バスガイドさんは、旅の行程、観光スポットの詳しい案内、楽しい小話、歴史知識、歌など披露してくれて、その場を盛り上げてくれますよね。バス旅行が「楽しかった」といい思い出になるのは、バスガイドさんの存在がとても大きいものです。そんなバスガイドさんになるには、どうしたらいいでしょうか?気になる仕事内容もご紹介します。
バスガイドとはどんな仕事?
お客さんとして目にするバスガイドの仕事は、旅の行程や観光スポットの詳しい案内など、人前で話すことが多くその姿が目立ちます。しかし、バスの旅行を楽しむためのサポートにはお客様の目につかないところでも必要です。バスガイドの仕事内容は大きく2つあります。
バスガイドの具体的な仕事内容は大きく2つ!
- 車内でのお客様対応
■旅の行程や観光スポットの詳しい案内などを提供し、車窓から見える景色を案内
■お客様の体調管理などに気を配る
■下車誘導 観光地では誘導案内
■社内のオーディオ機器の取り扱いを行う
■集合時間の告知を行う
■お茶出しのサービスをする
- 車掌業務
■ドアの開閉をする
■駐車時の安全確認やバスのバック駐車時の誘導を行い運転手のサポートを行う
■事故発生時の乗客の誘導を行う
■出発前は車内の備品の点検・準備をし、お客様が降車後は簡単な車内清掃・点検を行う
バスガイドの1日の仕事の流れ
- 出勤・出発の準備
- 事務所内でミーティング(点呼)
- 出庫・お出迎え
- 出発・観光案内
- 観光地到着・観光ガイド
- 昼食
- 集合・出発
- 解散
- 入庫、車内清掃
- 終業点呼、退社
出社する時間はツアー出発の1時間前です。バスにお客様を迎え入れる準備をします。
■網ポケットのエチケット袋をセット
■お客様用のお水やお茶の用意をし積み込み
■オーディオ機器やガイドマイクの点検
■団体名を記載したステッカー準備
バス運転手とミーティングをします。事務所内で係の人から運行上の注意事項や道路状況を聞き、バスの運転手と1日の予定など運行内容の打ち合わせをします。
お客様の集合場所までバスで向かいます。バスが乗車地に到着した後、添乗員と顔合わせをし最終的な打ち合わせと確認を行います。ツアーに参加するお客様をお出迎えして、笑顔で挨拶をします。
お客様がお席についたら、人数確認の点呼します。お客様にご挨拶し、行程の案内や乗車中の注意事項を話します。観光地に到着するまで、観光スポットの案内や地理や歴史の話をします。
観光地に到着したら、お客様と一緒に下車し誘導や観光地のガイドをします。
乗務員用の休憩室と呼ばれる部屋で、乗務員用のメニューを頂きます。
帰りの時間になったら、お客様をお迎えしバスまで案内します。お客様にお楽しみいただけるようにカラオケをしたり、お客様がお疲れのようでしたらDVDを見たりします。
解散する場所にバスに到着後、お客様にお別れの挨拶をした後、お見送りをします。車内に忘れ物がないか確認します。
車庫に到着後、車内のゴミを集め、ほうきで掃き掃除等の車内の清掃をし、車内を出発前の状態に戻します。
事務所に戻り、事務所内の係の人に業務を報告し、終業点呼を受けます。次の日の勤務を確認して退社します。
バスガイドの平均年収はどのくらい?
バスガイドの給料は、就職した会社によっても違いはありますが、初任給は15万前後となっています。ツアーによっては、基本給に時間外勤務手当や出張手当などがつくことが多いので、各種手当がつくと額が上がります。また、経験によっても少しずつ額は上がっていきます。年収にすると200万~300万が相場です。
バスガイドと添乗員との違い
添乗員とバスガイドの違いは何でしょうか?同じ仕事だと思われていることが多いようです。添乗員とバスガイドの仕事の役割の一番大きな違いは「行程を管理する」ことと資格の有無です。「行程を管理する」とは、立ち寄り先や観光地の施設と連絡を取り、入場・食事の支払いを行い滞在時間を決めたりすることです。
また、何らかのトラブルがあった場合、行程の調整を行ったりします。添乗員が必要な資格は「総合旅程管理主任者」や「国内旅程管理主任者」です。バスガイドは資格が必要なく工程管理は行いません。
外国のお客様にもガイドするの?
外国のお客様のガイドをするには、「通訳案内士」という国家資格が必要になります。この資格がないと外国のお客様にガイドすることはできません。ですから、外国語のガイドを必要とするお客様のバスに同乗してガイドすることはありません。
バスガイドになるにはどうすればいいの?
