20代の平均年収はどのくらいなのでしょうか。自分がもらっている年収は把握していても、人がいくらもらっているかはあまり知らないものです。これから就職する場合や転職をする場合に平均年収を知っていると、会社選びが少し変わるかもしれません。
20代の人は日本に何人?
「平成27年国勢調査」(総務省統計局)によると、2015年10月時点での日本の20代の人口は、20代前半の男性が316万5,000人、20代後半の男性は329万1,000人でした。20代前半の女性は299万1,000人、20代後半の女性は314万人でした。
男性の方が女性よりも約32万5,000人多いです。そして、20代全体の人口は合計で1258万7,000人ということになります。2015年10月の時点での日本の人口は約1億2177万人ですので、20代の人口は全体の約9.9%です。少子高齢化の日本では、今後はもっと若い世代の人口が減ってくることが予想されます。
20代の平均年収を知ろう
20代の人口は全体の約9.9%しかいませんが、今回はその20代の平均年収について解説していきます。国税庁が行なっている「民間給与実態統計調査」の平成27年分の調査資料を基に、20代の平均年収について調べてみます。
平成27年度に民間企業から給与を払った総額は204兆809億円になり、その平均年収は420万円でした。これは全世代の平均となります。では早速、20代の平均年収について見ていきましょう。
20代の平均年収
調査を確認すると、20代の平均年収は302万円5,000円です。この年収は全世代の平均年収よりも、120万円低くなっています。しかし、平均年収の調査の中で20代は一番若い年代であるため、年収が一番低いのはおかしいことではありません。企業では入社してから経験を積んでいくごとに、すなわち年齢を重ねていくごとに、給料が上がっていく仕組みになっているのです。
- 20代前半の平均年収
- 20代後半の平均年収
民間給与実態統計調査を確認すると、20代前半(20~24歳)の平均年収は253万円でした。
25~29歳の平均年収は男女平均で352万円でした。
男女別20代前半平均年収
次に男女別で平均年収を見てみたいと思います。性別の差が年収に影響があるのでしょうか。
- 20代前半男性平均年収
- 20代前半女性平均年収
20代前半の男性の平均年収は、271万円です。
20代前半の女性の平均年収は、233万円でした。男性よりも38万円低い額です。
男女別20代後半平均年収
- 20代後半男性平均年収
- 20代後半女性平均年収
20代後半の男性の平均年収は383万円でした。
20代後半の女性の平均年収は306万円です。同じ年齢の男性よりも77万円低くなっています。20代前半よりも差が大きくなりました。
20代の平均年収から分かること
20代の男女別の平均年収を見ると、女性は男性よりも平均年収が低いことが分かりました。この差については、女性のほうが非正規雇用(パートタイマーやアルバイト)として働く人のほうが多いことが影響しています。また、女性の方が職種の中でも平均水準が低めである事務系の仕事などに就いているということも、男女の平均年収の差がついている原因の一つです。
他の原因として、20代後半のほうが男女の平均年収の差が大きくなっているのは、結婚や出産で働き方が変わってくることが影響しているとも考えられます。最近は結婚しても働く女性が多いのですが、出産で一度離職するという場合が多いようです。子育てをしながら働ける環境づくりは、今度の課題になるのではないでしょうか。そして、子どもを預ける保育園の充実なども叫ばれていますが、女性が働きやすい世の中になるためには、まだまだ課題がたくさんありそうです。
20代の学歴別に見た平均年収
今度は20代の平均年収を学歴別に見てみましょう。
大学・大学院卒の20代平均年収を知ろう
20代前半(20~24歳) | 20代後半(25~29歳) | |
---|---|---|
大卒・大学院卒の男性 | 222万1,000円 | 214万9,000円 |
大卒・大学院卒の女性 | 260万3,000円 | 239万円 |
参考:厚生労働省
20代前半の方は男女共、大学を卒業したばかりの年収なのでそれほど差がないことがわかります。女性でも4年制の大学を卒業する人が増えているので、大学卒の年収としての額は同額であることが差がない原因ではないかと思われます。
20代後半のほうは先述したように、20代後半になってくると女性は結婚や出産での雇用形態の変更などがあるため、少し差が広がったのではないかと予想されます。
高専・短大卒の20代平均年収を知ろう
20代前半(20~24歳) | 20代後半(25~29歳) | |
---|---|---|
高専・短大卒の男性 | 199万5,000円 | 231万1,000円 |
高専・短大卒の女性 | 195万9,000円 | 220万8,000円 |
高専・短大卒の男女の平均年収を見ると、それほど大きな差がないことが分かります。年齢的に高専・短大を卒業したばかりの歳なので、収入の差が広がらないのでしょう。
高卒の20代平均年収
20代前半(20~24歳) | 20代後半(25~29歳) | |
---|---|---|
高卒の男性の平均年収 | 194万3,000円 | 223万円7,000円 |
高卒の女性の平均年収 | 176万4,000円 | 188万円5,000円 |
高卒の男女の平均年収は、20代後半になると少し差が出てきます。18歳で高校を卒業し、25歳になると就職して7年経っている計算になります。女性の中には結婚して雇用形態が変わった人が多いのではないでしょうか。
