすぐに綺麗にします。

10時に開館したら、裏に回って仕事をします。水槽の裏に回って担当している生物や魚の健康状態をチェックします。何か異常を感じたら薬を投与したり、獣医師に相談して対応します。

12時くらいから交代制で1時間ほど休憩をとります。

13時から午後の仕事がスタートします。水族館のバックヤードには、たくさんの予備の水槽があります。いつでも使うことができるように、予備の水槽の清掃をします。15時くらいからは餌の準備を始めます。体調不良の生物や魚がいれば、餌と混ぜて薬を与えるため薬の準備もします。餌の準備ができたら、16時くらいから餌やり開始です。餌を食べる様子を観察しながら健康チェックをするのも飼育員の大事な仕事です。しっかりと必要な量を食べていれば安心ですが、あまり餌を食べていないようなら原因を探ります。

定時は閉館後1時間後です。しかし、自分の担当している生物や魚が病気だったり、調子が悪い時は残業して様子をみる人が多いです。

飼育員の役割はどんなものがあるの?

  • 動物の生態を研究し、様々な知識を持つ動物飼育のプロ
  • 動物飼育員は動物が快適に生活するための環境を整えると同時に、動物の生態を研究し、記録を残すのも重要な仕事です。動物園にいる動物は本来野生で生活しています。そのため飼育員は、それぞれの動物の習性や生態を深く理解し、その知識を生かして日々の動物の世話に生かしていく必要があります。

  • 動物の魅力を伝え、命を守る
  • 地球環境の悪化により、絶滅が危惧されている動物たちがたくさんいます。動物園の飼育員は、動物たちの生殖活動を観察し生殖活動がスムーズに行われるようにサポートします。動物たちが子孫を残すことができる環境を整えることで、絶滅してしまう種を少しでも減らし、種の保存を行うことは大切な役目です。そして、動物たちの魅力を来場者に伝えていく活動も行います。

飼育員仕事の魅力や大変なことってどんなとき?

仕事の魅力や、やりがいについて

  • 大好きな動物に囲まれて仕事ができる
  • 動物園や水族館に勤務する飼育員の多くは、小さい頃から動物のことを好きな人が多いです。動物の世話は肉体労働で、動物が病気になった時は家に帰れないなど不規則な生活を強いられることもあります。大変な時もありますが、毎日大好きな動物と接し、動物たちと信頼関係を築くことができた時は、なによりやりがいを感じます。

  • 動物の魅力を多くの人に伝えることができる
  • 園内で開催されるショーや、園内ガイドを通して来園したお客様に対し動物の魅力を多くの人に伝えることができます。また、行動展示など動物の生態を見ることができるように展示方法を工夫し、動動物たちの魅力を伝えていきます。

  • 動物の成長を見守ることができる
  • 飼育員は自分が担当した動物の出産にも立ち合います。そのため、出産に立ち合った動物が生まれたばかりの時から、園舎を元気に走り回るようになるまで見守ることができます。また、毎日声をかけながらコミュニケーションを続けることで、少しづつ信頼関係を築いていき、動物たちの成長を見守ることができるのが仕事の醍醐味です。

仕事で大変なことはどんな時に感じる?

  • 命の危険を伴うことがある
  • 動物の世話をすることは楽なことばかりではありません。ゾウなどの大きな動物の場合は、一日の食事の量が100キロを超えます。当然、食べる量も増えればそれだけ糞の量も大量です。大量のえさの準備や糞の始末は相当の体力を要します。

    これらの作業は、真冬や真夏でも屋外で毎日行わなければいけません。また、ライオンなどの猛獣系の動物を飼育する場合は危険な目に遭うこともあるので、注意が必要です。

  • 動物と信頼関係を築く
  • 言葉を話せない動物と信頼関係を築くのは、並大抵のことではありません。動物たちの具合が悪ければ、なんとかしてあげたいと思います。その様子をみて原因がわからず、ストレスを感じることもあります。動物たちと信頼関係を築き、上手にコミュニケーションを取れるようになるには、ある程度の経験値が必要です。そのため新人飼育員は動物の気持ちが理解できず、苦労することも多いです。

  • 動物の命の重みを感じる
  • 動物たちの寿命は人間の寿命よりも短いため、担当している動物の死を経験することがあります。また、担当している動物が重い病気にかかった場合は、何日も徹夜で眠れない日が続くこともあります。そんな時に助けることができない自分に無力さを感じることもあるでしょう。

飼育員になる方法について教えて!