バスガイドになるには、入社してからバスガイドになるために必要な研修を受講します。そして、バスガイドを目指します。研修内容は、各会社の理念やバスガイドのイメージによって独自の研修を行うので、研修期間や指導は違ってきます。勤務地や業務内容をよく確認して、自分にあった会社に応募することがよいでしょう。
バスガイドの就職先
バスガイドになるには、各都道府県にある交通局やバス会社へ入社します。応募の方法を見ていきましょう。
- 学校に来る求人から応募する
- バス会社の求人サイトから応募する
- ハローワークから応募する
高校生や専門学校生、大学生などの学生の場合は、学校に来る求人に応募することができます。
バス会社のホームページの求人情報を見て、応募フォームから応募することができます。
ハローワークで、バス会社の求人を探して応募することができます。ハローワークで相談すれば、非公開になっている求人も見ることができます。
男性でもバスガイドになれる?
バスガイドは女性のイメージが強いですが、男性でもなれます。2013年に大手観光バス会社の東都観光バスが、バスガイドに初めて男性を採用しました。男性がバスガイドになるには、観光専門学校を卒業して就職することが近道のようです。今は個性の時代なので、女性にはない男性のガイドの魅力はこれから需要が見込まれます。
バスガイドになるために必要な資格はあるの?
バスガイドになるために、必要な資格はありません。募集の条件が高校卒業以上となっている会社が多いので、高校卒業の資格はあったほうがよいでしょう。バスガイドは、資格よりも経験を求められる仕事です。バスガイドとして経験を積んだ後に、添乗員の仕事に興味がある場合は「国内旅程管理主任者」の資格を取り、添乗員も兼務することができます。
バスガイドは派遣でもできるの?
バスガイドの経験者であれば、派遣を行っている会社に登録して派遣のバスガイドとして働くことができます。応募条件は経験者がほとんどで、即戦力になる人が求められます。派遣の場合の給料は、一般的に日給の形で支払われます。
バスガイドの寮ってどんなもの?
バス会社には寮を完備しているところが多く、バスガイドになるには研修が必須なので、新入社員が一斉に研修を受けるために寮に入ることがあります。バスツアーで有名な「はとバス」も、入社すると一定の期間は必ず寮で共同生活をすることになっています。
寮生活のメリットは、バス会社の福利厚生の一環でもあるので、住居費や光熱費をかなり抑えることができ、給料が少なくても生活していけます。また、職場にも近いので朝の出勤時間が早いバスガイドにとっては、通勤時間が短くて済みます。それから、同期の仲間や先輩も周りにいるので心強く、話し合いや質問がしやすい環境といえます。
バスガイドの研修とは
バスガイドになるための研修とは、どんなものがあるでしょうか。バス会社のイメージに沿ったバスガイドになるために独自の研修を行なっており、期間も内容もさまざまです。ですが、どのバス会社の研修でも、プロのバスガイドになるための基礎を徹底的に学ぶことになります。決して簡単なものではありません。研修について大きく次の3ステップがあります。
- 机上研修 言葉遣い、挨拶、接客マナー、身だしなみ
- 車両研修
- バスに乗車して実地訓練
観光地の地理、歴史伝統文化を勉強します。各バス会社が独自に編集した300~500ページのテキストを暗記しなくてはなりません。また、発声練習や歌唱のレッスンも行います。
ドアの開閉からオーディオ機材の使い方、バック誘導の練習を行います。出庫前の清掃も実際に行います。また事故発生時の誘導方法、救命救急法の指導も受けます。
机上で学んだことを研修用のバスに乗り実際のコースを走りながら、挨拶や観光案内の練習をしていきます。
バスガイドに向いている人の特徴3つ
どんな人がバスガイドに向いているのか気になりますよね。一つ言えることは、素敵な笑顔をできる人ではないでしょうか。笑顔が素敵だと雰囲気がよくなりますし、お客様の気分もよくなりますよね。
逆に、無表情な暗い表情のバスガイドだったらどうでしょう。考えただけでも、そんなバスには乗りたくないですよね。気分が盛り下がって、せっかくの旅行が台無しになってしまいます。素敵な笑顔以外にも、必要な特徴を3つ挙げてみました。
人と話すのが好きな社交的な人
やはり人前で話すことが多いので、人と話すこと、接することが好きな社交的な人が向いているといえます。だからといって、一方的に自分のことばかり話す人ではいけません。バスのお客様の年齢は幅広く、幼稚園の遠足から年配の方が多い旅行や、女性が多い旅行、男性が多い旅行もあります。性別や世代の区別なく、どんな人ともコミュニケーションとれることが重要です。
