警備員は私たちの生活を安全に守ってくれる大切な仕事!必要な研修と4種類の警備について

さまざまな場所で活躍する警備員ですが、警備員の詳しい仕事内容を知っていますか?警備員は、人々が安全に過ごすために、重要な役割を担っています。しかし、イメージに左右され人材不足に悩まされているのが現状です。今回は、警備員の仕事について詳しくお話いたします。

警備員ってどんな仕事なの?

警備の仕事は基本的に立哨です。立ちっぱなしだと思われてしまうことが多いですが、体力が必要とされ、緊張感を持ち集中して業務に徹します。時には強い口調でクレームを言われますが、謙虚な姿勢で対応しなくてはいけません。警備員は警察とは違うので特別な権限はありませんが、事前に事件や事故を防止する私たちの生活に欠かすことのできない警備・警護のプロフェッショナルです。ひとくくりに警備員と言っても、その仕事内容や働く場所は多岐に渡ります。

警備員の種類は大きく分けて4つ

警備員は、「警備業法」という法律のもと働いています。その中でも警備業法第二条より4種類の警備にわかれています。その分類や業務内容を紹介します。

  • 施設警備(1号警備)
  • 警備業務対象施設(ビルや駐車場・空港・事務所・ショッピングモール・テーマパーク・住宅)を利用する人の車両の出入管理・盗難や火災などの事故等の防止、また不法侵入を防ぐため監視や巡回をする警備業務のことをいいます。ガードマンの名前で認識されていることが多いです。センサーなど遠隔で警備する警備機械も1号警備に含まれます。
    1号警備は、制服・制帽、鍵、警棒、メモ帳、警笛、懐中電灯、トランシーバーを身につけています。

  • 交通誘導警備・雑踏警備(2号警備)
  • 危険回避のため、駐車場・道路での交通整理、工事現場での車両や歩行者の誘導・案内、コンサートやライブ会場・お祭り・イベントなど一時的に混雑する催しもの会場での雑踏警備業務のことをいいます。また、近年では特大貨物輸送車両の前後を縦走する「誘導車両業務」も2号警備に含まれます。
    2号警備は、ヘルメット、誘導灯(赤色灯)、トランシーバー、反射チョッキ、交通腕章、雨具(明るい色・反射材をつけたもの)を身につけています。目立つ事で歩行者や運転手に認識してもらう目的があります。

  • 輸送警備(3号警備)
  • 現金、貴金属・核燃料・美術品など輸送する際、盗難・強盗などの事故発生を防止し警戒する警備業務のことをいいます。
    3号警備は、ヘルメット、警戒棒・警戒仗、トランシーバー、防護ベスト(防刃手袋)、鍵、カラーボールを身につけています。警備員自身を守る目的の装備がメインです。

  • 身辺警備(4号警備)
  • 依頼人に付き添い、身辺の危害発生を警戒して防ぐ(ボディーガード)警備業務のことをいいます。護身術や武道のトレーニングも行います。また、携帯型の端末で見守るサービスも4号警備に含まれます。
    4号警備は、警戒棒、トランシーバー、携帯電話、防弾チョッキを身につけています。他の警備と異なるのは、目立つ必要がないため制服を着用しない事が多いところです。

気になる給料と労働時間

警備員は階級(隊長警備・副隊長警備・一般軽微)により年収も異なります。そのため年収の範囲も幅広く、平均240万円~420万円です。国家資格を取得することにより収入アップに繋がります。また、単純に労働時間を延ばすことにより収入は上がります。基本的に現場に直行し現場から直帰します。労働時間は警備業務によりますが比較的長めです。

1号警備のような営業時間外も警備をしなくてはいけない場合、24時間警備を行うので交代・シフト制の勤務になります。工事現場では、騒音など近隣の迷惑になる時間帯を避けた現場が多いので安定した勤務になります。夜間工事の場合は勤務時間も夜間になります。3・4号警備は、依頼により警備・警護する時間が異なります。生活リズムも不規則になりますが、他の警備より給与は高額です。

求人はたくさんある?

警備業界は全体的に人手不足のため、求人募集も多いです。現状、正社員募集よりもバイト募集の方が多くありますが、バイト経験を積み警備員としての経験や実績を積んでから正社員となるのも一つの手段であり、珍しいことではありません。

警備員の正社員になるためにはどうしたらいいの?

学歴は必要?

警備員に学歴は必要ありませんが、職務に就くためには18歳以上である事を条件に警備業法第三条によって定められています。警備員の仕事には、車を運転する事が多々あります。そのため、普通自動車免許は取得しておきましょう。

研修って何をするの?

公安委員会認定の警備会社に入社した場合、アルバイトであっても短期・長期に関わらず法令で定められた研修を受ける必要があります。

参考:e-Gov 警備業法第三条

  • 新任研修
  • 警備業務の映像での基本教育から始まり、警備業法・憲法・刑法・刑事訴訟法・道路交通法・遺失物法など警備に関する法律を学び、礼式訓練を行なっていきます。礼式訓練は専門機器(誘導灯・トランシーバーなど)の使用方法、基本動作の確認や護身術も学ぶ場合があります。そして、最後は業務別に業務内容に合わせた研修が行われます。計30時間の研修を4~5日に分けて行うことが多いです。また、研修期間中は決められた報酬が出る場合があります。

  • 法定研修
  • 現場での実務研修を行います。主に動作確認や不明な点がないかを確認します。

  • 現任研修
  • 現職の警備員が半期に一度行う研修(8時間以上)です。この研修を受けないと警備員として仕事を継続することができなくなります。

警備員になれない条件ってある?

