「ベビーシッター」と聞くと「料金が高そう…」「お金持ちや芸能人が使うもの」なんて敷居が高いイメージはありませんか?しかし近年、待機児童や保育園不足等の社会問題や、安くて利用しやすいベビーシッター会社が増え、ベビーシッターを利用する人が増えています!注目され始めたベビーシッターとは、どんなお仕事なのでしょうか。
ベビーシッターとは
ベビーシッターとは、保護者が仕事や病気などの理由で子どもの面倒を見ることができない時に、子どものことをお世話する仕事です。主にお客様の家、デパートや企業の託児ルームで0歳~約12歳までの子どもを預かり、保育します。
ベビーシッターの仕事内容
仕事内容は主に子どもと一緒に遊んだり、食事やお風呂、寝かしつけ等の身の周りのお世話です。依頼主(お客様)によっては保育園への送迎や勉強のサポート、習い事の見守り等仕事内容には若干の違いがあります。
- 病児保育をすることもある
- 家事は代行する?
熱が出やすく病気にかかりやすい子どもや、病み上がりのためお家で様子を見る必要のある子どもを家に一人にしておくわけにはいきません。そんな時に駆け付ける場合のことを、病児保育といいます。例えば、子どもがインフルエンザになり出席停止になってしまい、「仕事に行きたいけど、出席停止だから保育園に預けられない」という時、ベビーシッターが保護者の代わりに子どものお世話をしたり、検温や投薬をします。
基本的にベビーシッターは家事を代行しません。それは子どもの安全が第一だからです。しかしオプションとして、洗い物や洗濯、お買い物、お部屋の掃除などの家事を引き受けることもあります。
ベビーシッターの1日の流れについて
1日の流れはお客様の依頼や子どもの年齢によって若干の異なりがありますが、下記の内容が主な流れになります。
1日の流れ | 仕事内容 |
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お客様の家に伺う | 依頼があったお客様の家に行きます。 |
お客様との打ち合わせ | 打ち合わせはとても大切な時間です。ここで保護者の緊急連絡先を聞いたり、子どもの成長段階、またしてはいけない約束事の確認を行います。 |
子どもと一緒に遊ぶ | お部屋の中で子どもの好きなおもちゃを使って遊んだり、絵本を読んだり、遊びの内容はさまざまです。天気のいい日には外に出てお散歩もします。必要に応じておむつ替えやトイレトレーニングをします。 |
食事 | 一緒にお昼ごはんを食べます。1人で上手に食べられないときはサポートをしてあげます。 |
お昼寝 | 寝かしつけをします。お昼寝中でも子どもの傍を長時間離れることは、絶対にしてはいけません! |
おやつ | お昼寝から起きたらおやつを食べます。その後は遊びながら保護者の帰宅を待ちます。 |
保護者へ報告 | 保護者が帰宅したら、1日の様子を報告して勤務は終了です。子どもに変わったことがあれば、必ず報告します。 |
勤務時間・休日について
ベビーシッターは、お客様の依頼によって勤務時間が変わってきます。「午前中だけ子どもを見てほしい」「保育園から帰ってくる夕方から夜まで」など、お客様の依頼の内容はさまざまです。午前中だけ働きたいという人、夕方から夜の寝かしつけまでの数時間だけ働きたいという人、複数の依頼を掛け持ちして1日働きたいという人もいます。休日もお客様の都合で変わります。
ベビーシッターの派遣会社で働く人は、自分の勤務形態を決めることができるので、自分で休日を決めることが可能です。週5日働く人もいれば土日だけ働く人もいます。働き方も休日もお客様によって変わることが、ベビーシッターの仕事の大きな特徴と言えるでしょう。
お給料はどのぐらい?