サービス精神が旺盛な人
お客様に楽しんでもらいたい、喜んでもらいたいという気持ちがあり、サービス精神に溢れている人が向いているでしょう。
コツコツと地道に勉強できる人
観光地の案内をするためには事前に膨大な量の資料を読んで、全てを暗記しなくてはなりません。他にも、地理や歴史などの下調べをしなくてはなりません。また、お客様に質問されたときもすぐに答えられるように、最新の情報を手に入れなくてはなりません。こういった勉強は、地味で時間もかかるのでコツコツ勉強することが重要です。
バスガイドの魅力・つらいこととは
バスガイドとお客様は、一期一会の関係です。そんな出会いのなかで、バスガイドの仕事をしていての魅力やつらいことはどんなことでしょうか。
バスガイドの魅力を感じられるとき
感謝の言葉を直接聞くことができるとき、やっていて良かったと心から思うことでしょう。ツアーが終わり降車時に「ありがとう」「楽しかった」とお客さんが口々に話してくれます。人に喜ばれ心から感謝されるということは、お金にかえられないものです。感謝の言葉を聞くことで、自分の努力も報われます。
バスガイドをやっていてつらいと感じるとき
さまざまなツアーがあるので朝が早く泊まりの仕事もあり、不規則な生活になることです。また、ツアー客を案内し歩き回ることが多いので、肉体的にハードになります。
バスガイドの挨拶には秘密があった!?
バスガイドの話や挨拶に聞き入ってしまうことはないでしょうか。特にベテランのバスガイドと同乗したときは、その案内の素晴らしさに引き込まれてしまします。それはやはりバスガイドの日々の努力と経験の賜物なのです。バスガイドの素晴らしい挨拶の秘密を3つ程紹介します。
観光案内の内容がスラスラ口からでてくるまで暗記している
それは、ただ暗記するだけだけでなく、事前に決めた言葉が自然と口をついて出てくるようになるまで練習をしています。話の流れや順序を正確に頭に入れることで、当日の道路状況によりに案内を組み替えたり、他のコースの案内を混ぜたりアレンジができるようになります。
お客様の目線にあわせる柔軟性を持っている
バス旅行にはいろいろなお客様が参加されるので、お客様の状況を把握し目線にあわせていく柔軟性を持っています。年齢層によって話す内容そのものを調整したり、グループ人数によっては話すペースや雰囲気作りが変わってきます。お客様が男性が多いのか女性が多いのかで旅行の目的、興味が違うので、それぞれの目線にあわせて観光案内の内容を変えていきます。
バスの中でも想像させられるような説明の仕方が上手い
旅行のテーマや魅力をお客様により強く印象づけるためには、観光ポイントの良さを詳しく説明して車内で想像してもらいます。1番の観光のポイントは主役であるお客様に実際に見て体験してもえるようになっています。
バスガイドの話がわかりやすい理由
バス旅行を申し込む目的は、観光や食事などお目当ての楽しみがはっきりと決まっている場合がほとんどです。バスガイドの話がなぜわかりやすいのでしょうか?それは、話を組み立てて整えてあるからです。
- 旅の目的を話してくれる
- 観光スポットの見所など、知りたいことについて教えてくれる
- 旅先の地図も頭に入っている
当日の朝バスガイドから今回の旅の目的が何なのかしっかりと示されます。
目指す場所をどの道を使っていくのか旅の行程や、それぞれの観光スポットの見どころについての説明もあります。
トイレ休憩や、一つひとつの観光スポットを移動するたびに、全体行程における現在地を確認しながら進んでいきます。
旅全体のテーマとマップがしっかりと提示され、旅と同時進行で案内があるのでお客様は途中でガイドブックや行程表などを取り出すこともなく、安心して楽しむことができるのです。
つまりバスガイドの話は旅のテーマは何なのか、どういう道筋を辿ってどこを目指すのか、重要なポイントは何かを提示するという形に整えられているのです。これがお客様にとってわかりやすいということになります。下記にような本もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
- バスガイド流プレゼン術 天才ジョブズよりも身近な人に学べ(著:伊藤誠一郎)
■Amazon価格:1,620円(税込)
バスガイドはお客様を主役にする仕事
お客様はそれぞれ観光や食事など明確な目的があるので、その目的のためにバスガイドは知識や経験からいろいろな楽しみ方を提供してくれています。バスガイドがサポート役に徹してくれているから、お客様は主役になることができ「楽しかった」と思える旅行になります。バスガイドの仕事は、バス旅行のサポート役、そしてお客様の旅行を心から満足させることができるのです。