警備員は誰にでもなれる職業ではありません。警備業法第三条に「警備員の制限」があります。では、どんな人が警備員になれないのでしょうか?警備員になれない条件は以下6つのとおりです。

  • 18歳未満であること
  • 精神疾患や物事を覚えることができない人
  • 5年以内に禁固刑以上がある
  • 復権のない破産者
  • 暴力団関係者
  • アルコールや麻薬の中毒者

参考:e-Gov 警備業法第三条

面接は自己申告なので、該当する人が採用されてしまう場合もあります。しかし、警備員になるためには役所や法務局など、さまざまな場所からの証明書類を用意し提出しなければなりません。採用者は、書類提出により欠格事由に該当していないか確認するのです。

警備員になるために有利な資格はこれ!

警備員には、国家資格を含む資格がいくつかあります。必ずしも必要な資格ではありませんが、警備員として働く上でスキルアップに繋がることは間違いありません。
取得しておいた方がよい資格を紹介したいと思います。

警備員には国家資格が3つある

国家資格を取得し管理職につくことができれば、出世することができ年収も上がります。

  • 警備員指導教育責任者
  • 警備業務の専門知識を持つことができます。部下を指導・教育する際必要な資格です。独立・管理職を目指すのであれば必須ですが、資格取得試験には、「3年の警備業務経験がなければならない」という条件があります。トータル経験年数なので、例えば1号警備を2年、2号警備を1年経験すれば警備員指導教育責任者の資格を受ける権利が得られます。

  • 機械警備業務管理者
  • 警備事業者が機械警備業務(1号警備)を行う際、機械警備業務管理者を必ず選任し、管轄の公安委員会に届出なければいけません。管理者は、無人警備システムの管理や警備用業務機械を運用するための書類作成や教育などをします。資格取得試験に条件はなく、筆記試験のみ行なわれ8割以上の正解で合格になります。

  • 警備業務検定(=警備員検定)
  • 業務ごとに6種類に分類され、検定には1級・2級があります。法律により有資格者が1人以上いないと業務は行えません。また、1級検定の受験資格は2級合格しその後1年の実務経験がないと受験できません。
    資格取得方法は、公安委員会が行う直接検定と国家公安委員会の特別講習を受講する場合があります。

■直接検定
学科・実技試験があります。受験費用は安いですが合格率がとても低く、20%~40%です。

■特別講習
勉強会と講習を受けてから学科・実技試験を受けます。費用は高いですが、合格率は70%~95%とかなり高めです。さらに、特別講習修了証をもらえることにより直接検定が免除され資格取得となります。

検定名資格内容
施設業務検定1号警備に関する資格で、2級は18歳以上から未経験でも受験可能
交通誘導警備業務検定2号警備で車両や歩行者の誘導業務に関する資格
雑踏警備業務検定2号警備での雑踏警備にあたる業務の資格
貴重品運搬警備業務検定3号警備に関する資格であり需要が高い
核燃料輸送警備業務検定3号警備の核燃料運搬に関する資格
空港保安警備業務検定航空機に持ち込む荷物検査やハイジャック等が起きないように警備を行う資格(空港で働きたい人には有利)

スキルアップにつがる資格もたくさん!

警備員に関する資格はたくさんあります。その分、大変な仕事ではありますが資格を取得することにより有利になります。他取得しておくと良い資格は以下8つです。

  • 防犯設備士
  • 救命講習
  • 防火管理者
  • 防災管理者
  • 消防設備士
  • 赤十字救急法救急員
  • セキュリティ・プランナー
  • セキュリティ・コンサルタント

女性でも警備員として働ける?

男性が働いているイメージの強い警備員ですが、現在、女性警備員が活躍している現場が増えています。なぜならば、女性しか入れない場所への巡回、迷子対応では女性特有の物腰が柔らかい話し方が子どもの不安を和らげることができるからです。また、ボディチェックを必要とする際など、女性ではないと行えない業務が増えるにつれニーズは高まり、女性警備員が選ばれる理由につながります。

警備員はこれからもなくならない需要ある仕事

警備業は楽な仕事ではありません。その仕事内容はキツイ・辛いと言われる事が多いのが現状です。時には厳しく注意しなければいけない場面もあります。事件や事故に巻き込まれる可能性もあり、大変危険な仕事です。しかし、防犯カメラやセキュリティの向上・警備システムなどのIT化によりその負担は以前より軽減されてきています。警備員は暮らしの安全を守り・街の秩序を保つ上でなくてはならない存在です。

そして、社会の中で重要な役割を担い、責任のある仕事だと言えます。また、幅広い年齢層が活躍できるのも特徴です。警備業界での人材不足が加速する一方、警備員の待遇改善に力を入れている企業も増えてきています。人材確保のための課題はたくさん残されている警備業界ですが、人々が生活していくうえで需要のある仕事だと言えるでしょう。

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