産業別に見る20代平均年収を見てみよう
次に産業別に平均年収を見てみたいと思います。全体の平均で見ると、産業別で見た平均年収が最も高いのは、「金融業・保険業」で482万3,000です。次に「教育・学習支援業」で442万2,000円です。女性の方は、最も高い平均年収は「情報通信業」で313万7,000円です。
最も平均年収が低いのは、男性は「宿泊業、飲食サービス」で270万円、女性も同じく「宿泊、飲食サービス」で196万2,000円です。
参考:厚生労働省
20代で一番年収が高額な産業と一番低い産業
- 20代男性
20代前半男性 | 20代後半男性 | |
---|---|---|
ベスト1 | 情報通信業 (224万7,000円) | 金融、保険業 (285万1,000円) |
ベスト2 | 金融、保険業 (223万円) | 情報通信業 (270万4,000円) |
ベスト3 | 教育、学習支援業 (219万円) | 教育、学習支援業 (265万9,000円) |
ワースト1 | 宿泊業、飲食サービス業 (187万1,000円) | 宿泊業、飲食サービス業 (215万7,000円) |
- 20代女性
20代前半女性 | 20代後半女性 | |
---|---|---|
ベスト1 | 情報通信業 (220万4,000円) | 情報通信業 (255万円) |
ベスト2 | 建設業 (209万円) | 学術研究、専門・技術サービス業 (244万3,000円) |
ベスト3 | 医療、福祉 (206万円8,000円) | 教育、学習支援業 (235万9,000円) |
ワースト1 | サービス業 (180万1,000円) | 宿泊業、飲食サービス業 (196万3,000千円) |
この表を見てみると、男女共「情報通信業」がベスト3に入っています。20代前半の男女のベスト1の平均年収を見ると、その差はそれほど開いていません。20代後半になると、男女の差が開いてきますが、これは前述したような結婚や出産が影響していることが予想されます。
企業規模別の平均年収
- 20代男性と前世代の平均年収
大企業 | 中小企業 | 小企業 | |
---|---|---|---|
20代前半 男性 | 213万7,000円 | 203万6,000円 | 194万7,000円 |
20代後半 男性 | 259万2,000円 | 237万9,000円 | 226万8,000円 |
全世代平均 | 387万7,000円 | 320万3,000円 | 288万5,000円 |
- 20代女性と前世代の平均年収
大企業 | 中小企業 | 小企業 | |
---|---|---|---|
20代前半 女性 | 210万円 | 196万8,000円 | 181万1,000円 |
20代後半 女性 | 237万8,000円 | 220万3,000円 | 200万円 |
全世代平均 | 268万4,000円 | 240万4,000円 | 216万4,000円 |
企業規模別の平均年収を比べてみましょう。まず、男女の平均年収の差額はそう開いていないことが分かります。日本の給料の仕組みとして、年齢が上がっていくにつれ給料も上がっていく傾向があるので、20代の平均年収が全世代の平均と比べて少ないのはそれほど気にすることはありません。
参考:厚生労働省
都道府県別の平均年収
都道府県別の平均年収は世代ごとにデータが出ていませんが、全世代の平均で見てみましょう。全国平均は304万円で、一番平均年収が高いところは「東京都」で383万円です。次が神奈川県、大阪府と続きます。ワースト1位は青森県、ワースト2位は岩手県でした。東京は年収が一番高いのですが、その分、物価が高く、家賃なども他の地域よりも割高です。
こうして見てみると、年収のことだけを考えて働くなら、男性の場合は東京で銀行、保険業の大企業で働くのが一番高い年収がもらえるということになります。
参考:厚生労働省
20代で結婚している人の割合はどれくらい?
未婚者の割合 | 既婚者の割合 | |
---|---|---|
20代前半男性 | 4.9% | 94.8% |
20代前半女性 | 8.3% | 90.9% |
20代前半男性 | 26.4% | 72.5% |
20代後半女性 | 36.7% | 61.0% |
※「平成27年国勢調査」2015年10月の時点で結婚している人の割合
この割合から何を見るかというところですが、20代後半になると男女とも少し割合が上がってきます。もしも、結婚して共働きをすることになったら、それぞれの収入を合わせることになるので個人の年収は増えないにしても、家庭の収入は増えることになります。
最近は共働きの家庭が増えてきていますので、結婚で収入が合計されてそのことによって貯蓄が増えるという傾向があります。
働き方で年収も変わる
こうして20代の平均年収を見てきましたが、20代の年収が世代の平均より低いのは年齢が若いからで、年齢が上がるほど年収は上がっていくことが見込まれます。そして、特徴的だったのは20代後半の女性の平均年収が低くなることです。これは何度もお話してきましたが、年齢的に結婚や出産で働き方が変わるからではないかと思われます。
年収を維持して働きたい場合は、会社の理解も必要です。パートタイマーやアルバイトですと、賞与がなかったり固定給ではない所が多く、収入が不安定になってしまいます。男性も女性も、年収や安定を考えたら正社員雇用で働くのが一番おすすめです。年収を見直して、働き方を今一度考えてみてはいかがでしょうか。