託児所やベビールーム等で正社員のベビーシッターとして働く場合は、月給で約16万~20万円程で、幼稚園教諭や保育士とほぼ同じお給料といえるでしょう。持っている資格やスキルによってお給料はアップします。
しかし、ベビーシッターのほとんどの人はアルバイトやパート、派遣社員として働いています。この場合は時給となり、勤務条件や働く地域によって差はありますが約1,000~1,400円程になります。正社員同様、持っている資格や勤務時間が早朝・深夜になると時給があがることもあります。
ベビーシッターの求人状況・就職先とは
まだまだ世間に馴染みがうすい職業のため、正社員の求人は現在少なめです。しかし、待機児童や保育園不足などの社会問題の影響で、ベビーシッターは需要が高まりつつあります。
- 求人情報
- 就職先
ベビーシッターの求人のほとんどは、派遣社員やパート、アルバイトです。子どもと関わる仕事のため、子育て経験者や保育士、幼稚園教諭、看護師などの資格を持つ人は就職が有利になってきます。
しかし、近年の需要の高まりから子育てや保育経験のない未経験者でも、積極的に採用する会社も増えています。未経験者の場合は、会社で研修を受けたり先輩ベビーシッターの指導を受けながら仕事をしていきます。
一番多いのは、ベビーシッターの派遣を行なっている派遣会社に登録して、ベビーシッターとして働くことです。個人宅に伺うことや企業の託児ルーム、イベント会場、デパートのベビールーム等に派遣され、そこでシッター業務を行います。
また、独立して開業することも可能です。今のところ、開業にあたり必要な認可や登録、国家資格が存在しないので、開業しやすいことでしょう。しかし「子どもを預かる」という責任は大きいため、未経験者が突然開業するのは難しいことです。独立するのであればベビーシッターとして働き、多くの子ども達と関わり経験を積んだほうがいいでしょう。
ベビーシッターになるにはどうすればいいの?
利用者も増えはじめ注目されるベビーシッターですが、ベビーシッターになるにはどうすればいいのでしょうか?
特別な資格はいらない!?
実はベビーシッターになるために、資格は必要ないのです!保育士や幼稚園教諭と違って大学や短大に通う必要もないので、誰でもベビーシッターとして働くことができます。
ただ、子どもを預かる上で、保育経験や子育て経験、無資格だと依頼が少なかったり信頼されにくいことがあるかもしれません。資格を取得することや経験を積むことは必須といえるでしょう。
認定ベビーシッターの資格を持っていると信頼されやすい
「認定ベビーシッター」という資格をご存知ですか?この資格は2000年度から実施された新しいもので、公益社団法人全国保育サービス協会が認定している資格です。
この資格を持つことで、ベビーシッターに必要な知識や技術を持ったプロだと証明することができます。就職に有利であること、お客様からの信頼を集めやすということなど、いろんな点でこの資格を取得しておくと便利でしょう。
- 資格を取るには資格取得指定校に通う
- 講習を受けた後、試験に合格する
- 保育士資格、幼稚園教諭免許、看護資格があると有利
「認定ベビーシッター資格取得指定校」と認定された学校で、保育士資格の指定科目とは別に「在宅保育」に関する科目の単位を習得し、学校を卒業すると認定ベビーシッターの資格を取ることができます。この場合、認定試験の受験は必要ありません。
協会が実施する研修を受けた後、認定試験を受験し合格すると資格を取得することができます。試験は筆記試験ですが、難易度はそこまで高くないといえます。講習をちゃんと受け、内容を復習すれば合格しやすいでしょう。
認定ベビーシッターの他に、幼児教育・保育等子どもに関する知識や技術を持つ「保育士」や「幼稚園教諭」の資格を持っていると信頼されやすいでしょう。また「看護師」資格を持っていると、子どもの体調の変化に柔軟に対応できたり病児保育の面でも活躍できるため、お客様の依頼も増えとても有利です。
ベビーシッターと保育士の違いとは大きく4つ
子どもを保育するという点では同じ「ベビーシッター」と「保育士」。似ているようでいくつか違うことが大きく4点あります。
取得する資格が違う
ベビーシッターは資格がなくても働けますが、保育士は「保育士資格」が絶対に必要になります。
関わる子どもの人数が異なる
ベビーシッターは、基本的に1~2人を見ます。しかし、保育士は集団保育のため複数人に1人の保育士が配置されます。(0歳の場合、0歳児3名に対して保育士は1名。5歳の場合、5歳児30名に対して保育士は1名。)
働き方が異なる
ベビーシッターは依頼を受けて、お客様の自宅や託児ルーム等で働きます。派遣社員やパートで働く人がほとんどです。保育士は、保育園や児童養護施設等の保育施設で働きます。パートや契約社員もいますが、正社員として働く人のほうが多いです。
人間関係が違う