動物園の飼育員になるために

飼育員が活躍できる場所は、動物園やサファリパーク、専門動物園などです。全国には約1600人の飼育員が活躍していると言われていますが、飼育員の求人は毎年あるとは限らないため、なるのは狭き門ともいえます。

動物園で働くに受ける試験とは

民間の動物園で働くには、各動物園の採用試験を受験します。採用試験の内容は動物園によって異なります。事前に必要な資格はありませんが、動物学、生物学などの動物に関する知識があると有利です。公立の動物園の場合は、地方公務員です。高校、大学卒業後に地方公務員試験を受験します。その後、動物園に配属されれば飼育員として働くことができますが、かならずしも動物園に配属されるとは限りません。

キャリアアップはできるの?

動物園の飼育員は一定の経験を積んだ後に「社団法人日本動物園水族館協会」が認定する「飼育技師認定試験」を受けることができるようになります。キャリアアップのために受験する方も多いですし、キャリアを重ねることで、飼育員の大事な仕事である生態研究や希少動物の保存などの研究に携われることもあります。

水族館の飼育員になるにはどうすればいいの?

水族館の飼育員は、民間もしくは公営の施設に勤務します。公営施設の場合は公務員試験を受験し、合格する必要があります。民間の飼育員の場合は欠員が出た時に限り、求人募集が行われます。非常に狭い門のため、水生動物に関する知識や飼育の経験がない人が採用されるのは難しいです。そのため、ほとんどの水族館の飼育員は獣医師免許を持っていたり、大学や専門学校で海洋や動物などについて学んでいます。

キャリアアップはできるの?

水族館の飼育員は狭き門です。そのため未経験者が採用されることは難しく、実務経験が重視されます。どうしても水族館の飼育員の仕事をしたいと考えるなら、まずはアルバイトをして経験を積むのがいいでしょう。

飼育員になるために学ぶ方法とは

  • 大学で学ぼう
  • 飼育員になるなら、大学では産学や動物生態学などを専攻するといいでしょう。これらは農学部や理学部で学ぶことができ、動物の飼育に関する知識や野生動物と自然環境との関係性について学ぶことができます。大学では専門知識以外にも語学や一般教養なども学ぶことができ、広い視野を持つことができます。

  • 専門学校で学ぼう
  • 専門学校は、飼育員に就職するためのカリキュラムが組まれています。基本2年制で1年目は座学、2年目は実習を中心に専門性を高めていきます。動物関連の専門学校は、動物飼育員だけでなく水族館の飼育員やトレーナーやトリマー、動物看護師など職種ごとにコースが設けられています。

持っておくと優位な資格5つご紹介

  • 獣医師
  • 国家資格である獣医師の資格は、動物飼育に関する資格の中で最高峰の資格です。獣医系の大学で6年間学んだ後、獣医師の国家試験を受験しなければいけません。施設によっては、獣医師の国家資格が必須の施設もあります。飼育員になるために獣医師免許の資格取得を目指したいところですが、簡単に取得できる資格ではありません。

    また、獣医師の資格があれば必ず飼育員になれるかというとそうとは限りません。そのため、自分がどのような形で動物と関わる仕事をしていきたいかをしっかりと考えた上で、資格取得を目指しましょう。

  • 学芸員
  • 飼育員の仕事は、動物の世話をするだけではありません。動物園の場合は、来園したお客様に対して動物の生態を解説したり、ショーを企画したりする仕事もします。その時に、学術的な知識も必要になるため、学芸員の勉強が役立ちます。

  • 愛玩動物飼養管理士
  • 動物に関する法令や保険衛生、犬猫などの飼育の仕方まで幅広く体系的な知識を有する指導員を養成するために作られた資格です。「社団法人日本愛玩動物協会」が資格試験や資格発行を行います。

  • 生物分類技能検定
  • 一般社団法人自然環境研究センターが行なっている資格です。環境庁とも関わりの深い資格で、1級から4級まであります。動物に関わる仕事をするなら最低3級までは取得しておきましょう。資格取得するためには生物の分類学や自然環境や動物への理解を深めていく必要があります。

  • 潜水士
  • 潜水士の資格は国家資格です。水に潜り活動することが前提とした資格です。水族館に勤めたいと思うなら持っておきたい資格です。この資格は実技試験はなく筆記試験のみです。

飼育員の年収や待遇が気になる!

