年末調整の資料作成は早めに済ますのが良い!対象者の条件3つと受ける際に注意しておきたいポイント5つ

所得税の控除が目的とされる年末調整。実は給与から毎月天引きされる所得税は、正確ではないことがあります。しかし、必要書類をしっかり記入すれば還付金として戻ってくるケースや、翌年の住民税の負担を減らすこともできます。ほとんどの人が対象ともいえる、所得税の決算である年末調整。今回はこちらについて、詳しくお話いたします。

年末調整とはどのような制度なの?

なぜ年末調整があるの?

国民の義務となっている納税ですが、所得税に関しては会社側が自動で天引きしてくれていることが多いです。そのため、あまり馴染みのない人や、年末調整の仕組みが理解できていない人が、少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

給与から天引きされている所得税に正確性ないことから、この制度が導入されているといっても過言ではありません。給与から天引きされた所得税を払い過ぎの場合、差額である還付金として戻ってくることになります。不足していた際は支払いの手続きを済ますのが目的となり、正しい所得税の支払いを済ませるのが年末調整の役割といえます。

対象になる人の方が多い年末調整

特別な人を除き、多くの給与所得者がこの年末調整の対象になるのが、今の制度の特徴となっています。この年末シーズンに支払うべき所得税が、毎月において給与から天引きする理由に、所得者の負担を減らす目的があります。年に1回の12ヶ月分の税金を納めるとなると、私たちにとって負担が大きいことから、毎月における天引きが実施されているということです。

渡される2つの必要書類の内容とは

年末調整にあたって必要になる書類は、扶養控除等申告書保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書のこちら2点になります。2つの必要書類に記載する項目には、既に加入している保険の振込額や年収を記載します。そして、金額を記載する際は、その年の1月1日~12月31日までに確定した額を記入することになっています。

ただ、株式などで未だに決済していない見込み額に関しては、対象外になります。

  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 名前の通り、扶養しているご家族に関する書類手続きのことを指します。その家族構成や生活状況に応じた税金への負担を軽減するのが、この申告書を提出する目的とです。具体的な対象者は、配偶者のいる人や両親の面倒を見ている人が当てはまります。

    注意点としては、対象でない人もこの扶養控除等申告書を提出する必要があるということです。配偶者がいない人は「いない」と申告を行う必要があるのも、この書類を提出する意義といえます。

  • 保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書
  • この書類を記入する人は、強制保険ではない民間の保険料を支払っている人です。例えば、自動車保険やマイホームの災害保険等がこれに当たり、万が一に備えた手厚い保障を準備している人が当てはまります。具体的な民間の保険料の控除が認められるのは以下の5つです。

■生命保険料控除
■地震保険料控除
■給与所得者の配偶者特別控除
■社会保険料控除
■小規共同共済等掛金控除

少々手間と感じますが、しっかり記入して提出すれば損のない手続きになるのが、保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書です。また、老後に備えた小規模共同共済や個人型確定申告拠出年金として毎月支払っている人も「節税」という形で対象になりますので、忘れずに記入するようにしましょう。

年末調整の対象者である人の条件3つ

給与所得者であること

年末調整は、さまざまな所得税における控除が認められる制度ということもあり、少し複雑です。しかし、基本的には特別な事情を除き、給与所得者のほとんどが該当します。正社員のみならず、アルバイトやパートとして働いている人も、給与所得者の枠に当てはまるのもポイントです。

このことから、アルバイトやパートとして働く人でも還付金として戻ってくる可能性が考えられますので、年末調整の準備に必要な書類の記入をしっかりとしておくようにしましょう。

年末まで勤務している人

12月末まで働いていた人も、年末調整の対象になります。そして、通年ではなく、年末まで働いていたことが条件となります。例えば、数ヶ月ばかりの勤務日数であっても年末まで働いた人は、年末調整の対象になるのがポイントになるということです。

例外もあり、年末以内に亡くなってしまったケースや、病気やケガなどで職場復帰が難しいと見込みが出てしまったケースに関しては、年末まで働いていなくても対象になる場合があります。また、12月分の給与をもらった時点で、仕事を辞めた人や海外へ転勤した人も年末調整に対象になります。

災害等に見舞われていない人

災害等によって、住宅などに被害が見舞われた際は、災害減免法によって所得税の減税が認められることになります。しかし、その年の年末調整における還付金の対象にならない点には、注意が必要です。