基本的にベビーシッターは1人で業務を行います。そのため、先輩・後輩、上司・部下等の人間関係は薄いと言えるでしょう。しかし、依頼主(保護者)やその子どもからは深く信頼される必要があります。保育士は1つの施設に複数の保育士が一緒に働いてるため、協力し合うことや良好な人間関係の構築が必須です。さらに、多くの子ども達・保護者との関わりも求められるため、人間関係はベビーシッターに比べて複雑なものです。
いくつか違いを紹介しましたが、子どもが好きな人にとってはどちらも魅力的な仕事ですよね。ぜひ仕事内容や働き方を考えて自分にあった職業を選んでみてくださいね。
ベビーシッターに向いてる人の特徴4つ
ベビーシッターの仕事内容や資格についてお話しましたが、どんな人がベビーシッターに向いてるのでしょうか?大きく4つに分けて紹介します。
子どもが好きな人
子どもを預かる仕事なので、子どもが好きでないと勤まりません。子どもが好き、だからこそ、子どもがいけないことをしていたら叱ることも必要ですし、子どものペースに合わせる忍耐強さも求められます。
責任感がある人
子どもを預かることは命を預かることです。保護者さんにとって大切な子どもを預かっているため、責任感を持つ必要があります。子どもは大人が予測できない行動をとることがあるので、常に注意して見なければいけませんし、万が一のことが起こった時の判断力も必要です。
細かいところに気付ける人
「様子が変だな…」と子どもの小さな変化に気づく力がある人も向いているでしょう。特に体調の変化は、年齢が低ければ低いほど伝えることができないので、ベビーシッターが気づいてあげないといけません。また反対に、良いことにも気づいてあげましょう。「昨日できなかったのに今日できた」ことに気づいてあげれば、子どもも保護者も嬉しいはずです。
体力に自信のある人
元気いっぱいの子どもと遊ぶには体力が必要ですよね。体力があれば子どもと思い切り遊ぶこともできますし、仕事もテキパキとできるはずです。度々風邪をひいては仕事ができませんし、子どもにうつすことがあったら大変なので体調管理ができることも必要です。
ベビーシッターの魅力とは
ベビーシッターのように子どもと関わる職業は多いですが、ベビーシッターならではの魅力とはなんでしょうか?
子どもと深く関わり、成長を見守れる
幼稚園や保育園の集団保育とは異なります。ベビーシッターが見る子どもの数は1~2人です。そのため、より深く子どもと関わることができ、成長を見守れます。できなかったことができるようになった姿を見ると、ベビーシッターとしても嬉しいしやりがいを感じられることでしょう。
頼りにされていることが実感できる
さまざまな理由で子どもを見ることができない保護者にとって、ベビーシッターは重要な存在です。「ありがとうございます」「またお願いします」などの言葉をかけてもらえたり、指名を受けたりすれば、自分が頼りにされている実感が湧くはずです。
都合に合わせて働ける
生計を建てるためにほぼ毎日依頼を受けて働く人もいますが、「平日は学校があるから休日だけ」「午前中だけ働く」など、自分のライフスタイルに合わせて働けるのも大きな魅力の1つです。
働くうえで大切なこと大きく3つ
ベビーシッターとして働く際、気をつけることはいくつかありますが、多く分けて3つ紹介します。
命を預かっているという責任感を持つ
子どもの怪我や体調の変化には、常に細心の注意を払います。外で遊ぶ時も寝ている時も目を離すことは危険です。万が一、子どもに何かあった時は保護者や会社に連絡します。
お客様との約束は必ず守る
お客様からの「〇〇はさせないでください」や「子どもに〇〇をさせてください」などの約束事は必ず守りましょう。このような約束がなかったとしても、お客様との依頼の内容はちゃんと確認して子どもと接していきましょう。約束を守らないと信頼を大きく失う原因になります。
物の紛失・破損に気をつける
お客様の物は、決して壊したり無くしたりしないように気をつけましょう。物の紛失や破損は、トラブルの原因となったり信頼を失うこともあります。もし、このようなことがあった時は、すぐにお客様と会社に報告をします。
ベビーシッターの需要は拡大している
働きたいけど子どもを見てくれる人がいない、保育園に預けられない、など悩みを抱える保護者にとって「育児のプロ」ともいえるベビーシッターは強い味方です。ベビーシッターは近年注目され始めたもので、認知度も利用者もどんどん増えていくため、需要は拡大していくでしょう。
保育施設だけではなく、託児ルームやデパート、イベント会場のベビールーム等に働く場所もさまざまです。家事代行を引き受けるベビーシッターの活躍もあり、お客様のニーズに合わせてサービスも豊富になっています。多くのことが求められるようになってきていますが、最も大切なのは、子どもを大切にする気持ちと育児に対する知識・技術です。経験を積んでいくうえでこれが身につけば、大いに活躍できると思います。