動物園の年収や待遇について

公立の施設の場合は地方公務員です。平均月収20~45万円、年収300~600万円ほどです。民間の場合は勤務地や勤め先によって異なりますが、一般的な会社員に比べると、全体的に年収は高くありません。基本給の相場は、地方の動物園で月収12万から15万円、都内でも17万円程度のため、年収に換算すると200万円から300万円程度です。

朝から晩まで園内を駆け回ることを考えれば、お金が目的では続けることは難しいでしょう。また、お休みは園内の休館日などによっても異なりますが、週休二日制です。しかし、動物の世話は毎日必要なため、休館日でも交代で働くことがあります。

水族館の年収や待遇に関して知りたい

動物園の場合と同じで、公立の施設の場合は地方公務員です。平均月収20~45万円、年収300~600万円ほどです。民間の場合は正社員か契約社員、アルバイトによって異なります。平均月収12~15万円、年収は200万円前です。

正社員の場合はボーナスがありますが、水族館の飼育員の場合は正社員の求人は少なく狭き門です。お休みに関しても動物園と同じです。水族館の生物のお世話も毎日必要になるため休館日でも交代で仕事をします。

飼育員に求められる能力や適正はどんなもの?

動物が好き

勤務時間のほとんどは動物と一緒に過ごします。動物たちは自分の言う通りに動かないことも多々あります。また、話すことができないため、日々注意深く観察しながら動物の感情などを読み取る必要があります。動物たちの感情を理解できるようになるためには、毎日の経験と合わせて動物が好きだと言う気持ちがなければ、続けていくことは難しいでしょう。

忍耐力あり、我慢強い

動物と信頼関係を築くには時間がかかります。そのため、動物達が思った通りに動いてくれない時でも根気強く待つ必要があります。また、自分の気持ちを言葉にできないため、忍耐強く動物たちとコミュニケーションをとっていく必要があります。

体力に自信がある

動物園の仕事は真夏や真冬など天候に関わらず、屋外で仕事をしなければいけません。業務中はほとんど立ち仕事で、時には重たいものを持って走り回る肉体労働です。また、動物の出産や病気の場合は、ずっと動物に付き添わなければならないため徹夜など不規則な勤務が続くこともあり、体力は必須です。

好奇心と向上心がある

飼育員の仕事には動物のお世話だけでなく、動物の生態の研究や、種の保存など他にも大切な仕事があります。動物の生態を研究をするには好奇心や、もっと自分の知識を増やしたいという向上心が必要です。

人前で話すことが得意

飼育員はイベントなどのショーの司会や、園内ガイドの仕事もします。そのため人前で話すことが得意な方がいいでしょう。

動物園や水族館の現状と未来

動物園の現状と未来

動物園は動物を展示するだけでなく、動物の種を保存すると言う役割があります。そのため全国の動物園が連携して「ブリーディングローン」制度など、繁殖に適した動物を動物園同士がお互いに貸し借りすることで、繁殖率の向上につなげています。

また、昔の動物園は檻に入った動物を眺めるという展示方法でした。しかし、北海道の旭山動物園のように、最近はより自然に近い状態で動物達の行動や生態をみることができる行動展示など展示方法を工夫することで人気になる動物園も登場しました。そのため人気のある動物園が地域はで、重要な観光資源になっています。

今後動物園は、未来へ動物の命を繋ぐ役割と、観光資源の役割を担うため、ますます飼育員が活躍する場が広がっていくでしょう。

水族館の現状と未来

水族館も動物園と同じ役割を担っています。自然の生態系を再現することで学習や自然保護と同時に、沖縄の美ら海水族館の用に地域の観光資源として重要な役割を果たしている水族館が全国にあります。

これらは各水族館の飼育員が個性を打ち出そうと工夫して来館者を増やす努力をした結果です。水族館飼育員は水泳生物の調査研究だけでなく、来館者を楽しませる創意工夫ができる飼育員は今後も求められるでしょう。

女性飼育員の活躍

飼育員の仕事は女性もたくさん活躍している仕事です。特に獣医は約半数が女性です。また産休や育休制度が整っている施設も増えてきているため、長く働き続けることも可能になりました。働き方も正社員だけでなく契約社員やアルバイトなど色々な働き方があるため、ライフスタイルに合わせて仕事を続ける女性飼育員が多いです。

未来に動物の命を繋ぐ仕事

飼育員の仕事は動物のお世話をする仕事だと思れています。しかし飼育員はそれだけでなく動物の生態を研究し、動物達の繁殖をサポートして次世代に残していく大事な役割を担っています。飼育員の仕事は動物の命を未来へと繋ぐ、責任の重い仕事です。動物が好きで、動物の命を守っていきたいという気持ちがあるのなら、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?

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