もし、災害等に見舞われ災害免税法が適用された人は、確定申告にて所得税の調整が行われることになります。人によっては、年末調整と確定申告は時期が異なるため、混合しないように注意するようにしましょう。

年末調整の対象ではない人

年収が2000万円以上の人

その年の収入が2000万円を超えている人は、年末調整の対象にはなりません。しかし、年末調整の対象にならないとはいえ、書類の提出はする必要がありますので、社会保険料等の記入漏れがないように注意した上で勤務先に提出するようにしましょう。

ただ、確定申告の際に還付金として戻ってくるケースも考えられますので、年末調整の対象になっていない分、誤差が生じることが多々あります。そのこともしっかりと視野に入れておくようにしましょう。

勤務先への扶養控除申告書等の未提出

給与所得者でもあるのにも関わらず、渡された書類を提出していない場合においては未提出扱いとされ、年末調整が受けられなくなりますので注意が必要です。もし、何かしらの事情で書類が渡されなかったり、自宅に封筒が送られていない場合は、事前にしっかり勤務先等に確認を取るようにしましょう。

年内において、退職後から再就職していない人

年内において、退職してから転職もせず、そのまま再就職しないせずに年末が過ぎた場合も、年末調整の対象にはなりません。しかし、12月に給与をもらってから退職した人の場合は年末調整の対象になりますので、年末に給与をもらっているかどうかが見極めのポイントといえます。

年末調整を受ける際に注意すべきポイント5つ

2つ以上の勤務先から給与を受け取っている人

年間を通じて、アルバイトやパート、副業として別の収入源を確保している人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?2つ以上の勤務先で収入を得ている人の注意点は、1つの勤務先でしか年末調整をすることができないという点です。

一般的には、複数の中で最も収入源が多い1つを選んで必要書類を提出することになっています。各勤務先から年末調整に関する書類を渡された際は、注意するようにしましょう。

源泉徴収票の再発行先は勤務先

年末調整の申請をしたいのにも関わらず、何かしらの事情によって書類が手元にない場合はどうすればいのでしょうか。税務署に問い合わせをしてしまう人もいるようですが、勤務先から再発行をしてもらうのが一般的です。

万が一、書類等を紛失した際は、税務署ではなく勤務先へ連絡を取るようにしましょう。しかし、記入する際の金額などの相談に関しては、税務署へ問い合わせしても問題はありません。

勤務地が海外の人は?

海外勤務の人は、非居住者という枠に当てはまります。非居住者とは、1年間以上に渡って海外で仕事していた人のことを指します。つまり、年間を通じて海外を勤務地として働かれている人は、年末調整の対象にはなりません。しかし、年度途中において海外へ渡った人は、年末時点で日本に居なくても年末調整の対象になりますので、注意が必要になります。

適用漏れが起こりやすい保険料の控除

上述した通り保険料控除申告書は、年末調整に必要な書類の記入漏れが多いことがあります。各保険の種類によって、控除額における上限や記入方法が異なるため、中には難しいと感じてしまう人もいるでしょう。

しかし、ボーナスの受取や2年目以降の住宅ローンのような振込に関しては額が大きくなることから、その分還付金の割合も高くなることが予測されます。それも踏まえて、しっかり手続きするようにしましょう。

再調整は翌年の1月末まで

年末調整は、12月末までに終わる制度ではありません。勤務先へ提出した2つの必要書類の不備などがあった際は、再調整によって源泉徴収票が手元に届くのが一般的です。もし、源泉徴収票にて不備があった際は、毎年行われる所得税の調整制度という観点から、次の年も同じ間違えや記入漏れを起こさないためにも、しっかりと確認するようにしましょう。

また、この段階において必要書類の提出をされない場合は、自身で確定申告することになります。後々手間にならないためにも、期日を守ることが年末調整のポイントといえます。

清々しい新年を向かえるためにも年末調整の準備は早めに!

今年になって、初めて勤務先から必要書類を受け取る人にとっては、あまり馴染みのない言葉かと思います。例外を除けば、ほとんどの人が生涯に渡って毎年提出しなければならない書類になりますので、この機会にしっかり要点を抑えておくようにしましょう。

年末に近づいてきて、何かと忙しい時期でもありますが、ほとんどの会社が11月の中旬から末にかけて必要書類を渡してくれるようになっているはずです。時間のある時に、しっかり自身のライフスタイルと照らし合わせながら、記入漏れのないように年末調整の手続きをするようにしましょう。

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